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うちらのひとりごと。

酒と映画をこよなく愛する、多趣味な男(ことら)ときまぐれ女(こじか)のブログです。

ナイト ミュージアム

2007-04-09 21:14:13 | 映画


観たいのに行く機会に恵まれず、「見逃してしまう??」と危機感感じながらも、ようやく観てきた「ナイト ミュージアム」です。
とにかく観るまで障害が多かった~。
一番の難点はこじかが全く興味示してくれなかったことかな。
ことらはこんなバカ映画大好きなんですが。。
説得に説得を重ねて、ようやく前売り券購入まで漕ぎ着けたもんの、MOVIXで使える前売り券は売られてなかった。
するとまた、観に行く興味が失せてしまう。
だだこねてなんとか観に行く方向に持っていくもんの、今度はことらが風邪でダウン。
そうこうするうち、「ブラッド・ダイヤモンド」「オール・ザ・キングスメン」の公開が始まる。
時をかける少女」「木更津キャッツアイ ワールドシリーズ」のDVD発売は迫る。
うちらの間では「フラガール」が大ブーム。(謎)
などなど。
もはや「会社サボってこっそり観に行くか?」くらいに考えてました。(嘘)

そんな障害乗り越えて、やっと観てきた訳ですが…。
期待通りの「脱力系おバカ映画」でした。(注:褒めてます)
話の柱は「ダメ親父の復権」かな?
仕事は続かず、息子からも呆れられてしまったお父さんの孤軍奮闘の物語。
やがて周りから(博物館の展示物から?)認められ、その姿を見た息子も父親を尊敬するようになるという。
こう書くと、なにやら感動的なヒューマンドラマみたいだねぇ。
でも実際は「んなアホな」な出来事だらけで、そんな重苦しいテーマはどこかに吹っ飛んでしまってます。


とにかく、なんでもかんでも生き返る!
本来動くはずのないモアイ像まで喋り出す!!
ホンマ、誰やこんなアイデア考えたの。


感嘆したのは「博物館の展示物が生き返る」だけだと破綻しそうな話を、2時間きっちりまとめてあげていたこと。
ちゃんと起承転結があって、映画として成り立ってるんです。
ある意味「ジャンプ系」かな?
バラバラだったみんなが、「生き返る魔法の源」が盗まれたのをきっかけに一致団結。
ミニチュアから動物、骨だけのティラノサウルスまでが共闘する姿は、なんか感動的。
最後は友情が芽生えて、夜な夜な大パーティ。
…んなアホな。


みんなをまとめあげたのは”ダメ親父”ラリー(ベン・スティラー)。
初日こそルーズベルト大統領(ロビン・ウィリアムズ)に助けられるもんの、2日目からは孤軍奮闘します。
みんなの心を掴んでいく様は、観てて小気味イイ。
悪党じいさん3人衆も、物語のいいスパイスになってたなぁ。
よく知らなかったんだけど、この映画の出演者達は、有名なコメディアンだらけで構成されてたそうで。
そりゃ笑えるハズだわ。
ちなみにイタズラ三昧のおサルはCGじゃなく、本物のサルを使ってたそうです。
サルとラリーの殴り合いは、動物愛護の観点から、撮影がとても難しかったそうで。
見た目は恐ろしいT-REXが、実は意外とカワイイ。そこらのペットよりもよくなつくんでない?
喜んでるときの尻尾振り振りは、この映画だけの演出です。実物は誰も見たこと無いから、そんなの分からん。
でも一番のお気に入りはモアイかな。
フーセンガムが好きなモアイって。


肩肘張らず、頭カラっぽにして観るべき映画です。
疲れてるときなんかに観るには最適かも?
何も考えずにバカ笑い出来るんで。
逆に、なにかに期待してしまう人には、この作品は全くダメかも。
「おバカな」笑いを受け入れられる人じゃないと、まったくシラけてしまうかもね。。
現に劇場でも、うちら含めて(`∀´)ゲラゲラ笑ってる人と、全く無反応の人とにきっちり分かれてたし。
人によっては「金返せ~!」となりかねない、危うい映画です。

観終わった後のこじかの一言「アホや~。観て良かった~。」が、全てを表してるかな?

ラストキング・オブ・スコットランド

2007-03-26 22:34:01 | 映画
※当ブログは基本的にネタバレありで書いてるので注意してください。



アカデミー賞受賞や評価の高さなど、興味の持てる要素がたくさんあった「ラストキング・オブ・スコットランド」です。
どんな作品か?ということは全く知らないまま観に行きました。
あまりに前知識無しというのもどうかとおもったので「アミンという独裁者の内側と外側を描いた映画」という情報だけは仕入れました。
この時点では「R-15」ということは知らなかったんだよね~。
たしか「ディパーテッド」も「R-15」だったけど、痛い描写という意味じゃ、こちらの方が遙かに上でした。
観終わった後は、魂喰われて、肉体も半分くらい喰われて…って気分だったよ。。。
精神的にも肉体的にも痛くて、観た後は「どよーん」となる映画でした。
付き合い始めのカップルには、まったくもってお勧めできませぬ。


ただ、観終わった後の「心ここにあらず」感は「ユナイテッド93」の方が上だったな…。
あの時はホント、よく無事にクルマ運転して帰ったな…って、後から思うし。。

例によってMOVIX堺で観たのですが、色々興味深いことが。
この作品、公開は3月10日。
まだ2週間なのに、すでにレイトショーでしかやっていません。
でも12番シアターという、一番大きな劇場。
「なんだこのチグハグさは??」って思ったんだけど、観終わって理由が分かったよ…。
みんなに観てもらいたいけど、大っぴらに「観て!」とは言えないんだな。
たぶん。


冒頭は軽い雰囲気で始まるんです。
「社会派映画なのに、やけに明るいな?」みたいな。
アミン大統領はユーモアに溢れた気さくな人だし、ギャリガン医師は女たらしだし。
ところがどんどんどんどん怖くなっていく。
ギャリガン医師の拷問?シーンは、もはや目を背けてました。
いや、個人的に拷問とかを見るのが苦手なだけなんだけどね。。

何が怖いって、自分が意識しないうちに権力に巻き込まれ、気付けばそこから抜け出せなくなっているって事でした。
元々ギャリガン医師(ジェームズ・マカヴォイ)はお医者様の卵で、資格取得と同時に、人々の役に立つためにウガンダの地まで赴任したんです。
そこで出会ってしまったアミン大統領(フォレスト・ウィテカー)。
アミンは前政権を打倒し、人々に新たな希望を与え、どこへ行っても熱烈歓迎されてました。
期せずしてアミン大統領を治療することになるギャリガン医師。
この時にアミンにたいそう気に入られ、主治医に迎え入れられます。
ところが気に入られすぎて、会議に代理で出さされたり、気付けば顧問として側近にされていたり。
全く望んでいないのに、アミン政権の中枢部に入り込んでしまっていたのでした。
ギャリガンの一言で、もう一人の側近が殺害され、ようやく自らが陥った状況に気付きます。
そして、アミンの第2夫人・ケイとの情事。
ここから状況は一気に悲惨に…。
この事がアミンにバレてしまい、ケイは殺害。ギャリガンは怒りに任せアミンを殺害しようとするも、逆に殺されかけます。

…なんというか、ホントに言葉が出ません。ただただ恐ろしい。
人間不信になるよ…。帰り際は、人に出会う度に「ビクッ」ってしてたし。。

アミンは自ら「私自身は望んでいないのに、大統領となった。」と言ってました。
初めのうちは、ウガンダを良い国にしようと希望に燃えていたはず。
ところが政情不安定な国では、それはなかなか難しい。
何時命を狙われるか分からず、そんな状況では人を信用できず、権力がある故に、怪しい人物は次々と抹殺していく…。
独裁者がどのように作られるか?というプロセスを、まざまざと見せられた気がします。
もちろん、元々アミンは独裁者の要素を持ってたんだろうけども…。

