あろてあろあ日記

単なる日記です。特にテーマもありません。
目的地を定めない旅行もいいものです。

行き過ぎた理念

2007-06-09 | Weblog
コムスン「譲渡凍結」 社長引責辞任へ グループ会長 事業継続に含み(西日本新聞) - goo ニュース

訪問介護最大手のコムスン(東京)が厚生労働省から事業指定の打ち切り処分を受けた問題で、親会社グッドウィル・グループ(同)の折口雅博会長と、コムスンの樋口公一社長が8日、東京都内で記者会見し、「処分逃れ」と批判されていたコムスンをグループの別会社に事業譲渡する方針について「凍結する」と発表した。樋口社長は、厚労省の指導・改善指摘事項を完了し次第、引責辞任すると表明した。【続きを読む】




トップは辞めないのね。やっぱり?


新聞報道などを見ると,子供のころ親の会社の倒産を経験したり,親の介護で苦労したりしたようで,それなりの理念を持っているようには見えます。


ただ,授業料がタダで生活費が支給される防衛大学校に通いつつ自衛官任官を拒否したり,介護報酬の不正請求を容認するなど,国民の血税に対しては無頓着のようです。


人間,崇高な理念を持つのは結構ですが,それにとらわれすぎるばかりに,回りに対する配慮を忘れ,してはいけないことをしてしまうのかもしれません






こういった傾向は,キャリア官僚などの公務員によくあります。


キャリア官僚などの公務員は,営利を目的とする民間企業と異なり,公共のため,国民のため,自分たちは正しいことをしているんだ,という意識があります。


ですので,その意識と,元々もっている真面目さとあいまって,費用対効果などといったことに気をとめることなく,一度正しいと思ったことは,後から問題点が出てきても,なかなか自分の非を認めることができず,どんどん突き進めてしまうことはよくあり,その現われと思われる現象はよく見られます。




このような傾向は,裁判官や検察官はもちろん,人権などの公共の意識の強い弁護士にも時々見受けられます。


山口の母子殺人における弁護団には,死刑制度廃止という理念のために,被害者の家族に対する配慮を欠く弁護をしてしまったといえるのかもしれません







真面目であることや,正しいことをしようとする意識そのものがおかしいといっているのではありません。


何が正しいかは,絶対的なものではないし,正しいことも,しっかりとした裏づけをもち,してよいことと,してはいけないことの境界線に対する感覚がないと,空虚なものになってしまいます。





自分が就職する法律事務所のボスに志望動機などを話したときに,『君が立派な考えを持って弁護士になろうとしていることはわかった。でも,弁護士は,依頼者から,具体的な相談や事件に伴いその費用の支払いを受け,これにより,事務所を維持すると同時に自身及び家族の経済的な基盤を確立していることを忘れないようにしてください』と言われました。




介護事業を成功させようという考え自体は立派なものです。


しかし経営に対する配慮を欠き,ついには不正請求や脱法行為をするまでに至ったことは,明らかに行き過ぎと言わざるを得ません