子オオカミの全身は霜に覆われ、青い目は輝きを失っていた。
彼は吠え方すら忘れてしまったようだ。
「ウォン~ウォン~お姉さんよく来てくれたな。ちょうど昼ごはんに困っていたところだ」
この言葉を聞いて、優しいイノシシの姫は思わず泣いてしまった。
その涙で子オオカミの心の氷が少し溶ける。
「ウォン~お前、何で泣いてんだ?」
「うう~うう~お昼ごはんすら食べられないなんて、私の王国ではこんな悲惨な状況見たことないわ」
「だから、私は私の全てを犠牲にして、あなたのお腹を満たそうと思う、どう?」
子オオカミはその言葉を聞いて呆れた。
「ウォン~ウォン~お前正気か!俺の目の前で、そんなことを言うやつはいなかった!」
子オオカミは姫の目の中に光る決意を見た。彼の心の中の氷がひとつ割れる。
「違うわ。つまりーー」
「王国で最も賢くて、最もお世話になった二人の家族を犠牲にしてあなたのお腹を見たそうと思うの。
私たちの友情のために!」
マズイと感じたキツネはすぐに逃げ出したが、子オオカミと姫に捕まった。
亀じいはビビって甲羅に隠れている。
子オオカミと姫は雪の中で、珍味をいただいた。
洞穴でたくさんのキノコを採り、コケ植物で火を起こし、亀スープを楽しんだ。
子オオカミは初めて分かち合った友情の楽しさを知った。
心の中の氷がどんどん溶け、嬉しい涙となって溢れていく。
姫は子オオカミと手を繋いで、一緒に故郷へと戻ったのでした。