人が信用できない。いとも簡単に人の命が奪われる。なんて恐ろしいことだろうと思いました。
日本は「平和ボケ」って言われるけど、裏返せば、平和ボケになれるってのはものすごく幸せなことだと、つくづく感じたよ…。
ウガンダという国は、現在もまだ落ち着いてないそうです。
でも、イラクはもっと悲惨なんだろうなぁ…。
自分達の日常からは考えられないような悲劇が、まだまだどこかで起きている…。
平和な日本に感謝すると同時に、自分や家族がこういった事に巻き込まれないように祈らざるを得ません。


ホント、満員電車で隣のオッサンの生欠伸に殺意覚えたりとか、そんなことしちゃイカンねぇ。。
でも「ノラビッツ」だけは、どうがんばっても(略
その後の「ヒッポコブラザーズ」見たらホッとするよ。ホント。

フラガール

2007-03-18 22:13:35 | 映画


「なんで今更?」感が強いですが、「フラガール」です。
実は前回上映時に見逃してしまったのでした。
DVD発売を知ったもんの「1回観ないことには、危険だねぇ。」なんて話してて、レンタルすっかぐらいに考えてたんです。
いろんな映画賞獲りまくってるのも、評判がものすごく良いのも知ってたけど、やっぱ自分で観てみないことには分からないじゃないですか?
すると上手いことに、MOVIXにてリバイバル上映されたんです。
「今度は見逃すまいっ。」と、早速劇場へ。

・・・こんな状態で観てるから、ものすごく期待してたんですよ。
ものすごく期待してて、いざ観て…まさに

…状態でした。
期待して観に行って、その期待をさらに上回るってスゴイことだよな…。

とにかく泣かされました。
まさか南海キャンディーズ・静ちゃんに泣かされるとは思わなかった。
あとは、やっぱ松雪泰子ですね~。
めちゃめちゃよかった。
正直なトコ、松雪って…って印象だったんだけど、「フラガール」観てからはファンになりましたよ。
蒼井優は、もう語ること無いですね。
賞獲りまくってるのが全てを証明してます。

あと、お母さん役の富司純子もとても良かった。
古き良き?炭坑の”がんこな”お母さんだったんだけど、娘(蒼井優)の踊りに心動かされて、今年の流行語大賞「ストーブ貸してくんちぇー」と、協力する側になるという…。
あ、このネタはDVDのコメンタリー観れば分かります。
・・・本来は、全然笑うシーンじゃないんだけども。。。
豊川悦司も良かった。
カッコイイ「トヨエツ」は影を潜め、すごくダッサいあんちゃんを好演してます。
最後にキメシーンがあるんだけど、いいところでツルハシを川にドボーンとか。
それにしてもラストシーンのスローモーションは思わせぶり。
あの後落盤事故に遭って、あんちゃんお亡くなりになるのかとドキドキしたよ。
木更津キャッツアイのお巡りさんこと、三宅弘城。この人もめちゃめちゃよかったです。トヨエツの親友役だね。
植物係だったこともあり、ハワイアンセンターのヤシの樹達に、なみなみならぬ愛情を注ぎます。ところが寒い東北ではヤシの樹を育てるには気温が低すぎます。
そして「ストーブ貸してくんちぇー」。
この一連のシーンも泣かせるのよね~。
あとは「IWGP」のジェシー、「マンハッタン・ラブストーリー」の赤い女こと、池津祥子。彼女も良かった~。彼女が最初に踊る踊りは「炭坑節」という、れっきとした踊りだそうで。その踊りを忠実に踊ってたそうです。驚き。

ちなみに福島出身だそうで、エキストラには親戚のおばちゃんが来てたそうっす。


劇場に足運んで、その場でDVD購入を決意。
次の日に早速買ってきて、即上映会。
…こんなパターンは非常に珍しい。。



ラストにある「ハワイアンセンター」オープン初日のフラダンスのシーンは、ただただ圧巻。
はっきり言ってカッコイイです。
自然にリズムを取ってしまうし、思わず立ち上がって拍手しそうになるし。
このシーンの出演者達の涙は、本当の涙。
やりきった感がものすごかったんだろうね。
練習は相当きつかったってことだし。。

素人集団が一念発起して成功するってのは「スウィングガールズ」でもやってたけど、「フラガール」とは、その背景にある重みが全く違います。
かたや、食中毒させてしまってその代わりに…っていうのがきっかけ。
かたや、炭坑閉山が時間の問題で、街を潰さないために奮闘。
この重いテーマが丁寧に描かれているので、すごく切実感が伝わります。
あまり描かれてないけど、「ハワイアンセンター」部長である吉本さん(岸部一徳)は、相当辛い立場だったハズ。
現に、東京から呼び寄せたもんの、当初はまったくやる気無かった平山まどか(松雪泰子)にキレるところもあるし…。
確か「オラだってこんな東北の山の中にハワイが出来るなんて思っていねぇ!けんど、やるしかねぇ!」ってなことを言ってたような…。

そんな平山まどか(松雪泰子)。
当初はすごく嫌な女でした。
まぁ、ものすごいド田舎(失礼!)に呼ばれて、生徒はまったくダンスなんて出来ない連中で…。これでやる気出る方が不思議だな。
そんな状態だったんだけど、どんどん周りが、逃げる訳にはいかない状況になっていきます。
紀美子(蒼井優)は母親と対立して家飛び出してしまうし、家族の解雇をきっかけに、次々とダンサーとして名乗りを上げる人々…。
そんな教え子達と接するうち、先生自身もだんだん変わっていきます。
初めにあった、人を拒絶するような態度や雰囲気が無くなっていき、どんどん生徒を思いやる良い先生になっていく。
それを一番表してる吉本さんの言葉
「…先生。いい女になったなぁ。」
このシーンはかなりグッと来るシーンです。
先生が変われば、生徒も変わる。
初めは反抗気味だった紀美子も、先生が街を追い出されそうになったときは、涙流して引き留めにいきます。
それも、教えてもらった振り付けで引き留め。
このシーンは涙無しには観れませぬ。

この時の紀美子の表情がものすごくいいんです。
一度親友との別れを経験してるが故、2度も好きな人と別れたくないって想いが切実に伝わってきます。

先生に関しては好きなシーンたくさん。
早苗(徳永えり)がお父さんにぶん殴られて顔腫らしてるの見て「ぶっ飛ばしてやる!」と、あろうことか銭湯まで押しかけて殴りつけるとか。
初のフラガール公演がボロボロで、ガールズが喧嘩してるのを怒鳴り飛ばして、バス降りてスタスタ歩くところとか。
静ちゃんのお父さん亡くなったときに、ガールズ責められるのをかばうところとか。
前述の街追い出されるとことか、「いくぞ!フラガール!!」「あんた達と一緒に踊りたい」等々。
書き出すとキリがないんで、この辺で止めときます。

なんというか、ともかく作品全体が温かいんですね。
そしてみんなが、生活懸けて必死で生きてる。
ハワイアン賛成の人、反対の人、みんなが色んなものを背負って、必死で生きてる。
その辺がものすごくよく伝わるが故、観てるこちらも、ホントに作品世界にのめり込んでいきます。
そして気付けば


…こんなに良い作品は、そうそう巡り会えないんじゃないかな?
去年の夏に見逃したことを後悔すると共に、再上映してくれたMOVIXには感謝感謝です。
ソッコでDVD手に入れたんで、後はいつでも観放題~。
…うちのローテーションに加わった作品がまた一つ…この先何回観る事やら…。

ドリームガールズ

2007-03-04 21:11:46 | 映画
※当ブログは基本的にネタバレありで書いてるので注意してください。



やっと観てきました!『ドリームガールズ』

『シカゴ』も感動しましたが、本作の方がドロドロ感は上かな?
ほとんど黒人さんメインというところも見所のひとつ。
とにかく、もう全編素晴らしい、役者たちのステージ。
まさにミュージカル。
映画なんだけど、すごく臨場感があって鳥肌たちまくり。
立ち上がって拍手してしまいたい位の感動でした。 

前評判が良かったり、賞を獲ったりしている映画は案外「あれ?」
ってのがあったりしますが、これは誰が観ても感動、共感するのではないでしょうか。
音楽業界や黒人社会に限った話ではなく、日本や私たちの社会、会社や夫婦、すべての人間関係にも通ずる話です。
実力が無くてもルックスがよければ、売れる。
会社でも、仕事ができなくても可愛い子ってチヤホヤされますよね?

