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インモータルズ(2011) ★ターセム・シンと石岡瑛子の世界観が炸裂、EVA好きの人は好きかも★

2016年03月21日 | 映画・ドラマ
 Fav監督、ターセム・シンの作品。『ザ・セル』(2000)、『落下の王国』(2006)に続く3作品目の視聴。
 以前、My Blogでも『落下の王国』を2回に渡って紹介しましたが、ターセム監督は、映像の魔術師とも言われ確固たる独自の映像美と世界観を持っている監督です。
 『ザ・セル』では人間の精神世界をこれまで見たことのないような世界観で表現した。
 『落下の王国』では母国・インドを中心とした世界遺産をロケ地にこれまた素晴らしい世界観を描いた。
 今作は、『落下の王国』から5年を経ての監督作品。けっこう間が空いてる。なんでメガホンとらしてもらえないのかな??
 ずっと見たかったのですが、やっと見れました。
 今回、Fav監督のターセムなのになかなか作品に手がつけれなかった理由が、この作品の題材がギリシア神話で、人間が誕生する遥か昔の“光”と“闇”の神々の戦いを描いたというのがなんか惹かれなかった。サブタイトルの-神々の戦い-というのも安直で陳腐に思えて。このサブタイトルがもう少しセンスがあればもっと早く見てた気がする。
 ターセム監督のメジャー作品はまだ2作品しか見ていないですが、これまでになかったアクション、スペクタルの要素も入っている。
 この辺は、『300』(スリーハンドレッド)の制作チームがサポートしているようですが、見事に融合していると思います。
 そして、ターセム作品に欠かせないのが衣装デザインを担当した石岡瑛子女史。残念ながら2012年、73歳の若さで逝去されています。NEWSで知ったとき、驚きショックも受けた。
 石岡女史は、日本が世界に誇るデザイナー。92年のフランシスコ・コッポラ監督の『ドラキュラ』ではアカデミー賞衣装デザイン賞を受賞。
 グラミー賞も受賞している。グラミーの中に、アルバム・パッケージ部門というのがあるのも知らなかったですが、86年にあのマイルス・デイヴィスの『TUTU』のアートディレクターを務め見事に受賞。
 

 音楽面でも、最優秀Jazzソリスト受賞作品としてグラミーも受賞している作品ですが(聞いたことないけど)、「あ~このジャケ見たことある」って思いました。
 北京オリンピックの衣装も担当した。あの開会式は相当素晴らしかった。アカデミー賞とグラミーの両方受賞している日本人って他にいるのかな???
 石岡氏自身も、自分を起用するのはある意味リスキーだという事をご自身で言われています。そのデザインは、圧倒的なCreativeさをほこりますが、それが強烈しすぎて作品から浮いてしまう怖さがあると。しかし、『イモータルズ』でもターセム氏と石岡氏の相性は抜群です。

 

 この誰にも真似できないCreativeさは何?素晴らしすぎます。
 この作品のイントロから石岡ワールドとターセムワールドが炸裂しています。
 石岡女史は、ターセム監督からオファーが来たとき、ギャラのことは二の次で彼の熱意に共鳴してオファーを受けたといいます。亡くなられましたが、石岡女史の素晴らしさはターセム作品の中で見ることができ、その世界感は今後も評価され続けるでしょう。
 そして、ターセム作品のもう一つの要素として、残虐さがあります。
 『落下の王国』はその要素はありませんでしたが、『ザ・セル』と今作『インモータルズ』もR15指定を受けています。
 残虐さの狂気の中に芸術性を表現しようとしているのか。この辺を、庵野監督のエヴァンゲリヲンにも感じてしまうおれ。
 今回、R15指定を受けた要素の一つに、古代ギリシアで設計されたという史上最も残酷な処刑(拷問)装置と言われているらしい〝ファラリスの牡牛″もあると思います。



