オータムリーフの部屋

残された人生で一番若い今日を生きる。

中国の力

2013-12-26 | 政治

中国の存在感,世界へ影響は,プラスマイナス両面を含めて間違いなく増大し続ける.

 
 ロシアのメドベージェフ首相が訪中した際、露中両国は複数の重要な協定に調印した。このうち「税関協定」は税関手続きの簡素化、国境貿易の発展推進、ロシア極東での協力の促進に関わる協定である。ロシア極東地域とは主にシベリア中・東部を指す。極東地域は広大で、資源が豊富だが、寒冷で人口が少ない。長年開発してきたが、成果は著しく少ない。2012年5月に3期目の大統領に就任したプーチン大統領は、中国を重視する方針を強調した。

2013年はアフリカビジネスに沸いた1年だった。アフリカがビジネスで注目されたのは90年代、資源開発が中心だった。そのため、規模で劣る日本企業の出る幕がなかった。一方、国際協力、とくに開発援助という視点で見ると、日本は長らくトップドナーだった。道路を整備したり、発電所を作ったり、港湾を開発したり……通常はこうした国際協力の実績を背景に日本企業がアフリカへ出ていくはずだった。でも、バブル崩壊と平成不況のまっただなかで、日本企業はむしろ、アフリカのみならず海外からの撤退をはかっていた。
 世界のグローバル企業がアフリカビジネスに注目して動き出したのは2005年頃、一方、日本企業が本格的に動き出したのは、2007年後半くらいから。資源開発で遅れた上に、その他のビジネスに関してもスタートが2年くらい遅れた。中国は2000年からアフリカ攻勢に打って出た。アフリカ経済の開発に中国の存在は、今もこれからも欠かせない。対アフリカ政策に関しては、日中関係は対立軸でとらえるのではなく、むしろお互い調節しながら、時には協力しながら、アフリカの経済開発に寄与していく……という方向を模索した方が、日本の国益に適う。アメリカは以前から「アフリカにおける米中の利害は、多くの点で一致している」といっていて、実際、アフリカでは米中連携の動きがみられる。
 いまアフリカにいる中国人は80万人とも100万人とも言われる。植民地最盛期のイギリス人ですら、多く見積もって40万人程度だった。言葉も風土も違う100万人の中国人がアフリカに居住している。中国自身の急成長を支えるためにアフリカの資源開発は重要だし、中国国内で生き残れない企業や個人がアフリカに移住している。アフリカの消費市場の2割を、中国製品が占めていると言う。例えば携帯電話。中国のメーカーは、アフリカ各国で基地局などインフラ設備も同時に推し進めているから携帯電話の普及スピードはすさまじい。
 トヨタ車の販売を支えているのも実は中国。道路や石油パイプライン、安価な火力発電所をはじめとする社会インフラの整備を中国が低コストでどんどん作っている。
日本の対アフリカ輸出の半分以上が自動車である。インフラ事業は中国に任せて、日本は高度な技術やノウハウが必要な開発の付加価値部分に専念する、というのが現実的だ。アフリカは、自らの資源開発と輸出で中国のふくれあがる需要を満たし、中国は、アフリカのふくれあがる消費需要を、製品輸出で満たす。互恵関係がうまく回っている。
 

 レアアースの問題で明らかになったように、日本は中国からの資源の供給に頼れない。日本も韓国も中国に代わる資源供給地が必要だ。
東アジア経済全体が新たな資源供給国を必要とし、アフリカからの天然ガス輸入、原油の輸入が急増している。日中問題を、対立構造から、共同構造に変えなければ、日本の経済発展の将来は暗い。資源外交もグローバルで考えるところに来ているのではないか。アフリカもインフラ整備がスムーズに進み、経済が離陸して、巨大マーケットが生まれる。

 今、日本では中国に対して批判的な声が大き過ぎる。特に尖閣問題が発生後、中国敵視の論調が多い。しかし、賢い大国は中国を利用しようとしている。ロシアしかり、アメリカしかり。
月面にまで着陸すると言う中国の経済力・科学技術の力は侮れない。好きか嫌いかで判断するのではなく、影響の大きさをまず認識すべきだ。敵視や威嚇による対立は経済的発展を阻害するばかりか、局地戦争にもつながる。過去の過ちに学び、相手を刺激せず、協力関係を造るのが積極的外交だと思うが、安部政権は中国に対しては脅し外交が効果ありと思っているらしい。それはかえって中国政府を利することになる。内政の不満の矛先を反日に向かわせることができるからだ。安倍首相は性懲りもなく、本日、靖国神社を参拝した。軍備増強を宣伝して威嚇による制圧を望み、経済政策など2の次だ。中国を金で膝まづかせるのは不可能だが、沖縄を金で思惑どおりにしたやり方は東アジア外交で成功している。中国もアフリカで強力に日本のやり方を踏襲している。双方ウインウインだから、武力で制圧するより、よほどうまいやり方だ。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