習近平は戦争を欲している
“シーチン”修一 2.0
【雀庵の「大戦序章」72/通算504 2022/7/22/金】古人曰く「歴史は勝者が創る」。その世が敗者にとってもそこそこ居心地が良ければ勝者の統治は永続きする。戦勝国、米国による日本統治は成功したが、戦後から77年も経って賞味期限は過ぎ、自尊自恃の新しい国防態勢を整えるべき時代になってきた。
エドワード・ルトワック/米戦略国際問題研究所上級顧問は、「戦争はないに越したことはないが、人類の歴史は戦争の歴史であり、逆説的ながら破壊・殺戮の戦争が文明・文化の発展、人口増をもたらしてきた」と主張する。
戦争=悪・災難だから非武装中立で「みんなで一緒に平和を祈りましょう」といった、他者依存の単眼的、非現実的、おとぎ話的な見方ではなく、歴史や現状のリアルから学び、「戦争を避ける」「戦争で勝つ」ために国家、国民、為政者は戦争を前提として備えるべきだと説いている。著書「戦争にチャンスを与えよ」は、国防を真剣に考えている人にとっては実に示唆に富んでいる。以下、一部を紹介する。
<ビザンティン帝国(東ローマ帝国)は、人類史上で最も長く続いた帝国である。なんと1000年間も続き、ローマ帝国よりも遥かに長く存続できた。ビザンティン帝国は最も成功した「戦略」の実践者だったからこそ長く存続できたのである。
徳川家康も似たような「戦略」の成功者だ。時間をかけて、外交により「同盟」を築いた。関ヶ原の戦いがその典型だ。家康は、敵の同盟国を引き離し、自分側の「同盟」に引き入れたのである。さらに幕府体制(幕藩体制)を創ったが、これは国内を徹底して安定させるシステムだった。
参勤交代、諜報体制の構築、手形や関所を活用した警備体制など、戦国時代の内乱状態を安定化させるための体制だ。海外との関係も制限し、思想的な面でも安定化を図ったのである。このような体制を考案するには「戦略思考」が不可欠なのだ。
20年に及ぶビザンティン帝国研究の結果、私はこの帝国の戦略を以下の7つの教訓にまとめた。
(1) 戦争は可能な限り避けよ。ただし、いかなる時にも戦争が始められるように行動せよ。訓練を怠ってはならず、常に戦闘準備を整えておくべきだが、実際に戦争そのものを望んではならない。戦争準備の最大の目的は、戦争開始を余儀なくされる確率を減らすことにある。
(2) 敵の情報を、心理面も含めて収集せよ。また、敵の行動を継続的に監視せよ。それは、生産的な活動ではないかもしれないが、無駄になることはまずない。
(3) 攻撃・防衛両面で軍事活動を活発に行え。ただし戦闘、とくに大規模な戦闘は、よほど有利な状況でないかぎり避けよ。敵の説得を武力行使のおまけ程度に思っていたローマ帝国と同じように考えてはならない。武力行使を最小限に留めることは、説得に応じる可能性のある者を説得する助けになり、説得に応じない者を弱体化させる助けになる。
(4) 消耗戦や他国の占領ではなく、詭動・機動(マニューバー)戦を実施せよ。電撃戦や奇襲(サプライズ)で敵をかき乱し、素早く撤退せよ。目的は、敵を壊滅させることではない、なぜなら、彼らは、後にわれわれの味方になるかもしれないからだ。敵が複数いる場合、互いに攻撃させるように仕向けられれば、単一の敵よりもかえって脅威は小さくなる。
(5) 同盟国を得て、勢力バランスをシフトさせ、戦争を成功裏に終結させられるように努めよ。外交は、平時よりも戦時においてこそ重要である。「銃口が開けば外交官は黙る」という馬鹿げた諺は、ビザンティンがそうしたように否定せよ。最も有用な同盟国は、敵に最も近い国である。彼らは、その敵との戦い方を最も熟知しているからだ。
