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aiaiさんへ (乳幼児期特発性側弯症)

2017-10-04 13:43:30 | 乳幼児期側弯症
aiaiさんへ
どのような形で返信すべきかずっと考え続けておりました。幾つかのセグメントに分けて、私が述べることができる内容を書かせていただきます。

1.専門医療機関の選択
 福岡のこども病院に通われておられるとのこと。地域ではもっとも最善の病院、専門の先生がたですので、先生のご判断と指導に基づいて治療を進められてください。
2.治療方針・今後の見通しの理解を
 すでに先生とお話しされて治療方針・計画はいただいていると思います。
 手術(グローイングロッド法)の見通しも聞かれていると思いますが、いま一度、 ご主人とその内容について「理解を深めて」いただければと願います。できるだけ冷静に客観的に、どういう状況(時期)になれば、手術をせざるえないのか、手術の内容はどういうものであるのか、その手術をすることによるメリットとデメリット....最終的な固定術をする時期によっては「身長」の伸びは期待できない等。
 メリット、デメリット、手術上のリスク等をできるだけ箇条書きにしてみてはいかがでしょう。
 その上で、想定されるデメリツトについては、どういう対応の仕方があるかについても検討してみてはいかがでしょう。
 例えば、デメリツトには身体的なものと精神的なものとがあると思います。お子さんの成長に伴うそれらに対してある程度のイメージも交えながら、あるいはご夫婦による子育ての方針という面なども含めて、少しづつ検討をしていくことでaiaiさんの気持ちの整理にもつながると思います。
 悩み、不安はたくさんおありだと思いますが、それら見えないものをできるだけ「見える」形にしてみることでどういう対応・対処があるかについて、具体的な考えが浮かんでくると思います。
 
 手術にともなうリスクについても、内容をリスト化して、先生から説明をお聞きになって、できるだけ不安を取り除いて欲しいと思います。ご両親が「不安」に感じていると、それはお子さんも「不安」になってしまうと思います。お子さんを安心させる為には、まずaiaiさんご両親が、しっかりと内容を理解することでご両親自身が感じておられる不安を取り除くことが大切だと思うのです。
3. 装具治療について
 下記の写真は、「側弯症治療の最前線(基礎編)」に掲載されていたもののコピーです。しかし、あくまでもひとつの症例であって、このとおりになるかどうかはわかりません。思春期特発性側弯症の場合は、症例数が多いので、データや先生の経験上からもある程度の見通しは立つと思うのですが、乳幼児期特発性側弯症は症例数が少なく治療方針は立てられるのですが、装具治療による効果はやってみないとわからない、というのが現状のようです。とはもうせ、下記の写真のように「効果」を得られる場合もあるわけですから、今は装具治療に望みをかけていただきたいと思います。





4. 装具に慣れるかどうか
 当事者でない私が申し上げるのはあまりに無責任かとは思いますが、子どもは適応能力が高い、ということが言われていますよね。無理強いではなく、お子さんが理解できる範囲で、理由を説明されて、一緒に頑張ろうと励ましてあげることで先に前進するのでは ないかと.....
 患者さんの経験談などを読みますと、装具にお子さんの好きなマンガを描いたり等をして、子供が親近感を持てるようにしてみるとかで慣れてもらったという経験などもお役に立つのでは?
5. 患者会からアドバイスを
 これも私から言える筋のことではないとは重々承知しているのですが、やはり経験している親御さんからの経験談とかアドバイスを聞かれるのがもっとも参考になると思うのです。「ほねっと」とはすでにコンタクトはとられておられますか?
6.保育園/幼稚園の先生がたや保護者の皆さんへの説明
 このブログがお役にたつと幸いです。
7.aiaiさんご夫婦の参考になるかも
 下記は側弯症とは直接は関係ないのですが、お子さんをどう理解して、どう接するか、どう子育てをしていくか、ご近所の方々や学校の友達にどう理解してもらうか、という面で参考になる事が得られるのではないかと思い、ここに掲示してみました。
 NHKのオンデマンドで見ることができます。

