今季10勝目、通算30勝目を挙げた田中は笑顔でファンとタッチ
(パ・リーグ、楽天4-2ロッテ、15回戦、ロッテ10勝5敗、14日、Kスタ宮城)ほろ苦の初体験にもめげなかった。楽天・田中将大投手(20)が14日、ロッテ15回戦(Kスタ宮城)に先発。一回に「記憶にない」という2者連続本塁打を浴びながら、二回以降は得点を許さず、8回2失点で2年ぶりとなる10勝目(4敗)を挙げた。区切りの通算30勝目となったマー君の力投で、チームは3位西武に2.5ゲーム差と接近。Aクラスは目前だ。
1点リードの八回二死。大松の右翼への大飛球(右飛)にマウンドで肝を冷やした田中は、何度も「アブね~」と繰り返した。ベンチをヒヤヒヤさせながらも8回2失点で、11勝を挙げた07年以来2年ぶりの10勝目。高卒3年目での通算30勝到達は、ダルビッシュ(日本ハム)と涌井(西武)に並んだ。
「2けた勝利は当たり前という期待を感じています。意識はしていなかったけど、10勝という区切りができたことは本当にうれしいです」
人生で初体験の幕開けだった。一回二死からサブローと大松に左翼席へ運ばれた。2者連続で本塁打を喫したのはプロ3年目で初めて。駒大苫小牧高時代も「ないと思います」という屈辱にも「このまま崩れたらこれまでと一緒。気持ちを切り替えていった」
四回からは走者がいなくてもセットポジションからの投球。変化球のリリースポイントも修正した。二回以降は散発3安打。八回で降板するまで追加点を許さなかった。
試合前には野球の2016年五輪での実施競技復活が絶望的という知らせが届いた。「野球が広まっていない国がある中で、世界的な大会がなくなるのは残念」。野球復活のキャンペーンキャラクターも務めていただけに表情を曇らせたが、マウンドではすべてを忘れて力投した。
「二回以降は安心して見ていられたよ。ピンチらしいピンチもなかったし」と野村監督。マー君の目標も指揮官と同じで「10勝は通過点。投げる試合は全部勝つつもりでいきたい。クライマックスシリーズには絶対に出たい」。悲願のAクラス入りは20歳の右腕にかかっている。(サンスポ)