この頃は筑波山の登山に精を出しています。昨日(4/25)は、今年19回目、今月に入って10回目の筑波山登山を終えました。そのことについての老人としての所感を少し述べたいと思います。
昨年の春に、TVで三浦雄一郎さんの80歳でのエベレスト登頂チャレンジの話を聞いて感動しました。その時は未だ三浦さんは登頂に出発する前でしたが、この方は必ず成功するに違いないと思いました。私が感動したのは、チャレンジする意気込みなどではなく、チャレンジのための周到な準備と、とりわけて己に課した鍛錬の厳しさでした。話によれば、彼は毎日20kgもの負荷を身体に課しての歩行訓練をしているとのことでした。スキーなどの冒険を止められて、70歳代になる頃は、一時はメタボだらけの身体になってしまったものを、新たな志を立てられてエベレストの登頂を目指して鍛錬を始められたとのことでした。見事75歳での登頂を果たし、今度は80歳でのチャレンジということです。
感動した私は、その翌日から自分も身体を鍛えようと、リュックなどの他に全部で約15kgほどの負荷を身に付けての歩行鍛錬を始めたのでした。自分はエベレスト登頂など大それたチャレンジはおろか、富士山にさえも登ろうなどとは思っていませんが、老の身体をなるべく長持ちさせるためには、ただ歩いているだけではダメで、負荷を掛けないと心身共に鍛えられないのだということを教えられた気がしたのです。思い立ったらすぐ実行は、我がモットーの一つですが、特に残された時間が少ない今では、考えている暇などありません。
リュックの中に毛布にくるんだ鉄アレイなど10kgほどを入れ、両足にそれぞれ1kgのウエイトの布を巻き、両手に各1kgの鉄アレイを持っての登山靴での歩行から開始しました。毎日早朝に1カ月ほど続けて、身体も慣れて来たので、少し負荷を増やしたりしながらやっていたのですが、何しろ歩くだけでは単調なので、登山を考えるようになりました。40kmほど離れたところに筑波山がありますので、行くとすればここしかありません。そうして登り始めたのが、昨年の5月でした。勿論登山しない日は毎日の歩行鍛錬は日課として続けてきました。昨年は登るチャンスが少なくて、結局12回しか登れませんでしたが、今年は出来れば50回くらいは達成してみたいと考えています。
最初の頃は鍛錬しているとはいえ、歩きと登山とでは身体を使うその内容が違います。登山の後、身体の思わぬ部位が痛くなったりして、必ずしも鍛錬の成果は確認できないものでした。昨年は登山回数も少なかったため、せっかく登山用に筋肉が馴れ出した頃に又しばらく中断が続いたりして、なかなか思う様にはゆきませんでした。しかし、身体の力が以前よりは強くなったのは、例えば登山での呼吸などが殆ど気にならなくなったことでも確認でき、自信は深まりました。
今年は3月に内孫が生まれ、家の中にも賑やかな落ち着きが訪れましたので、4月に入ってから登山を本格化することにしました。初めは登山の日毎に車で筑波山麓まで往復していたのですが、先週からは旅車で行くことにし、泊まりがけで連日の登山にチャレンジするようにしています。こうなると、日に2回の登山も可能になりますし、決まったコースだけではなく、幾つかのコースを組み入れて、登山に変化を加えることも可能となります。ということで、今はその試みを楽しんでいるところです。
先日2泊3日の日程で、4回の登山を行った話を知人にしたら、超人だなどといわれました。また、昨日は別の知人からのメールに、今筑波山麓に居て、明日早朝は暗闇登山をするつもりだと伝えたところ、70歳を過ぎた爺さんが闇の中を歩き回って事故を起こさないかい?などと妙な心配をされてしまいました。これらのコメントをひっくくると、どうやら自分はクレイジー・オールドの部類に入るようです。
ところで、31回の登山を通して感ずるのは、筑波山には自分以上に、この山の魅力なのか、或いは妖力なのか、何ものかに取り付かれたように登っている人が何人かおられるということです。今朝(4/25)は4時少し前に登山を開始し、7合目辺りで夜が明けて来たのですが、4時45分のその頃に、早や下山をして来る老人に出会いました。密かに今日は自分が一番乗りかもしれないと思っての登りでしたが、この方の存在には驚くばかりです。老人と言いましたが、自分とほぼ同じ世代の方ではないかと思います。この他、飛ぶように登ってゆく自分よりも歳上に違いない老婦人や腰の曲がった80歳代と思しき爺さま等など、様々な高齢者の存在に驚くばかりです。自分は毎回登山の記録をまとめて、ブログなどに掲載しているのですが、今年に入ってたった19回の登山などは、これらの先人の方々から見れば、真にチャンチャラ可笑しいということになるに違いありません。恐らく今年に入ってほぼ毎日登っている方もおられるでしょうし、日に二度ならず三度登っているという方もおられるのかもしれません。あれほどの速さで登り降り出来るというのは、週一程度の登山では出来ないように思えるからです。
これらの方たちは明らかにクレイジーオールドだと思います。しかし、クレイジーの中身は健康のコンセプトに包まれているように思います。私なんぞは、まだまだその仲間入りには遠い存在のように思えます。大いなる憧れですね。これからチャレンジを重ねて、筑波登山の本物のクレイジーオールドになれることを目指したいと思っています。
今朝(4/25)筑波山女体山脇からのご来光。これは、男体山へ登る途中に撮ったもの。この季節のご来光は霞の中にあって、朧に染まっている。