~step by step~[ 側弯症ライブラリー]患者の皆さんへ

側弯症(側わん症/側湾症/そくわん)治療に関する資料と情報を発信するためのブログです

病気の人に対して他人はどこまで関与できるか 

2009-04-20 00:04:30 | 医療へのひとりごと
 今回もaugust03の私的意見です。

 「....誰にとっても最も関心があるのは、....どうすれば予防できるのか、
  発症したら、どこまで治療できるのか、という二点だろう。
  残念ながら、どちらも見通しはそれほど明るくはない。
  .....を改善する、と証明されたサプリメントは皆無で、
  .....の有効性も疑わしい。
  でも、効果があると聞けば、少々うさん臭いと思っても、
  多くの人はそれを信じ込んでしまう。
  そう、私たちはみんな不安なのだ。.....を失うことは、
  自分が自分でなくなることにも等しい。
  不安だから、.............怪しげな民間療法も試してみる。
  その不安につけこみ、金儲けをするペテン師もでてくる。......」

これは本日の読売新聞書評欄よりの抜粋です。この本は、とある病気についての
現代医学の治療の実態と限界について書かれたものです。
その病気とは、「特発性側弯症」ではありません。「アルツハイマー病」です。

“私が何を忘れたか思い出せない”(スー•ハルパーン著) これが上記書評のもとと
なった著作です。

病気は人を不安にします。それが原因不明で、確定的な治療法がないとなれば
なおさらのこと人は不安の底なし沼の中に落とされてしまう。そして、それを利用
するペテン師は、側弯症にかぎらず、現代医学で解明しきれていない分野であれば
様々な病気において、同様のことが発生しているのだと思います。

昨今であれば、この不況下での職を失う不安、高齢化による(老後)介護に対する
不安、いじめの不安、生活への不安、こどもの教育(学校、試験、費用)に対する
不安、数え上げたらきりがないくらい不安のたねはつきません。考えれば考える
ほど不安はさらに数をまし、勢いをましていくことでしょう。ときには、うつ病的
心理状態にまで追い込まれるかもしれません。

やはり、同紙相談欄にうつ病のご主人についての奥さんからの相談が掲載されていました。
回答された方は、「幾つかの患者会(介護する側も含めて)があるので、そういう
ところを利用されてはどうでしょう」「xxxxxxxという本があるのですが、これは
マンガとはあなどれないほどに、専門家も納得できるほどに医学的情報にあふれて
います。読みやすくわかりやすいです」というような回答をされていました。
(このうつについての書名を忘れたので xxxxx と表記しています)

Step by stepのコメント欄に「老婆心の者さん」からいただいた一文は
「正しいものどうしがぶつかりあいますと、なかなか解決しません。」とありました。

コメントありがとうございました。おっしゃられるとおりだと思います。大昔に
読んだジョージ秋山の「浮雲(はぐれぐも)」というマンガの一節を思い出していま
した。確か次のような文章だったと思います。

  「世の中、善人ばかりだから喧嘩や争いが絶えない。
   俺が正しい、いいや、俺のほうが正しい、
   と、正しい、正しいばかりじゃ、決着が着くはずがない」

これはマンガのセリフでしたが、これをより教育学的に表現した書籍も
見つけたので書いてみます。

「善良な意図と愚かさの組み合わせ」と「狡猾な意図と賢さの組み合わせ」の
どちらが世の中により多くの害をもたらしているかとなると、まったく明らかでは
ない。善良な意図を持っている人は一般にその目標を追求する行動にあまり不安を
感じないし、まして良心の呵責を感じないので、その人に行動能力がないなら別だ
が、もしあると、おそろしいことになってしまうことがある。よこしまな意図を
もつ有能な人の場合には、時には良心の呵責からその行動を抑制するが、善意の人
は自分の意図が問題なく善であると確信がするがゆえに、最も問題の多い手段を
正当化してしまうことも平気だからである。善の名のもとに追求される善良な意図
が、よい結果を生むことはいささかも保証されていないのである」
(The logic of Failure:Dietric Dorner/ディートリッヒ•デルナー)

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    善意の人は自分の意図が問題なく善であると確信がするがゆえに、
    最も問題の多い手段を正当化することも平気である