(6) 政権転覆は、勝利への最も安上がりな方法だ。戦争の費用とリスクに比べれば、実に安上がりなので、不倶戴天の敵に対しても実行を試みるべきである。宗教的狂信者でさえ、買収可能であることを忘れるな。ビザンティンは、かなり早い時期からこのことに気付いていた。狂信者は、もともとクリエイティブなので、自分の大義に背く行動でさえ正当化できるものなのだ。(例えば)「イスラムの最終的な勝利は、いずれにせよ明らかなのだから」云々(などと理屈をつけて正当化する)。
(7) 外交と政権転覆では目的を達成できず、戦争が不可避となった場合には、敵の弱点を衝く手法と戦術を適用せよ。消耗戦は避け、辛抱強く徐々に相手を弱体化させよ、時間がかかるかもしれないが、急ぐ必要はない。なぜなら、ある敵がいなくなっても、すぐに代わりの敵が必ず現われるからだ。支配者は入れ替わり、国家は興亡を繰り返すが、帝国は永遠である。もちろんこれは、自ら帝国を弱体化させなければ、という条件つきではある>(以上)
小生はこの本を1年ほど前に読んだのだが、その時は「ふーん、そういう見方もあるか」ぐらいにしか思わなかったが、今、プーチン・ロシアの生々しいウクライナ侵略戦争をリアルタイムで見ることになり、読み直してみたところ「なるほど!」と、とても勉強になる。キモは「平和を守りたかったら、戦争に備えよ、軍事力、外交力、同盟力、民度の強化に努めよ」ということだ。
小生は「トルコのエルドアン大統領はエゲツナイないなあ、狡猾と言うかシタタカと言うか、世界を翻弄させている、まったく何考えているか、ホント、食えぬ奴」と思っていたが、今は「エルドアンはトルコの国益を守り、拡大することを最優先で考えている・・・いやはや大したタマだ、侮れない、敵にはしたくないなあ」。
産経2022/7/20「ロシア、イラン・トルコと3首脳会談 友好関係を誇示」によると、
<ロシアの侵攻でウクライナの穀物輸出が滞留している問題では、トルコが国連とともに両国の間を調停、解決に努めている。プーチン氏は先週、トルコ・イスタンブールで行われた4者の協議の結果に満足しているとし、「すべての問題が解決したわけではないが、動きがあった」とエルドアン氏に謝意を述べた>
“あのプーチン”がエルドアンに謝意・・・エルドアンは海千山千の各国首脳を手玉に取っているよう。623年の歴史を持つオスマン帝国(トルコの前身)は1922年、ドイツと同盟して第一次世界大戦に敗れて解体したが、米国による戦後の日本統治はそれを倣ったよう。エルドアンは「オスマン帝国」復活を目指しているのかも知れない。
小生の夢は「立憲君主制的な大日本帝国復活」、要は「五箇条の御誓文」「教育勅語」の精神を継承して「天皇・皇族を伝統権威として敬い、それを核とした自由民主人権法治の自立・独立した国家」を創ろうというもの。
これが安倍氏亡き後はどうなるのだろう、といささか不安に思うが、非常時、危機の時代にはそれに相応しい人材、英国で言えばチャーチルのような突破モンが出てくるのかも知れない。中露北の「外患」、立憲共産党などによる「内憂」という大きな障害はあるが、暫くすれば良い「解」が見つかると信じよう。小生ができるのは「狼が来るぞ、みんな気をつけて!」と騒ぐだけだが・・・
WiLL HEADLINE 2022/6/17:島田洋一氏の論稿「降伏の代償」はとても示唆に富んでいた。曰く、
<中国軍が攻め込んでくれば、犠牲が出ないうちに速やかに降伏するのが良い、と説く論者たちがいる。彼らが理解していないのは、その瞬間に、世界最強の軍事力を誇るアメリカが味方から敵に変わるという現実だ。
北京の軍門に下り、基地として使われる日本は、米国(およびその陣営)にとって、破壊対象以外の何物でもない。
共に戦うから同盟国なのであって、降伏、特に無傷のまま身を差し出すような降伏をすれば、はっきり敵陣営の一角と見なされる。かつて合同演習もしただけに弱点がどこかつぶさに分かる。直ちに急所を突く攻撃を……。歴史はそうした実例に満ちている。
