ウエスティに猫な日々

日々の料理と外食、趣味の熱帯魚と読んだ本の感想と我が家の犬と猫の話。
ほか、日々のちよっとした独り言。

「 沈黙の町で 」    奥田 英朗

2016-04-29 22:04:44 | 
     「 沈黙の町で 」  奥田 英朗

       

奥田英朗作品、やっぱり読みやすく最初からぐいぐい引っ張られます。
内容は悲惨ですが、真相が知りたくて一気読み。 読み終わって疲れました。
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中学2年生の名倉祐一が部室棟から転落し、亡くなっているのを探していた教師が発見します。
事故か自殺か他殺か? 検死の結果、体に暴行の痕が見られ、聞き込みでいじめがあったとわかります。
屋上にあった5人の足跡から、4人のテニス部員が浮かびます。
警察は、まず、いじめの暴行容疑で藤田一輝・坂井瑛介の二人を14歳なので逮捕。 金子修斗と市川健太は13歳のため補導されます。
被害者、加害者とそれぞれの家族、先生、生徒、警察、マスコミ側から、死の真相に迫ります。
~~~~~~~
現実でも、いじめでの自殺、他殺がマスコミで取り上げられます。
加害者が未成年の場合、名前も発表されず、被害者家族も詳しくは知らされないと訴えている番組を見たことがありました。
いけない事ですが、どの時代もどこででも、多かれ少なかれ いじめ は存在します。
いじめられる人と、いじめる人。 追随する人と傍観する人。
どうしようもない根っからの悪人もいますが、ここでの4人の生徒は、初めはいじめる意思はなく、むしろ不良たちから庇って助けていたのに、
名倉があまりに宇宙人的で二重人格で、女生徒や下級生まで手を焼くようになり、みんなが集団心理で変わっていきます。中学生は未完成の人間だと書いています。
逮捕されても、坂井くんの、言い訳しない、人の身代わりになる気持ちが私には理解できませんでした。 
名倉は裕福で甘やかされ、生い立ちに同情はしますが、私には、『 作者は被害者をそっちに持って行ったか 』と言う感じがしました。

流産の末にやっとできた一人っ子を失った被害者家族の悲しみと苦しみ。 加害者になった我が子を必死で守りたい親の気持ち。
被害者・加害者家族、生徒とその親たち、警察、教育委員会、マスコミ等の対応に奔走する校長はじめ教師たちの動揺と苦悩。 刑事たちの捜査が描かれています。
最後に真相が明らかになりますが、何ともやりきれない結末で、みんなの心に救いようのない傷が残るでしょう。

いじめられた人は一生の傷になりますが、案外いじめた人は、いじめたことさえ自覚がないままのこともあります。
私は鈍感なので、いじめたり、いじめられた記憶はありませんが、もし、自覚のないまま誰かをいじめていたら、、、と心配になりました。

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