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側弯症(側わん症/側湾症/そくわん)治療に関する資料と情報を発信するためのブログです

医療機関(あるいは医師)には得意・不得意 - できること・できないこと- それを患者さんに説明できる医師・できない医師がいる。ということについて (卑近ながら私のケガを巡る出来事より)

2018-08-20 21:27:01 | 医療へのひとりごと







自虐的で申し訳ありませんが、ここに示す写真は私のケガの状態を撮影したものです。ケガの原因は、まったく私自身の不注意でコンクリート歩道で転倒したことで受傷したことによります。これからお話しする内容をご理解いただく為に、ケガと治療の経緯を簡単に記します。

 8月18日土曜 夜、ジョギング中に転倒。頭・顔から歩道に突っ込んでしまい、左側頭・左耳・左顔面・左肩及び左膝を強打。転倒直後に「あっ」と思ったのは、鼻血が出続けて、もっていたタオルで抑えてもなかなか止まらず、10分以上歩道に横たわって、鼻血がある程度収まるのを待っていました。15分ほど後に、鼻血をタオルで抑えながら、自宅まで歩いて帰宅。 いまになって考えますと、そこで救急車を呼んでもよかったのだと思いますが、なまじ医療に携わってきた身ゆえに、自分で処置できると考えてしまいました。.....これは今考えると、私の判断ミスだったと思います。......帰宅後、風呂場で、出血個所を水で洗い流し、傷の程度を自分なりに確認。鼻血は、ティシュを丸めて詰めて血が止まるのを待ちました。横になりながら、肩と顔面等の傷には、薬箱にあった抗生材入りの塗り薬をつけ、ガーゼ等で処置。鼻血はともかく落ち着くのを待つこととし、横たわったまま時間のたつのを待ちました。3時間ほどたったところで鼻血の具合を確認したところ、ようやく収まってくれました。

 8月19日日曜 日曜診療の病院を探したところ、自宅のすぐ近所、あるいて数分のところにあるクリニック(整形外科他)が日曜診療をしていることがわかり受診。状況ならびに私の心配.....外傷よりも鼻血がかなりあったことが一番の心配ごとでした....を説明。外傷は、消毒してもらい、簡易的ながら絆創膏などの処置。その後、頭部から顔面にかけてのレントゲン写真を幾つかの方向から数枚撮影。ただし、この日はその画像診断はなし。おそらくこの日は、整形外科医ではない別科の医師が勤務していたためと思われます。明日また再診に来るように時間指定を受け、また私自身の体調、傷の痛み具合も格段の変化もなく、つまり悪化傾向は見られなかったことから、処方箋(感染予防のための抗生物質、痛み止め)をもらったことで、今日のところは感染症対応で十分と判断しました。
帰宅後に気になったことは、やはり鼻血について。鼻水をかんだり、痰をだすと、そこにネットリと血糊が付着しており、明日(つまり本日月曜)は脳外科を受診しなければと考えました。脳挫傷とまではいかなくても、なんらかの傷害が発生しているかもしれないことを一番心配していました。 肩や顔面などの外傷は痛いことは痛いのですが、目で見える傷は確認できるのでそれほど怖いとは思いませんでした。 また、骨折もしておらず、幸い靭帯などの損傷がないことも自分で判断できました。 怖いのは、目に見えない部分。レントゲン、CTさらにはMRIなどの検査機器を使って初めて診断できるものがあるからです。

 8月20日月曜 インターネットで脳外科のある病院を検索したところ、これも幸いにも近所で評判の良いクリニックが整形外科・脳外科があり、CT検査もできることがわかりましたので、さっそく受診。外来は非常に混雑しており、2時間ほど待った後に、レントゲン撮影、CT撮影を行い、院長先生の診察を受けました。

レントゲン写真並びにCT画像を見て、院長先生の判断は、

 「これは当院では対応できません。顔面骨折しており、また副鼻腔に血が溜まっています。早急に専門医に診てもらう必要があるので、ここから近くて大きな病院への紹介状を書きますので、早く受診してください」「どういう処置になるかは、私では判断できませんので、専門医から詳しく説明を受けて下さい」「もしかすると、この骨折に対する手術が必要になるのかもしれません」

