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カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

『迷子』と【振り返る】より・過去の風景

2015-11-05 20:41:02 | 物書きさん、お題です
 奇妙に古めかしい町並みで迷子になった私の手を引いて橋の前まで送ってくれた奇麗なお姉さんは、もう振り返っちゃ駄目よと言った。
 でも、私はもう一度お姉さんの姿を見たくて橋を渡りきる直前に振り向いてしまった。するとそこは火の海で、逃げ惑う人と一緒にお姉さんも炎に焼かれていた。ずっと後で知ったが、昔この町は空襲で殆どが焼けてしまい、沢山の人が亡くなったのだそうだ。

 きっと、あの時のお姉さんは、私にあの景色と自分が焼けていく姿を見せたくなかったのだと思うと哀しくなった。
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