オータムリーフの部屋

残された人生で一番若い今日を生きる。

危険な高齢者

2019-04-26 | 社会
「人生100年時代」といわれるが,平均寿命と健康寿命の差(ギャップ)が問題となる。平均寿命から健康寿命を差し引いた“日常生活に何らかの制限がある期間”が、男性で約9年、女性で約12年間ある.
加齢に伴い、体のさまざまな機能が衰えていく。その変化のペースをできるだけ緩やかにし、機能低下を予防していくのが大切だ。
 
近頃、高齢者が加害者の交通事故が頻発している。運転技術に自信を持っている高齢者が多く、確実に自身に対する認識が甘くなっている。
私たちが持つ高齢者のイメ-ジは70代である。高齢でも認知機能に問題はなく、体力は弱ってきても日常生活に支障はなく、自立して生活できている。多くの高齢者の場合、いくら年をとっても認識の上ではいつまでも70代。よぼよぼの高齢者と自分を重ね合わせることはない。80代になれば、単なる高齢者ではなく、フレイル、サイコペニアとなり、ロコモティブシンドロームが発症してくる。しかし、それらの症候群の対処法どころか、意味の違いすらも認識していない状態だ。自戒をこめて、今日は詳しく調べてみたい。
 
フレイル
フレイルとは、「虚弱、衰弱」を意味し、加齢とともに筋肉や認知機能が低下して、要介護や死亡の危険性が高い状態。健康な状態と要介護状態の中間と考えるとわかりやすい。
独居や閉じこもり、嚥下機能低下(サルコペニア)、低栄養状態となり、うつ、意欲・判断力・認知機能低下が顕著となる。3つの中で一番大きな概念である。
 
判断基準
・体重の減少(6か月で2~3kg以上)
・疲れやすい
・歩行速度の低下(1.0m/秒未満)
・握力の低下(男性:26kg未満、女性:18kg未満)
・身体活動の低下(軽い運動あるいは定期的な運動をしていない)
上記のうち3項目以上に該当する場合は、フレイルに該当。なお、1~2項目の場合はフレイルの前段階・プレフレイルに該当する。
 
 
サルコペニア
言葉の意味は筋肉の減少。加齢に伴う筋量・筋力の低下と定義され、「加齢性筋肉減少症」と訳されることもある。食べ物を噛む咀嚼筋群、食べ物を口から喉に送り込む舌下筋群、逆流しないようにする食道括約筋なども関与する。誤嚥を頻発し、肺炎を引き起こす。転倒のリスクも高まる。
 
人間は一日の間に筋肉の合成と分解を繰り返している.成長期では合成が分解を上回り、十分な量のタンパク質の摂取により筋肉は増加していく。高齢者においては食事量(とくにタンパク質の摂取量)や運動量の減少により、筋肉の合成量が低下し、合成が分解を下回ることで、筋肉量が減少する。70〜80歳代では、20〜30歳代と比べて約30〜40%の骨格筋量が減少する。
 
骨格筋量の減少に加えて、握力や歩行速度の重要性が認識されるようになってきた。
ヨーロッパの研究グループは「筋量と筋力の進行性かつ全身性の減少に特徴づけられる症候群で、身体機能障害、生活の質(QOL)低下、死のリスクを伴うもの」と定義している。
 
さらに日本人の高齢者に合わせたサルコペニアの簡易基準案が国立長寿医療研究センターによって作成されている。
65歳以上の高齢者
歩行速度が1m/秒未満、もしくは握力が男性25kg未満、女性20kg未満であり、さらにBMI値が18.5未満、もしくは下腿周囲径が30cm未満の場合にサルコペニアと診断される。
 
 
ロコモティブシンドローム
運動に関わる骨、関節、筋肉、靭帯、腱、神経のことをまとめて運動器という。運動器の障害のために移動機能が低下した状態を指す。2007年に日本整形外科学会が提唱した概念で、メタボリックシンドロームに対して、考え出された。ロコモに至る原因としては、骨折や骨粗しょう症などの骨の障害、変形性脊椎症や変形性関節症といった関節や椎間板の障害、そしてサルコペニアや麻痺などの筋肉や神経の障害がある。つまりロコモはサルコペニアを含む状態であり、同時にフレイルの一部にロコモは含まれる。
 
ロコモの判定には、移動能力に関わる「立ち上がり動作」と「最大歩幅」が重視される。
下肢筋力を調べる「高さ40㎝(20㎝)の台からの立ち上がり」と歩幅を調べる「2ステップテスト」の2つ身体機能テストに加え、身体状態や生活状況に関する25項目の質問表「ロコモ25」に答えることで判定される。
 
 
筋力が低下してきた(サルコペニア)ので、出かけるのが困難で億劫になる(ロコモティブシンドローム)。この状態を身体的フレイルといい、閉じこもりなどの社会的フレイルや、認知機能の低下などの精神的フレイルに繋がっていく。
 
問題は加齢で身体精神能力そのものがおちているにもかかわらず、自分はいつまでも若いつもりで、生活一般を改めようとしない頑固で認知機能に問題のある高齢者が多いということである。今回の交通事故を起こした87歳男性も杖をついてのよぼよぼ歩行しかできないにもかかわらず、車いすに乗る感覚で自動車に乗ってしまう。自動車は運動能力のない人を支援する便利な道具ではないのである。人を殺す凶器であることを認識し、少しでも不安がある人は免許を返納することは当然だ。さらに注意能力も反射神経も衰えている高齢者が都会でハンドルを握ることに無理があるのは想像に難くない。若い人でも危ないのによぼよぼの高齢者がとっさの非常事態に適切な行動をとれるわけがない。自動車を便利な道具と考えるのは止めて、80代になったら人を殺す凶器に乗るのを止める見識をもとう。知識や判断能力に自信は持っても、身体能力に自信を持つのはやめよう。もし自信があるなら、あなたの判断能力には相当の障害があると心得よ。
コメント (1)   この記事についてブログを書く
« トランプの異常なメディア攻撃 | トップ | 認知症の危険因子 »
最近の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
衰え (ebisu)
2019-05-03 16:05:24
なにかやると老化を自覚せざるを得ないことがあります。胡坐をかいてそのまま立ち上がる、なんてことは簡単だと思いきや、こけました。腕を座卓にぶつけてすりむきました。(笑)
貴女が老化に関する三つの医学的症候群について整理して論じてくれていたので、URLを付して弊ブログでとりあげました。よろしくご了解ください。

コメントを投稿

社会」カテゴリの最新記事