fantasia*diapsida

とりとめのないメモの山

dinosaur expo 2009:01

2009-08-06 00:00:00 | biologie*

幕張メッセ国際展示場で開催中の『恐竜2009-砂漠の奇跡』に行ってきました。

結論から言おう。
ここ10年で稀に見る充実した恐竜博である。
2002年のも良かったが、標本は今回の方が希少性・ヴァリエーションともに高かったのでは?

今回も主だったところをピックアップ(5回に分けてお届け)しますが、
これを読まれた貴方は是非是非本物の凄さを見に行ってください!

で、第1回!

 

入口に入ると、まず月並みの発掘現場再現が。
しかし、ここに何気なく展示してあるトリケラトプス・ホリドゥス(Triceratops horridus)の後頭部は、
実物化石だったりする。

そして何故かエコだの何だのを謳ったエリアがあって…
恐竜研究の歴史。
 
ギデオン・マンテル時代のイグアノドンの復元模型じゃ!
もちろん現在の復元とはあまりにかけ離れているが、俺、このハリー・ハウゼンの映画に出てきそうな感じが大好き❤
何気に直立して復元されているのが面白い。


アロサウルス・フラギリス(Allosaurus fragilis) 
  
アロさんにしては珍しく、なかなか躍動感のある復元だ。シューっとスマートで滑らかな印象はまさにアロさん☆
前肢の末節骨(distal phalanx)のうち、第1指が飛びぬけているのがカッコイイね。

細長くて幅のほぼ均一な肩甲骨(scapula)が如何にもカルノサウリア(Carnosauria)である。
左の肩甲骨には、スパイクで刺されたかのような傷があったが、
…ひょっとして対面に展示してあった奴にやられたか…(笑)?


そして展示はここからゴビ砂漠エリアへ。

プロトケラトプス・アンドレウシ(Protoceratops andrewsi)。
    
幼稚園のころ一番好きだった恐竜だ。今もかなりLOVEですよん❤
ロイ・チャップマン・アンドリュース(Roy Chapman Andrews; インディ・ジョーンズのモデル)が発見して以来、
ゴビ砂漠を中心に大量に化石が見つかる。
今回も複数の骨格の展示があったが、中でもこの小さな全身骨格は、ほぼ実物化石で構成されているらしい。

ネオケラトプシア(新角竜類; Neoceratopsia)の中でも比較的原始形質を多く保持していて、
それだけに角竜としてはどこかシンプルで、スマートな印象がたいへん可愛い。
でありながら、尾椎の棘突起が尾の中間あたりで最も高くなるところとか、
鼻骨の盛り上がった稜線なんかが特徴的で、実にカッコいい。
リードつけて散歩したいんだが…復元にするとなんかキショいのが多くて嫌だなぁ(笑)。
個人的にもっとイノシシみたいなイメージがあるんだが。


ヴェロキラプトル・モンゴリエンシス(Verochiraptor mongoliensis)
 
獣脚類(Theropoda),
  テタヌラ類(Tetanura),
    マニラプトラ(Maniraptora),
        エウマニラプトラ(Eumaniraptora)
  の代表格ですね。
未だに『ジュラシック・パーク』の巨大・凶暴な怪物のイメージが世間的に定着しているが、
実際は映画よりはるかに小さく、華奢で且つ動物的で魅力がある。
腱でガッチリ補強され、殆ど可動性のない尻尾にご注目。

さて、プロトケラトプス&ヴェロキラプトルといえば、
1971年にトゥーグリーグで発見された"闘争化石"があまりにも有名だ。
この化石のお陰でマニラプトラの攻撃性や"恐ろしい爪"の威力のイメージが定まったとみて異論はあるまい。
だが個人的にラプトルさんがそこまで爪によって自分と同程度あるいはそれ以上の大きさの相手を捕食していたかは疑問だ。
爪ってのは歯などとは違って遥かに柔らかいケラチンでできている。
これを動物の厚い皮膚に喰い込ませて致命傷を負わせるのは至難の業だし、
少なくとも現在では、そんな手法で狩りをする動物はいない。

また爪が喰い込んだところで、暴れまわる獲物とは暫くの格闘をしなければならないわけだが、
総じて獣脚類の後肢の関節は遊びがなく、ガッチリ一方向に曲がるようになっており、
ましてやより走行への適応の進んだマニラプトラの足など、簡単に脱臼してしまう。
現生の、前脚で獲物を抑え込むタイプの捕食性動物が
非常に自由度の高い足の骨格(速く走るという点では逆に不利)を持っているのと反対なのだ。

