仙台育英を完封した下沖。東北ナンバーワン右腕の下馬評は健在だ
打倒青森山田! センバツに出場した光星学院(青森)が5日、宮城県多賀城市の仙台育英グラウンドで仙台育英(宮城)と練習試合を行い、8-0で快勝した。エース下沖勇樹(17)=3年)=が被安打5奪三振8で完封すれば、打線も13安打で8得点。最高の流れでライバル青森山田の6年連続夏の甲子園出場を阻止し、6年ぶり5度目の出場を目指す。
1球投げるたび、気合の入った雄たけびを上げた。下沖が夏の大会前最後の練習試合で、春季東北大会準優勝の仙台育英相手に被安打5の完封ショーを演じた。
「(投球)フォームもしっくりきたし、直球も変化球も思うように投げられた。最後の試合でいい結果を残せ、チームとして自信になった」
下沖が胸を張った。この日最速143キロの速球と、打者のひざ元に鋭く曲がり落ちるスライダーを軸に好投。4日も東北大会優勝の盛岡大付(岩手)戦に登板し、5回を被安打2の無失点と2日続きの安定ぶり。金沢成奉監督(42)も「信用できる投球になってきた」と高評価だ。
青森ではここ5年連続、青森山田が夏の甲子園に出場。下沖は昨夏2年生エースで青森山田との決勝戦に先発も、5回途中で4失点KO。試合も0-4で敗れた。
「去年は勝ちたいという強い気持ちが空回りしてしまった。今年は意識せず、1試合ずつ戦っていくだけです」
自分たちの野球をやると下沖が語った。昨秋と春季県大会を連覇と、県内無敗。ライバルを過剰に意識する必要はどこにも何もないのだ。
チームは東北大会の準々決勝で聖光学院(福島)に4-6で敗れたあと、練習量を大幅アップ。3日までの約2週間は午後8時の通常練習後に、夕食を取ってから再び全体で集まり筋トレや素振りなどを午後10時すぎまで実施した。
この一戦は4番に座った下沖が3安打4打点と活躍。五回一死二塁では両翼100メートル、中堅125メートルの広さがあるグラウンドのバックスクリーン左横に特大弾をたたき込んだ。チームも13安打8得点で大勝。強化練習の効果を存分に発揮し、三本木農-東奥義塾の勝者と当たる14日の2回戦へ向け最高の形で終えた。
「一番大事なのは初戦。ここをしっかり勝って一気に波に乗りたい」
下沖が力強くいいきった。投打の柱としてチームを引っ張り、青森山田の壁をぶち破って春夏連続出場を手にする。
下沖 勇樹(しもおき・ゆうき)
1991(平成3)年9月8日生まれ、岩手県二戸市出身、17歳。中央小4年時に堀野ボーイズで野球を始める。当初は三塁手も、福岡中1年時から投手に転向。3年時に全国中学軟式野球大会優勝。光星学院では1年春から公式戦ベンチ入りし、1年秋からエース。1メートル80、77キロ。右投げ右打ち。家族は両親と兄、妹(サンスポ)