新聞に見るオーストラリア

新聞から「オーストラリア関連記事・ニュース」をスクラップしてみました。

魚眼図 オオジシオギ 遠来の客

2011年04月25日 | 話題

北海道新聞2011.04.25.文化面

 魚眼図というコラムに「オオジシギ」について書かれていました。


遠来の客
 日中の気温が上昇し物陰の雪も融けきる頃、毎年、旭川キャンパスのグラウンド上空を我が物顔で(といっても、まだその顔をとくとこの眼で見たことはないのだが)飛び交う島がいる。ズビーヤク、スビーヤクと鳴きながらグジュグジュと中空を急降下し、最後にグァグァグァと尾羽で風を切る。音の連想から勝手に「ウガイ島」などと仲間うちで呼んでいたが、ある時、野鳥に詳しい同僚からオオジシギという名を教わった。鳥類図鑑によれば、チドリ目シギ科、体長30cm前後のずんぐりした胴の上に丸い頭がのっていて、長くまっすぐな嘴で湿地のミミズや昆虫をあさって食べ、日本で繁殖する。オスが尾羽を扇状に開き大きな音を発して飛ぶ習性(ディスプレー・フライト)はメスを誘う求愛行動で、異名「カミナリシギ」の由来でもある。
 先日、苫小牧・ウトナイ湖畔にある野生鳥獣保護センターを訪ねたら、展示ホール壁面の世界地図に北海道へ飛来する渡り鳥のルートが描いてあった。シベリアやカムチャツカからやって来るオオハクチョウやマガンのことは、おぼろげながらも知識があったが、オオジシギがオーストラリア南東部タスマニア島周辺から遥かに赤道を越えてやって来る烏だとは初めて知った。赤道で地図を折り返すと北海道がほぼタスマニア島と重なる。つまり、この鳥は地球一周の4分の1、約1万kmに及ぶ長旅の果てに、年中、同じ高度に太陽を仰ぎながち生きているわけだ。船乗りが航海で使う「六分儀」に相当する本能が体内に埋め込まれているのかも知れない。
 カッコウの初鳴きとともに本格的な春の訪れを告げるこの準絶滅危惧種、その騒がしい飛翔を見るのが俄然、楽しみになってきた。
(大矢二郎・東海大教授"建築デザイン)



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