ばらくてブログ――おうたのかいオブさんのおおばらブログ――

おうたのかい作曲・歌唱担当オブさんが、日々のあれこれをてきとうに綴る、まとまりもとりとめもないいかがわ日記

シロウト考え休むに似たり(4)お金持ちのための税制を提案しちゃったりする

2015-12-12 19:47:38 | Weblog
 皆さん、最近、お金持ちがケチくさくなってると思いません? お金持ちというのは、紀伊国屋文左衛門の例を挙げるまでもなく、たんまり稼いだ金をたっぷり無駄遣いしてくれることにより、シモジモにも金を回してくれる、という存在であったはずですよね。お金持ちの重要な「任務」は、そのお金をきちんと使うことで社会に金を回すことであり、それこそお金持ちの社会的責任である、とどなたかがおっしゃっていた気もします。これこそまさに「トリクルダウン」ですな。

今の日本のお金持ちは、さもしくなっているので

 ところが、最近のお金持ちの皆さんはどうでしょう。銀行預金や株券などでため込むばかりで、ちっともシャバに金を回してくれません。バブルのころ、どこかの大手製紙会社の経営者が、世界的名画を買い集め、自分が死ぬときに際して「所蔵している名画を自分の棺桶に入れて一緒に焼いてくれ」とか言ったそうですが、この人なんかはダメなお金持ちの典型といってもよいでしょう。今だって、赤字続きで、社員の大量首切りなんかやらかす大手メーカーの経営者が億単位の報酬をもらっているとかいう例もあります。はっきり言って、今の日本は、お金持ちがさもしくなっている、という気がしてなりません。まあ、過去の文献とかを調べて言っているわけではないので、ひょっとすると昔も今も、お金持ちのありようはそんなに変わってはいないのかもしれませんが。
 しかし、自らはべらぼうな高給を手にし、会社は内部留保をため込みながら、その会社の労働者の賃金は抑制し、さらに、非正規従業員としてはたらく人びとの賃金は、それだけではまともな生活ができない低水準のままにしておく、という現状を見ていると、全く日本の金持ち連中はダメダメだなあと言わざるを得ない、というのが私の率直な思いです。

消費税を上げるのなら、所得税の累進率も強化すべきでは

 来年には消費税が10%に上がるそうです(2019年5月現在、消費税はまだ8%ですが、秋には予定通り上げる、とアベソーリは言っています。しかし、識者の一部からは「消費税は絶対に上げられない。アベソーリは必ず消費税増税延期を言い出す」という意見も上がっています)。まあ、欧州先進国の多くは、日本よりはるかに高率の消費税率ですし、10%になってしまうのがけしからん、と単純にいうつもりはありません。租税収入減少の折、多少なりとも税収を上げなければ、国や地方自治体の財政はますます厳しくなるばかりですから、一定程度の負担増はやむを得ない、とは思います(今はちょっと意見が変わり、現状の国民の生活実態を考えれば、消費税は上げてはいけない、いっそ下げてもいいくらいだ、と思っております)
 ただ、それなら、所得税や住民税の累進率も同時に強化すべきではないでしょうか。稼いでいる人から取るのが税金の基本。1974年までの所得税と住民税を合わせた最高税率は、なんと93%でした。もちろん年収ン千万~ン億という人が対象で、節税対策もやっていたでしょうし、一定の賦課制限もありましたから、7%しか手許に残らない、ということではなかったようですが、それにしてもすごい税率です。なにもそこまで極端な税率にしろとは言いませんが、年収5000万円を超えるような高額所得者の税率は、75%くらいであってもよいのでは、と思うのです。

お金持ちがお金持ちらしくあるために、新たな「控除」を提案します

 とはいえ、せっかく稼いだお金を(ここでは、稼ぎ方については問いません。まあ、普通の勤め人では、そういうお金持ちにはなれないとは思いますが)、みすみす税金として巻き上げられる、というのは確かに気分が良くないことでしょう。そこで私は、そういうお金持ちがいかにもお金持ちらしくいられる、しかも多くの人々のシアワセにも貢献でき、評判も上がるという仕組みを提案したいと思います。
 それは、「一般消費控除」。早い話が、無駄遣いした分を控除する、という仕組みです。累進課税を強化する代わりに、実体経済を動かす商品の購入や、いかにも資産形成と関係ない支出(生活必需品や外食代や服飾費、金銀パールなどの宝飾品(これは、そのまま資産としてカウントされる可能性が高い物品なので、控除からは外すなり控除率を下げるなりした方がいいかもしれない、と今は思っています)、家電製品や自動車などの耐久消費財(自動車も、外国の超高級車は資産として扱われるようなものもありますから、単純に控除対象とするのは止めた方がいいかな、と今は思っています)競馬競輪競艇オートレースなどの公営ギャンブル支出、福祉・医療施設や自然環境保全活動、各種文化活動などのNPOへの寄付など)をした場合、その支出は所得から控除し、所得税・住民税は、その残額にかける、ということにするのです。こうすれば、お金は税金で持っていかれるより使った方がまし、ということになりますから、お金持ちはお金持ちらしく、あらゆる場面で大盤振る舞いすることになり、シモジモまでお金が回り、経済は活性化し、そして、お金持ちの皆さんは世間の人々から大変ありがたがられる存在となる、ということになるのではないでしょうか。

でも、株式・債券・不動産はダメ。「節税」は脱税として扱う

 ただし、実体経済を動かさない、「お金持ち界」でしか金が回らない株式や債券の購入については控除を認めない、不動産についても、実際に自分や家族が居住するのではなく、投資の一環として購入される分は控除対象から外す、ということにしないといけません。国民の生活・経済実態から乖離した、わけのわからない「バブル」経済は、そういうところから始まっていますから。また、アヤシイ「節税」に対しては、徴税当局は脱税を疑い、厳しい態度で臨まなければならないのは当然です。

貯め込んだ金はまさに「死に金」

 この控除システムは、もちろん全国民が使えることになりますが、そもそも課税率の低い、または課税所得以下の低所得者にとってはほとんど意味がありませんから、これはあくまで、お金持ちから「死に金」を社会に放出してもらうための手段です。国や地方自治体は、直接税の税収が減るから困るのでは? という意見もおありでしょうが、そもそもお金持ちは、ここ30年ほどで税率も下がりましたし(今は所得税・住民税合わせて55%だそうです)、しかも、節税対策もばっちり行っている人ばかりですから、もともとそんなに払っているわけではないと思いますよ(源泉徴収のあるサラリーマンなら別ですが、そんな高給取りサラリーマンはほとんどいません)。だったら、市中に金を回し、法人税や消費税で回収することができるこの控除は、結構「あり」なのではないか、と思うのです。

 しかしまあ、こんな税制、世襲政治家をはじめとする、そもそも「お金持ち界」の人々が多数を占める国会で、通るわけはないか。制度設計も実はかなり難しそうだし。やっぱり「シロウト考え休むに似たり」だな、こりゃ。