2010.06.23.北海道新聞夕刊
ほのぼのとした話題です。
ハイイロカンガルーのボクシング
けんかじやないけど真剣
ていっ、ていっ。もう一発、ていっ。ふーっと息を吐いて静かに見合ったかと思うと、パンチを次々に繰り出す。あっと思った瞬間にはキックも。ぱしぱしっと、容赦ない。
後脚よりも太いしっほで体を支えての一見ボクシングは、「雄同士が自分たちの力を見せるためのもの」と担当飼育員の本間耕さん(48)。けんかではなく「雌の発情のにおいで、自分の方が強いんだぞと雌に教える」ための行動だとか。
なぜか午後に多い。「やることがなくなって、というのもあるんですよね、彼ら」(本間さん)。むふーっと真剣に怒る表情の彼らに、来園者はなぜか笑って見入ってしまうんです。
(文・片岡澄江、写真・石川仁美)
<メモ>オオカンガルーともいい、円山では雄3匹、雌4匹が暮らす。