 側弯症という病気は、病態を治療するのは先生方の役割ですが、お子さんのこころまではケアできるものではありません。側弯症に限らず、病気は身体性であると同時に心身性でもあり、「こころ」のケアをいかにするかということも大切です。こころとは、お子さんだけではなく、ご両親のこころも含めてです。ご自身のこころを見つめて、思いつめたり、思い悩みすぎることのないように、時にはリラックスしてご自身の楽しみも楽しむことで、お子さんの病気に対処する新たな気持ちが湧いてくる、この番組の中ではそのようなアドバイスも聞くことができ、何かのヒントが得られるのではないかと思います。




8. 命さえあれば
 側弯症はすぐに生命を奪う病気ではありませんが、悪化させた場合、肺機能の低下から心臓への負担に繋がり最悪は、死に至ります。健康で長生きできるかどうか、という問題を抱えた病気である、ということが現実の姿です。誰であれ生きていればいろいろなことがあり、時に人生が辛い、苦しい、もう嫌だと思うことはどんな人もが感じることです。でもそういう面と同時に、楽しい事、嬉しいこと、笑いに満ちた日々、美しいものを愛でて、人生って捨てたものじゃないな、と感じることがあるのも人生です。それもこれも命があってのこと。お子さんがどういう人生を歩まれるのか、それはおそらく将来お子さん自身が見つけて歩んでいくものだと思います。いまは、お医者さんと二人三脚となって、命を守ってあげて下さい。

 NHKアナウンサーでご自身が病気になったときのことを書かれた小川宏さんが、その書物の中で
 「病気は生活上の苦しみであり、人生の挫折ではない」と述べられていました。あるいは「病気になったのは不運ではあるが、不幸ではない」と述べられている方もおられました。
 お子さんはまだ小さくて、不運とか不幸という概念もまだ分からないと思いますが、お子さんにも、aiaiさんの気持ち、お父さんの気持ちは理解できます。aiaiさんもお父さんも、ご自分たちを責めないでください。お二人が自分自身を責めると、その気持ちはお子さんにも分かります。そうするとお子さんは、お子さん自身がお二人を悲しませている原因だと感じてしまうでしょう。お子さんのためにも、aiaiさんとお父さんは、明るくあって欲しいと思います。命さえあれば、楽しいことはたくさんあります。

august03


☞august03は、メディカルドクターではありません。治療、治療方針等に関しまして、必ず主治医の先生とご相談してください。
 医学文献の拙訳を提示しておりますが、詳細においてはミスが存在することも否定できません。もしこれらの内容で気になったことを主治医の先生に話された場合、先生からミスを指摘される可能性があることを前提として、先生とお話しされてください。
☞原因が特定できていない病気の場合、その治療法を巡っては「まったく矛盾」するような医学データや「相反する意見」が存在します。また病気は患者さん個々人の経験として、奇跡に近い事柄が起こりえることも事実として存在します。このブログの目指したいことは、奇跡を述べることではなく、一般的傾向がどこにあるか、ということを探しています。
☞原因不明の思春期特発性側弯症、「子どもの病気」に民間療法者が関与することは「危険」、治療はチームで対応する医療機関で実施されるべき。整体は自分で状況判断できる大人をビジネス対象とすることで良いのではありませんか?




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1 コメント

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ありがとうございます (aiai)
2017-10-20 20:43:17
親身に考えておこたえくださり、本当にありがとうございます。
コルセットを受け取り、まずは就寝時から少しずつという形で慣れるようにしています。
まだよちよち歩きの上にコルセット、本人は体を思い切り動かせずに、さぞもどかしいと思います。しかし就寝時は朝まで頑張ってつけてくれています。仰られるように、子供は適応能力が高いのでそれを信じて、家族や身の回りの人たちと協力して励まし、見守っていこうという体制を整えていくつもりです。
コルセット完成時に、きつく締め込んでレントゲンをとったのですが、ここまで矯正が効くんですねと先生も仰られたくらい真っ直ぐのレントゲンでした。(コルセットなしは40度超え)
先生も、レントゲンをみて是非頑張ってつけてほしいとのことでしたので、私たちも幼い体で手術に至らせるのはできるだけ避けたいという一心で、息子と一緒に頑張っていくつもりです。
たくさんのアドバイスありがとうございます。
子供がもって生まれた体、曲がっていても愛しい背中です。できるだけのことは親としてやり、共に学んで励まし合いながらいつか、乗り越えて行きたいです。
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