 物語の中でも、この真鍮製の牛が出てきて、兵士が水をかけて湯気があがっているシーンの意味がわからなかったのですが、その理由に衝撃を受けました。
 あと、主人公のテセウス演じるヘンリー・カヴィル(この後スーパーマンも演じる)の前に圧倒的な存在感で立ちはだかるのがミッキー・ローク演じる残虐王ハイペリオン。

 

 ま~残虐です。これがあの『ナインハーフ』のミッキー・ロークか。あの猫パンチ(爆)のミッキー・ロークなのかって。ミッキー・ロークの演技力も相当なもの。これもこの作品の魅力の一つ。
 物語の大筋は、人間が誕生する遥か昔、不老不死の者達が天国で互いに敵対し戦っていた。勝利者達は自らを光の神と呼び、敗者となったタイタン族は闇の神としてタルタロス山の下に封印されたというもの。この戦争中、計り知れない力を持つエピロスの弓が地球上でなくなる。このエピロスの弓(←この辺もエヴァっぽい)は、封印されたタイタン族を解放する力も持っているという。
 時は流れ、古代ギリシアの時代。邪悪な王ハイペリオンは、神に助けを請うも苦しみ亡くなった妻子(この辺は深く描かれていない)の恨みを晴らすべくこのエピロスの弓を探しているわけである。
 エピロスの弓を探すべく、未来を見ることができる巫女を探してあちこちの神殿を訪れて残虐非道を繰り返す。
 神官を火炙りにしたり、配下の兵士も両目に親指を突き刺して惨死させたり、前述の〝ファラリスの牡牛″も登場。えぐいです。でも時には芸術的にその狂気を表現するのがターセム・シン監督なのです。
 この作品のもう一つの魅力は神の降臨です。



 これまた石岡瑛子女史デザインの金色の鎧をまとっての登場はかっこいいです。
 ほんとに〝降臨″って感じで天上から「ズド~ン」って感じで地上に降り立ちます。
 解放されてしまったタイタン族を前に、ゼウスが「ここからは我々の戦いだ」というセリフのかっこいい事。
 人間の姿をしていますがふつうに神様なのです。ま~神話では神様は自分の姿を似せて人間をお作りになったという事ですから。
 神の王ゼウスは、人間の信仰心を重視すべく人間界に干渉しないよう他の神々にも伝えていますが、ゼウスの目を盗んで、ポセイドンや他の神が人間を助けます。
(そうはいってもゼウスって全知全能の神だからばれないの?とか思っちゃうんだけど)
 その時の戦闘シーンが、300チームの主導によるものかと。スピード映像とスーパースローモーションの融合での、人間を倒していくシーンは衝撃です。石ノ森章太郎の009作品の、009の加速装置のようです。相手の内蔵が飛び出たり、首が飛んでいったり、肉片となったりと残虐な描写ですが、爽快で美しさも感じてしまうのです。不思議な感覚です。
 戦闘シーンの残虐さはEvaにも通じる。
 対比として、人間同士の戦いも描かれますが、こちらは肉弾戦で血みどろの戦いです。
 この作品は、ターセム作品にはちょっと縁がなかったスペクタル感もありエンターテイメント性も高いと思います。
 石岡瑛子女史は、この後、2013年もう一作品ターセム監督と作品を作り上げています。

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 ジュリア・ロバーツ主演の白雪姫を題材にしたこの作品は、またアカデミー賞の衣装デザイン部門にノミネートされます。そして、この作品が石岡瑛子の遺作となりました。またまた白雪姫という素材で避けてしまった感もありますが、見たら魅了されるのは間違いないと思いました。
 今後、ターセム・シン監督作品に、石岡瑛子ワールドが加わらないのは残念ですが、ターセム監督と作り上げた4作品は石岡瑛子女史の衣装だけ見るのも十分価値があると思える作品群です。
 しかし、もちろんターセムワールドも素晴らしいわけで、今後もターセム作品楽しみにしている私です。

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