信じていた人に裏切られたり、一人よがりで皆にハズされたり。
バンドのメンバーだけに起こることではなく、どこの世界にでもありそうなこと。
エフィーのわがままぶりを見ていて、そう思いました。
トラブルを起こす人は自分に原因がある。
本当にそうだと思う。
人間関係や恋人関係に悩んでる人は、この映画を観て自分自身を見つめ直すというのもいいかもしれません。

とにかく!!観ていて圧倒されました。ジェニファー・ハドソンさんの歌はとてもパワフル。
めちゃめちゃ鳥肌たちます。
ビヨンセの美しさにもためいき。
でも、オーディション時代のビヨンセはオーラを消していて、実は彼女が演じていることを忘れてしまっていました。

ジェイミー・フォックスのいやらしい演技も最高です!
あの胡散臭さというか、ちょっと影のある感じ。
汚いことをして、のし上がるんだけど最後には皆彼から離れていくんです。
自分さえ良かったらいいって考えだと、こうなりますよね。
それにしても『コラテラル』の時は老けた感じだったけど、本作では若々しかったなぁ。
あの時は、トム・クルーズを完全に喰ってましたよね。
野心家の雰囲気が出てて、すごくハマってました。

それから、エディ・マーフィー。
すごく良かったです。
アクが強い人だから、どうかな?って思っていたのですが、それが逆に良かったというか。
ジミーを演じているというより、彼自身がジミーに思えてきて・・・。
落ちぶれた感じや、最後ヤク中になっちゃうトコとかなんか悲しかったです。
だからすごくリアルでのめり込んじゃいました。
感服です。
もちろん歌も素晴らしかった。

これは余談ですが、秘書として雇われた彼女がエフィーと交代で入ったドリームガールズのメンバーって気付いてました??
私もことらさんもパンフレットを読んで気付きました。
ちょっとわかりづらかったぞ。。

とにかく、これは観るべき映画です。
観終わった後は、お腹いっぱい胸いっぱいになります。
たくさんの感動、幸せ、涙・・・。
がもらえる作品です。
絶対劇場で観るべし!  

世界最速のインディアン

2007-02-11 00:33:53 | 映画
※当ブログは基本的にネタバレありで書いてるので注意してください。



突然ですが、この作品あまり宣伝されてないですよね??
うちらも何かの映画の時に、前に流れる予告で偶然知っただけです。
直感的に「観たい!」と思い、ようやく観てきました「世界最速のインディアン」

観る前になんとなく「カッコイイとは、こういうことさ。」という「紅の豚」のキャッチコピーを思い出してたのはことらだけでしょうか?
もちろんあんなにおしゃれで華々しくもなく、もっと地味で泥臭いんだけどね。
かたや「豚」かたや「おじいちゃん」。
およそ「カッコイイ」とは縁がないと思われる(失礼!)人達が繰り広げる「カッコイイ」ドラマ。
そういう意味で似てるなぁ…と。
でもとにかく、バート・マンローという人物は最高に「カッコイイ」おじいちゃんでした。

…なんて冷静に書いてるけど、実は全然冷静じゃないんです!!
とにかくこの感動を誰かに伝えたい!話したい!!
でも「あーダメだ。誰かに喋りてぇ。でも面白く喋る自信がねぇ。」状態でして…。
ともかく、それくらい感動したってこと御理解くださいませ。
もう、終始鳥肌立ちまくり、涙腺ゆるみまくりでした。


それにしても納得がいかない点が。
なんでこんなに縮小上映やねん!!
公開は2月3日ですよ。
公開してる劇場は少ないし、やってるところも1日2回上映だし。
なんでこんなイイ作品を、もっと大々的に公開しないんや~!!

ちなみにMOVIX堺で観てきましたが、劇場は2番目に小さい劇場でした。
なんか映写機の調子が悪かったのが、画面が3秒周期くらいで明るくなったり暗くなったりを繰り返してたんだけど…。
まぁ、本編始まったら収まったのか、全然気にならなかったけども…。
ちゃんと調整してね。
ともあれ、お客さんは思った以上に入ってたんです。
ちょっとお年を召した御夫婦が多かったかな~。
やっぱ、高い年齢層の方にうけるんでしょうか?


バート・マンローという人物は、御近所にとってはいわゆる「変な人」だったみたいです。
そりゃ早朝からエンジンの爆音鳴らされりゃなぁ。
ところがバイク界では彼は結構な有名人。
地元では最速レコードホルダー。
バイク雑誌には何回か取り上げられ、地元の単車クラブでも英雄。
彼が情熱を注いだバイク「1920年型インディアン・スカウト」は、バートが21歳の時に購入して、以来42年間改造し続けてるという代物。

その「インディアン」の実力の片鱗が冒頭で観られます。
地元の暴走族?に勝負を吹っ掛けられ、受けて立つバート。
レースは浜辺を一直線に走り、折り返してスタート地点に帰ってきてゴール。
横一線に並んでスタートするも、インディアンのエンジンはストール。
その間にも暴走族?達は折り返し点に向かってまっしぐら。
「おいおい。お約束かよ。」と思うんだけど、ここからがすごい。
「押してくれ!!」と、周りの人に押してもらってエンジンスタート。
おしり振り振りで、なんとも頼りない走り出しなんだけど…回転上がればインディアンの真骨頂!
ロケットのような加速でアッという間に追い付き、暴走族を置き去っていくインディアン!!
スピードの次元が違いすぎます。
ここはニヤけが止まらないシーンでした。
ところがインディアンは「曲がる」ということを考えられていません。
一直線に走って最高速度を出すということだけに特化されてるんです。
ぶっちぎりで折り返し点にたどり着くも、曲がることが出来ずに転倒。
その間に暴走族達に追い抜かれ、結局勝負には負けてしまいます。
この抜かされるシーンがものすごくもの悲しいんですよね~。
バートの背中の寂しそうなことったら。。

バートの夢は世界最速に挑戦すること。
そしてスピードの聖地とされるのがアメリカ・ボンヌヴィル。
広大で平坦な塩平原のあるここで、年に1回、世界最速を競うレースが行われているんです。
ところがニュージーランドで年金暮らしするバートにとっては、アメリカはあまりに遠すぎます。距離的にも金銭的にも。
「生い先は短いが、この世を去るまでには世界記録に挑戦したい。」と語るバート。
ところがある日、心臓発作を起こし、病院に運ばれてしまいます。
自身の身体にガタがきていることを悟ったバートは、家を抵当に出して借金し、アメリカへの渡航費用を工面。
出発のその日、見送りに来てくれた人達はわずか。
誰も「世界記録を塗り替えられる。」と信じていなかったんですね。
「単車クラブのメンバーがもっと来てくれると思ってた。」と淋しそうに話すバート。
そこへ大挙して押しかけるいつぞやの暴走族。
「餞別だ。」と言ってお金を渡し、港まで送ってくれたのでした。
口ではボロクソ言いながらも、バートの実力に感嘆したんだろね~。
あと、やっぱバートの人柄故かな?

