~step by step~[ 側弯症ライブラリー]患者の皆さんへ

側弯症(側わん症/側湾症/そくわん)治療に関する資料と情報を発信するためのブログです

骨成長終了後に進行する脊柱側わん症 現実と向き合う為に 

2008-06-09 23:33:44 | 大人の側弯症進行
(添付図は、海外文献からの引用です。閉経後に側彎カーブが進行している症例を
提示しています)


これまでもブログ内で、大人(骨成長終了後)になってから進行した側彎症の話を
幾つかとりあげてきました。(左カテゴリー欄 大人の側わん症進行参照)
並行して、何通かのメールをいただいています。
そのうちのひとつをご紹介させていただきます。

私は46才の特発性側わん症患者(女)です。
august03さんには私の年を聞いだけで想像はつくと思いますが、
ネットなどは普及していない時代。
大きな病院の偉い先生は神様的な存在で(笑)セカンドオピニオンどころか、その
先生の言葉が全てのような時代。
親を含め周りの人からは姿勢が悪いから、カルシウムをちゃんと取らないから...
等、自分の背骨が曲がっていくのは自分が悪いからなんだと言う罪悪感。
学校検診でも欄外に<背骨が曲がっている>等が書かれていただけで、病院へ行く
ようにとか、気を付けるようにとか、一切話はありませんでした。
高2の時に肺炎で長期入院した時も担当医がレントゲンから、すごい背骨が曲がっ
ているんだね~!くらいで、整形外科に回されることも、紹介されることも、
やはり一切話は出ませんでした。
S県とK県で過ごした私には、当時側湾症の知識がある医師等に出会うこともなく
自分が特発性側わん症患者だと知らずに過ごしてきました。

そして側わん症のことは自分の中で封印した感じで普通に生活していき、
24才・26才の時にはかなり背骨が曲がっていながらも、普通に子供を出産しました。

育児や主婦業をこなしているうちに、私の側湾症は止まる部類には入らず、
曲がリ続けていて、20代後半にはかなりの腰痛に悩まされていました。

地元の医師は側わん症の知識はもっている方で、始めから私の状態は経験豊富な
医師にしか手術は出来ないだろうと診断してくれていて、遠くなるけどK先生の
所に行ってみないかい?と言ってくれました。

そしてK先生に診てもらうことに・・・
結果的には、親と自分の無知さ無関心さがいけなかったのでしょうが・・・
46才の今、腰椎71度、胸椎56度で手術することになりました。

ただ当然若い測わん症患者さんの手術のように簡単にはいかないようです。
貯血も2回の手術用ですが、3600ml冷凍保存してあります。
たぶん足りなそうで、あとは術中出血の再生利用?と献血からの輸血になるそうで
す。実際には3箇所曲がりがあって、○○日は一番悪い箇所のみの矯正固定をする
そうです。場所的には一番下です。前方からのアプローチの術式で3、4時間くら
い、そのまま後方からのアプローチに移り7、8時間くらい、半日くらいの手術時
間になるだろうと言われました。開けて見て・・・矯正固定してみて・・・1回立
たせて歩かせてみて・・・それからじゃないと2回目の手術は、予定通りするか
も、残りの悪い一部のみ矯正固定するかも、悪い所全部矯正固定するかも、わから
ないそうです。
当然私がどうして欲しいかなどの意見もすごく聞いてくれますし・・・

特発性側わん症広場の方では子供さんのことを真剣に思っていらっしゃるお母様た
ちの話や側わん症であるお子さんの話などが一杯で・・・どうか私たちのように
ならないで欲しい!と思いながら読ませて頂いています。

でも<再燃組>と言うのですか?
私のような40代後半以降で、ずっと治療をしてきていない方で悩んでいらっしゃ
る方が結構いると思うんです。
もちろん高年齢の方の手術前後の情報などもすくないですよね・・・
正直、不安な気持ちなどの持って行き場がない状態です。

色々なテーマでお忙しいとは思いますが・・・
~step by step~の方ででも<再燃組>の治療についてなどのお話も
取り上げて頂けると有難いです。
先天性でもなく、特発性の子供たちの話でもないので、直接メールさせて頂きまし
た。
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Yomiuri ルネサンスより
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/renai/20060601ik01.htm
(上)脊柱側わん症…中高年 高度な手術必要より引用 :