だから、こういうラプトルっていうのはもっとネコとかイタチみたいな生活をしている印象なんだよね。
そもそも現在の肉食動物でも、集団で自分よりデカイ獲物をブッ倒すぜ!なんて
男気溢れる(しかし生存には非効率な)食生活をしているものはまずいないわけだし、ちょっと不自然ではあると思うのだが。
カッコいいんだけどね。


ギガントラプトル・エルリアネンシス(Gigantoraptor elrianensis) 。
    
今回の目玉の一つ。
全長約8m、頭までの高さ約5m、推定体重約1.5tという、
オヴィラプトロサウリア(Oviraptorosauria)にしちゃ異様にでかい体が特徴だ。
見たら笑うぞ。

オヴィラプトロサウリアは前述のヴェロキラプトル同様マニラプトラの中の一群であり、代表格は
足元にいるオヴィラプトル・フィロセラプトス(Oviraptor philoceratops)
   
とか、コンコラプトル・グラシリス(Conchoraptor gracilis)  
  
みたいな、せいぜい1、2m代のサイズなんだけれど…。
異常な大きさである。
CTスキャンなどによると、竜脚類(Sauropoda)ともよく似た海綿状構造が脊椎にあり、かなり体重を軽くしていたらしいが。
しかしこの大きさでありながらも、ちゃんと右側の写真では、非常に鳥に似た胸骨(sternum)を見ることができる。
竜骨突起(keel)まで復元されているのは感動ものだが、ここの部位は発掘済みなのかな?


デイノケイルス・ミリフィクス(Deinocheirus mirificus)
  
ご存じ、1960年代に見つかって以来謎のままの巨大オルニトミムス類。
長さ約2.5mの両前足&肩甲骨(scapula),烏口骨(coracoid)のみが発見されているが、
オルニトミムス属(Ornithomimus)がせいぜい全長3.5mそこそこなのを考えれば、
俄かに信じがたい大きさだ。
もっともテリズィノサウルス類(Therizinosauridae)のような印象も受けるが…
それにしてはディノケイルスの方はテリズィノサウルス類に比べて細く、末節骨も短い。
ただ、個人的に、具体的に記述できないが、
肩甲骨-烏口骨の印象がどことなくテリズィノサウルスを想起させるような気もする…。
いつかのブルハスカヨサウルス(Bruhathkayosaurus matleyi)みたいなオチにはならないで欲しいなぁ(笑)。



タンバリュウ 。

ティタノサウルス類(Titanosauridae)なのは間違いなさそうですが、未記載につき何とも…。
 
コイツに関しては、関西に引っ越した手前、
兵庫県立人と自然の博物館に行ったときにでもまた書きましょう。





続きます― 


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4 Comments

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Unknown (Tak)
2009-08-08 12:25:29
こんにちは。
TBありがとうございました。

恐竜展と名のつくものに
久々に出かけ大変驚き
感動してしまいました。

研究その他格段に進歩していますね。
返信する
ありがとうございます (LOKI:(fantasia*diapsida))
2009-08-08 16:51:00
こちらこそコメントありがとうございます。

私はさすがにマニアなので(笑)、
(一応脊椎動物進化の専門ですが)
毎回足を運んでいますが、
それにしても今回は最高だったと思います。

研究面でも、比較的若手がクローズアップされる面白い恐竜博でしたね。
古生物研究は、現生生物学などとも同調して、
それこそ日進月歩の勢いで変革していきますから、
追いつくのは大変ですよ(汗)
返信する
Unknown (ゆー)
2009-09-12 00:55:36
コメントさせていただくのが遅くなりましたー。
幕張の恐竜展、当初は苦戦してたようですが、
結構な集客があったようですねー。
スピノ亜成体をはじめとして、見所っていうか
メダマ展示的なのも多かったですし。
しかしギガントラプトルさんを見たときには、
確かに笑いました。笑うしかないですよねアレ。
返信する
逆に (LOKI:(fantasia*diapsida))
2009-09-12 23:05:11
目玉となるような標本が複数あったので、
「コレ!」というインパクトある宣伝をしにくかったのかなぁとも感じましたね。
だったからか(苦笑)、内容は期待以上だったけれど♪
ギガントさんは…見れば見るほど疑ってしまう(笑)。
この異様な感じってなんだろう??
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