バート・マンローがこれまた、すごくいい「おじいちゃん」なんです。
演じるアンソニー・ホプキンスが、これまたすごくいい。
とても味のある演技で、バートのいい人ぶりを熱演しています。

別に本人は「いい人で居よう。」って意識してる訳じゃないんだけどね。
なんというか、周りを幸せにする人なんですね。バートは。
観てるこっちまで優しい気分になれるというか、幸せになれるというか。
彼と話してて最後まで機嫌悪かったのはタクシーの運ちゃんだけだったな…。

その人柄故、行く先々で好かれ、助けられるバート。
なにしろニュージーランドから船でロサンゼルスへ。
ロサンゼルスから今度は陸路でネバダ砂漠を越えてユタ州まで。
当時としては、63歳のおじいちゃんには大旅行ですよ。
おもしろいのは、人々との出会いを重ねていっても、バートは全然変わらないこと。
相手がどんどん優しい人になっていくんですよね。
こんなおじいちゃんになりたいな~。
やっぱ、夢に向かってまっしぐらっていうのが、人の心を動かすのかなぁ。

このバートを助ける人々の最大の見せ場は、やっぱレースの時ではないかと。
結局、みんなみんなバートを助けることになるっていうのが、なんとも心温まる~。

「そこに行けばレースに出れる。」と思っていたバート。
ところが実際はちゃんとエントリーせねばならず、その申し込みはとっくの昔に締め切られていたのでした。
途方に暮れるバート。
でも知り合ったばかりの同じ出場者が係員を説得してくれ、なんとか車両点検だけは受けれることに。
ところが42年間情熱を注ぎ込んできた愛車「インディアン」はガタガタのポンコツとバカにされ、バート自身も「年齢オーバー」と言われてしまいます。

それでも諦めないバート。
その姿に、やがて運営側の人達の心も動かされていきます。
「考えてみたら気の毒だ。わざわざ地球の裏側から来たのに。」と。
でも事故死者を出すわけにはいかない運営側は、バートとインディアンをテストすることにします。
「どうせ出たとしても112キロだ。」と…。
インディアンが前を走り、係員達のクルマが追跡するという形でテスト。
思った以上によく走るインディアンに、驚きを隠せない係員&支援者達。
150キロを超え、クルマはついて行けなくなり、やがてぶっちぎられます。
係員達は驚きの目で彼を迎え、バートのレース出場を許可するのでした。
もう、この辺のくだりはずっとニヤニヤしまくりで。

このデモランで「インディアン」の問題点を発見したバート。
それを改善し、いよいよレース当日を迎えます…。


バート・マンローという人は、とにかく純粋でまっすぐな人でした。
それが人を動かし、みんなを幸せにする。
観てるこっちまでが支援者のようになってきて、記録挑戦中の時は「いけっいけっ!」と(心の中で)叫び、手に汗握り…
こんなに入れ込んだ映画は久しぶりだ~



長々書いたけど、細かい説明は不要と思います。
…って、さんざあらすじ書いておいてなんだけど…。

観て感動してください。




…感動しすぎて、勢いでサントラまで買っちゃいました。
疾走シーンの曲を聴くと、無性にバイクに乗りたくなるッス。

ちなみにバート・マンローが1967年に打ち立てた世界記録は、未だに破られていないそうです。
すごっ。

幸せのちから

2007-02-07 21:14:39 | 映画
※当ブログは基本的にネタバレありで書いてるので注意してください。



やっぱ「大金を手にしたい」「成功したい」は誰しも思いますよね~?
一昔前は起業して成功した人をやんやと持ち上げてたけど、最近はそれもあまり聞かなくなりましたね。
やっぱホリ○モン逮捕辺りから変わった?

そりゃあ、ことらも「左うちわ」な生活は送りたいですけども、不満はあれど会社員やってて、それなりに安定してて幸せなんで、特に冒険しようとは思ってません。
…年収1千万には憧れるけど、それだけ稼ごうと思うと、きっと家庭が犠牲になるよね。
それだけは避けようと考えてるわけで。

ともあれ、そんな「億万長者」に憧れ、そして本当になってしまったクリス・ガードナーの物語「幸せのちから」です。
…当初は「しあわせのかたち」とごっちゃになって仕方なかったっす。
まだファミ通でやってるんだろか・・・?


夫婦の間は完全に冷え切り、収入は乏しく日々の生活に困る…というところから物語は始まります。
クリス(ウィル・スミス)は、医療機器のセールスマンをしているんだけど、これがまぁ、「詐欺に引っ掛かったよね?」って感じで…。
だって、会社勤めのセールスマンじゃなく、医療機器を大量に買い込んで、それを個人で売るんですよ。
昔、ミシンの訪問販売なんてあったけど、イメージ的にはこれに近い。
しかも、持ち歩いてる機械はデモ機じゃなく、契約できればそのまま商品として渡すんです。
この辺はアメリカの感覚ですかねぇ…。

この機械をよく紛失するんです。クリスは。
盗まれたり、落としたり。
そして運の良いことに必ず見付かる。
その度にウィル・スミス走る走る。
こんなに体力のある営業マンはそうそう居るまい。

税金は払えず、家賃も滞納。駐車違反の罰金すら払えないという毎日。
まったく売れない重い機械を片手に、ほとほと疲れていたある日、真っ赤なフェラーリが彼の目にとまります。
今の彼からすれば、フェラーリは夢のまた夢。
クリスは思わず、フェラーリから降り立った男性に声を掛けます。
「どうすればこんなクルマに乗れるんだい?仕事は何を?」
「株だよ」
この事をきっかけに、クリスの挑戦が始まります…。


証券会社に履歴書を提出するも、ほとんど相手にされず。
意を決して担当者に直接売り込み。
お金もないのにタクシーに便乗し、当時大流行だったルービックキューブを、目の前で解いてみせます。
このエピソードは、クリスが何かを持っていると感じさせるシーンで、結構重要だったかと。
ところがタクシー料金払うお金はありません。
大脱走です。重たい機械片手にウィル・スミス走る走る。
で、地下鉄に滑り込んで、代わりに機械を落としてしまう。
実はこれが伏線。このおかげで、後の最大のピンチを切り抜けられるんです。

現状打破というのがクリスを突き動かした最大の理由なんだけど、それからの彼はとことん不幸です。
奥さんは出て行ってしまい、アパートはあと一週間で出て行けと言われ、退居の猶予をもらうために引き受けた壁のペンキ塗りの最中、今度は駐車違反の罰金滞納で逮捕されてしまいます。
明日は大事な面接だというのに一晩拘留。
釈放されたのは面接時間の直前。
さぁ、ウィル・スミス走る走る。
身なりはとても面接を受ける姿ではないです。ドロドロの服で、身体はペンキだらけ。
しかしここからが彼の本領発揮。
「面接にシャツも着てこないような男を雇ったとしたら、君はどう思うかね?」
「…よほど良いパンツを履いていた。」
このユーモアで、クリスは面接合格を勝ち取ります。
ところが…面接合格とはいえ採用ではなく、半年間無給で研修を受けなければならず、その後採用されるのは20人に1人。
彼の頭によぎるのは息子のこと。
何があっても息子は養っていかなければならない。
それでも彼は研修を受けることを選びます。
半年間は困難が生活が続くけども、採用さえ勝ち取れば息子に楽をさせてあげられる…。
人生を左右する一大決心の瞬間ですね。

うまく回り出したと思ったらすぐに障害が出てきて、やることなすこと、とことん運がないんです。
それでもめげずにあがくことで、なんとか最後の最後に運を掴んでいくクリス。
諦めずに頑張れたのは、やっぱ息子・クリストファーが居たからだろうね。
なにがあっても息子だけは守るというのがとても感じられました。
状況は悲惨なんだけど、息子には悲惨さを感じさせまいと、努めて明るく振る舞うクリス。
守るべき物があると、人は強くなれるんだね。

