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うちらのひとりごと。

酒と映画をこよなく愛する、多趣味な男(ことら)ときまぐれ女(こじか)のブログです。

ボーン・アルティメイタム

2007-11-24 00:57:46 | 映画
※当ブログは基本的にネタバレありで書いてるので注意してください。



「ジェイソン・ボーン シリーズ」完結編「ボーン・アルティメイタム」です。
やっと観てきました~。
結論から言うなら、「かなり面白かった!」です。
ブラッド・ダイヤモンド」以来の、”観なきゃ損するハリウッド映画”だったんじゃないかと。
もちろん、こちらは3作目なので、前作もある程度知ってないと充分には楽しめないんだけども…。
でも、3部作の中では一番出来がいいんじゃないかな…?
なんかね、非常に”深い”んですよ。
アクション映画なんだけど、ただのアクション映画じゃない。
ジェイソン・ボーンの自分探しの旅を通じて、色々こちらも考えさせられる…というと大げさだけど、それくらい人間ドラマでもあるんです。


物語は前作「ボーン・スプレマシー」の直後から始まります。
正確には、「スプレマシー」のラストちょっと前から。
モスクワでのネスキーの娘へのお詫び後、パメラ・ランディに連絡するまでの空白の時間と、その後の、ボーンの自分探しの旅が終結するまでが描かれています。

…いや、正直この空白の時間に、こんなに凄まじい戦いが行われてたとは思いもしなかったよ。
なにしろ「スプレマシー」の時は、パメラに電話するシーンが唯一息の抜けるシーンだと思ってたんだから…。
あの時は、全てが終わって、なにげにボーンが連絡取っただけって感じだった。
今回は、モスクワからの逃走があって、「トレッドストーン計画」が表沙汰になりかけて、それがボーンの仕業と思われて~…というくだりがあるから、パメラに連絡するシーンですら、ものすごい緊迫感。
この時、パメラはボーンの肩を持ってたから、CIA内での立場が怪しくなってて、パメラ自身も危険な状況。
これって「インファナル・アフェア」のステレオの話に通じるモノがあるなと思ったんですよね。
…作品またいでるから、ちょっと違うんだけどさ。。
でも、最初ほんわかしてたハズのシーンが、一転、緊張感みなぎるシーンに変わるという意味では一緒かな…なんて。

なんだかね、全体の雰囲気が「インファナル・アフェア」に近いと感じたんです。
話の進め方とか、伏線の張り方、見せ方、全編にわたって緊張感がある等々。
あ、ビルの屋上もね。
ここ最近にしては珍しい”2時間以内”の映画なんだけど、良い意味ですごく長く感じる2時間です。
これも「インファナル」と同じ。
それだけ密度が濃いって事なんでしょう。
相当数のシーンをカットして2時間に収めてるんだろな。
最近3時間が流行りみたいだけど、無駄なシーンが相当多いと思うんだよね…。
そういうトコをスパッとカットして2時間に収めた方が、遙かにいい映画になるよね。
そうしたら良かったのに~と思う映画がいっぱい頭に浮かぶ。。


スリルの加減もちょうどよかった。
前2作でCIAの連絡員だったニッキーがボーンに協力したことで、今度はCIAの暗殺者から狙われることになった。
モロッコの街を逃げ回るものの、確実に追い詰められていく。
それに気付いたボーン。
自らも警官隊に追われてるにも関わらず、ニッキーを救う為に懸命に後を追う。
このシーンの見せ方が絶妙。
ニッキーが追い込まれていって、観てる側がたまらなくなった位のところで、スパッとボーン側にシーンが切り替わって、ちょっと一息させてくれる。
この後大乱闘なんだけど、ここのカメラワークも凄かったな…。

名物のカーチェイスは健在でした。
今回はパトカーを奪って。
あ、その前にアウディでもやってたわ。
もぉ、過去2作を遙かに上回る迫力!
つーか、相当数のカメラ潰してるだろ。これ。
カメラワークが凄すぎて、何をやってるのか分からないところが何カ所か…。

こういう映画って血生臭いイメージがあるでしょ。
実際、血のシーンは多いけど…。
でも冷静に振り返ると、ボーンは、自分を殺す気で向かってきた相手以外は殺してないのよね。(過去はともかく)
…その分、相当数を病院送りにしてるとは思うが…。
「アルティメイタム」では、その追っ手ですら、最後は殺しません。
それどころか相手を諭す。
「何故俺を殺さなかった?」
「君は何故俺を殺す?」
「…」
「自分を見てみろ。人間と言えるか?」
自分探しの旅にケリが付いて、何か悟ったんだろね。
故に、追っ手の姿が過去の自分に重なって、いたたまれなくなる…。
何かを感じた追っ手も引き金は引かず、ボーンを見逃します。
彼は今後どんな行動を取るだろう…。

この後、ボーンは10階建てのビルの屋上から、横を流れる河へダイブします。
この時に狙撃され、しばらくの間、プカプカ浮かぶシーンが続くんだけど…
これは完全に「ボーン・アイデンティティー」の冒頭のシーンのオマージュだね。

あまりに動かないんで「え?撃たれてもた?」と思うんだけど、その後意識を取り戻して川底へ消えていきます。
TVニュースを見てるニッキー。
「ジェイソン・ボーンの遺体は3日経った今も発見されていません。」
この言葉にニコリとするニッキー。ボーンの生存を確信したんだね。