背骨がねじれて横に曲がる原因不明の脊柱(せきちゅう)側わん症。思春期に多い
病気だが、今年2月の連載では、30~60歳代の読者から「今からでも手術がで
きますか」との問い合わせが相次いだ。その多くが、子どもの時に発症した側わん
症が悪化し、激しい腰痛などに悩まされるケースだった。
この病院では、年200人を超える側わん症の新たな患者のうち、こうした成人
患者が2割前後を占める。

背中や脇腹を切開して背骨のわん曲を伸ばし、金属の棒で固定する手術法は、
成人も子どもも変わらない。だが、成人は背骨の関節が固くなっているため、背骨
の椎体(ついたい)をつなぐ関節を切除し、骨盤などの骨を移植して固定するなど
より大きな手術が必要になる。それでも子どもほどには大きな矯正は期待できず、
手術後しばらく背中に痛みや違和感が残ることも多い。
A子さんは1998年、約3か月入院し、脇腹と背中を切開する計2回の手術を受
けた。手術後2年近く背中の痛みや違和感が続いたが、今ではほとんど解消し、
「将来への不安が無くなり、手術を受けてよかった」と言う。

側わん症の治療は年齢を重ねるほど難しくなる小・中学校での検診を充実させ
早期に適切な治療を受けることが重要」と訴えている。
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(august03より)
大人になってからの側湾症は 3種類ほどに区分して考える必要があるようです。
(注:大人という表現があいまいな為、骨成熟以降を 20歳 と表記します)

1. 思春期特発性側わん症が(スクリーニングで)見過ごされて、20歳以降でカーブ
  進行がじわじわと進んでいく例
  (加齢+骨粗鬆症の影響もあり)
2. 思春期特発性側彎症の治療として装具療法を完了。
  2-a : それ以降じわじわとカーブが進んでいく例
  2-b : 閉経後に急激にカーブが進行する例
  (a,bも加齢+骨粗鬆症の影響もあり)
3. 加齢および骨粗鬆症とともに50代以降から側わん症が発症進行する例

この区分を考えた場合、1と2-aは進行するタイプという意味では同じ区分になります。
従って、 1+2-a : 20歳以降でも進行するタイプ
     2-b  :閉経後に進行するタイプ
     3   :50代以降に発症進行するタイプ  
と分類することができるかもしれません。
ただいずれの場合にせよ、下記のふたつのことを踏まえた上で大人の側彎症を
考えていく必要があるでしょう。

* In the adult: Once growth has stopped, the risk of progression is minimal
or null in patients with thoracic scoliosis less than 50 or
lumbar/thoracolumbar scoliosis less than 30º. Adult idiopathic scoliosis
with curves greater than 50º may progress slowly at a rate of 0.5-1.0/year.
大人の例 : いったん成長がストップした後は、カーブ進行のリスクは最小であり
50度以下の胸椎側わんや30度以下の腰椎/胸腰側わんではほとんどリスクはない。
50度以上の場合は、ゆっくりと年に0.5度~1度ほど進行するかもしれない。

* Progression of scoliosis can involve an aesthetic problem and lead to
functional problems. Respiratory disorders may develop in large curves
greater than 80º. Nonetheless, the mortality rates and vital prognosis in
individuals with scoliosis are comparable to those of the general
population.
側彎症の進行は、形態的(審美的)な見た目という問題を惹起する。また機能的な
問題も発生してくる。80度以上に進行した場合、呼吸器系の障害を引き起こして
くることになる。しかしながら、同年代の人たちと比較した場合、死亡率や重篤な
予後という面においては、変わることはない。


大人の側彎症についてどういう形で情報を提供することが、皆さんにとって役に
たつのか? と自問自答していたのですが、思春期特発性側わん症治療の根本原則
“早期発見-早期治療”をおこなうことで“せめて30度台に抑え込む”ことができれば
大人になってからの側わんカーブの進行はかなりの率でリスクを減らすことができる。
と考えた場合、いま知り得る限りの情報をあるがままに皆さんの前に提示し、その
情報をもとに、どういう人生設計を考えるかは、「皆さん」自身が決めることである、
と考え、今後、この「大人の側彎症」についても調査し、情報をご紹介していこうと
思います。
しかし、これはある意味では、辛い現実の姿を提示することになると思います。
なぜならば、思春期特発性側彎症とは違い、大人の場合は、装具療法は効果を持ち
得ない、というのが現実である為、手術による治療が選択肢となるからです。
(大人の装具については国内未導入のSpinecorスパインコアの今後の研究が大きな
意味をもってくると思います)