研修中とはいえ、やってることは実務で、ひたすらクライアントに電話攻勢。
残業してでも多くのクライアントを確保した人が、採用に対して優位に。
そのクライアントも、個人クライアントよりは法人などの大口の方がいいのは自明の理。
ところが、せっかく大口クライアントのアポが取れたのに、雑用頼まれて時間に間に合わなかったのでした。
そこでどうするか?
クリスは、休日に機械のセールスをするかたわら、その大口クライアントの自宅を訪ねて謝罪するんです。
その誠実さが気に入られ、その場で契約は得られないながらも、強い人脈を確保することに成功。
この誠実さクリスの最大の武器なんだろな~。
人事への売り込みの時もそうだったし。
彼には「見習わなきゃならないな」と思わされることが多いです。

研修も順調、機械も全て売ることが出来、ようやく少し生活に余裕が。
ところが今度は、滞納してた税金分として全部持って行かれて、全財産が21ドルに。
とうとうアパートも追い出され、ついにホームレスに。
不幸すぎて泣けてきます。。
でも、捨てる神あれば拾う神ありで、教会がホームレス救済で宿を与えてくれるんです。
だけど、毎日早い者勝ちで、5時までに列に並ばなくてはならない。
クリスは早く切り上げるために仕事の効率化を図ります。
この辺も、周りの人とは何か違うと感じさせられるところ。
とにかく必死なんですね。

収入もなく途方に暮れてたある日。
地下鉄で落とした機械を発見。
ところが故障してて、そのままでは売り物になりません。
修理するには部品が必要。
なんと、血液を売って、それで部品を買って修理。
ホンマに身を削ってるな。。

そんなこんなで迎えた研修最終日。
クリスは人事の人達に呼び出されます。
「今日は良いシャツを着ているな。」
「今日が最終日ですから。」
「だが明日も良いシャツを着てくるんだ。明日が君の初日だからな。」
それまでの苦労が報われた瞬間。
クリスはなんとか溢れる涙をこらえるのでした。
このシーンはむちゃくちゃ感動的。
ちょっとやられたな~という感じでした。
このユニークな合格通知もなんともいいよな~。
一目散に保育所に向かい、クリストファーを抱きしめるクリス。
本当に良かったね。おめでとう。


…なんか延々あらすじを書いてしまいましたが…
作品的には「サクセスストーリー」というよりも、困難な状況の中での「親子の絆」の映画という印象です。
息子のためにがんばる父親と、その父親をひたすら信じる息子。
母親がおざなりになってるのが、女性視点ではツライかなぁ?
いや、このお母さんもかなり苦労したんですよ。ホント。

不満を挙げるなら、成功して裕福になった後の2人の生活をちょっとだけでも描いて欲しかったなと。
「この後どんな生活を送るようになったんだろう?」というところで終わるので。

パンフレットに書いてあるんだけど、実はこの映画は「事実に基づいた話」で、まるまる「実話」ではないそうです。
何とも微妙な言い回しだけど…。
ところどころ設定が変えてあるんだけど、それはクリス・ガードナー御本人も了承済みとのこと。
より映画的に仕上げたんだろね。
でもそんなに問題ないかと。
素直に感動できる映画でした。


・・・でも、あまりにウィル・スミス走る走るなんで「あれ?これってアクション映画?」みたいな。
あと、ウィル・スミスが見事にオーラを消していて、雑踏の中では「あれ?どこに居るんだ?」って。
その他の主演作品の時とは、明らかに雰囲気が違います。
考えてみりゃ、PRで来日した時もオーラが無かったような…。
消したのはいいけど、そのまま戻らない…なんてことはないよな。。

それでもボクはやってない

2007-01-28 00:04:16 | 映画
※当ブログは基本的にネタバレありで書いてるので注意してください。



ことらは毎日満員電車で通勤してます。
もう何年も前の話です。
その日は雨で、傘を身体の前に立てて持っていたんです。
とある駅でたくさんの人が乗ってきて、車内はすし詰めになりました。
前後左右身動きとれないほどの密着さで、気付けば目の前はこちらに背を向けたおばちゃんが立っていました。
しばらくして、そのおばちゃんがやたらこっちを気にするんですね。
よく見ると、傘の柄がおばちゃんのお尻に押しつけられてたんです。
その傘の柄は柔らかい感触の太いものだったんで…たぶん勘違いされてるなと。
何とかしようにも、なにしろすし詰めで身動きが取れません。
「勘弁してくれ~!」と思いながら、なんとかやり過ごしたのでした。

この時はおばちゃんが睨むだけで何もなかったんだけど、もし「痴漢!」と騒がれていたら…そんなことを考えながら観ました「それでもボクはやってない」。


今回は2回ぶりにMOVIX堺に観に行きました。
久しぶりなので「人の入りはどうなってるかな~?」と心配したのですが、フロアは人で溢れてました。
「何があったんだ?」と思ったら、今日は「幸せのちから」の封切り日。
案内観ると、残席数がかなり残り少なかったんで、みんなこれを観に来たんだなと。
うちらも近々観に行きます。

実はMOVIX八尾のイスは、合わなくてしんどかったんですよ。
若干背もたれが低くて、しかも頭の当たるところが膨らんでおり、頭の位置が決まらなくて困ってたんです。
MOVIX堺のイスは、背もたれが高くて、しかものっぺり。
おかげで頭の位置に苦労しません。
映画は長時間座ってなきゃいけないから、イスは重要よね~。

「それでもボクはやってない」の客層はなかなか興味深かったです。
通常のカップルはともかくとして、ちょっと御年配の御夫婦も多かったです。
でも一番面白かったのは、御年配でしかもまだ通勤されてる、ちょっとくたびれた(失礼!)お父様方が多かったんです。しかもお一人で観に来られてる。
「あなたも誤解された事あるんですか?」という感じ。

「痴漢で捕まったら、9割方犯人とされる」という話は知っていました。
ところがまぁ、9割どころか99.9%有罪となるとは…。

主人公の徹平は冤罪で捕まり、一貫して無実を主張するんだけど、刑事、検察、しまいにゃ裁判官までが、彼の主張に耳を貸しません。
それどころか、最初に接見した弁護士までが示談を勧める始末。

調書も名ばかりで、徹平(加瀬亮)は何も喋ってないのに、尋問する刑事がそれっぽくべらべら喋り、横に居る刑事がそれを元に調書を作成。
徹平はそれに署名させられ、拇印を押さされるのみ。
こうして作成された書類が、裁判においても重要な証拠となるんです。

「そんなアホな。」って思うけど、これはホントの現実みたい。

こじかはその昔ひき逃げにあったことがあり、被害者として調書を作成されたことがあるんだけど、その時の作り方もまさに、上記と同じ手法?で作られたそうです。
その間喋ったことと言えば「はぁ。はぁ。」だけだったとか。

案件が多すぎて、さっさと仕事を済ませたいというのは分からないでも無いけど、もうちょっと真面目に調べて欲しいよね。。
ホントの犯人ならば、それでもいいかもしれないけど…。
もし今回の映画みたいに冤罪だったとしたら…
毎日満員電車に乗ってる以上、自分が徹平と同じ状況に陥る可能性はかなり高いわけで。
そう考えると、「頼むから"犯人”と決めつけないでくれ!」と思いながら観てしまいました。

あと、裁判官の現実。
「無罪判決を出すというのは、国家権力に刃向かうこと」
無罪判決を出して告訴で覆され、何回かそれが続くと、その裁判官は左遷されるそうです。
そんなことがあるとね…やっぱ「無罪」は出しづらいでしょう。

はじめに担当してた裁判官は比較的被告の話を聞いてくれる人で、「あれ?もしかしたら無罪になる?」って感じだったのに、途中で裁判官が代わるんです。
これも珍しいことではないとか。ホントかよ。