ニッキーとの会話で「俺が殺した人の関係者に謝りたい。謝ってどうなるものでもないが。」と語ってたボーン。
彼は今も贖罪の旅を続けてるんだろか…。






実はもうひとつ「インファナル・アフェア」っぽいと思ったところが。
「ボーン・シリーズ」のエンディングテーマ「EXTREME WAYS」。
今回はこの曲に対訳が付いてます。
香港映画では大抵付いてるんで、余計に「インファナルっぽい。」と思いましたね。
で、この歌って、まさにボーンのことを歌ってる歌なのね。
感心しながら対訳読んでたら
「ベイベー ベイベー」
こらっ戸田奈津子。
こんなもんまで訳さんでいいっ。

ボーン・スプレマシー

2007-11-21 00:03:18 | 映画


「ジェイソン・ボーン シリーズ」第2弾「ボーン・スプレマシー」です。
前作は右も左も分からない暗殺者だったけど、今回は、少なくとも「俺はプロだ」と自覚してるところが見受けられます。
そして、思い出せない過去に苦しめられてる。
ずいぶん悩み深くなったなぁ…。

でも、究極の人間兵器振りは相変わらず。
危険察知能力も凄い。
危機は察知したものの、最愛のマリーは犠牲に…。
冒頭、すぐにお亡くなりになるんで「おいおい。ちょっと早過ぎませんか??」と思ったものでした。
でも、これが復讐の旅のきっかけと考えるなら、この早さはやむなしか…。


ちなみに、このDVDも「ボーン・アイデンティティー」と同じく、再生すると、まず言語の選択があります。今回はハングルが加わった3言語。
「もう騙されないぞ。」とEnglish選ぶも、その後普通にメニュー画面に。
なんだよ。言語選んだじゃないかよー。そのまま再生してくれよー。
…思うに、前作で結構苦情が来たんじゃないだろか?
それで急遽、プログラムを作り直したんじゃないかねぇ??

…ちなみにこの作品は、2人揃って劇場でちゃんと観ましたよ。あしからず。


今回のボーンは、恋人殺され、命は狙われ、濡れ衣着せられと、踏んだり蹴ったりです。ちょっと気の毒。
CIAってこんなにドロドロしてるんですか??…って、「グッド・シェパード」もドロドロだったなぁ…。

もともとはマリーの復讐の旅。
ところが道中で昔の記憶を一部取り戻し、復讐の旅から贖罪の旅へと変わります。
ずいぶん人間らしくなったもんだ。。
しかも、前作ではほぼ不死身だったけど、今回はボロボロになります。
逃走途中で足を痛め、背後からは撃たれ…。
そのボロボロぶりがボーンの孤独感に拍車を掛けて、なんとももの悲しいです。

自分が殺した夫妻の子供に謝るためだけに、危険を犯してモスクワまで行くのは、やっぱマリーを殺されたことが大きいんだろね。
その行動力にも驚嘆するけど…

凄まじいカーチェイスは健在です。
前回ではミニクーパーが走り回ったけど、今回はそこらのタクシー。
初め綺麗だったタクシーが、ポンコツ寸前までボロボロになっていく様は、ある意味非現実的で、なんかのゲームみたい。
「ボーン・アルティメイタム」でもカーチェイスはあるんだろうか…?

仇敵と思われたパメラ・ランディが、ラストではボーンの理解者になったところが、今作唯一の息を抜けるシーンじゃないかな??
本名・出身地・生年月日を伝え、食事に誘うも「少し休め。顔が疲れてる。」とボーン流の労りには( ̄ー ̄)ニヤリとさせられます。
常に相手の見えるところにボーンは居るっていう事も示すシーンであり、こっそりボーンの能力も見せてるのよね。

マット・デイモンの新境地を切り開いた「ジェイソン・ボーン シリーズ」。
その完結編「ボーン・アルティメイタム」に期待してる今日この頃です。
…期待していいよね??

ボーン・アイデンティティー

2007-11-20 00:04:29 | 映画


マット・デイモン主演のCIA連作第2弾「ボーン・アルティメイタム」公開記念で予習しました、「ジェイソン・ボーン シリーズ」第1弾「ボーン・アイデンティティー」です。
この作品は、こじかは劇場で観たんだけど、ことらは後日DVDで。
マット・デイモンといえば、それまでは「知的で、ちょっと陰のある」という役が多かったのが、「ボーン」で新境地開拓。
アクションに挑戦ということで、当時の前評判では「ミスキャストでは?」と、ずいぶん話題になったようです。
もっとも、そんな雑音をあっさり覆したのは、今更言うまでもないですね。
マット・デイモンという役者の懐の深さを見せつけたと言えるね~。
とはいえ、「ブラザーズ・グリム」は大失敗だったと思うけども…。

「ボーン・アイデンティティー」のDVDでは、未だにネタにしている忘れられない出来事が。
とにかくこのディスクはメニューが分かりづらいんです。
再生すると、いきなり「日本語/English」と選択画面が出てくる。
「字幕のことか?」と思い「日本語」を選択して再生。
すると、ほどなくして
「僕に何をしたー!!」
と日本語で叫ばれたんですよねー。
うちでは、日本語吹き替えは気持ち悪くて仕方ないってことで御法度なんですよ。
泡喰って言語設定して、最初から見直しましたよ…。


記憶を無くした一人の男。
自分の名前も何者かも分からないものの、無意識に取る行動は超人的であり、それがますます彼を悩ませます。
2人の警官に取り押さえられそうになったものの、瞬時に打ち倒す。
建物に入れば、即逃走ルートを考え、フロアに居る者の顔はすべて覚え、それぞれが何者かも瞬時で判断する。
その状況で自分がどんな行動を取れるかもすぐに理解する。
状況に応じた最適な行動を導き出せる。
それでも、自分が何者なのかはさっぱり分からない…。

