リベラルくずれの繰り言

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自民・公明が横浜市議会でもカジノを強行採決か

2019-09-15 | 政治
カジノを含む統合型リゾート(IR)について、林文子・横浜市長が「白紙」の仮面をかなぐり捨てて誘致を表明したのが8月22日。IR推進のための事業費2億6000万円などを含む補正予算が市議会の委員会で審議されていたが、質疑が打ち切られたという。審議はたったの二日間。質問・批判が相次いでおり、審議が不十分などとの指摘(井上桜氏(無所属)、荒木由美子氏(共産党))を押し切って、多数決による質疑の打ち切りだ。
今定例会でのIRをめぐる審議はこれで実質的に終わり、補正予算案のうちIR関連部分の委員会採決が17日に行なわれ、自民・公明らの賛成で可決される見通しだという(朝日新聞2019-9-14横浜版)。
井上桜氏(無所属)は、林文子市長が誘致の決断をしたのは7月31日だとされているが、それ以前から誘致に向けた資料作りが進んでいたことについて、「正規の手続きと言えない」と指摘した。結局、林市長が「白紙」を表明していたのは、市長選挙対策と、その後の議論封じのためだったのではないか。多くの人は「林市長はカジノ推進の腹積もり」というのは見透かしていたと思うのだが、市長が「白紙」と言う以上、公式な議論ができない。こうして議論を封じておいて、誘致表明から短時日で強行採決してことを決するというのはやはり許されない。花上喜代志氏(立憲・国民フォーラム)は「丁寧に説明すると言いながら、決して丁寧に事を進めていない」と批判したが、安倍首相といい(「全国キャラバン」で説明するのではなかったのか?)、林市長といい、カジノ推進派の「丁寧に説明」とはこの程度のものなのか。
花上氏も指摘するように、IR誘致での増収は1200億円と市は説明しているが、市の法人市民税収は年550~600億円だ。これでは市は「財政面でカジノ依存症になる」のではないか。
林市長はカジノは「白紙」といって市長になった。それを翻して誘致するなら住民投票で市民の信認を得るくらいのことはしないと「丁寧な説明」をしたとはいえないだろう。(気に入らない案をみな「住民投票にかけろ」といってハードルを上げてしまうのは代議制の否定になってしまうが、「白紙」と言って市長になった案件であり、しかも市の目算通りなら法人市民税収の3分の2をカジノ依存にする可能性があるとすると、住民投票が妥当ではないか。)

追記:カジノ誘致で市の税収が1200億円増えるという市の説明について、例によって甘い見通しなのだろうとは思っていたが、大学教授はやはり疑問を呈している(朝日新聞2019-9-15横浜版)。まず、短期的に増収になるとはいえ、もともとは客の損が金の出どころであり、「地域で使われるはずの金が使われなくなり、差し引きゼロになる可能性がある」という。また、送迎や食事の無料サービスで客を囲い込むのがカジノの特徴であり、「中華街などの観光消費が横取りされ、地域社会が衰える可能性がある」ともいう。カジノ反対の立場からの見解ではあるが、いずれもうなずける。

追記2:住民投票条例を模索する動きはすでにあるようだ(朝日新聞2019-9-15横浜版)。一方、カジノを誘致したがっている林市長をリコール(解職請求)しようという動きもある。だが市長リコールには有権者49万人の署名が必要とのことでハードルが高い。一方、条例の請求を市長に求めるなら約6万の署名でできるが、議会で否決されるおそれもある。横浜が賭博場になるのを避けるために、うまく戦略を練ってほしい。
気になるのは、目指すのはカジノ撤回であって市長をやめさせることではないという声もあることだ。私などは横浜を賭博場にする林市長はやめさせるしかないと思っているのだが、カジノ以外では林氏を支持する人もいるということだ。だから仮に選挙で争点になったとしても、シングルイシューの投票ではないから、林氏が当選してしまう可能性がある。今回の強行採決の動きを見ても、市長・市議にカジノを撤回させるには、強行したら選挙で当選できないと思わせるほど反対運動を高めるしかない。

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関連リンク:
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