きみがのぞむなら

移動中、山手線。
つり革につかまり外を眺める。

母：「このままだと、どこの学校にもいけないのよ」
母：「この学校にいくってママと約束したでしょう」
母：「今がんばれば後絶対に良かったと思うから」

うなだれる少年、顔をのぞきこむママ。
まだ声変わりもしていないような少年はブレザーに半ズボン。
ネクタイを締めて小さくすわっていた。
のぞきこむママはとても清楚なフォーマルスーツ。

結婚式に行くのかもしれないが、あまりに縮こまる少年の陽に照らされて光るつむじを見つめつつ、
この子は一体何をしたいんだろう
何を望まれているのだろう。

そんなことを思った。

帰り、電車のなか。
言い争う男女。
彼：「なんでそういうことするんだよ。勝手に人の携帯いじるなよ」
彼女：「だって心配させるほうがわるいんじゃん」
彼：「そんなに信用できないのかよ」
彼女：「だって知らないときに何してるか知りたいんだもん」


・・・・
心配させる彼、心配しすぎる彼女。
お互いがよければいいのですが、携帯を見るのはどうかと。
気になったら聞くが一番。
信用できないのも問題なのだと思います。
なるべく直接がよさそうです。

バスの中、上司（オトコ）と部下（オンナ）。
隣同士に座りつつ、仕事談義。
部下は現在の仕事の状況、体制が気に入らないらしい。
また、上司も彼女の仕事の指示の仕方が試行錯誤らしい。

上司：「君は、今の仕事の中で何が一番自信ある？」
部下：「そうですねぇ・・・


あたし、お茶を入れるのには自信があります」

えぇぇぇぇぇぇ・・・・
いや、お茶を入れると言う事に対しては何も言いません。
彼女は一人一人の適応温度、好みの茶葉をとくとくと説明し始める。

多分、そのことを聞いたのではないと思う。
上司は遠い目をしている。
部下は目を輝かせ、お茶の出し方、茶葉の選び方、器の暖め方を語る。

幸いあたしの勤めた会社はお茶だしを女性がするということはなく、飲みたい人が自分で入れる。
それは仕事ではなくてコミュニケーションだと思うんだけどなぁ。
まぁいいや。

部下：「なんですけどね、最近仕事うまくいかないことがとても気になって」

お茶入れなのか、本当に仕事なのか。
突っ込みを入れたくなるのでした。
わたしもお茶好きなのでどうやったら上手にお茶を入れる事ができるのかは知りたい。
でもね、プライベートで教えて欲しい。

人が望むこと、望まれていることを理解したり、伝えたりするのは難しいことだと思います。
小さい頃から自分はどうしたら邪魔にならないのか、どうしたら良しとされるのか。
そればかりを考えて生きてきました。
人の考えることが読めたらどんなに楽でしょう。
でも、人のココロが読めたなら傷ついてばかりで笑えないとも思うのです。

「思いやる気持ちをなくさないように」
だから人にはココロを読む機能はついていないのかなぁ。

一度だけ、一度だけでいいのです。
一回だけでいいのでできたらいいなと思うことがあります。
それは

誰かと一緒にいるときに、その人の生きている時間を気にすることなく、
気を使うことなく一緒にぼーっとしてみたいのです；

よく立ち止まる人です。
花が咲いてる、鳥が歌ってる、風の匂いがちがう、太陽の温かさを感じる、人が笑ってる。

ずっとそれを感じていたいんです。
以前はよく散歩してました。
１人の時間がとてもながく、一緒に居たい人もそばには居ない。
散歩途中に立ち止まり気がつくと辺りが暗い。
１人だからできるけど、誰かがいたらそれができないんです。
飽きてるんぢゃないか、つまらないんじゃないかなんてどんどん考えると、立ち止まれない。

べつに一緒に見ていてくれなくてもいいんです。
１人そうさせておいてくれるような、じぶんじゃない人といい距離感を保ちたいなと思います。

あたいの友達ははっきり物をおっしゃる方たちばかり。

私：ぼーっとしたい。

友：やだ。飽きるから。

お互いにお互いの気持ちを伝え合うことができると無駄な気を使わないし、
使う必要がなかったりする。
ある意味思いやりなのです。
こういう関係がまたたまらなく好きです。