正直、自分で自分が気味悪いだろね。

終盤、ボーンは米国政府が3000万ドル掛けて育て上げた人間兵器だと明かされます。
自分が何者か分からず、自分を追ってくる得体の知れない相手から逃げるんだけど、それはそれ。それだけのポテンシャルを持った人間兵器振りは随所で発揮されます。
ボーンを追う者は確実に仕留められるのよね…。

また、人間兵器と言われる身のこなしを、マット・デイモンがちゃんと演じてるところは圧巻。
彼が出演してる他の映画観てると、とてもこんなアクションできるとは思わないよね…。
格闘シーンはともかく、歩き方なんかがプロっぽいと感じました。
一番「おおっ」と思ったのは、ラストのスナイパーとの戦い。
じっと身を潜めて相手の出方をうかがうのかと思ったら、スタスタ歩いて索敵。
空中に発砲して鳥の動きなどから敵の位置を知る。
あっという間に追いつめてしまいます。
一歩間違えれば「そんなアホな。」なんだけどね。
このシーンは素直に「ボーンってすげぇ。」と思ったもんでした。

あと、やっぱラリー好きとしては、ミニクーパーの激走は見逃せません。
さすがはモンテカルロラリー優勝車と思わせる走りをたっぷり見せてくれます。
というか、これはボーンのドラテク故か。
マリーが走らせたら、おとなしいもんだったもんねぇ。
…ボーンとラリードライバー競わせたらどっちが速いだろ…って、そりゃ本職だよな。

エンディングでは「一通り落ち着いてよかったねぇ。」と思ったんだけどな…。
国家の暗部を知る人間を放っておく訳がないということで、以下次作へ…。


スパイアクションとしては、派手すぎず地味すぎないという、ちょうど良さが好きな作品です。
マット・デイモン様々かな~。

グッド・シェパード

2007-11-18 16:22:33 | 映画


マット・デイモン主演のCIA連作第1弾「グッド・シェパード」です。
予告での大人な雰囲気に「これは観なきゃ」と思ったもんでした。
かれこれ2ヶ月も映画観てなかったんで、「クワイエットルームへようこそ」と、どちらを先に観るべきか困ったんです。
こちらはかなり重たそうだったんで、ことらの鶴の一声で「クワイエット~」に決まったんだけどね。
でも、この選択は正しかった…。
もお、ある意味期待通りというか、期待した以上に重苦しいんです。
マット・デイモンの女装という、かなり珍しい姿は見れるものの、息を抜けるシーンはこれだけ。
あ、「おぉ。ボトルシップってこうやって作るのか~。」ってシーンもあるけど…。
あとは、ただただ重い。
どう重いって「そりゃあんた、家庭も崩壊するわ~」という重さ。
CIAに所属するスパイの映画ではなく、なにかも投げ打ってCIA設立に貢献した人物を描いた映画です。
それ故、仕事に全てを奪われる姿とその孤独がなんとも後味悪いのよね…。
同じCIA作品でもボーンシリーズとは対局です。

CIAの映画ってことで「ボーン」まではいかなくても、多少なりともスリリングな展開を期待してました。
「オール・ザ・キングスメン」的作品を期待したのよね。
でも実際は、ぶっちゃけると、盛り上がることがないまま終わってしまいます。
起承転結が無い…と言うと言い過ぎだけど、それくらい山場がない。(狙ったらしいが)
そして上映時間は約3時間…ちょっとなぁ~でした。
これは、うちが不勉強というのもあるかもしれませぬ。
CIA辺りのアメリカの歴史を知っていれば、もっと楽しめたのかも?

もう一つの難点は、マット・デイモンが老けないんですよ。
これはマットのせいというより、キャラ設定が問題だと思うんだけど…。
エドワードという人物の20歳くらいから始まって、50前くらいまでを描いてるんだけど、もともとがそんなに若さを感じさせるキャラじゃない。
ちょっと奥手な感じで、そんなに自己主張する人じゃない。
それがそのまま歳喰っても変わらないんで、時間の流れが分からなくなるんです。
そりゃメイクや演技では歳の流れを感じさせるようになってるんだけど…。
逆にアンジェリーナ・ジョリーはちゃんと老けてるのよねぇ。
女性の方がわかりやすいんだろか…?

観て損したって事はないんだけど、ちょっと作品の印象は薄いなぁ…。
「こんなお父さんにはなっちゃダメよ。」と、反面教師として観るといいかも??

クワイエットルームにようこそ

2007-10-29 23:13:58 | 映画
※当ブログは基本的にネタバレありで書いてるので注意してください。



舞妓Haaaan!!!」に次ぐバカ映画第2弾と思って観に行きました「クワイエットルームにようこそ」。
実はこれがものすごいカンチガイで、思った以上にヘビーな映画だったんです。
「BACK TO THE FUTUREか?!」ってツッコミ入りそうだけど…
…って、分かりにくいネタやな~

この作品はこじかが見付けた映画だったんです。
監督:松尾スズキ
脚本:宮藤官九郎(←ココをことらがカンチガイ)
主演:内田有紀
助演:蒼井優
と聞いたら、即「面白そうやな~」となる訳で。
この時点では内田有紀に若干の不安はあったんだけど、観てみたら、とてもいい女優さんになってましたよ。


それにしても、ホンッとにひっさしぶりの映画鑑賞でした。
オーシャンズ13」以来なんだよねぇ~。
観に行かなかったというより、観たいと思う作品が無かったんです。
結局「魔法少年の学校の話 第5話」は第4話があまりにアレだったから観る気無くしたし、「ものすごい死に方 4.0」(と思ってた。実は「殺しても死なないヤツ 4.0」だそうで)は「予告でいいシーン全て流してねぇ??」と思うと足が遠のいてしまって…。