その代わった裁判官演じるのが小日向文世。
しかも”公助”ではなく”柳亭小しん”だったので「あ。ダメだ。負けた。」と思いましたね~。

役所広司演じる荒川弁護士は、すごく頼もしい弁護士で、法廷では一番頼れる味方って感じでした。
設定によると荒川弁護士は元裁判官とか。
今の裁判制度に嫌気が差して弁護士になったのかな?
現実を憂えながらも、なんとか裁判を変えていこうと奮闘しているように思えました。

それにしても、この作品で描かれる問題はホントに怖い。
裁判で争うよりも、示談ですませた方が楽かな?と、真面目に考えてしまいました。
だって、示談にしたら罰金五万円と半日の拘留で釈放ですよ。
否認し続けて裁判になったら、何日も拘留されて、保釈金200万。(徹平の場合)
裁判費用は有罪になったら全て被告持ち。
さらに弁護士費用やら、なんやらかんやら…。
拘留されてる間は仕事にも行けないし、精神的にも病んでくるよね…。
でも示談にすれば前科1犯…。
人ごとじゃないと思うから、ますます悩んでしまいます。。

これは恐怖映画ですよ。
しかも、
満員電車で通勤・通学する男性ならば、例外なく誰もが直面する可能性のある恐怖
です。

ドキュメンタリーでもありますね。
延々と裁判のシーンが続くので、はっきり言ってエンターテイメント性は皆無です。正直、長い。
「笑える映画を作ったつもりはないのに、客席から笑い声が上がって困惑した。」(うろ覚え)
みたいなコメントを周防監督がされてたので、もしかしたらコメディータッチなのかな?と思ったんだけど、はっきり言って笑えるシーンは、山本耕史演じる徹平の友人が”ピーポくん”の看板を傘でぶっ叩こうとして、警官に気付いて止めるトコくらいでした。
観て「面白かった~」って映画ではないけど「勉強になったな~」と思える作品です。陪審員制度の導入もあるし、今の裁判の現状を知るためにも必見の映画かと。


「男性専用車両」は勘弁願いたいけど、少なくとも女性の近くには居ないように注意するのがいいかな…。

インファナル・アフェア

2007-01-23 23:19:29 | 映画
※「インファナル・アフェア」「ディパーテッド」のネタバレを含むので注意してください。



ディパーテッド」鑑賞後にどーしても観たくなり、Ⅰ・Ⅱ・Ⅲと続けて観てしまいました「インファナル・アフェア」。
いやぁー、「ディパーテッド」観に行く前に「インファナル・アフェア」観なくて良かったー!
もうね、作品の重み・深みが全く違うんですよ。
「インファナル・アフェア」観た後だと「ディパーテッド」は完全に霞んでしまいます。
というより、全く印象が無くなっちゃった…。


考えてみれば「インファナル・アフェア」はアジア圏の映画。
人生観・死に対する考え・宗教観などに共感できて当たり前。
「ディパーテッド」はキリスト教圏の映画。
うちらが共感できないのは、むしろ当然かも知れません。
逆にアメリカの人達は「ディパーテッド」には共感しても、「インファナル・アフェア」はダメかも知れない。
「インファナル・アフェア」は生きている方が、死ぬよりもつらいという映画。
「ディパーテッド」には、その考えがまったくなかったです。
コリンはあっさり死んじゃったけど、ラウは植物状態になっても、まだ生きてるからね…。
「無間地獄」という考えは、仏教圏以外の人達には理解できないのかもしれないですね。

だからって「インファナル・アフェア」はそんな思想的な映画では、まったくありません。
作品の一要素として、そういった考えがあるという事。
作品自体は、最初から最後まで、全く息つく暇もないほどのサスペンス。
緊張感が全く解けないが故、観ててものすごく疲れます。イヤな疲れじゃないけどね。
102分という、どちらかと言えば短い映画なのに、見終わった後は3時間くらいの映画を観たような満足感・疲労感。
ほとんど全てのシーン、台詞の一言一言、全部が重要であり、伏線でもあるんです。
だから気を抜いて観てると、訳が分からなくなる??
…いや、そんなことはないな。冒頭だけでどっぷりと「インファナル・アフェア」の世界にはまり込むから。

登場人物一人一人がものすごく深いんです。
ホントにみんな必死で生きてる。必死故に、殺し、殺される。
この哀愁が「インファナル・アフェア」の最大の魅力かな…?

「インファナル・アフェア」シリーズで言うなら、ヤン(トニー・レオン)・ラウ(アンディ・ラウ)・サム(エリック・ツァン)・ウォン(アンソニー・ウォン)の4人が主役。
「インファナル・アフェアⅠ」で言うなら、その4人の中で、ラウがちょっとだけ比重が高いです。
マフィアの”イヌ”として警察学校に入学する前、ラウはサムに「自分の道は自分で決めろ」と言われます。
この言葉が、のちのち大きな意味を持つ。
サムからの情報のおかげもあって、どんどん手柄を上げて出世していくラウ。プライベートでは結婚も控え、まさに絶頂期。
ところが、それまでは「警察に潜入したマフィア」だった彼が、彼によくしてくれていた(であろう)ウォン警視の死を境に、心情が変化します。マフィアであることを捨て、警官として生きること選んだ彼は、ヤンと組んでサムを撃ちます。
その時のセリフ「これが俺の道だ。」
ところが、ここからラウの全てが崩壊していく…。
カッコイイよなぁ。「ディパーテッド」にはこんなの無かったよなぁ。

意外なことに、ラウとヤンはしょっちゅう顔合わせるんです。
中でもステレオのエピソードは秀逸。
ヤンが取り立てに行って?たまたま店番頼まれた時に、ラウが客としてやってきます。
「このアンプを試したい」
2人で腰掛け「どうだ?いい音だろう?」
「この曲ならこのケーブルだ」
「な?」
この時の唖然とするヤンの表情は最高!
なにがもしもしだ…」に匹敵するな~。
実はこのエピソードも軽い伏線。
サムを倒した後の再会で
「あんたか。」
「ステレオの調子はどうだ?」
こんななにげ無い会話が人物に深み与えるんだよね~。
でもこの伏線で一番ビクッとするのが、ラウとサムの会話を録音したCDを送りつけた後のヤンの台詞。
「いい音質だったろう?」
これだけで、和やかだったエピソードに、一気に緊張が走ります。
やっぱ、よく映画を分かってるスタッフだなぁ…と。
なんでこのエピソード省略したんだ?「ディパーテッド」は。

トニー・レオンとアンディ・ラウ。
2人とも、ものすごく哀愁を漂わせてるんです。
これがキャラクターに深みを与えてた。
残念ながら、マット・デイモンとレオナルド・ディカプリオには、ここまでの哀愁は出せなかった。
でも、若手のショーン・ユーとエディソン・チャンも哀愁漂わせてたのよねぇ…。
ひょっとすると、西洋人の哀愁を感じ取れなかっただけ??
でも「ボーン」シリーズのマットはすごくもの悲しいよなぁ…。うーむ。

ウォン警視に該当する人物が「ディパーテッド」には居ないというのは不満。
「インファナル・アフェア」においては物語を引っ張るキーマンだけに、なんでこのキャラクターを設定しなかったのかと、かなり疑問に思いました。
でもジャック・ニコルソンの圧倒的存在感を観ると、ウォン警視に当たる人が居なかったっていうのは良かったのかも?
これで双璧なせる人が居たら、ちょっと濃すぎるよね。
とにかく、アンソニー・ウォンの渋いオッサン振りが、非常にカッコイイんです。
職務に忠実なのか、一癖も二癖もあるのか、謎な雰囲気持ってるのもいい。
実際はとんでもなく癖あるんだが。
でも、ヤンの誕生日をちゃんと覚えていて、時計を贈ったりもするんです。
優しさと厳しさを持った好中年。
Ⅰでは物語半ばで死んでしまうんだけど、とても印象に残る人物です。
ことらのアンソニー・ウォンのイメージは「ウォン警視」なので、「頭文字D」の文太のダメ親父っぷりはもう大爆笑でした。
原作ファンは「こんなの文太じゃないっ!」ってかなり憤ってる方が多いけどね…。
こういうのもアリだと思うんだけどな~。ダメですか?