そして、手術においては、下記の現実があります。
手術での合併症発生率は、データによりまちまちであることから、下記の数値が
そのまま日本に当てはまるわけではありません。おそらく、日本の専門医師による
手術では、下記の数値よりもずっと少ないと思います。でも、それは専門医師と
いうことが大前提であることを忘れてはいけません。

Commonly quoted complications of surgery for adult idiopathic scoliosis
are: 27% pseudarthrosis (failure of fusion, requiring reoperation),30 %
residual pain, less than 5% mortality, less than 5% neurological (less than
1% paraplegia), and 2-20% infection. Because of the specialized nature and
infrequent, but not rare complications of these types of procedures, the
patient considering surgery should chose a surgeon with specialized
training and experience in treating the patient with adult idiopathic
scoliosis.
一般的に、大人における特発性側彎症手術での合併症は :
pseudarthrosis (骨癒合不全により再手術が必要) 27%、残存する痛み30%、
死亡5%以下、神経障害5%以下(下半身麻痺は1%以下)、感染2~20%。
これは、大人における特発性側彎症というものの持つ病気の特異性と極めてまれな
ケースであることとともに、手術においてはこのような合併症は発生しえるもので
あることから、手術を検討しなければならない患者は、大人の特発性側彎症に対する
治療経験、手術経験を豊富に持ち、特別に訓練された医師を選択することが大切である。

......................................................................

 いま現在治療中の皆さんは当然のこと、治療を終了してから相当の期間を経過
 している皆さんも、側彎症を診てもらうのは、側彎症専門医師のもとに行くこと
 が必須です。

    側彎症専門医師
    http://blog.goo.ne.jp/august03/e/c98b46ae8347107690bc67a459be65f9    

 ネット上には相変わらず、大塚や林やその他多数の整体による患者を騙すための
 宣伝が乱舞しています。自分のブログに自分で患者のフリをして書いた手紙や
 コメントを掲載して、どうしていいかわからずに迷っているお母さんに甘い言葉
 を投げかけている そくわんヨガなるものも存在します。
 そのようなところに行っても、側彎症は治りません。
 そして、もし私が医者であるならば、そのようなところを頼ることを止めない
 止めようとしない母親がいると知ったら、治療の意欲をなくしてしまうでしょう
 
 そのような母親たちがいまだにいることを知りつつも、先生がたはこどもたちの
 病気を治療するために、手術するために、毎日10数時間以上も働き続けています
 
 先生がたの健康を考えるならば、将来にわたり、すばらしい治療を受けたいと
 望むならば、側彎症治療の日本におけるこの状態、環境は変えなければいけません

 それが、万が一にも将来側彎症が再発して、手術せざるえなくなったときのこと
 を想定したときのベストシナリオです。

 かつて、アメリカが10年近い月日をかけてカイロプラクティックが側彎症に
 関わってはいけない、ということを根付けさせたように、この日本においても
 整体等の民間業者を側彎症から排除しなければいけません。
 そのもっとも最先端にいるのは、他の誰でもありません。患者さんであり
 お母さんがたです。皆さんが、こどもたちを整体に連れていかないこと。
 すべてはそこから始まり、そしてそれで環境は大きく変革するのです。

 現実と向き合い、現実的に側彎症の治療に向き合い、
 自分の中の側彎症の恐怖と闘って、その恐怖を克服して欲しいと願います。


(追記)
投稿者:ぴおぴお 投稿日:2008年 6月 9日(月)10時54分28秒
側わんしょうは身長(成長)が止まって骨が大人になれば進行しない病気だそうです。

