名探偵の解答その82・貴女のカケラ

女性に大人気の探偵であるたかあきに、不思議な婦人から『奇麗な断絶』事件解決の依頼が入りました。今回の事件は意外に残酷のようです。

　昨今この街を騒がせている連続女性人体切断殺人事件について調査して欲しいと依頼が入った。それは警察の仕事だと断りたかったのだが、依頼人の只ならぬ雰囲気と高額の報酬に目が眩んだ。当然のように酷い目に遭いつつ解決に至った謎は、依頼人の正体と言う新たなる謎を生み出し、彼方へ消えていった。

名探偵の解答その81・二人の生活

有名な素人探偵であるたかあきに、有名な役者から『簡単な幻想』事件解決の依頼が入りました。今回の事件は意外に難解のようです。

　役者にはよくある話なんですがと前置きの後、時々自分が自分でなくなる時があって、その間の記憶が無いので素行調査をお願いしたいと言うのが依頼内容だった。犯罪を犯していたらどうする気なのだろうと思いつつ調査を行うと単に別人の生活を送っているだけだったが、妻帯者でありながら恋人がいた。

名探偵の解答その80・今宵、最後のダンスホール

事務所を開設したばかりの新米探偵であるたかあきに、母親から『丸い小夜曲』事件解決の依頼が入りました。今回の事件は意外に悲恋のようです。

　どうせ、まだお客なんて来ていないんでしょうと痛い所を突きながら母が依頼してきたのは、若かった母が見合い前日の夜にダンスホールで踊った思い出の男性についてだった。しかし、実は既に父から見合い前日の夜に踊った思い出の女性について聞かされていた僕としては、真実とやらをどう告げるかを悩むばかりだ。

名探偵の解答その79・恋は盲目

街ではよく知られた探偵であるたかあきに、伯母から『高貴なる血脈』事件解決の依頼が入りました。今回の事件は意外に無駄骨のようです。

　見境なしに浮名を流す伯母が、珍しく神妙な表情で今度こそは本気の恋だと言い出した。相手は格式の高い家柄の嫡子という辺りから胡散臭さ全開だったので、言われるままに身上調査を行って庶民でしかない正体を報告してやったら、それなら逆に何の憂いも無いと猛アタックを始めたので放置する事にした。

名探偵の解答その78・甲斐性と、酔狂と、

女性に大人気の探偵であるたかあきに、祖父から『高貴なる正義』事件解決の依頼が入りました。今回の事件は意外に平凡のようです。

　この界隈では別に珍しくないが祖父は複数の妾を囲っている。そんな訳で、たまに祖父の落胤だという子供を連れた輩が現れ、俺に身上調査依頼が入ってくる。元々から祖父が情を掛けた女を捨てる事は無いので落胤は偽物なのだが、見所がある子供は赤の他人でも金を出して学ばせる、甲斐性持ちと言うか酔狂な人でもある。

名探偵の解答その77・先祖代々の証

食うや食わずの貧乏探偵であるたかあきに、隣のおじさんから『高貴なる記録』事件解決の依頼が入りました。今回の事件は意外に無駄骨のようです。

　娘の縁談話に箔を付けたいからと依頼された家系図は、物自体は本物だった。ただし、恐らくは江戸時代末期辺りに食うに困った武士が町人に売りつけたか、或いは持ち主が家系図ごと富豪に身売りしたか、いずれにしろ『正当な血統』とやらを示すものでは有りえなかったが、その辺は黙っていることにした。

名探偵の解答その76・好敵手に最後の花束を

男性に大人気の探偵であるたかあきに、仇敵から『紅き強奪』事件解決の依頼が入りました。今回の事件は意外に残酷のようです。

　私と長年の戦いを繰り広げてきた怪盗は今まで頑なに自分なりの掟を守るところがあって、私はそれ故に何度も勝利を収めてきたのだが、今回に限っては手段を選ばす私を追い詰めてきた。そして私は病に蝕まれた奴が死神に己が命を刈り取られる前に、最後の生を振り絞って私に戦いを挑んできた事を知った。

名探偵の解答その75・化物退治は命懸け

全く無名の探偵であるたかあきに、不思議な婦人から『幻惑の凶行』事件解決の依頼が入りました。今回の事件は意外に単純のようです。

　不思議な夫人が有名な探偵になる気はありませんかと持ちかけて来た依頼は、最近街を騒がせている吸血鬼退治に関するものだった。直接対峙する必要は無く、昼間の隠れ場所を見付けて欲しいと言って渡してきた大粒のルビーに目が眩んで依頼を受けた俺は、最後の犠牲者になりかけて確かに有名になった。

名探偵の解答その74・老いらくの純愛

食うや食わずの貧乏探偵であるたかあきに、母親から『冷たい小夜曲』事件解決の依頼が入りました。今回の事件は意外に難解のようです。

　普段から仲が良いとは言えない母が持ち込んできたのは、父に対するお定まりの浮気調査だった。恐らくは対面上、部外者に任せたくなかったのだろうと納得して極めて内密に調査したら、あのバカ親父は明らかに引っ掛かってはいけない相手と密会を重ねていて、はっきり言ってしまうと、この国の未来が物凄く不安になってきた。

名探偵の解答その73・誰がその蒼を盗んだのか？

有名な素人探偵であるたかあきに、叔父から『蒼き盗難』事件解決の依頼が入りました。今回の事件は意外に非凡のようです。

　離婚した叔父から、どうしても取り戻したいものがあるという依頼を受けて旅行に同行する事になった。浮気で家庭を崩壊させた叔父は妻子と浮気相手に見限られ、ようやく家族仲が平穏だった頃に行った旅行で見た空と海の青、そして家族の笑顔を思い出そうとして、どうしても思い出せないことに気付いたのだそうだ。