『孤児となった少女シルバーは、不思議な盲目の老人ピューにひきとられ、灯台守の見習いとなる。夜ごとピューが語る、数奇な二重生活を送った牧師の物語に導かれ、やがてシルバーは真実の愛を求めて独り旅立つ―二つの孤独な魂の遍歴を描いた傑作長編。』
灯台守の話
著者:ジャネット ウィンターソン
訳者:岸本 佐知子
発行:白水社
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孤児になって灯台守にひきとられた少女の歩むことになった人生と、かつてこの灯台のある町に生きていたひとりの男の人生が語られていく作品。
読んでいて、なんだかとてもさびしい気持ちになってしまいました。
陸地にありながら、常に海へ向かう灯台。
それと同じように、少女も語られる男も、人々の世界に属しているはずなのになじむことができず、どこか別のところをみているような気がします。
それとも、逆でしょうか。
どうにかつながろうとするために、灯台に寄り添うのか。
頭に浮かぶ岬に立つ灯台の姿が孤独なのではなく、その光をめざし、寄り添おうとすることがせつないのかもしれません。
文章にはリズムがあり、湿っぽさに落ち込まない力強さを感じもするのですが、なんだかもやもやとさびしいまま読み終えてしまいました。
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