蓬 窓 閑 話

「休みのない海」を改題。初心に帰れで、
10年ほど前、gooブログを始めたときのタイトル。
蓬屋をもじったもの。

女王たちのセックス

2017年09月06日 | 読書

『女王たちのセックス』エレノア・ハーマン(高木 玲訳)

ネットより借用(図書館で借りて読んだので)


 なんともすごい題名だが、けっしてそうではなく(なにが?)、ヨーロッパ史の流れや国と国との政治関係が分かりやすい。
 つまり王妃という地位にある女性の男性関係を知ることで、その国の歴史を知ることができる。
 
 中世から二十世紀のダイアナ妃に至るまで、なんともお元気なお妃さまたちである。男性なら“お盛ん”だと言われるものだ。古い時代にあってなお、お盛んに過ごした彼女たちに拍手を送りたい。
 
 しかし、古い封建社会であったればこそ、顔を見たこともない他国の王あるいは皇太子に嫁がざるを得なかった女たちが自分に正直になったとき、比類のない恋が生まれ、熱く燃えあがる。
 
 王妃であるから、王がおバカさんだったりすると、自ら権力をもち、寵愛する男に高い地位を与え、国の政治まで変えてしまう。
 寵愛された者は、威張るだけの凡庸な男もいれば、志高く国を治める男もいた。王妃以外に女をつくる男もいれば、アントワネットの相手フェルゼン伯爵のように一途な愛を抱いた男もいた。

 面白かったのは、十八世紀のロシアが偉大なる田舎であったことだ。
 欧州に追いつけ追い越せと、宮殿が造られ、都市が整備されていくが、その人間関係のすさまじいこと。

 なんだかんだと言っても、古今東西、男と女、権力の興亡はあり、歴史は繰り返されるということか。
(昔のブログより再掲。2013年11月07日 )


 その後、「王たちのセックス」もあると知り、これは購入して読んだ。
 男性の場合は、権力争いも女漁りも当たり前という観念からか「女王たち…」ほど面白くはなかった。
 
 「デユ・バリー夫人の居室を訪れるルイ15世」1874年、ベンツア・デユドロ作 

 寵姫たちの肖像画がとても美しい。
 シンプソン夫人やカミラ夫人になると写真である。
 肖像画は、画家の理想も加味されていたかも、とふと思う。



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