カラーチェという作曲家、というより演奏家はマンドリンという楽器に関わらないとたぶん一生聞かない名前だとおもう。この人はひたすら自己の楽器演奏に固執した音楽家でマンドリン以外はまったく興味なしという心意気がひしひしと伝わる、ある意味かわった楽曲を数多く残している。今回マンドリンの独奏曲を作るという事ではどうしてもはずせない名前でありました。
さて、今回とりかかっているこの作品の事を少し。
マンドリン奏者の人に「マンドリンを弾く人が絶対知っていて、しかも演奏したことのある楽曲ってなんですか?」と質問したところ「ムニエルの20番というエチュードですよ」という返事が返ってきた。楽譜を見せてもらう。う=ん。ほんとうにメカニカルなエチュードである。音の運びはハノンに、にてはいるが、ハノンがそこはかとなくミニマルやコンテンポラリーを思わせる楽曲であるのに対し、ムニエルは感情が沸き起こる前に弾き終わってしまうような、はなはだクールな(?)音楽である。それに、ひたすら左手の型にこだわる雰囲気もある。あ、これってどこかで見たな、と思った。そうだ、ちょっと日本のお琴の習得方法にも似ているのだ。もちろん、お琴の習得に使う楽曲はもっと情感豊かなものが多いが、こと手の運びに関してはとてもメカニカルな発想が基盤になっている。ふうむ。20番って、じっくり見ればみるほど、面白い音楽じゃないか。というわけで、ムニエルの20番というエチュード、カラーチェのオタク度、そして「型」という考え方を足し、いろいろ試行錯誤しているのが「ハイパーカラーチェ」である。
半分ぐらい進んでこれからヤマ場である。いやぁ、やっぱり作曲は楽しいなぁ!