ジャック・ニコルソン演じるコステロが放っていたのは、圧倒的な殺気。
エリック・ツァン演じるサムが放つのは狂気。飯喰ってるだけで怖い。
一見ものすごく人の良さそうな感じなんだけど、ちょっと凄み利かすだけでめちゃめちゃ怖い人になる。
普段は明るいサムだけど、実はめちゃめちゃ哀しい人物。これはⅡで明かされます。
コステロとサムは、もう全然ちがう役どころなんだよね。
サムの方が人間ぽくって好きかな。

ウォン警視とサムが、かつては仲が良かったというのが、Ⅱで分かる意外な事実。
サムがただのチンピラだったら、たぶんその仲は続いたんだろうけど、サムは周りの状況から、ボスにならざるを得なくなった。
そこまで大物になってしまうと、必然的に警察とは仲が悪くなる。
Ⅰでは、どちらが先に殺すかっていうくらい険悪な仲。
これも人の悲哀だね。
「昨日の敵は今日の友」なんて言うけど、その間逆よね。
日常でもそういう事ってよくあるよなぁ…。
特に昨今、兄が妹殺したり、妻が夫殺したり…やだやだ。

見直して驚いたのが、”もうひとりのイヌ”が、ちゃんと潜入としての行動を行っているところ。
何気なく観てると見落とすんだけど、携帯で無線の周波数を教えようとするなど、結構無謀なことしてるんです。
よく見付からなかったもんだ。

「ディパーテッド」では省かれたモールス信号。
この一連の描写はホントに見事で、物語にものすごい緊迫感を与えてたのに…残念。
ヤンがモールス信号をウォン警視に送り、その通りに指動かすウォン警視をラウが見つめ、それを解読してサムに送る…。
この騙し合い観てるだけで、緊張感がめちゃめちゃ高まります。
いったいどんな展開になるんだ??って、ホントに息つく暇もない。
「インファナル・アフェア」の山場のひとつですよ。本当に。

心臓弱い人は観ちゃいけないんじゃないか?と思うくらい張り詰めた空気の中、唯一ホッとさせてくれるのがキョン。
「頭文字D」ではものすごくウザいイツキを演じたチャップマン・トウが演じてます。
イツキはアレだけど、キョンはものすごく味のあるキャラ。
自分で「バカのキョン」と言いながらも、決して軽くない。
ヤンの正体を見抜きながらも「早く逃げろ」と見逃したり…。
ヤンとキョンは、実はかなり信頼関係があった…少なくともキョンはそう思ってたと思うんですよね。
兄弟分というか。
刑務所時代からの仲で、2人で修羅場くぐってきて。
正体分かった時はそりゃあショックだったろうけど、それよりも救いたいと思ったんだろうね。
とてもいいヤツでした。合掌…。



1作目に関しては、こじかはちゃんと劇場で観たんだけど、ことらは知らなくて、こじかがDVD貸してくれて初めて観たんです。
もう絶句。固まっちゃいました。
「なんちゅう映画や…。」って。
瞬きする暇もないってヤツかな。
世の中、まだまだ隠れた名作があるもんだ…と感心したのでした。
音響の作り込みも秀逸で、シアターシステムで観ると大迫力!なんです。
故に余計に怖いんだが。銃の音や爆発音は本当に怖い。
だからかどうかは分かりませんが、観るのにかなりエネルギーが要るんですよね。
単に入り込みすぎなだけかもしらんが…。
度々観たくなるんだけど、そう簡単に手が出せない。
観るときは「観るぞ!」と気合い入れて観る。そんな映画です。


アンディ・ラウは、ブラッド・ピットとジョニー・デップにラウとヤンを演じて欲しいと思ってたそうです。
これは是非観たかった…。
それはともかく、マットとディカプリオは配役逆だったよな…と思ったり。
マットがヤンで、ディカプリオがラウの方が合ってたよね。
ちなみにアンソニー・ウォンは、自分の役をジャック・ニコルソンが演じると思っていたそうです。
これはこれで怖い警視になるな~。

ディパーテッド

2007-01-21 02:10:24 | 映画
※当ブログは基本的にネタバレありで書いてるので注意してください。
 特に今回はネタバレが多いので要注意!



名作「インファナル・アフェア」のハリウッドリメイク作品「ディパーテッド」です。
「インファナル・アフェア」オタクのうちらとしては、リメイクが決まった時から、非常に気になる映画でした。
オリジナルをよく知ってるので、「どんな映画なんだろう?」という期待感よりも「どんな焼き直しをしたんだろう?」という興味本位だった訳ですが…

「ディパーテッド」って言葉は、劇中では「死者」と訳されてました。
「インファナル・アフェア」は「無間地獄」。
「ディパーテッド」の内容は「無間地獄」ではなかったので、「ディパーテッド」というタイトルは納得できるかも…。
結果的にこれが2作品の深みの差になった気はするけどね。

この作品R-15指定なんです。
うちらはダブルスコア以上なんで、何の問題もないですが。
「暴力シーンが多いからだろなぁ」と思ったら、まさにその通り。
エロはそんなにありません。
まぁ、血飛沫が飛ぶ飛ぶ。
人によっては気分悪くなるかもしれません。
そのおかげかどうか分からないけど、初日にしてはガラガラでした。
今回行ったのは、いつもと違ってMOVIX八尾。
ショッピングモールと併設してるんで、MOVIX堺よりは大分人が多いんだけど、それでもこの映画はガラガラ。
スロースタートなんかな??

そのR-15が絡んでるかどうかは分からないけど、全編にわたってセリフが下品です。下ネタの嵐。
アメリカの人達の一般的な会話ってのはこうなんでしょうか?
そんなことはないかもしれないけど、ちょっと鼻につく感じでした。

ネガティブな話から入ったけど…作品としてはかなりおもしろかったです。
完全に予想を裏切られましたね~。
「オリジナルは超えられまい。」って頭で観に行ったんだけど、それをガツンっとやられた感じ。
脚本も構成もすごくよく練られてました。
こりゃ脚本賞取るわって感じ。
観るまでは「リメイクの映画で脚本賞はアカンやろ~」とやいやい言ってたんだけどね。
故にラストの方の力尽き感が惜しいんだけど、それは後述…。

オープニングがすごくカッコイイんです!
コステロ(ジャック・ニコルソン)の語りから始まるんだけど、この辺りの渋さは「インファナル・アフェア」には無かった部分。
これで完全に引き込まれて、しばらくはリメイクだって事を忘れてしまったのでした。
そこでもちょっと語られてるんだけど、この作品の根底には「人種による性格の差」(かな?)みたいなのがずっと流れてます。北部と南部の差とか、アイルランド系の人達が抱えてるものとか。
「白人と黒人」という分かりやすいものじゃなく、もっと根深い何かです。
この辺のことに全く疎いので、いまいちよく分からなかったんだけど、詳しく知っていれば、もっと深く映画に入り込めたかもしれません。
前述の下品なセリフとか、この差別意識とか、この辺りはアメリカテイストですね。
凄くよく盛り込んだな~と思います。
下ネタは「いい加減にしてくれ」だったけども。。。

