リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

カジノ「小さく生んで大きく育てる」を許すな

2018-06-09 | 政治
カジノ等の統合型リゾート(IR)実施法案で,自民・公明の与党は昨日の採決をもくろんでいたが,とりあえず週末に控えている新潟知事選への悪影響を避けるためもあって週明け以降に持ち越しとなったようだ.
公明党の支持層も含む国民の多くがギャンブルで身代をつぶす人が続出することを懸念しており,政府は依存症対策をしっかりしますと言って国民を説得しよとしていたと思う.だがその点も含め,今の法案では法律成立後に政令などで決めるとしている項目が331項目にも上ることがわかった(朝日新聞2018-6-8).そもそも今の法案では政府が公式な経済効果の試算さえできないほど「不確定要素が多い」ことは先日も触れた.そんな白紙に近いような法案で,カジノ解禁のような社会的影響の大きいことを決めてしまうことはやはり疑問だ.

法律で細かいところを「…は政令で定める」としておくこと自体はめずらしくない.あまりに細部まで法律で決めてしまうと柔軟な運用ができなくなるためだ.政令なら国会の審議を経なくても変更するなど融通がきくので,本質的でない細部は政令に委ねるというのは理にかなっている.
だが今回のカジノ法案の場合,法律成立後に政令等で決められるとした項目の数が多く,法律の根幹部分さえも国会審議を経ずに政府が決められるようで,看過できない.

特に問題となっているのがカジノ面積の上限だという.法案では「政令で定める面積を超えないこと」とあるだけらしい.政府には「IRの延べ床面積の3%」とする方針があるようだが,それなら「IRの延べ床面積の3%を上限として政令で定める」と法律に定めておけばいいではないか.歴代の内閣法制局の見解さえも一夜にして反故にした安倍内閣だ.法律に上限が書いていなければ財界の要求に応えて「政令」で定める上限を際限なく高くすることは容易に想像できる.
そういえば政府案を決める際に自民党と公明党が歩み寄ったとき,カジノの設置数の上限で公明党の要望に少し譲歩したのだったと思う.だがその時の自民党員のコメントは,最初はそのくらいにして後で増やせばいい,というものだったと思う.

カジノ利用者が事業者から借金できる仕組みまであるらしいが,借りすぎの歯止めとして利用者が事業者に事前に所定の金額を預けておくことが前提になるらしいが,その額は「カジノ管理委員会規則で定める」という.こんな依存症を作り出したいかのような仕組みはそもそも不要だと思うが,その歯止めの額も事後にいくらでも低く設定できる.

問題になりそうなところはとりあえず白紙にして法案だけ通してしまい,法律成立後に「政令」でカジノの規模を拡大していく――そんな「小さく生んで大きく育てる」ことを許してはならない.

関連記事:
「カジノで訪日客が増えて受け入れられるのか」
「公明党の選挙のためにカジノ法案を急ぐな」
「カジノ誘致自治体の住民はカジノを支持しているのか?」
「公明党はなぜカジノ法案に反対しない?」

関連リンク:
日本弁護士連合会「カジノ解禁に反対するQ&A」(pdf)


この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 選挙の看板用の幼児教育無償... | トップ | カジノ法案「訪日客増で景気... »
最新の画像もっと見る

政治」カテゴリの最新記事