着ればわかる…のか?
着ればわかる!
著者:酒井順子
発行:文藝春秋
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なんでも、乙女座は制服っぽいものが似合う星座なのだとか。
自分の制服好きを納得した著者の酒井さんでしたが、「着たい!」という気持ちがむらむらと湧き起こるのを止められず、女子高生の制服、しかもセーラー服を着てしまいます。
…着ちゃうのか。
…着ちゃうよね。
そりゃ、着るよね、そういう本なのだしと思いつつも、さすがにセーラー服は、着ちゃったかぁ…という気持ちを捨てきれないまま、読み始めてしまったこの本。
そもそも、着ようと思う時点でわかっているのでは?
基本的に、私はいわゆるコスプレや、観光地での扮装などに興味はなく、あれこれ着てみたい方ではありませんので、当然といえば当然ですが、それでも手にしたのは、自分で着てみたくはないけれど、人が着てみるのはぜひとも見てみたいという気持ちがあるから。
たとえば、すてきな服なら、自分が着るより、似合う人に着てみせてほしいのです。
そんな私にはぴったりの1冊。
とにかく酒井さんが楽しそうです。
分別盛り、恥も外聞もたっぷりある著者ですから、とても客観的に自分の姿を観察、批評しながらも、それにも増してやっぱり楽しそう。
変わっていく自分の姿に驚くのが楽しい。
普段の自分から変貌するのが楽しい。
その世界のユニフォームを着て、その世界を垣間見るのが楽しい。
形から入るというのは、「郷に入っては郷に従え」のとてもわかりやすい第一歩。
着てみるだけでなく、講習を受けたり、きちんと参加したりと、その服装がいかに理にかなっているかもわかります。
もちろん、気合いの現れであるものも。
そうか、「着ればわかる!」とはそういうことかと、こちらも楽しくなってきます。
さて、その中身。
枕草子にも造詣の深い著者らしく『春は扮装』、『夏は偽装』、『秋は変装』、『冬は仮装』と、四季に分かれています。
春はセーラー服、タカラジェンヌ、茶摘み娘、スチュワーデス、カウガール。
夏はディスコファッション、陸上自衛隊、青森ねぶた、ビーチバレー。
秋はキャッツ、バスガイド、キャバクラ嬢、養蜂家、ゴスロリ。
冬は合唱団、巫女、永ちゃんファン、十二単。
一年通すと、季節感もありますね。
茶摘みに、ねぶた、ビーチバレー、冬の合唱団はもちろん「第九」を歌う合唱団です。
そういえば、養蜂って、銀座で、だそうですよ。驚きました。
著者の酒井さんはやっぱり制服好き。
皆一緒の恰好で、何かを一緒にする楽しさを繰り返し実感しています。
もし。
もし、試すなら、青森ねぶたのハネトかなと思いましたが、そういえば、私はその青森ねぶた、祭りをただ見てきた人間なのでした。
昔から、私は着るより、着ているのを見たいほうだったようです。
それに、ねぶたに関して言えば、おばちゃんがはねたあげくにアキレス腱を切って帰って来たので。はい。
>それに、ねぶたに関して言えば、おばちゃんがはねたあげくにアキレス腱を切って帰って来たので。はい。
思わず爆笑しました。
全く同感です(^o^)/
ねぶたはねー、危険なんですよ、ほんと。うかうか参加できませんよね w