で、いつものMOVIX堺に行ってきたんだけど…またもや、経営が心配になるくらいガラガラ…。
まぁ、今は話題の超大作もないし、休み期間じゃないから子供映画もないし。
これがいつもの様子なんだろうなと。
温泉のおかげで、あいかわらず駐車場は一杯だったけども。

それよりショックなことが。
「俺の好きなヒッポコブラザーズはいずこへー??!!」
変にリデザインされた、カバっぽい生物のアニメに変わってました…。
しかも、前のようなマナー喚起ではなく「映画って楽しいねー」と延々歌ってるだけの変なアニメに…。
これじゃノラビッツやってるのと変わらんじゃないか。
早急に元に戻してくれ~!!
あのカバ観て和んでたんだよ~!!!


さて、まくらはこれくらいにして、
前述したとおり「脚本:宮藤官九郎」はカンチガイです。
「脚本:松尾スズキ」が正解です。
でも、前半のバカらしさや、楽屋ネタ、下ネタのオンパレードはまさにクドカン脚本で…というか、ひょっとすると、クドカンが松尾脚本に影響受けてるのか??
ただ、後半「クドカン脚本にしては、あまりに重くね?」と思って、スタッフロールしっかり観てると”カンチガイ”と判明しました…。

監督:松尾スズキの見せ方は面白いと感じました。
唐突に画面が変わり、しかも、決してその場で全てを説明しない。
ある程度過ぎてから、時間軸を戻して説明が行われる。
ただ、過去に戻ってる時間が結構長い時があるので、ボーッと観てると分からなくなるかもしれないです。

ストーリーは、無意識に薬中になってしまった明日香(内田有紀)の没落と再生を面白おかしく描いてます。
一言で言えばそれだけ。
でも、~ちょっと言い方悪いけど~心病みかけの人が観れば、かなり心に響くんじゃないかな?
あ、薬中と言っても、睡眠薬ね。アヤシイクスリじゃないです。
その内田有紀、かなり身体張ってます。
正直、ここまでするのは結構勇気必要だったんじゃないかな?
上半身裸になったりするしね。
元アイドルが身体張るという意味では「歌姫」の斉藤由貴もか??(←ちょっと違う)

身体張ってると言えば、明日香の彼氏:鉄ちゃん役の宮藤官九郎も。
明日香「お尻触っていい?」
鉄  「うん」(ここで生尻!)
明日香「落ち着く~」
とか。
某電波少年的番組の放送作家で、番組内でも色々ヒドイ目に遭ってるようでした。

蒼井優は言わずもがな。
ちょっとキテる人の役を、きっちり演じてました。
正直、そんなに出番は多くないけど、ものすごく印象深い役です。
なんでも出来るね~。改めてスゴイと再認識。

それにしても、医師役で庵野秀明が出てたのは吹き出しそうになったな~。
あの人俳優やってたっけ??
胡散臭いお医者って役をきっちり演じてましたよ。
ここで北村一輝が、例のカマっぽいお医者で出てたら、うちらとしては最高だったんだけどね~。


楽屋ネタ的笑いがかなりあるんだけど、そういうのは、決して狙った訳ではないそうです。
真面目に作って、副産物としてそういうシーンが出来たと。
確かに、全編通して結構重いです。
なにしろ精神病棟だから、傍目にはかなり奇異な人ばかり。
自分はまともというミキ(蒼井優)でさえ、やっぱ奇異な人な訳で。
ただ、そういう人達全員が何か背負ってて、何か病んでて、そういうところが丁寧に描かれてる。
普段はバカに明るい看護士(平岩紙)が、担当の拒食症の患者が食事を完食するの見て、こっそり涙するとかね。
明日香なんてもう、ホントの転落人生ですよ。
離婚・中絶・元夫自殺・アル中・薬中・無意識の自殺願望etc..
でも、これって一歩間違えれば誰にでも起こりうることなんでしょうね。
映画の世界だけど、決してそんなに現実離れしてない。
そこがリアルで、それ故「重い」と思ってしまったのかもしれません。
でも、そんな明日香を、内田有紀が明るく前向きに演じてるから、作品に悲壮感はないです。
バカ映画ではないけど、楽しい雰囲気がどこかにある。
そして鉄ちゃんはホントにバカ。笑
この辺が松尾スズキの巧さなんだろな~。

ラスト、退院した明日香は、みんなから退院祝いに送られた寄せ書きの色紙を捨てます。
それは過去からの決別の意味。
その横で、入院中よくしてくれた人が、再び救急車で運び込まれます。
しばし呆然とする明日香。
…色んな事を考えさせられるシーンでした。

そしてエンドロールなんだけど、このままだと重い映画で終わってしまう。
そんなことはなくて、最後の一笑いがありマス。
途中で席立たないように。
たぶんあれは、出演者にとってもサプライズだったと思われる…。

久々に観るには最適の、イイ映画でした。
でも、この作品は松尾スズキ・宮藤官九郎・平岩紙…この辺りの人の名前を聞いて「ピン」と来る人が、より楽しめる作品かもしれません。
「一見さんお断り~」じゃないけど、映画好きな人向けの作品かな~?
そんな印象でした。
…なにしろね、2、30人くらい居たお客さんの中で、バカ笑いしてたのはうちら2人だけだったんですよ…。