その病院は、電車で4駅ほどのところにある地域のなかでの総合病院。規模はちょっとした大学病院クラスとも言えるものです。ネットで調べたところ、完全予約制ということで、私自身で電話をして、先方に説明したところ、耳鼻科で診るか形成外科で診るかを先生と相談します。という返事で、いったん電話をきって先方からの連絡を待つことになりました。 10分ほどで連絡が入り、受付の方いわくは、患者さま(私のこと)からの連絡とは別に、紹介状を書かれた先生から当院にも電話があり、先生どうしで話をされていました。 形成外科で診ることになったのですが、本日は診察日ではないため、明日、午前〇〇時に来院して下さい。とのこと。 本来は、明日も予約がいっぱいで難しいのですが、〇〇クリニックからの紹介状があるのですぐに診てくれることになりました。

ここまでが前半部分としての説明になります。 

私の病態は、下記の図・レントゲン写真が類似しているので、これを見ていただきますと、およそ想像ができると思います。



この図のなかの副鼻腔に血が溜まっていることになります。



類似した症例のレントゲン写真です。この写真で示された部位に近似した形で私も骨折しているのが、レントゲン写真で私自身も判断することができました。ただ、私の場合、これよりも完全に骨折線が分離した状態でしたが。

いま現在、発熱もなく、ふらつきもなく、頭痛もなく、吐き気もない状態で、食欲もあり、食事も取れています。ただ、口の左側でモノを噛むとやはり痛み・不快感があり、これは骨折あるいは衝撃により顔面骨全体になんらかのゆがみが生じていて、それが影響しているのだろうと考えられます。 

ここから先は、想像の域になりますが、もし出血自体はすでに止まっているのだとしたら、副鼻腔の血だまりは自然に吸収されるのか、あるいは吸引のような処置になるのではと考えています。骨折は、外科的にプレート・スクリューで固定術を行うか、あるいはこちらも自然に接合するのを待つ。ということもありえるかもしれません。

脳には障害がなかったことがまず第一に幸いと感じました。 鼻をかんだり、痰のなかに血糊が混じっている原因が判明したのも、やはりCT検査のできる医療機関を受診したことを幸いと感じました。 

こちらの院長先生が、画像診断でただちに「判断」をしてくれて、紹介状を書いてくれたこと、さらには直接
先方の病院に電話して、これこれこういう患者(私)が受診するので、対応よろしく、と言ってくれていたことも幸いでした。

今後のことは、明日受診して、そちらの専門医の診断を仰いだうえになりますので、今後はまだどういう展開になるかはわかりませんが、専門医に診てもらう。ということが確定しているだけでも、気持ちが落ち着きます。


ここからは、実は後半の話になります。

本日、午後、再診予約がありましたので、予定どうりに、日曜に受診したクリニックに出向きました。すでにレントゲン撮影はここでも撮っておりましたので、午前中に診断してくれた〇〇クリニックの院長先生と同じように顔面骨折の診断がだされるのだろうと予想して出向きました。その対応については、診断がくだされたら、実はかくかくしかで、〇〇総合病院に明日いくことになつています。と話をしようと考えていました。

結果として、レントゲンを見て言われたことは「問題ありません」「大丈夫です」「クスリはちゃんと服用して、キズの処置も引き続き自分でやってくれればOKです」 というもの。
私も性格が悪いかもしれませんが、他院を受診してこれこれの診断を受けた、という話はしませんでしたが、こちらの医師に対しては、私もレントゲンを見ながら「骨折は....」と話かけたのですが、「そのような心配はありません」という返事。 さらにレントゲンを見ながら、「ここの黒い影は.....」と話かけたところ、「蓄膿症かもしれませんね。でも大丈夫です」という回答。

