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46都道府県が申請 婚活支援「30億円」の呆れたプラン

2014-05-13 | 政治

政府は今年2月、13年度補正予算で「地域少子化対策強化」として地方自治体の婚活を支援する助成制度をスタートした。予算規模は実に30億円で、都道府県に4000万円、市町村に800万円を交付する。沖縄以外の46都道府県が申請する人気ぶりで、順次、交付されているという。

 これだけの予算があれば、ド派手な婚活パーティーが開けそうだが、自民党幹部から「税金で飲食させるのはいかがなものか」と立ち消えに。で、役人が鉛筆ナメナメひねり出したのは、トンデモプランのオンパレードとなった。

「結婚や家族のすばらしさを考えるフォーラムの開催」(山口県)、「毎月0の日を『ラブの日』、1日を『愛の日』とした結婚ポジティブキャンペーン」(香川県)、「結婚を希望する独身男女の情報一元化、結婚支援事業の実施」(富山県)、「結婚の意義、結婚後の生活設計などを考えるワークショップ」(三重県)…。「独身者のための結婚フォーラム」(島根県)、就職活動などに追われ恋愛に興味を示さない若者に結婚の良さを説く「高校生や大学生など若い世代を対象にした結婚を考える講義」(香川県)など、事業案は多彩だ。子どもに「結婚して」というプレッシャーをかけすぎる親に子どもの説得方法を教える「親向け冊子」を提案している県も。


 どだい「少子化問題に取り組んでますよ」という言い訳の制度だから実りがあるわけがないが、それにしてもひどい。楽しそうなイメージがどこにもないものばかりだ。結婚をためらう若者に、階段の上から「結婚はいいもんだ」と叫んでも伝わらないだろう。結婚・離婚カウンセラーの山崎世美子氏が言う。

「30億円はドブに捨てるようなものです。結婚→出産という順番を前提にして少子化対策をしようとするから、小難しいプランになる。本来は、政府は、子供を産んだ家族が暮らしやすい環境を整えることに予算を使うべきです。日本より先に少子化問題に直面した欧州が、いいお手本になります。保育所の設置はもちろんですが、勤務時間や税金など根本的な環境整備が必要なのです」

 フランスやスウェーデンは結婚に関係なく社会保障を受けられるし、イギリスではフレックス制を幅広く導入して子育てしやすい環境を整えた。日本の婚活支援は視点がズレまくっている。役人の婚活講義を聞かされた若者は、それこそ結婚が嫌になるに違いない。(日刊ゲンダイ) 

 
 国立社会保障・人口問題研究所によると、生涯未婚率は10年現在、男性20.14%、女性10.61%。1980年の男性2.6%、女性4.45%から急増している。 人口減少により、介護や税収減、空き家、孤独死などの問題が生じ、地方は大きな影響を受ける。
 何度も言うが、このような小手先のキャンペーンで子供が増えると思ったら大間違いだ。結婚してもすぐ離婚する。抜本的解決は男性の収入不安定化の元凶である派遣社員の廃止しかない。それができないのであれば、女性が一人でも子育てできる環境を整備するのが第二の策だ。
 フランスの少子化対策は、子供を持つ家族が暮らしやすい社会を目指す総合的な政策である。経済協力開発機構(OECD)によると、家族政策への財政支出は、国内総生産(GDP)比で、日本の0・6%に対し、フランスは2・8%に上る。
 収入に関係なく支給される家族手当は、子供一人の家庭は対象にならないが、子供二人の家庭は、毎月約百十七ユーロ(一万六千三百八十円)を国から受け取る。子供が十一歳以上になると、額は加算され、二十歳まで支給される。三人目からは一人に付き約百五十ユーロ(二万千円)と給付額を倍以上に増やす。とりわけ、子供三人以上の家族に対する優遇措置は、国鉄、地下鉄の運賃割引、美術館、ホテルなどの文化・レジャー施設の料金割引など、生活のすみずみに及ぶ。
 
 このほか、所得制限はあるものの、出産手当、三歳未満の子供を対象にした児童手当など約三十種類にも及ぶ手当を用意。こうした子育て支援策とは別に、公立であれば、高校までの学費も無料だ。日本などと比べ、教育費の負担がはるかに軽く、子供を産み育てやすい環境にあることは間違いない。
 フランスでは、五十歳未満の女性の約八割が働く。出産、育児のために退職を余儀なくされることがないように、充実した育児休業制度が女性の社会進出を支えている。子供が三歳になるまで両親の一方が休職することができ、国はこの間、給与水準に応じて月額最高約五百十二ユーロ(七万千六百八十円)の休業手当を支給する。さらに企業は、復職後、以前と同等の地位を保障しなければならない。
 
 ただ現実には、子供が三人目ともなると、一般に女性の年齢が高くなり、長い休業の後では、職場復帰が困難になることも想定される。このため、三人目の子供からは、休業期間を一年に短縮する代わりに、約七百五十ユーロ(十万五千円)に増額された休業手当を受け取る方法も選択できる。また、子供の多い世帯は税制上の優遇措置を受けるほか、ベビーシッターの費用は控除の対象にもなる。
 
 フランスでは、二○○四年に誕生した子供の46・4%が、結婚していないカップルから生まれた婚外子だった。この底流には、既成の価値観を覆した一九六八年の五月革命以降の社会の変化があると言われている。「男は仕事、女は家庭」という古めかしい役割分担が崩れ、結婚という形式にもとらわれなくなった。
 
 離別後、子連れで新たなパートナーと同居するカップル、一人親の家庭など家族形態は多様化したが、基本的に子供を扶養していることを証明すれば、種々の給付を受けることができる。
 
 手厚い経済的支援に加え、いかなる形の家庭に暮らす子供でも、平等に社会の一員として受け入れる風土がある。
 
 子供の遺棄や虐待の多発、若者の未来に希望がない状況で子供を持つ決心がつかないのは当然である。女性が子供を持つことの心理的負担を軽くするのが現状でできる最善の対策であろう。婚活キャンペーンは結婚させて子供を産ませ、あとは知らん顔の国の無責任キャンペーンにしか聞こえない。育児支援をケチって国防に莫大な金を費やすのは本末転倒だ。肝腎の国を守る国民も守る対象の国民も居なくなる由々しき事態なのだ。

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