この文章を書かれた方は、ドイツの心理学者なのですが、この上記に掲げた内容を
中国の思想家(名前を思い出せないのですが)も述べていたことを思い出していました

      動機善なれば、弑逆(しいぎゃく)するも可也り

意味は、上記の文章に非常に近く、自分の動機が正しいものであるならば、主君を
殺すことも許される。というような内容になります。

ネットで「病気」に対する情報を発信するというのは本当に難しいものです。
かってに他のサイトからコピーしているだけで分かったふりをしているだけだろう
患者じゃないのだから、患者の気持ちなんて理解できるはずもない。まして患者を
非難がましく言うのは言語道断だ。医者でもない者がコピーしているだけで偉そう
なことを言うな。ただ外国の文献を和訳しているだけじゃないか。etc etc

確かに、自分(august03)の心の中に、「己のしていることは善である」という強い
思いが存在していなかったかといえば、存在していた。と答えることになります。
その思いがなければ、このように長期にわたって書き続けてくることはできなかったでしょう
皆さんからご覧になって、どのように映るかわかりませんが、たかだかコピーする
だけでも、英語を翻訳するだけでも、相当の時間と労力を費やす必要があります。
それが何の役にも立たないのであれば、それが誰かを傷つけ、それが誰かの人生を
不幸にするものであるならば、そのような労力は払うことすら無駄であり、どころか
すべき行いではありません。幸いにも、とあえて言わせていただくならば、この
Step by stepを読み、側弯症を理解できた、この病気がどういうものかがわからな
かったことが、わかるようになった。という声をいただくことで、少なくとも自分
の行いが、誰かの役にはたっているのだと思います。

ただ、老婆心の者さんがおっしゃられたように、自分ひとりだけが正しいという
そういう押しつけは軋轢を生むだけで、それはあなた(august03)の目的とは異なる
のではないですか ? というご指摘はまさにそのとおりです。自分が正しい、
自分だけが正しいと主張したのでは、それは「俺だけが側弯症を治せる」と言って
る連中と同じ次元の話になってしまいます。傲慢な思い上がりを主張する人間は、
私自身がもっとも嫌いなタイプの人間なのですが、あやうくその仲間入りをして
しまうところでした。

私は、患者自身ではなく、患者の親でもなく、そして医師でもありません。
そのことはずっと包み隠さず申し上げてきました。そのことゆえに、私august03が
側弯症という「世界」に立ち入る事を忌み嫌う人もいますが、そういう立場ゆえに
第三者的に、そして医学/医療を (皆さんよりは)知る者として、様々な情報を提供
して欲しい、と支持してくれる方々もおられます。何が医学的に正しい知識であるか
何が医学情報として正しいか、その判断をする能力と経験、知識は一般の皆さん
よりは有しているという自負(プライド)を持っていることが、一歩間違えると
相手に誤解を与えることにもなりかねない。ということをもう一度肝に銘じないと
いけないですね。

その気持ちをもう一度踏まえた上で、今回の記事の冒頭に記しましたように、
「病気」の「不安」につけいる「ペテン師」がいかな病気の場合にも存在し、それ
がこの側弯症の場合にも存在していることを訴えつづけることはこれからもやめる
わけにはいきません。
そして同時に、正しい医学知識と医学情報を発信し続けること。それが自分の役割
として、その役割を果たしていきたいと、老婆心の者さんのおかげで、あらためて
気持ちを新たにさせていただきました。

     知識は「受動的」であり、智能は「能動的」である。

上記は物理学者志村史夫氏の著書よりの引用ですが、知識を得ることは患者の皆さん
そしてお母さんがたにとってとても大切なことです。その知識をもとにして、
現実にどう対処していくか、それが「智能」、人としての智恵でしょう。
智能、智恵(知恵)とは学歴とは無関係のこと。その人が得た知識をもとに、何を
考え、どう行動するかを、どういう選択をするかを決める、その心構えのような
ものです。他人から与えられるものではなく、他人の指示に従うものでもありません。

そして、その智能のもとになる知識は、受動的であるがゆえに誤った知識を学んで
はいけません。多くの皆さんは、医学を自らの力で学ぶことは現実的な壁があり、
また日々の生活のなかで、それを実現することはほとんど不可能なことです。
私august03の役割は皆さんに知識を提供すること。たとえ、それが海外サイトの
コピーであったとしても、それが皆さんの役にたつものであるならば、和訳を
続けていくことにします。患者さんゆえにその発言が医学的に正しいとは限りません。
その是正をすることに躊躇することもしません。

皆さんは、知識を得て、その知識をもとに、ご自身の智能で、ご自身の、あるいは
娘さん息子さんの病気へどう対処するかを判断し、行動して欲しいと願っております。


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