オーシャンズ13

2007-08-19 01:17:12 | 映画
※当ブログは基本的にネタバレありで書いてるので注意してください。



オーシャンズ11」「オーシャンズ12」と、バッチリ予習してから観てきました「オーシャンズ13」!!
結論から言ってしまうと、11、12共に面白いと思ってるうちらにとっては、かなりツボな作品でした。
逆に言うと、11、12共に面白くない、あるいは11は面白かったけど12は…って人にはダメかも?とも思いましたね~。
ひょっとすると、11、12両方とも観ていないって人の方が楽しめるかも??
結構、観る人を選ぶ気がします。
ま、何も考えずに、俳優陣の豪華さ華麗さカッコ良さを楽しむのが、この作品の楽しみ方かもしれません。
なにしろ、一番楽しんでるのは出演者達なんだから。
楽しそうな雰囲気が、画面からひしひしと感じられます。
そういう意味においては「木更津キャッツアイ」的だな~。

それにしても、やっぱりテス=ジュリア・ロバーツは出てなかったですね~。
ラスティ(ブラッド・ピット)がオーシャン(ジョージ・クルーニー)に「テスは?」と尋ねるシーンがあるんだけど、「テスは関係ない。関係ない。」だけで終わっちゃいました。
監督のスティーブン・ソダーバーグが「(これだけの大スター達をまとめるのは)”性格の悪い奴はお断り。”で、すべて解決だよ。」とおっしゃってるんだけど、それって、やっぱ、ジュ(自主規制)

今回、オーシャンズは全然儲けてないんです。
というより、もしかしたら赤字か、良くて5分5分?
自分達はマークされてるから、他人を儲けさせて、バンク(アル・パチーノ)に大損をさせるという計画。
その計画が半端じゃない。
なにしろオーシャンが立てるんだから、やることは徹底してます。
人工的に地震まで引き起こすんだから。
計画にいくらつぎ込んでるんだよ?って感じ。
ついには資金が尽きて”一番避けたかった方法”テリー・ベネディクト(アンディ・ガルシア)に資金提供を持ち掛けます。

何故そこまでしてバンクに仕返しをしたいか?
話の発端はルーベン(エリオット・グールド)がバンクに騙されて財産の一切合切を奪われ、そのショックで心筋梗塞を起こして廃人寸前になったって事。
「オーシャンズ12」で「”オーシャンズ”ってなんだよ?!俺はあんたの部下かよ!」「対等だと思ってたのに!!」等々、さんざブー垂れてた連中が、今度は「ルーベンのために!!」と、鉄の結束力見せます。
なんだかんだ言いながらも、仲間意識は非常に強い。
こういうの見るとうらやましく思いますね~。
今の世の中、こういうことってほとんどないもんねぇ。。

ところがまぁ、結束力こそあれど、元々がクセの強すぎる連中だから、そうそううまく事は運びません。
傑作だったのがダイスへの細工。
カジノで使われるダイスっていうのは、検査が非常にシビアなんで、細工をしたければ製造工程で仕掛けるしかない。
それで、バンクのカジノで使われるダイスの製造元であるメキシコの工場に、バージル(ケイシー・アフレック)が潜り込む。
ところが、そのあまりの労働環境の悪さに、従業員を煽動してストライキを起こします。
カジノオープンの日は刻々と近づいてるのに、未だダイスが出来上がってこない。
なにやってるんだって事で、ターク(スコット・カーン)を送り込むもんの、今度はタークまでが「まずは経営陣を倒す!!」と連絡を寄こす始末。
オーシャンの「好きにしてください」って表情は大爆笑でしたね~。
それにしても、シリーズ3作目にして、初めて兄弟結束したなぁ。。

そんな訳で、オーシャンズシリーズ伝統のトンデモ機械。
今回は豪華に3つも出てきます。
1つ目はラスティが使おうとした、モニターになる巻物。
ホントにあるなら欲しいぞ。すごく便利そう。
2つ目は、前述のダイス。
特殊樹脂を混ぜて、磁石入りダイスと同じように、好きな目を出せます。
どんな樹脂やねん。
3つ目。バンクがカジノに導入してるイカサマ発見器「グレコ」。
こいつの演算速度って、ひょっとして地球シミュレータどころじゃないんでない??
まさか3つも来るとは思わなかったなぁ…。

その辺りも含めて、11、12を観ていると、ニヤリとできる小ネタが満載です。
11でオーシャンを殴る役をやってた彼は、12でフランク(バーニー・マック)の弁護士やってたけど、13ではボロ儲けする上客の1人になってました。
12ではお母さんが出てきたライナス(マット・デイモン)。
今回はお父さんが出てきます。
家族総出かよ~。
他にも色々あったハズなんだけど、失念…。


延々仕込みをやってる前半は、正直言ってちょっと長いです。
でも、ベネディクトが出てきてからは一気に盛り上がっていくし、全体的な雰囲気は「オーシャンズ11」に戻ったなって感じ。
「オーシャンズ12」でなりを潜めた痛快さが帰ってきました。
良くも悪くも直球勝負で、ものすごくベタな感じ。
ルーレットの賭けで、11、12ときて、当たりが13とかね。
セキュリティシステムの名前が”グレコ”、開発者が”ローマン”とか。
オーシャン、ラスティ、ライナスの、めちゃめちゃ胡散臭い変装とか。
そういうベタさがいいんだよな~。
最高にベタなのは、ホテルの格付け審査員だな。
とにかくバンクにホテルの最高勲章”5つのダイヤ”を与えない為に、オーシャン達がホテルの格付け審査員にとことん悪さをする訳です。
ベットに細菌仕掛けて身体中発疹だらけにするとかね。
この作中、一人で全員分の不幸を背負い込んだってくらい可哀想な目に遭うんだけど、最後の最後に報われます。
空港にあるスロットにラスティが仕掛けして「この台、出るぜ。」と言って大当たりさせるんです。
その額1100万ドル!
オーシャンズからの「ごめんね。」のお詫びなんだろうね。
笑けるけど、いいシーンでした。