「インファナル・アフェア」ではヤン(トニー・レオン)・ラウ(アンディ・ラウ)・サム(エリック・ツァン)・ウォン(アンソニー・ウォン)の4人が主役だったと言えると思うんです。
このバランスは絶妙だった。
「ディパーテッド」ではもうちょっと焦点が絞り込まれてて、ビリー(レオナルド・ディカプリオ)とコステロ(ジャック・ニコルソン)の2人が主役だったな…と思います。
マット・デイモンはこの2人に喰われちゃって、ちょっと存在感が薄かったなぁと。
これは彼の問題じゃなく、演出する側の見せ方の問題だと思うんですよね。
ラウの役柄にすごくはまってましたよ。マットは。
彼以外に誰がこの役出来るんだ?ってくらい。
でも、アンディ・ラウほどのはまりっぷりではなかった。
見せ方の問題もあって、ちょっと割喰っちゃいましたね。
故に賞にもノミネートどころか候補にすら挙がってないし…可哀想じゃないか。
正直「居なくてよかったんじゃ?」と思うマーク・ウォールバーグですら候補に挙がってるってのにねぇ。

そのマーク・ウォールバーグがウォン警視に当たる役なのかと思ったら、全く違うんですよ。
ただの悪態つきで、最後にコリン(マット・デイモン)を撃つという、それだけの役。
しかも、そんなに出てこない。
なんか無理矢理配役したなぁ…って感じで。
この人、顔が善人顔だから、悪態つくのが合わないんですよね。
ミニミニ大作戦」での良きリーダーってイメージが強いせいかもしれないけども。。
ちょっとイヤーンな感じでした。

ディカプリオとジャック・ニコルソンは、これはもう文句の付け所がないくらい良かったです。
ディカプリオは、警官になるべくがんばってる時と、潜入捜査官となってマフィアに居る時の表情の演じ分けが完璧で、ホントに鬼気迫ってました。
冒頭、ディグナム(マーク・ウォールバーグ)に生い立ちをなじられるシーンがあるんだけど、その時にだんだん表情が、新人警官からスラムのゴロツキに変わっていくんですよ。
これは「デスノート」の藤原竜也の善ライト悪ライトの演じ分けを観た時と同じくらい衝撃的でしたね。
いつ自分の正体がバレて命を狙われるか分からない…という追い詰められ感・必死さ・焦り等々も十二分に醸し出していて、これに関してはトニー・レオンよりも良かったんじゃないか?と。
あちらの人達はアジア圏の人よりも表情が豊かだからかもしれないけど…。

ジャック・ニコルソンは、もう、ただただ圧倒的。
ニコニコしてても、全身から殺気を放ってるんです。
これには共演陣も参ったんじゃないかと。
「俺ホントに殺される?」って思ったんじゃないか?
サムの役所なんだけど、サムはここまで圧倒的な存在感は出してなかったよね。
でもニコルソンの圧倒的さがいいスパイスになって、「インファナル・アフェア」との差別化が図れたんじゃないかと。
出演者達のすばらしい演技はジャック・ニコルソンが引き出したと言っても過言じゃないかも。

「おっ」と思わされたのは、ビリーとコリンが、同じ女性を愛したってこと。
「インファナル・アフェア」ではそれぞれ別々の女性を愛したからね。
でも「おぉ。これはすごい展開になりそうだ。」と思わせておいて、実はこのエピソードはあっさり終わっちゃう…。
なーんか詰めが甘いぞぉ。
ラストの対決辺りでこのこと絡ませれば、もっと深い人間ドラマになっただろうに~。残念。

もうひとつ驚いたのは、コステロがFBIに通じてたってこと。
これはオリジナルには無かった設定。
マフィアのボスがFBIと通じてて、お互い美味しい汁吸ってるっていうのは、かなり衝撃的でした。

実はオリジナルを知ってると、かなりツッコミどころが多いんです。
しかも「このエピソードは重要なんじゃ?」というところが結構省略されてたりする。
個人的に一番残念だったのは、コリンが「警官になろうとしなかった」ってこと。
ラウは警官を装うっているうちに、だんだん本当の意味での警官に目覚めていき、そうなろうとしてサムを撃つんだけど、コリンはそうじゃなかった。
最後の最後まで「警察に潜入したマフィア」でした。
コステロ撃つのも「警官になろうとして」じゃなく「FBIに俺を売ったのか?」って理由だし…。
「インファナル・アフェア」はラウが「警官になりたい自分」と「マフィアである自分」に悩み苦しむ姿が延々と描かれてるんです。だから「無間地獄」「インファナル・アフェア」。
これが制作者が一番描きたかったところなんだろうけど、リメイクではそこがあっさりすっ飛ばされてる。
コリンはそんな悩み無く、最後はあっさりと撃たれる。
これはかなり残念。

ビリーがマドリンに封筒渡すエピソードも、オリジナル知らない人には意味不明だろうなぁ…。
そのあとのフォローも全く無いし。
いや、オリジナルにもあんなシーン自体は無いんだけども。モノローグで語られるだけで。
この辺りから、だんだん駆け足になってきて、内容が薄くなってくるんです。
それまでがかなり濃密で、観る者をものすごく引き付けてたのに。
ビリーを撃つもう一人の”ネズミ”は唐突に出てくるし、コリンを撃つディグナムも、何の脈絡もなく突然出てくる。
せめてマドリンとディグナムを接触させて、受け取った封筒から真実を知って~ということにすれば、ラストの薄さもマシになっただろうに。
さらに言うなら、コリンに「警官になりたい」って言わせておけば、最後にディグナムとやり取りも出来ただろうし、そうすればもっと深みが出たのになぁ…なんて考えたり。

まぁ、これらのツッコミはオリジナルを知ってるが故に出てくるもので、知らなければ、この作品は近年まれに見る、面白いハリウッド作品ではないかと。
あとから気付いて興味深かったのは、「インファナル・アフェア」は102分しかないのに、3時間くらいの映画を観たような満足感と疲労感があったんです。
いい意味ですごく長かった。(実際は短いんだが)
「ディパーテッド」は152分。
長いとは思わなかったです。2時間くらいの感覚だった。
かたや102分を3時間と思い。
かたや152分を2時間と思い。
この差はなんなんだ?

ともあれ、想像してたよりもかなり面白かったです。
全く期待せずに観れば、十分に楽しめる作品ではないかと。
うちら的にはお勧め!


…それでも、ラストシーンに出てくるリアルネズミだけは許せん。
アレで一気に興醒めしちゃったぞ。
あんなアメリカンジョークは要らん。
せっかくいい作品なのに…。

鉄コン筋クリート

2007-01-11 17:38:08 | 映画


観て来ました!鉄コン!!
映画館で予告を観て気になってて。
原作は未読。
主役の二人の声がすごくイイ感じだったので、ことらさんと観ることに。

前知識は全くなし。予告のみ。
実は始まる前に少し眠気があったので、つまらんかったら寝てしまうかも・・・。
という不安があったのですが、なんのなんの。

鳥肌!!!ですよ。
オープニングからもう、良い意味で裏切られたっていうか。
やられた。
飛ぶんですよ。彼ら。
衝撃的でしたね。すべてが。

それからなんか金縛りにあったみたいに体が固まった。

ただ、観たあとに爽快感はなかった。
あとでジワジワとせまってくる感じ。
感動!!

あ~、好きだな。こういう映画。
ハマッた。

作り手の真剣さがビンビンに伝わってくる。
監督、スタッフ、キャスト。
全員がこの作品を愛しているのが観ていてよくわかる。

好き嫌いの分かれる作品だと思うけど、観ようかどうか迷っている方には是非観てほしい。
ストーリーを追うのではなく、感じてください。

しかし二宮和也と蒼井優には驚かされた。
声だけでこんなに表現できるものなのか。
二人とも完全に”シロとクロ”だったと思う。
個人的には”ネズミ”も捨てがたい。

~早速、原作を購入。
一気読みしました。忠実に映画化されていると思う。
原作を読んでみて、もう一度観たいって思った。



音楽も素晴らしかったので、サントラも購入。
印象的に使われていて、映像とイメージがすごく合ってた。



ちなみに、インターネット版の予告では二宮和也の声は流れません。
ジャニーズさん、ちとやり過ぎでは・・・
規制しすぎでしょ。