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Banno Yoshihiko , Work in progress!

「わたしは真悟」を読んで考えた

2008年05月06日 | Weblog
忙しい時に二階へ行ってはいけない。二階には本とか漫画とかとにかく書籍類をおいてあるのだが、ついふらふらと入ってしまったため楳図かずおの「わたしは真悟」を全巻読まなくてはならなくなってしまったのだ。別に絶対読まなければならない用事があったわけでなないのだが、チラリと手にとってめくってしまったため「ここでやめられるか」となってしまい結局最後まで読んでしまった。
雑誌連載中に読んだ「東京タワー」の場面は衝撃だった。立ち読みしていたのだが、いまだにその読んだ店、時間帯、周囲の風景を記憶しているぐらいなのだ。「わたしは真悟」というのは鬼才、天才、楳図かずおの最高傑作だと思うのだが意外と知られていないような感じだ。漫画でいえばもう少し後に発表された大友克洋の「童夢」「アキラ」のほうが圧倒的に知名度がある。しかし「アキラ」は「わたしは真悟」のぶっ飛んだ世界観がなければ作品としてまとめられなかったのではないかと思う。これは僕だけの意見ではなく、当時「アキラ」を読んでいた友人たちは「空母と同期しちゃうのって、あれって真悟だよね」「あ、俺もそう思った」と盛り上がっていたのだ。

ちょっと話はそれるが、作品というのはとにかくリアルタイムに接するのが一番だ。ビートルズは世代を超えて支持されるが、やっぱり後から知った僕らとは比べ物にならない感動をリアルタイムに聴いてきた人は味わっているはずだ。確かに後から総括的に接すれば情報も多いし、統計だって知ることが出来る。しかし絶対になにかが欠落してしまう。生演奏がMP-3のようになってしまうのだ。僕らの世代はインベーダーゲーム、YMO、武満、ケージ、そして「わたしは真悟」の等の新作を言葉では言い表せない高揚感を持って出会った。本当に幸せだったと思う。

あ、誤解を受けそうなので、書いておきますが、僕が言いたいのは「どうだ、いいだろう」という自慢話では断じてありませんよ。今作られている作品や文化を知るという事はどんなに素晴らしい事かという意味なのであります。

蛇足ではありますがリアルタイムで読めたことを幸せに感じる漫画は
楳図かずお「わたしは真悟」
大友克洋「童夢」
萩尾望都「マージナル」
かなぁ。考えればもっとありそうですがふと思いつくのはこれぐらい。


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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (うき)
2008-05-08 23:50:33
リアルタイムだと、その時代の熱気というか、空気感というか、そういうモロモロも一緒に感じているんですよね。

僕は、YMOなんかも当時ひと通りは聴いたものの、そんなに熱狂したわけでもなく、あとになってから、その凄さや意味がわかってくる、というウスボンクラでありました。けど、その時代の作品群と感触を知っているということ、あるいは、それ以外の時代は知らないのだということが、自分を作っていると思うと、やはりいとおしいものであります。
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そう (banno)
2008-05-09 08:35:22
さすが的確ですね。それ以外の時代は知らないっていうのも良い事かも。ジェネレーションギャップって重要だと思うのですよ。あれがあるから世代間の活性化(って変な表現ですが)が生まれるし、それがたとえ軋轢であっても画一的なものよりはうんと良いと思っているのです。
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