リベンジ計画の結末がどうなったか?までは映画で触れられてないんだけど、”グレコ”を3分停止させて、その間にイカサマし放題で儲けまくり。バンクに5億ドルも損させて、5つ星ダイヤも奪って、いつの間にやら土地の権利書まで奪って、それをルーベンに返したってことは…。
ま、いわずもがなですね。

「オーシャンズのひとりを嵌めたら、全員を敵に回すと思え。」



3人の(゜д゜)ポカーン。

予告でよく使われてるこのシーンですが、実は抱腹絶倒って言うくらいの大爆笑シーンです。
劇場で御確認あれ。





トランスフォーマー

2007-08-06 01:53:47 | 映画
※当ブログは基本的にネタバレありで書いてるので注意してください。



学校から帰ってきてTVつけると、いつもやってたアニメが「トランスフォーマー」でした。
結構大味だった(と思う)ので、点けてるだけで、内容にはほとんど注意してなかったです。
ただ、「サイバトロン戦士!トランスフォーム!!」のかけ声だけは、やたら耳に残ったけども…。

その「トランスフォーマー」が実写映画化。
存在を知ったのは劇場予告で。
スピルバーグとマイケル・ベイが「ゴキタイ クダサイ」と言ってから出てくる映像は、なにやらサスペンスチック。
コンボイ司令官のコの字も出てきません。
「人類vs金属生命体」って形で作り直したのかな?って思いましたよ。
実際は「人類+助っ人(オートボット:サイバトロン)vs
ディセプティコン(デストロン)」だったけどね。
アニメのトランスフォーマーでは人間が出てる印象がほとんど無いんだけど、こちらはあくまで人間が中心。
驚異を取り去るためにちゃんと軍隊も出動するし、彼らの活躍で何体かのディセプティコンは倒されてます。
人類もやるなぁ。

そもそもこの戦いの発端は、金属生命体達の全能のパワーの源である「キューブ」を巡る、オートボットとディセプティコンの争い。
宇宙をさまよって行方不明になってたキューブが地球に落下し、それを追いかけて、トランスフォーマー達もやってきた…ってお話。
主人公のサム(シャイア・ラブーフ)は、キューブの在処を示す手掛かりを持つ人物。もっとも、本人はそんなこと知らないので、まったくもっていい迷惑だろうけど…
ヒロインのミカエラ(ミーガン・フォックス)は、サムがあこがれる女の子。
サムがやっとの思いで手に入れたクルマが、実はバンブルビーというトランスフォーマー。
サムがミカエラとうまくいくようにクルマが勝手に動くところは、かの妖車の実写版みたいな感じでおかしかったですね~。
一番面白かったのは、ミカエラに「ボロ車」と言われて、無理矢理2人を降ろして逃走。道行く最新型カマロをスキャンして、最新型に変身して戻ってくるところ。
オシッコかけたりもするし、バンブルビーっておちゃめだねぇ~。
オシッコと言っても、彼らのことだから油だけどね。
股間にあるフタを外してジャーっと。
潤滑油だと思うんだけど、そんなことして大丈夫なのか??
ちなみにバンブルビーが最初に変身してたカマロは1974年型。
スキャンし直した後のカマロは、実は2009年型だそうで。
すなわち、まだ市場に出てないクルマですな。

サムの家の庭をオートボット達がウロウロするのもおかしかったな。
注意されて、みんなクルマの姿になって。
「身を隠してるつもりか?これじゃ駐車場だよ!」って言われたり。

観てる間は、スピード感とホントにそこにロボットが居るような臨場感に圧倒されっぱなしでした。
2時間25分もある映画だけど、あっという間でしたね~。
ただ、帰ってから冷静に考えると、ところどころ強引な展開があったかな?と。
アメリカ側が、メガトロンを冷凍したまま回収してるのはともかく、なんでキューブの存在まで知ってて、しかも回収してる?説明されてたかなぁ…?
まぁこの辺は毎度のハリウッドか。。
すでに続編が決まってるらしいけど、結構きれいに終わってるんで、続編は作らない方がいいのでは…

前述したように、ホントにそこにロボットが居るような感じなのは凄かったです。
CG臭くなかった。
ただロボットが精緻すぎて、取っ組み合いされると、なにがなにやら分からないのが難点かな?
変形は、ものすごい複雑。
とても目では追えません。
オモチャ動かして、それでやっと理解できるんじゃないかな?
すでに劇場版トランスフォーマーも発売されてるみたいだし、ちょっと動かしてみたいです。

あのアニメが、どんな風に実写化されたんだろう?っていう興味だけで、正直期待してなかったんです。
でもフタを開けてみると、思った以上におもしろかった。
T2に国が絡んでるような物とイメージすれば分かりやすいかな??
男性は好きだろうけど、女性はどうかなー?とか考えてたら、意外と女性客が多かったんですよ。
女性の目には、こういう作品はどう映るんでしょうね?
こじかさんは興味示してくれなかったんで、一人で観に行ったから、その辺が分からないんですよね~。


そうそう、パラマウントとドリームワークスの映像にまでトランスフォームの擬音が付いてたのは面白かったです。
スタッフの遊び心だね~。


帰りの駐車場では、うちのクルマもトランスフォームするんじゃないかと思ったよ…。
(影響されすぎ)

