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医者は神ではありません

2009-11-25 06:37:45 | 医療へのひとりごと
今回は (カテゴリー : 医療へのひとりごと) です。
従いまして、医学的記事ではありません。
このところ純粋な「医学」に関することをご紹介できずにおり、恐縮しております。
9月に手術したのですが、どうもまだ完全回復には戻っていません。しかも、
あいもかわらず仕事はあれこれと忙しい状態が続いており、身体が幾つあっても
足りない状態で、なかなか新しい翻訳などにとりかかることができません為、
ご容赦ください。

とある先生(整形外科医師)との会話で、その先生が語られた言葉から思ったことを
ここに記したいと思いました。

その先生は、毎年数多くの手術を行っており、患者さんからも、全国の整形外科の
先生がたからも、あの先生の手術は凄い。と言われるほどの先生です。
でも、その先生曰くは、「God Hand神の手、という言葉は嫌いだ」「マスコミが
おもしろおかしくブラックジャックのような神業(かみわざ)を持つ医師が存在する
ような取り上げ方をするのは間違っている」と。

医師(Medical Doctor)という職業.....あえて「職業」という言い方をしますが..
これほど難しい仕事はないと思います。医学知識や医療技術が専門ゆえに難しい
という意味ではなく、「職業」としての難しさです。

つまり、世間一般的な期待値からすれば、「医者なのだから治せてあたりまえ」
という感覚がいまの社会には蔓延しているのではないでしょうか。
さらには、「医療はサービス業だ」というような言葉さえマスコミ、雑誌等で
みかけるようなありさまです。

誤解を恐れずに言わせていただくならば、病院内で「患者さま」「患者様」という
「様づけ」の呼びかけを見たり、聞いたりしますと、私の感覚としては、それは
ないだろう。という思いが強くします。
言葉というのは、恐ろしいもので、「様」とは、丁寧語をとおりこして上下関係を
植え付けるものになってしまいます。
先生が患者さんに呼びかけるときに、「august03様、今日はどうされました?」
などという先生がいたら、私は、その場からきっと立ち去ってしまうと思います。
「august03さん、どこか痛いところがありますか?」これが普通です。
それと同じ感覚で、「患者さん」という呼びかけで十分です。

「患者さま」とは....
どこで誰が言い出して、どういう勘違いから発生したものやら。

そして、こういう感覚の延長戦上に「神の手」という表現があるようにも感じます
「神の手」とは、それはつまり「失敗はない」「完全無欠」ということを現す言葉
であり、もちろん、患者さんからすれば、それが“期待値”であることも理解でき
ますが、でも冷静に客観的に考えてみてください。

       医者は神様でしょうか ?

医者は神様ではありません。それが事実です。医者は医者であって、医者という
専門職を得るために勉強を続け、技術を磨いている「普通の人たち」です。
......普通という表現もちょっと語弊がありそうですが、私たちと同じ人間。
という意味で受け止めてください。

マスコミが、あるいはマンガやテレビが作り出した「デフォルメ」した偶像と
現実との境目がつかない状態とは、現実の生身の先生がたにとっては、非常に
しんどいことだと思います。
医者だから、偉ぶっていいとか、偉いんだとか、そういう意味でもありません。

病気を治す、という行為は、医師と患者(その家族)との協同作業のようなものであり
そこには信頼関係がなりたたなければ、決して良い治療結果は得られないと思います

私のいう「良い治療結果」というのは、これもデフォルメした言い方をあえて
言わせていただきますと、期待どうりの結果は得られなかったけれど、医師が最善
の努力をしてくれた。ということを心の底から受け止められる。そういう意味です
そして、そういう受け止めかたができるかどうかは、やはり先生と患者さんとの
あいだに「信頼関係」が成立するかどうか、成立したかどうかにかかってくると
思います。

医師は神様ではありません。神の手を持つ医師などもいません。
いるのは、そして、いて欲しいのは、患者さんのために一生懸命に治療に励んで
くれる先生だと思います。

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1 コメント

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そうですね… (しずく)
2009-11-26 18:39:59
私の側わんをオペして下さったドクターが、亡くなってしまい…今更ながら先生のドクターとしての想いなんてものをしりたくなってイロイロと調べたりしておりました。医師が不死身なんて思っていたわけでもないのに…何故か訃報を聞いたら、あり得ない!なんて思っていまして…。
そうですよね。
神なんかじゃなく、一緒に戦ってくれた同士でした。

勝手なコメントのカキコすみません。失礼します。
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