第2次世界大戦初期の1940年7月3日、イギリス海軍が同盟国(だった)フランスの艦隊に総攻撃を加えた。地中海に面した仏領アルジェリアのオラン近郊の湾に停泊していた船舶群だった。その2週間前、フランスはドイツに早々と降伏し、パリへの無血入城を許していた。
そのためイギリスは、爾後フランス艦隊はドイツ軍に組み込まれ、海洋国家イギリスの生命線たるシーレーンを断ち切られかねないと懸念し、先手を打って殲滅作戦に出たわけである。フランス海軍のダルラン司令官はこの間、艦隊を引き渡せという英側の要求を拒否しつつ、ドイツ軍の自由には決してさせないと説得を試みたが、英側は納得しなかった。
英軍の爆撃でフランスには1297人の死者が出ている。「戦わずに手を上げれば無事に済む」といった都合のよい話には、残念ながら多くの場合ならない。むしろ占領軍による暴虐と、かつての友軍による攻撃の両方に晒される最悪の状況となりかねない。
日米安保条約には、「いずれの締約国も、他方の締約国に対しこの条約を終了させる意思を通告することができ、その場合には、この条約は、そのような通告が行なわれた後1年で終了する」との規定がある(第10条)。
中国占領下に誕生した日本の傀儡政権は、直ちに日米安保の廃棄を宣言するだろうが、米軍は、1年間は在日基地に居座る権利を主張できる。
ここで改めて、なぜアメリカが日本とのみ、NATOのような相互性を持たない、片務的な日米安保条約を締結したのかを考えてみよう。
「日本軍国主義」を抑え込む意味でも、太平洋の対岸に南北に長く延びる(琉球諸島も含めれば台湾の近傍まで延びる)戦略拠点日本を敵対勢力の手に渡さないためにも、日本領内に米軍基地を維持することが死活的に重要と意識されたゆえである。
(中国の威圧に)日本が無抵抗のまま降伏し、中国に軍事基地、産業拠点として日本が利用される事態を黙って見ているほど、アメリカはお人好しではないだろう。
たとえば、米第7艦隊の旗艦である揚陸指揮艦ブルーリッジ、空母ロナルド・レーガンなどが母港とする横須賀基地を、米政府が無傷で中国に献上するはずがない。撤退を余儀なくされる事態に至れば、使用不可能な状態に破壊したうえで去るだろう。テロリストが侵入したため激しい銃撃戦になった、弾薬庫に火炎瓶が投げ込まれ大爆発を起こしたなど「原因」はいくらでも考え出せる。
ちなみに岸田首相は、ロンドン訪問中の5月5日の講演で、幼い頃に広島で聞いた被爆体験が「私を、平和を取り戻すための行動に駆り立てる」と述べ、「核兵器のない世界」を訴えるため、日本が議長国となる来年の先進7カ国首脳会議(G7サミット)を地元広島で開催したい意向を滲ませたという。筋違いと言うほかない。
日中露サミットを広島で開催し、習近平、プーチン両氏に核兵器先制不使用を誓わせるというならまだしも(あり得ないが)、核抑止力も含めて集団自衛体制の強化を論議すべき自由主義陣営のサミットで、議長が核廃絶(これまた予見し得る将来あり得ないし、捨てるにしても自由主義陣営は最後に捨てねばならない)を得々と語ればバカにされるだけだ。
むしろ防衛大学校があり、米太平洋軍の拠点でもあって日米安保体制を象徴する横須賀あたりを開催地としてはどうか。「お前は核の惨禍を知らないとは誰にも言わせない。まさに広島、長崎の再発を防ぐため独自核保有に乗り出す」と宣言する「蛮勇」が岸田氏にあるならともかく、広島はG7サミットにふさわしい地ではない>(以上)
小生は「良い予感は外れる、悪い予感は当たる」という格言をよく使うが、「日本が非核なら他国から核攻撃を受けない」という人は暗愚であり、多分、中露北の手先かシンパ、即ちリベラルを装う「アカ」か、お花畑的「ピンク」だろうと思っている。自由民主圏の国でもこの手の人士は気絶したくなるほどウジャウジャいる。
