残照日記

晩節を孤芳に生きる。

大阪ダブル選

2011-11-28 16:39:31 | 日記
≪<大阪ダブル選>維新が大阪を席巻 改革に府民熱いまなざし──27日に投開票された大阪府知事・大阪市長のダブル選は、既存政党の包囲網をものともせず、市長選で大阪維新の会代表の橋下徹さん(42)、知事選で同幹事長の松井一郎さん(47)が圧勝した。都構想を欧州の市民革命や明治維新に匹敵する大事業と位置づけて「大阪を変えよう」と訴え続けた橋下さん。主要選挙での「不敗神話」を引っ提げ、国政進出を見据える。2人が改革の両輪として大阪をどう動かすのか。そして、中央への波及は。記者会見は3時間におよび、府民は期待と一抹の不安を抱きながら、熱いまなざしを送った。…圧勝の要因を問われると、橋下さんは「既存政党への不信感でしょう。政策、理念を完全に放棄しているのが伝わった。それを有権者に見抜かれたのでは」と分析。「都構想が信任されたということ。4年間で移行できるよう法改正を迫る」と宣言し、高投票率を聞いて「60(%)いきましたか。非常にありがたい」と喜んだ。≫(11/28 毎日新聞)

∇下馬評を超える「大阪維新の会」の圧勝だった。そして、今回6大紙の主張は、まるで申し合わせたかの如く、異口同音なる「似たもの」論調だった。各紙の社説「見出し」は次の通り。≪大阪ダブル選挙 既成政党圧した橋下流≫(毎日)≪橋下氏勝利 変化求めた期待に応えよ≫(産経)≪大阪維新勝利―おごらず対話と協調を≫(朝日)≪大阪の選択 独裁者になっては困る≫(東京)≪「大阪都構想」の前にまずやるべきことは≫(日経)≪大阪ダブル選 「都構想」への関門はなお多い≫(読売)──各紙を切り貼りしてまとめておこう。先ず、≪有権者は、経済が沈滞し閉塞感の強い大阪の現状打破を橋下氏の行動力に託したといえる。 維新の公約は都構想と、教員や公務員の規律などを定める教育・職員の両基本条例、原発依存度の低下の4本柱だ。…橋下氏の個性とアピール力、激しい論戦が、高い投票率につながった。≫(朝日)≪巧みな弁舌を武器に、…有権者は橋本氏らの強い指導力に市政、府政を託したといえる。≫(日経)≪ダブル選を仕掛けた橋下氏の戦略が成功した≫(読売)。但し、≪「市役所をぶっ壊す」と公言する橋下氏には市職員の反発も大きい。一部から「独裁者」と批判されたように、橋下氏の政治手法は強引さが目立つ。≫(産経)

∇問題は維新の会は府議会では過半数を占めているが、市議会は第一等ながら過半数に満たないことだ。≪早速直面するのは、維新が過半数を持たない市議会対策だ。議会リコールと住民投票を仕掛ければ、またぞろ“橋下劇場”が続く。荒っぽい手法は民主主義の本質から離れる。≫(東京)≪市議会で維新は過半数をにぎっておらず、対話と協調はいやでも政策決定の前提となる。≫(朝日)≪大阪、堺両市議会では既成政党が過半数を占めており、どう協力を取り付けていくのかが課題となる。≫(毎日)≪とくに大阪市議会は維新の会が第一党とはいえ過半数に達しておらず、激しい抵抗が予想される。≫(産経)。そして、「都構想」だ。≪都構想については、選挙戦で論議が深まったとは言い難い。橋下氏は区割りや財政調整などの具体論には踏み込まず、焦点がぼけた印象はぬぐえない。 ≫(朝日)≪大阪では今後、都構想の実現に向けた動きが加速する。具体的な区割りや税財源などの案を明らかにし、そのメリットを有権者に十分説明する必要がある。…とりわけ難しいのは、都制度移行手続きのための法整備だろう。統治機構や自治のあり方の大きな見直しにつながるからだ。≫(読売)

∇それにしても≪有権者は既成政党にノーを突き付けた形となった。既成政党はこの結果を深刻に受け止めなければならない。≫(毎日)。その通りだ。≪大阪の選択は、無策の民主党政権への地方からの厳しい批判でもある。今回の府、市ダブル選では既成政党が相乗りした候補がどちらも敗れた。とりわけ候補擁立を主導した民主党は選挙結果を真摯に受け止め、猛省すべきだ。≫(産経)。そして、≪橋下流の是非はともかく、永田町や霞が関の主導では、自治を強くする地域主権はもはや進まないと国民は考えだしている。中京都や新潟州の構想をはじめ、政令市を道府県から独立させる特別自治市の研究も始まっている。地方が国を動かす先例として、大阪から当分、目が離せない。≫(東京)。尚、≪脱原発へ向けた新たな施策を示すことができるか、注目される。大阪市は関西電力の筆頭株主。橋下氏は株主提案権を行使し発送電分離で新規参入を促したいという。手腕が問われる。≫(朝日)。最後に、≪大阪が抱える問題は深刻だ。経済の低迷や生活保護受給者増など、組織改革だけでは解決できない課題も多い。公約した公務員制度改革の真価も問われる。府と市に基盤を築いた橋下氏がどう動くか。「体制維新」の具体的な成果を出してもらいたい。≫(読売)──老生のつぶやき。「圧勝の後には、いつもスキャンダルと失望による支持率の大暴落が待ち受けている」。