ゆっくりと世界が沈む水辺で

きしの字間漫遊記。読んでも読んでも、まだ読みたい。

ベン・H・ウィンタース【地上最後の刑事】

2015-04-24 | 早川書房

ハヤカワのポケットミステリは見かけに騙されてしまうけれど、実は単行本なのよねと、いつも後から思います。
2段組みの文字ギッシリ感しかり、お値段しかり。

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 地上最後の刑事

 著者:ベン・H・ウィンタース
 訳者:上野 元美
 発行:早川書房
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舞台は、もうすぐ地球に小惑星が落ちてくるというニュースが報じられ、騒然とする世界。
残り少ない時間をどう過ごすか。
すべてを投げうち、やりたいことだけに打ち込む人々あり、絶望し早々に生きることを放棄する人々ありという状況下で、ファストフード店のトイレで死体が発見されます。
縊死とみられるその死体を、誰もが自殺と片付けようする中で、担当する刑事は殺人事件の気配を感じ取り、自分の仕事、しかも憧れていた刑事という仕事を全うしようと捜査を開始します。
使命感をもって!という暑苦しさはありません。
むしろ、淡々としていると言っていいと思います。
遠くない未来、世界が終わるとしても、出勤しているなら仕事するだろ、当たり前に。
それが当たり前という感じに親近感が湧きます。
私自身、世界の終わりが近づいていても、おそらく仕事を続けるだろうと思います。
安楽死も選択肢のひとつでしょうし、けれど特別したいことがあるというなら否定はしません。
ワタクシとて、その時に特別にしたいことがあれば、そちらを優先するかもしれませんし…?

ま、それはさておき、どこからどうみても自殺と思われたその事件は、刻々とその様相を変えていきます。
さて、その真相は?

なんとなく、プロローグという雰囲気を作品から感じてしまうのは、設定自体が「終わりの始まり」だからでしょうか。
微妙にいろいろな種が蒔かれている感じがして気になります。
小惑星はホントに墜ちてくるのかなー、それ、気になるわー、と思っていたら、続編がすでに出ていました。
どうしよう。

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 カウントダウン・シティ

 著者:ベン・H・ウィンタース
 訳者:上野 元美
 発行:早川書房
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