ゆっくりと世界が沈む水辺で

きしの字間漫遊記。読んでも読んでも、まだ読みたい。

『英国王のスピーチ』を観てきました。

2011-05-02 | 観るものにまつわる日々のあれこれ
 
ロイヤルウェディングのニュースがあったばかりですから、タイムリーといえばタイムリー。
コリン・ファースファンのるいちゃんと一緒に観てきました。

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 英国王のスピーチ

 監督:トム・フーバー
 出演:コリン・ファース/ヘレナ・ボナム・カーター/ジェフリー・ラッシュ


期待を裏切らない作品でした。
過剰な期待を抱かせない作品だったということも言えそうですけれど。

吃音というコンプレックスのあった(逆かな、様々なコンプレックスやストレス、プレッシャーが吃音となって表出したというべき?)ジョージ6世の即位前後を描いた作品です。

公の場でのスピーチができないことは王族、ましてや王位継承位が第2位の王子にあっては深刻な問題。
夫人の助けもあっていろいろな専門家を訪ね、吃音を克服しようとしていましたが、それは困難極まりなく、彼自身が投げ出しかけていました。
そんないらだちの中で出会うのが言語障害専門と看板を掲げたローグです。
対等な立場での診療をというローグと彼はぶつかり合いながらも、つながりは少しずつ深まっていきます。
そして、とうとう訪れた父王の崩御。
兄の即位と、その退位を受けての即位。
王位の継承は、王の子として生まれた者の権利ではあるけれども、同時に、逃れることのできない義務であり、王となることは王ではない解放された自分自身を失うことなのです。
即位が決まった時、彼ら兄弟がそれぞれに流した涙に、こちらもせつなくなります。

クライマックスは王となった彼がラジオで行うスピーチ。
ヒトラーの台頭するドイツとの戦争開始を国民に告げる演説であり、失敗は許されません。
少し前の画面で、ヒトラーが演説しているのを見ながらジョージ6世が演説がうまいなと言うところなんかもあったりしますし。
息を詰め、祈るような気持ちで、そのシーンを見終えた後、向かい合うふたりの会話に、何とも言えない気持ちにさせられます。
「wでつかえましたな。」 「わざだよ、私だとわかるように。」
ふたりはとてもおだやかなのだけれども、こっちは、なんだかもう泣き笑いという感じ。

映画自体はとても気持ちよく見終えることのできる作品でした。
でも、見ながらどうしてもいろいろなことを思わずにもいられない作品でもあります。
埒もないことばかりなのですけれど。
映画の中に少しずつ織り込まれ、そして最後で迎える第2次世界大戦の幕開け。
この戦争に日本は英国と敵対する形で参戦するわけですから、クライマックスのスピーチ自体は対ナチスドイツと印象が強いとはいえ、素直な気持ちで聞くのも、聞かないのもしっくりこない感じで…。
それにどうしたって、皇室のことを連想せずにはいられなくて。
たとえばこの作品のように、皇室が描かれることがこの先あるだろうかと思ってしまいます。
以前「 太陽 THE SUN 」という映画をみましたけれど、あれは監督がロシアの人でしたし。
季節ごとに、皇室の特番は放送されていますけれどね。
人間宣言からの時間がまだ足りないのでしょうか。
まだ生まれてもいない赤ん坊が即位するころには、できるのかもしれませんねぇ。


 

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2 コメント

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「英国王のスピーチ」、 (narkejp)
2011-05-03 10:18:55
良かったですね~。なかなか重厚な出来あがりで、たっぷり堪能しました。私には、ライオネルの奥さんの善良さ、信頼が印象的。「ディナーをご一緒にいかが?」とか「謝ったら」とか、いい場面でした。
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narkejpさま (きし)
2011-05-03 19:56:00
コメントありがとうございます。
良かったですねー。後味のよい作品でした。
ライオネルさんの家族、ほんとにすてきでしたね。
ちょうど映画の日だったこともあってお客さまもたくさんいらしてました。
返信する

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