ゆっくりと世界が沈む水辺で

きしの字間漫遊記。読んでも読んでも、まだ読みたい。

和田誠 【装丁物語】

2007-07-12 | 白水社
 
有名ですねぇ、和田誠さん。
平野レミさんを奥さんにしているというだけでも、ひそかに尊敬してしまいます。
いろいろな意味で。


装丁物語
 装丁物語

 著者:和田 誠
 発行:白水社

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著者が装丁を手がけた本や、その本の著者や編集者との交流などが語られています。
気どることはないけれども、自負はあるという雰囲気がにじみ出る文章は、目にしてきたイラストの印象とも共通します。
簡単な線で、まるで誰でも描けそうだろ?でも描けないんだよ、意外と、というあの感じ。

さすが大ベテランなので、装丁の移り変わりも話題になっています。
昔はカバーなしが多かったのですね。今はカバーありが主流。
あれ、一回ははずしてみないと気がすまないのですよね~。
読みにくいからはずすということも理由にはあるのですが、カバーとは別のデザインになっていることが多いので、とても楽しみ。
家で読むときはたいていカバーをはずしています。
外の時には、持ち運びの時にそじるのがいやで、カバーの上からさらにカバー。
それでも結構そじてくるのが、本の厚みの部分。小口というのでしょうか。
単行本なのにうっかりひっかいて、線がついてしまったりするとがっかりです。

デザインするときの具体的な方法や、紙やペン、インクなどの画材についての記載も多くて、門外漢の私は、へぇと思うばかり。
残念ながら、著者の手がけた本自体は読んでいないものが多かったのですが、この本を呼び水に、いろいろな本を思い出せるのが楽しかったです。
あの本の手触りが好きだったなぁとか。

モロモロの事情から(経済的な問題が主…)文庫派の私ですが、当たり前と思っていたことが、はじめからそうだったわけではないことを思い出しました。
文庫のカバー裏表紙の内容説明、あれはないものが確かにあったという記憶があります。
ですが、本文中にあるような、カバーの裏も表同様にデザインされているものには覚えがありません。

デザインといえば、最近ちょっと不満なのは、帯をつけることが前提になっている表紙。
帯をとった下が真っ白だったり、無地だったりすると、え~、そんな~という気持ちになります。
帯は帯で惹句が楽しいですが、帯がないと締まらないようなデザインはどうかと思います。
見えている部分がきれいだったりするとなおさら。
古い感覚なのでしょうか。

著者が非常にこだわり、断固抵抗中なのが、バーコードだそうです。
あれは、確かにきれいな本だと、ものすごく惜しい気持ちになるときがあります。
単行本も、漫画みたいにフィルムで包んでくれればいいのに。
コミックでやれるなら単行本だって大丈夫そうではありせんか?
定価とかバーコードはそっちに印刷。
本屋さんでの立ち読み用は1冊あればいいですよね?
だって、本を買うとき、積んである山の1番上の本を選ぶ人って、そうそういないでしょう?
なんとなく、その下あたりをレジに持っていく。
フィルムに包まれたきれいな本が買えて、紙の風合いなどは、見本で確認。
見本でだれも買わない、見ることが前提のものなら、ちょっとカバーはずして表紙をみちゃう、なんてことも許されるかも。
あ、そうすると、帯がつけれらなくなってしまうな…。
え~と、帯の内容もそのフィルムに印刷。もしくは、立ち読み用だけにつける。
そんなふうになったら、帯がコレクターズアイテムになってしまいそうですね。






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コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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こげぱん (きし)
2007-07-13 23:40:24
本の外側しか見たことがありません。
むむむ、そんな楽しいことがあるんですね?…気になります!

>帯をつけることを前提にデザイン
そういうこともあるのでしょうね、きっと。
でも読むときはやっぱりとってしまうし、やっぱりちょっとさびしい感じ。ほんと、プレゼントがない気分です。
帯の下から別の絵、和田誠さんは帯がつき始めたころのお仕事で、それをしたそうです。探すと今もあるかもしれませんね
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一回はずして・・・ (koharu)
2007-07-13 21:08:03
くだらないと笑われてしまいそうですが・・・
『ごげぱん』のコミック本
カバー表紙と表紙が別デザインで

カバー表紙→目次→表紙→カバー裏表紙→奥付の隣の開きページ
で、ひとつの話になっているものがあります。
(ちなみに、裏表紙は、4コマ漫画)

はがせる機会があったら、ぜひ・・・おすすめ。

>帯をとった下が真っ白だったり、無地だったりする。
絵を書くほうは、帯をつけることを前提にデザインするようにって、注文をつけられているのでしょうね。
でも、はがすほうの私は、包み紙の中にプレゼントが入ってないような、そんな寂しい気分になります。
いっそ、帯の下に全く別の絵が隠れていたら面白いのに・・・



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