オーシャンズ12

2007-07-29 21:30:38 | 映画


「オーシャンズ13」に向けて、改めて観直しました「オーシャンズ12」。
オーシャンズ11」を観たら、こっちも観ておかないとね~。

この作品は結構評価低いですよねぇ。
痛快で楽しかった「オーシャンズ11」の続編ということで、みんなが11と同じモノを求めた結果でしょうか?
11とはかなり毛色が違うんですよね。12は。
11のようなテンポの良さはなりを潜めて、全体的にまーったりしてる。
前作は金庫破りの過程を楽しむ作品だったけど、今回は気付けばミッションが終わってる。
時間軸的には、前半辺りですでにオーシャンズは仕事終えてた訳で。
見せ方の違いなんだろうけどね。

個人的に一番の不満は「オーシャンズを全員、大スターとして扱った。」ってところかな。
11の時は「こんな役を、実はこんな大スターが演じてます。」だったんだけど、
12は「こんな大スターが、たくさん出演してます。」だったってこと。
(言いたいこと分かる?)
何かにつけて全員を映そうとするのが、ちょっと鬱陶しく感じました。

公開当時、観る気は満々だったけど、実はすぐに観に行った訳では無かったんですよね。
あまりの評価の低さに躊躇したわけで。
という訳で、所謂「まったく期待してない」状態で観たんです。
するってーと、「なんだ。結構おもしろいじゃないか。」でした。
相変わらず、脚本はよく練られてたと思いますよ。
やっぱり観客はみんな、オーシャン(ジョージ・クルーニー)とラスティ(ブラッド・ピット)の掌で踊らされたね~。
あれだけ鼻高々だったナイト・フォックス(ヴァンサン・カッセル)でさえもが、オーシャンに踊らされて。
まぁ、これはナイト・フォックスの師匠ルマークの助けがあってこそだけども。

ということは、結局ナイト・フォックスが馬鹿見ただけか??
もっとも「泥棒はお互いのことを密告しない。」というルールを破ったのがイカン訳だけども。
そう考えると、オーシャン"ズ"はナイト・フォックスにとことん仕返しをした訳だよね。
泥棒界というのも、怖い世界だなぁ…。
博物館での強奪計画やってる時は、実はとっくに仕事を終えてて、その後の行動は全てナイト・フォックスをからかうため。
なかなか執念深い。。
まぁ、この一連のおかげで観客も騙されて、最後に「やられたっ」ってなるんだけども。

ま、一番執念深いのはベネディクト(アンディ・ガルシア)か。
結局ずっとオーシャンを疑ってた訳だしね。


あえて揚げ足を取るならば
・イザベル(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)が文書を偽造したのはどこから漏れた?
・オーシャンズが全員逮捕されて、その後ライナス(マット・デイモン)の母が助けに来るというのは、計画に織り込み済みだった?
(会話からすると、どうもそんな感じでは無さそうなんだけども…)
・トンデモ機械(3D投影装置)
ま、あまり深く考えまい…。

それにしても、ジュリア・ロバーツのオバサン振りは一体…。
全然オーラもなかったしねぇ。
11のテスとはまったく別人だよ。
「ジュリア・ロバーツが来るぞ。」には吹き出したけども。
この時にわがままし放題(みんなのギャラを抑えてる中、ロケ現場に自家用ジェットで乗り付けて、その渡航費を全部請求したとかなんとか)で、ついには13からは外されちゃったんでしょうか…?

ダニー・オーシャン=ジョージ・クルーニー50歳疑惑。
これもおかしかったー。
ファンの子にそう言われた実話を元にしたエピソードだそうで。
まぁ、ブラッド・ピットと1歳違いとは思えないよなぁ…。

そういえば、やっぱりラスティはジャンクフード食べてたね~。
ということは13でもか。

「オーシャンズ12」は新婚旅行でハワイに行った時に、行きの便で上映されてて、それをずっと観てたんですよね。
そういう意味で、思い出の作品です。
ちなみに帰りの便は「ナショナル・トレジャー」でした。


さてさて、予告観る度に期待の高まる「オーシャンズ13」。
期待しすぎはかなり危険ってのは分かってるんだけど…
なんか「オーシャンズ11」に戻った気がするんですよ。
出演者が"たまたま"大スターだった、あのよく練られたお話に。
「オーシャンズ12」の評価があまりに低かったから、これはイカンと兜の緒を締め直したのかな??
どんな作品になってるのか、楽しみですっ。

善き人のためのソナタ

2007-07-22 14:11:38 | 映画
※当ブログは基本的にネタバレありで書いてるので注意してください。



「善き人のためのソナタ」…評判の高さは知っていたものの、今ひとつ食指の動かなかった作品でした。
何故ってね、タイトルとこの姿↓が、音楽に特化した映画だと思ったんですよ。

「ん~いい音色だ。」
とか
「違う!こんなのじゃない!!」
とかね。
頑固な作曲家に見えてしまったんだよな。

その評判の高さ故か、MOVIX堺で2回目のリバイバル上映。
「傷だらけの男たち」でこっちが傷だらけになった時に、ちょうど予告をやってたんです。
想像してた話と全く違うことに驚き。
「盗聴やったんかいっ!!」ってね。
旧東ドイツの監視社会を描いたこの映画は、事実を全く知らなかったうちらにとっては、かなり強烈な作品でした。

シュタージ(国家保安省)のエリート局員ヴィースラーが、反体制の疑いをかけられた劇作家ドライマンを監視。
その言動や、恋人クリスタとの自由な恋愛の姿に触れることにより、人間らしい感情に目覚めていく…というストーリー。

