自民党は経済効果のためにカジノを含む統合型リゾート(IR)実施法案を進めようとしている.海外からの旅行客から金を吸い上げようという魂胆らしいが,(ノウハウもなくカジノ経営がうまくいくのかなどの疑問はさておき)仮にそんなことが可能だとしても,人がギャンブルでお金をすることをあてにして景気浮揚に役立てようという発想そのものがいやらしくないか.自民党のお歴々は「道徳心」とか「美しい日本」が好きだったと思うが,カジノ法案はそうしたスローガンとは相容れないものだ.
公文書偽造問題で政府が揺れる中,自民党はカジノ法案を急いでいるらしい.世論の反対が強く,激しい与野党対立が予想されるので,一定の審議時間を確保する必要があるとのことらしい(朝日新聞2018-3-31).
それにしても不可解なのは自民党と連立与党を組む公明党だ.公明党はギャンブル依存症を懸念し,規制を強くしたい意向だという.なのに与党の作業部会で公明党は自民党に譲歩してしまった.やはり来年の統一地方選や参院選をにらんで,できるだけ早く片付けてしまいたいという思惑らしい.「対立法案はさっさと通したい.引っ張るほど,印象が悪い」と.
それにしても,そこまで「悪い」とわかっている法案に公明党はなぜ反対しないのだろう.結局,与党に加わることでこまごまとした政策を実現してもらって自党の実績を作ることと引き換えに,大筋では自民党の補完勢力になっているということとしか思えない.
追記:そもそも賭博は法律で禁止されているのに競馬や競艇などの公営ギャンブルがなぜあるのだろうと思っていた.公営ギャンブルは収益を株主配当などに回す営利ができないという.少なくとも,客の懐から巻き上げられたお金は公共目的に使われる.ところが今回のIRでは収益の30%を国と都道府県に納付するものの,70%はカジノを運営する民間事業者の利益にできるのだという(朝日新聞2018-4-5).その意味でも,すでにある公営ギャンブルとは性格が全く違う.※この点は別項「「カジノ法」さえ作れば刑法で禁止されているカジノが合法になるのか?」(2018-6-19)も参照.
関連記事:
「公明党の真価が問われている」
関連記事(カジノ法問題):
「カジノ「白紙」のはずの横浜市が動き出した!」
「カジノ法が成立してもカジノ誘致を防ごう」
「カジノ法成立を暴力団が手ぐすね引いて待っている」
「カジノ法:ただ審議時間を積み上げれば採決していいのか」
「カジノ法はトランプ大統領の要求なのか?」
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「カジノ:横浜市長の誘致「白紙」はどうも怪しい」
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「「カジノ法」さえ作れば刑法で禁止されているカジノが合法になるのか?」
「「多数決で決めて何が悪い」に対する反論は?」
「カジノ法案「訪日客増で景気浮揚」はまやかしだった」
「カジノ「小さく生んで大きく育てる」を許すな」
「カジノで訪日客が増えて受け入れられるのか」
「公明党の選挙のためにカジノ法案を急ぐな」
「カジノ誘致自治体の住民はカジノを支持しているのか?」
「公明党はなぜカジノ法案に反対しない?」
関連リンク:
日本弁護士連合会「カジノ解禁に反対するQ&A」(pdf)
公文書偽造問題で政府が揺れる中,自民党はカジノ法案を急いでいるらしい.世論の反対が強く,激しい与野党対立が予想されるので,一定の審議時間を確保する必要があるとのことらしい(朝日新聞2018-3-31).
それにしても不可解なのは自民党と連立与党を組む公明党だ.公明党はギャンブル依存症を懸念し,規制を強くしたい意向だという.なのに与党の作業部会で公明党は自民党に譲歩してしまった.やはり来年の統一地方選や参院選をにらんで,できるだけ早く片付けてしまいたいという思惑らしい.「対立法案はさっさと通したい.引っ張るほど,印象が悪い」と.
それにしても,そこまで「悪い」とわかっている法案に公明党はなぜ反対しないのだろう.結局,与党に加わることでこまごまとした政策を実現してもらって自党の実績を作ることと引き換えに,大筋では自民党の補完勢力になっているということとしか思えない.
追記:そもそも賭博は法律で禁止されているのに競馬や競艇などの公営ギャンブルがなぜあるのだろうと思っていた.公営ギャンブルは収益を株主配当などに回す営利ができないという.少なくとも,客の懐から巻き上げられたお金は公共目的に使われる.ところが今回のIRでは収益の30%を国と都道府県に納付するものの,70%はカジノを運営する民間事業者の利益にできるのだという(朝日新聞2018-4-5).その意味でも,すでにある公営ギャンブルとは性格が全く違う.※この点は別項「「カジノ法」さえ作れば刑法で禁止されているカジノが合法になるのか?」(2018-6-19)も参照.
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関連リンク:
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