ヒトラー・ナチスに占領されたフランスでは、小賢しいインテリ≒アカは積極的にナチスに媚びを売ったり、「フランスおよびアメリカ・イギリス帝国主義反対、ソ連のために戦おう」となったりした。
強者について美味い汁を吸う人を「コラボレーショニスト」、日本では「売国奴」と言うが、なんとナチス亡き後の戦後のフランスでは、今度は赤色帝国ソ連を礼賛し、堂々と共産主義者を自称した。当時、フランス共産党員は40万人で、自由圏では世界一の規模だったという。アカは流行ファッションだったのだ。
さすがに今の時代では「私は共産主義者」と自称する人は少なく、多くは「リベラル」を装うが、米国の映画界みたいに中身は容共左派、儲かればいいという卑しい銭ゲバが大変多いよう。
夏彦翁曰く「組合専従になるなかれ」。日本の労組専従の多くも隠れアカが多いようで、小生の古巣の旅行業界では、先の参院選挙でサービス連合(サービス・ツーリズム産業労働組合連合会)が選りによって辻󠄀元清美を支援しておりがっかりした。辻󠄀元は反日赤軍派のシンパではないのか。
日本が「日本を取り戻す」までにはまだまだ時間がかかるのだろうが、「スラムダンク」の安西先生の「諦めたらそこで終わり」の言葉を思い出して、どうにか自分を鼓舞している感じだ。ま、物書きは趣味でもあるけれど・・・
それにしても、永世元首を目指す習近平は、コロナ対策で失敗し人民の不興を買っているうえに、無理筋のロックダウンで経済もかなり停滞してきたよう。さらに夏場の雨季にはここ数年、洪水も多発、甚大な被害をもたらしているのに、治水については昨年も今年も何の手立ても講じていないし、習近平による被災地訪問も今年は報道されていない。
こうなると「習近平は求心力を高めるためにも戦争を欲している」と思わざるを得ない。今秋の共産党総書記選挙で勝つためには、戦争による熱狂で人民の支持を得、かつ明確な「戦勝」で党内外の不満を解消しなければならない。
マキアヴェッリ曰く「君主は困難と障碍に打ち勝つことで偉大になっていく。特に世襲ではない新君主は、統治を盤石にするために大なる名声を得なければならない。敵をつくり、敵をして攻撃させ、それに打ち勝つことで民や家臣の支持、敬意を高め、政権は一段と強化される。賢明な君主は、機会あるごとに、ことさらに敵をつくり、それを討ち亡ぼし、名声を高めるようにすべきだ」(君主論第20章「城砦その他、君主が常に頼みとするものについての利害」)。
毛沢東は「孫子兵法」「水滸伝」を愛読していたが、1930年頃には中国語訳の「君主論」も出版されていたから当然、目を通していたろう。何しろナポレオン、ビスマルク、マルクスも愛読していたのだから。中共の「Baidu百科」によるとマルクスは「マキアヴェッリは、政治の理論を道徳から解放し、権力を法律の基礎とし、政治学の基礎を道徳から権力へと移した」と絶賛しており、「権力=道徳」の習近平も多少は聞きかじっているかもしれない。
要は「勝てば官軍、正義」であり、習近平は己の地位を盤石にし、師と慕う毛沢東と並ぶ「神」になるために戦争を欲している、ということ。
戦狼・習近平は、まずは勝てそうな台湾侵略から始める。欧米は習近平の友邦ロシアのウクライナ侵略で手一杯で、今なら遠い東の台湾にまで十分な関与はできないから絶好のチャンスである。台湾侵略が上手くいけば次は日本、さらに豪州、インド、アジア・太平洋全域へと軍を進めて制覇する・・・それが習近平の「中国の夢」なのだ。
台湾を守ることは日本の安全保障の一丁目一番地である。日本版「台湾関係法」など法整備をし、台湾と密接に連携して中共の侵略を撃退しなければ、明日は日本が餌食になる。「悪い予感は当たる」のである。危機感をもって備えるべし。
・・・・・・・・・・・・・・
