初の海外となる英国遠征の準備を進めている三浦皇成騎手。デビュー2年目の若きスターは、もっともっと上を目指す
デビュー2年目を迎えた中央競馬の三浦皇成騎手(19)が、この秋の海外遠征に向けて着々と準備を進めていることが15日、分かった。遠征先は近代競馬発祥の地・英国で、この日は都内の英国大使館を訪れた。現地での受け入れ厩舎も決まっており、本人も「何を学べるか、すごい楽しみです」と、その時を待ち望んでいる。
08年にデビューしたJRAの若きスター、三浦皇成騎手が海外に飛び立とうとしている。遠征先に選んだのは近代競馬発祥の地・英国だ。
三浦は15日、札幌競馬場での調教終了後に上京。東京・千代田区にある英国大使館を訪れるなど着々と準備を進めている。遠征が正式に決まり次第、具体的な日程などがJRAの広報を通して発表される見込み。武豊騎手はデビュー3年目の米国遠征が初の海外で、年内に実現すればJRA競馬学校卒業生としては最速での海外遠征だ。
英国の理由は、三浦が英検準2級を取得し、言葉に対する不安がそれほどないことに加え、過去に後藤浩輝騎手や和田正一郎調教師がC・ブリテン厩舎に研修に行った際に橋渡しをした人物との出会いがあったことも大いに作用している。
実は昨年、2年目を迎えたら米国西海岸で武者修行をというプランもあったが、米国ビザの取得が難しく、さらに格好の受け入れ先が英国に見つかった。今回は多くの関係者の努力やサポートがあり、その代表的な1人がニューマーケットを拠点とするマーク・プレスコット調教師。英国では数少ない“サー”の称号を持つ人物で、外国人労働者の受け入れ資格も持っている。
同厩舎には英国で活躍するS・サンダースやJ・スペンサーら一流ジョッキーがいる。彼らと一緒に調教に参加できる環境は、三浦にとって願ってもない。プレスコット師は日本でもお馴染みの世界NO・1ジョッキー、ランフランコ・デットーリ(38)を引き合いに出し、「三浦を日本のデットーリにしたい」と歓迎の姿勢を見せている。父がイタリアのジョッキーだったデットーリは15歳の時、ニューマーケットに拠点を置くルカ・クマーニ厩舎で見習い騎手となった。
「(レースに)乗れたとしても、乗れないにしても、将来的に自分の財産になると思います。“まだ早い”という意見もあるかもしれませんが、早い時期だからこそ学べることがたくさんあると思います。(英国で)何を学べるか、すごい楽しみです」。三浦は心を躍らせて、その日が来るのを待っている。
プロゴルファーに転向して2年目の石川遼(17)は、16日からゴルフの聖地で全英オープンに果敢に挑む。探求心旺盛な三浦も2年目を迎え、さらに上のステージを目指して自らを磨き上げる。
★英国競馬
平地競馬の本格的シーズンは4月から10月で、毎日のように各地で開催がある。日没が遅い夏場は各地で開催時間がズレているため、トップクラスの騎手は1日に3競馬場を掛け持ちして騎乗するケースもある。冬場は障害競馬が盛んで、平地は近年、ダートに近いオールウェザーコースでの開催が増えているが、大きなレースはない。競馬のレベルは世界最高峰だが、馬券の売り上げの多くが主催者でなくブックメーカー(公認の賭け屋)に流れてしまうという事情などで、賞金水準は日本より低く、ダービージョッキー、アラン・ムンロが以前来日した時、「英国では騎手だけで食べていけるのはトップの20人くらいしかいない」と語ったことがある。
★ニューマーケット
ロンドンの北北東100キロメートルに位置する英国競馬の拠点といえる町。牧場、広大な調教場に加え、競馬場が2コース(芝のみ)あり、そのうちのひとつローリーマイルコースは2000ギニー(1600メートル=皐月賞に相当)、1000ギニー(1600メートル=桜花賞に相当)の舞台として知られ、2000メートル戦が直線だけで実施できる。100馬房を超える大厩舎(JRAの厩舎は20馬房が一般的)も含み、60以上の厩舎がある。
★マーク・プレスコット調教師
数少ない“サー”の称号を持つ調教師で、キャリア40年のベテランで61歳。96年英GIナンソープSを勝ったピヴォタルが代表的な管理馬。過去に専属ジョッキーだったG・ダフィールド騎手が、ライバルのブリテン厩舎に所属したユーザーフレンドリーの主戦を務めていたことに対し疑問の声が多数上がったが、「女には色目を使うが、ジョッキーには色目を使わない」と話し、騎手を大事にするトレーナーとして有名。(サンスポ)