ヴィースラーを演じたウルリッヒ・ミューエは東ドイツの出身で、自身も監視された経歴の持ち主。
しかも監視の主が奥さんだったという、驚愕の事実。
それ故か、ヴィースラーの心情の変化を好演しています。

国家は正義と信じて疑わず、反体制の者は敵とすることになんの疑問も持ってこなかったヴィースラー。
その彼がドライマンの監視を通じて、国家の腐敗ぶりに気付いた時のやるせなさは相当なものだったでしょう。
おそらくは今までしたことがなかったであろう、行動の数々。
お酒呑んだり、娼婦抱いたり…。
象徴的なシーンが、エレベーターに乗り合わせた子供との会話。
「おじさんはシュタージの人なの?」
「なぜかな?」
「お父さんが、シュタージの人はいい人を捕まえる悪い人だって言ってた。」
「なんという名前かな?」
「お父さんの?」
「いや、そのボールの名前だ。」
…ボールの名前って。
今までの仕事柄、反射的に名前を聞いてしまったんだろうけど、その頃の彼はその行為に疑問を持っていたから、慌てて取り繕ったんだろね。

この頃から、彼はドライマンとクリスタを守る立場に変わります。

最終的には、ドライマンは守れたものの、クリスタは守れなかった。
自身も左遷。
郵便物の開封に明け暮れる毎日の中、ベルリンの壁が崩壊したことを知る…。

壁崩壊後は作家としての活動は行っていなかったドライマン。
ドイツ統一後、シュタージの資料が自由に閲覧できるようになり、ドライマンは初めて、自分が監視されていた事を知ります。
ところが、自分の記憶と報告書の内容が合わない。
内部告発の相談や、その文書の作成、それを西側に送る時のことなどが一切記載されていない。
「自分は監視されていたのではなく、守られていた。」
報告書の最後には常に「HGW XX/7」の文字が。
それがヴィースラーのコードネームであることを知り、ドライマンは彼に会いに行きます。
郵便配達員として働くヴィースラーを見付けるものの、思うところあって、その場は声を掛けずに立ち去ります。
2年後、いつものように郵便配達をするヴィースラー。
書店を通りかかると、そこにはドライマンのポスターが。
その本を手に取るヴィースラー。
タイトルは「善き人のためのソナタ」
冒頭には「この本をHGW XX/7に、感謝を込めて捧げる。」と献辞が。

「プレゼントですか?」
「いや、これは私のための本だ。」


ラストシーンにはかなりぐっと来ました。
ヴィースラーのような石頭でさえも変わっていける。人間らしくなれるというところに心打たれました。
ここまで劇的じゃなくても、当時の東ドイツにはこういったドラマが無数にあったんだろな…。
実際はもっと悲惨だったんだろうけども。
腐敗した国家に対する、ささやかな抵抗。
ものすごい勇気を伴う行動ですね。

かつてエリートだったのが、今は郵便配達員…。
でもヴィースラーには、まったく後悔はないでしょう。
寡黙な男だけど、ラストの顔は、心なしか明るく見えました。



実際のところ、人間の醜悪な部分も赤裸々に描いているので、人によっては気分が悪いと思います。
うちらもその辺りはちょっとアレだった…。
でも、この作品には必要なシーンばかりで、無駄なシーンというのは一つもなかったです。
そういったシーンの積み重ねで、当時の東ドイツの悲惨さを描いてる。
これが大昔の話ではなく、つい最近まで行われていた事実だってことに驚き。
歴史を知るという意味でも、必見の映画だと思います。

傷だらけの男たち

2007-07-08 20:56:18 | 映画


この映画を観て、うちら二人の思ったところを箇条書きにしてみました。(ネタバレ含む。)
箇条書きにしてみたら、そのほうが面白かったので、そのまま投稿します。


『インファナルアフェア』のスタッフ。期待しすぎた。 
全体的に中途半端。
金城の彼女が安っぽい。
あゆのエンディングは有り得ない。
トニーがやせすぎ。オーラがない。
??な登場人物。第三の男の影武者?カネでやとった?説明なし。

インファナルのスタッフという宣伝がなければ、きっと観ていない。
というか、わざわざ観るほどでは・・・。
期待するなって言っても無理でしょ。
なんですでにハリウッドでリメイクが決まってるの?
無理矢理売りつけた?
とにかくもったいない。
金城と自殺した彼女とのストーリーをもう少し掘り下げるべき。

話の焦点がブレてる。
女性2人とも華がない。
B級。
まるで19チャンネル風。
悪い方の香港映画の特徴が出た。昔の香港映画か、これは。
もしかして駄作?
トニーに悪役は似合わない。
そもそも無理があった。
商業的要素大。
邦題もちょっと。。。
チャップマントゥは必要?
この映画におちゃらけはいらない。
オープニングはテンポが良かったのに、途中なかだるみ。
内容が薄っぺらい。
エイベックスの陰謀かっ。

インファナルへの思い入れが強いだけに残念。
生々しいシーンが多い。
緊迫感がない。
ラブストーリーか?これは。
う~ん。
インファナルアフェアは奇跡的な作品。
もう二度と撮れないだろう。


なんというかねぇ…「傷だらけの男たち」って言うより「傷だらけの観客たち」ですよ。
そもそも原題は「傷城」ですよ。
どこをどう訳せば「傷だらけの男たち」になるんだ??

ゲド戦記以来のネガティブ記事と相成りました。


この映画を観て、インファナルアフェアを観ていない人は、是非観てください。
目からウロコですよ~。