 ↑これは、例の整体が運営している掲示板に記載されていた投稿です。
こういう間違いがネットに残るから、患者さん(お母さん)は誤解に基づいた間違った
判断をして、あとで、とんでもない結果を招いてしまうことになります。
投稿者も悪気はないのかもしれませんが、生半可な知識で、しかも管理者のいない
掲示板で発言することは、真の意味では患者の利益にはなりません。
はっきり申し上げさせていただきますが、医学にもとづいた判断なり、指導が
なされず、責任ある管理をしていないあの掲示板は、患者にとっては、百害あって
一理もありません。
これまでも、何度か申し上げてきましたが、あそこで発言することは決して患者の
ためにはなりません。


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今後ご紹介する海外のscoliosisサイトより

「adult scoliosis」
http://www.espine.com/diagnosis_ais.html

「Scoliosis Research Society」国際側彎症学会
http://www.srs.org/patients/adult/

「Europian Spine」
http://www.eurospine.org/p31000269.html


「iScoliosis」
http://www.iscoliosis.com/causes-adult-not.html

http://www.theuniversityhospital.com/scoliosis/html/aboutscoliosis/whatis.htm

Adult Idiopathic Scoliosis: Adults can be affected by scoliosis. It may be
that a mild scoliosis went untreated when the adult was younger, or that
osteoporosis (thinning of the bone) has caused a curve to become worse.
Unlike scoliosis in children, adult scoliosis is often painful. In severe
cases, it can affect breathing and the way the heart functions.

Treatment includes non-invasive techniques to control pain, such as
medication, physical therapy, and exercise. In adult idiopathic scoliosis,
curves less than 30 degrees rarely progress, while curves greater than 50
degrees are frequently problematic. Surgery is usually reserved for
patients with large (greater than 50 degrees) curves, progressing curves,
or who have chronic back pain.

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3 コメント

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まさに「おとなの側弯」ですね (くらら@)
2008-06-10 19:23:41
こんばんわ。
おとなの側弯って(特発性側弯症で思春期型のもの)、思春期に一旦治療が終了してもいつまたどこで再進行のスイッチが入るかわからないところが難しいんですよね~。
でも、再燃してる人、結構いると思うんですよ。
そういう人たちが相談できる場がリアルはもちろんの事ネット上にも無いですよね。
あるのは怪しい整体が裏で絡んでる掲示板のみ・・・。

私も今は掲示板とかコメント欄を取っ払っているのでどうにも出来ませんが、自分の事がひと段落したらまた掲示板を復活させようかとも考えています・・・。(汗)
あー、そういえばミクシィーにも側弯症コミュがありましたね。
あそこには結構な数の患者さんが集まっていますよね。

大人の治療といえば早い話がもう手術しかないのですが、今は大人の手術を行ってくれる病院が徐々に増えているようなので、今後は益々積極的にアタックしてくれる病院が増えるでしょうね。
今まで諦めていた成人患者さんもまだ希望があると知って、長年遠ざかっていた病院に行く事になるのではないでしょうか。

私はもう治療済みですが、今後の成人患者さんのための有益な情報提供を是非お願いします。
(いつも有り難うございます。)
返信する
アメリカのカイロ (りり)
2013-05-13 11:21:10
「かつて、アメリカが10年近い月日をかけてカイロプラクティックが側彎症に関わってはいけない、ということを根付けさせたように」
そうなんですか!
最近、側弯症のアメリカのカイロが日本に入ってきています。本、DVD、数週間のコースを設けているところも見つけました。
どうしたらいいんでしょう。
TTPで、将来裁判になると英語、米国人相手では日本の弁護士さんは難しいと思います。

私も46歳。50歳代で手術かも、と聞きました。中高生の時に気付いたあとも、情報もなく、解決手段が分からず放置でした。親も自分のことで手一杯でしたし。
返信する
私もまさしく同じです。 (ピカケ)
2015-09-08 08:41:04
13歳に発症した特発性側湾症でS字に湾曲。成長が止まれば、進行しないといわれ18歳で通院が終わりました。めだつこともなかったので、考えることなく20代で二度の出産も普通分娩で、子育てに忙しくしてきました。少し手が離れた30代後半からまた病院に年に一度通院、そのころからジワリと進行をはじめ、46歳の今、底侵襲手術の普及を期待してますが、やはり手術を考えてます。側湾症とわからずにきた高齢の方も沢山いるようで、最近は、70代や80代で手術された方もいらっしゃるようです。それを考えると40代は、まだ若い部類だそうです。
返信する

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