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“シーチン”修一 2.0
【雀庵の「大戦序章」72/通算504 2022/7/22/金】古人曰く「歴史は勝者が創る」。その世が敗者にとってもそこそこ居心地が良ければ勝者の統治は永続きする。戦勝国、米国による日本統治は成功したが、戦後から77年も経って賞味期限は過ぎ、自尊自恃の新しい国防態勢を整えるべき時代になってきた。
エドワード・ルトワック/米戦略国際問題研究所上級顧問は、「戦争はないに越したことはないが、人類の歴史は戦争の歴史であり、逆説的ながら破壊・殺戮の戦争が文明・文化の発展、人口増をもたらしてきた」と主張する。
戦争=悪・災難だから非武装中立で「みんなで一緒に平和を祈りましょう」といった、他者依存の単眼的、非現実的、おとぎ話的な見方ではなく、歴史や現状のリアルから学び、「戦争を避ける」「戦争で勝つ」ために国家、国民、為政者は戦争を前提として備えるべきだと説いている。著書「戦争にチャンスを与えよ」は、国防を真剣に考えている人にとっては実に示唆に富んでいる。以下、一部を紹介する。
<ビザンティン帝国(東ローマ帝国)は、人類史上で最も長く続いた帝国である。なんと1000年間も続き、ローマ帝国よりも遥かに長く存続できた。ビザンティン帝国は最も成功した「戦略」の実践者だったからこそ長く存続できたのである。
徳川家康も似たような「戦略」の成功者だ。時間をかけて、外交により「同盟」を築いた。関ヶ原の戦いがその典型だ。家康は、敵の同盟国を引き離し、自分側の「同盟」に引き入れたのである。さらに幕府体制(幕藩体制)を創ったが、これは国内を徹底して安定させるシステムだった。
参勤交代、諜報体制の構築、手形や関所を活用した警備体制など、戦国時代の内乱状態を安定化させるための体制だ。海外との関係も制限し、思想的な面でも安定化を図ったのである。このような体制を考案するには「戦略思考」が不可欠なのだ。
20年に及ぶビザンティン帝国研究の結果、私はこの帝国の戦略を以下の7つの教訓にまとめた。
(1) 戦争は可能な限り避けよ。ただし、いかなる時にも戦争が始められるように行動せよ。訓練を怠ってはならず、常に戦闘準備を整えておくべきだが、実際に戦争そのものを望んではならない。戦争準備の最大の目的は、戦争開始を余儀なくされる確率を減らすことにある。
(2) 敵の情報を、心理面も含めて収集せよ。また、敵の行動を継続的に監視せよ。それは、生産的な活動ではないかもしれないが、無駄になることはまずない。
(3) 攻撃・防衛両面で軍事活動を活発に行え。ただし戦闘、とくに大規模な戦闘は、よほど有利な状況でないかぎり避けよ。敵の説得を武力行使のおまけ程度に思っていたローマ帝国と同じように考えてはならない。武力行使を最小限に留めることは、説得に応じる可能性のある者を説得する助けになり、説得に応じない者を弱体化させる助けになる。
(4) 消耗戦や他国の占領ではなく、詭動・機動(マニューバー)戦を実施せよ。電撃戦や奇襲(サプライズ)で敵をかき乱し、素早く撤退せよ。目的は、敵を壊滅させることではない、なぜなら、彼らは、後にわれわれの味方になるかもしれないからだ。敵が複数いる場合、互いに攻撃させるように仕向けられれば、単一の敵よりもかえって脅威は小さくなる。
(5) 同盟国を得て、勢力バランスをシフトさせ、戦争を成功裏に終結させられるように努めよ。外交は、平時よりも戦時においてこそ重要である。「銃口が開けば外交官は黙る」という馬鹿げた諺は、ビザンティンがそうしたように否定せよ。最も有用な同盟国は、敵に最も近い国である。彼らは、その敵との戦い方を最も熟知しているからだ。