もうこれ以上、話をしても仕方ないと考え、そうそうに会計をすませて帰宅しました。


このふたつの医療機関の対応を読まれて、皆さんはすでに私がここで言わんとしていることを想像されていると思います。


私は、デフォルメした表現をここに記しますので、どうか、話半分ていどに割り引いてお読みいただきたいと思います。


 ◇ドクターには2種類の先生がいます。

  できることと、できないことを明確に患者に説明する先生。それができない先生。

  できる、できないは、性格のせいではありません。 医学知識・経験の差でしょう。

  世の中には、レントゲン写真を診ても、.....これを読影と言いますが.....正確な診断ができない医者が
  いるという事実




 ☞ 正確なレントゲン診断ができないこの医師のいるクリニックも患者さんで混んでいました。
   大半はお年寄りで、いわゆる慢性疾患などで通っているのだと思います。
   リハビリテーションも実施していますので、いわゆる電気や牽引療法などを受けているのかもしれません。
   そのような場合、加齢による変性ですから、急激な変化もなく、また緊急で処置するような疾患でも
   ありませんから、このクリニックでも十分に対応できるのだと思います。

   ただ、そのような人たちを見ていて、こころのなかでは別の病院に行ったほうがいいですよ、
   と呟いていたのも事実です。



 ☞ 私は、このブログのなかで、どうやってお子さんの身を守るのかについて書き続けてきました。
   今日、このふたつの医療機関、ふたりの医師による出来事を体験して、さらに強く皆さんに
   聞いていただきたいことがあります。


  1. 少なからず「医学」に関心をもって、自ら学ぶ。ということも心掛けていただきたいこと

  2. 医者でもない他人(一般人)の経験談を鵜呑みにしないこと

    SNSなどが発展したいまのインターネット社会では、「善意の一般人」が言う情報は
   その人が「善意」であるがゆえに、「疑問の目」で見るということがなかないできない社会
   になっています。 私たちは他人の悪意は割と見破れるものですが、「善意によりマチガイ」は
   そのマチガイに気づきにくいもの。どうか、そういう危険性についても考えて欲しいのです。

  3. 医者には、専門がある。ということ。 

  4. そして、その医者の知識・技量を推し量る自分自身の知識・経験も必要だということ

  5. セカンドオピニンを得る必要があるかどうかを判断するのにも、
    やはり自分自身の知識・経験が必要です

  6. 医者にも、様々な人がいる。という現実を踏まえたとき
   なぜ、民間療法者が医者よりも優れていると判断できるのでしょう?
   民間療法者は民間療法者であって、医学をきっちりと学んだ人たちではありません。

   整体は医学ではなく、民間療法であり、医者でもない人たちが「スクール」で
   一般人に授業料と引き換えに、「認定」「卒業」なる形式をとっているにすぎません。

  7. 民間療法者を支援し、協力する「医師」や「義肢装具士」のひとたちもいますが
   あの方々は、皆さんのお子さんに対して何の責任ももっていない、ということを
   どうか忘れないでください。

  8. レントゲン検査のみならず、CT検査、MRI検査も必要になる病気というものが存在します。
   たとえば、レントゲン撮影では写らなかった病気や障害も、CTあるいはMRIでなら
   見ることができる。という現実があります。

   正確な検査、正確な診断ができて、はじめて適確な診療・処置が可能になります。


 ☞思春期特発性側弯症の治療は、「専門医師」のいる医療機関で診てもらってください。

 ☞その専門医師をさらに専門医師として育てていくのは、
  皆さんの目であり、素直な質問や率直な気持ちを伝える、という行為を通じてだと思います。

  皆さん自身が、病気をしつかりと学び、病気と向き合い、この病気に対するご自身の「考え」を
  持っていただきたいのです。


 ☞側弯症の手術は、いわば大手術です。
  先生は自分の腕と相談して、自分でできると判断するのか、
  あるいは「いわゆる著明なドクター」にヘルプを依頼するのか、
  あるいはそのような先生のいる病院への紹介状を書くのか、
  
  そのような選択肢を考えているはず。

  皆さんは、お子さんの一生のことなのですから、遠慮することなく、
  先生が何を考えているのかを聞いて、納得のできる道を探すことが大切です。
  その先生がご自身で執刀するとした場合、どういう手術になるのか
  その手術を何例実施しているのか、どれだけの自信があるのか等を
  (礼儀正しく) でもきっちりと話し合いをされて下さい。


 私は、民間療法は否定します。 医学を信じています。
 でも、その根拠は、自分で考えることのできる医学知識と勉強の裏付けがあるからです。

 どうか、皆さんも、ご自身で勉強することを忘れないでいただきたいのです。

 august03


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