(6) 政権転覆は、勝利への最も安上がりな方法だ。戦争の費用とリスクに比べれば、実に安上がりなので、不倶戴天の敵に対しても実行を試みるべきである。宗教的狂信者でさえ、買収可能であることを忘れるな。ビザンティンは、かなり早い時期からこのことに気付いていた。狂信者は、もともとクリエイティブなので、自分の大義に背く行動でさえ正当化できるものなのだ。(例えば)「イスラムの最終的な勝利は、いずれにせよ明らかなのだから」云々(などと理屈をつけて正当化する)。
(7) 外交と政権転覆では目的を達成できず、戦争が不可避となった場合には、敵の弱点を衝く手法と戦術を適用せよ。消耗戦は避け、辛抱強く徐々に相手を弱体化させよ、時間がかかるかもしれないが、急ぐ必要はない。なぜなら、ある敵がいなくなっても、すぐに代わりの敵が必ず現われるからだ。支配者は入れ替わり、国家は興亡を繰り返すが、帝国は永遠である。もちろんこれは、自ら帝国を弱体化させなければ、という条件つきではある>(以上)
小生はこの本を1年ほど前に読んだのだが、その時は「ふーん、そういう見方もあるか」ぐらいにしか思わなかったが、今、プーチン・ロシアの生々しいウクライナ侵略戦争をリアルタイムで見ることになり、読み直してみたところ「なるほど!」と、とても勉強になる。キモは「平和を守りたかったら、戦争に備えよ、軍事力、外交力、同盟力、民度の強化に努めよ」ということだ。
小生は「トルコのエルドアン大統領はエゲツナイないなあ、狡猾と言うかシタタカと言うか、世界を翻弄させている、まったく何考えているか、ホント、食えぬ奴」と思っていたが、今は「エルドアンはトルコの国益を守り、拡大することを最優先で考えている・・・いやはや大したタマだ、侮れない、敵にはしたくないなあ」。
産経2022/7/20「ロシア、イラン・トルコと3首脳会談 友好関係を誇示」によると、
<ロシアの侵攻でウクライナの穀物輸出が滞留している問題では、トルコが国連とともに両国の間を調停、解決に努めている。プーチン氏は先週、トルコ・イスタンブールで行われた4者の協議の結果に満足しているとし、「すべての問題が解決したわけではないが、動きがあった」とエルドアン氏に謝意を述べた>
“あのプーチン”がエルドアンに謝意・・・エルドアンは海千山千の各国首脳を手玉に取っているよう。623年の歴史を持つオスマン帝国(トルコの前身)は1922年、ドイツと同盟して第一次世界大戦に敗れて解体したが、米国による戦後の日本統治はそれを倣ったよう。エルドアンは「オスマン帝国」復活を目指しているのかも知れない。
小生の夢は「立憲君主制的な大日本帝国復活」、要は「五箇条の御誓文」「教育勅語」の精神を継承して「天皇・皇族を伝統権威として敬い、それを核とした自由民主人権法治の自立・独立した国家」を創ろうというもの。
これが安倍氏亡き後はどうなるのだろう、といささか不安に思うが、非常時、危機の時代にはそれに相応しい人材、英国で言えばチャーチルのような突破モンが出てくるのかも知れない。中露北の「外患」、立憲共産党などによる「内憂」という大きな障害はあるが、暫くすれば良い「解」が見つかると信じよう。小生ができるのは「狼が来るぞ、みんな気をつけて!」と騒ぐだけだが・・・
WiLL HEADLINE 2022/6/17:島田洋一氏の論稿「降伏の代償」はとても示唆に富んでいた。曰く、
<中国軍が攻め込んでくれば、犠牲が出ないうちに速やかに降伏するのが良い、と説く論者たちがいる。彼らが理解していないのは、その瞬間に、世界最強の軍事力を誇るアメリカが味方から敵に変わるという現実だ。
北京の軍門に下り、基地として使われる日本は、米国(およびその陣営)にとって、破壊対象以外の何物でもない。
共に戦うから同盟国なのであって、降伏、特に無傷のまま身を差し出すような降伏をすれば、はっきり敵陣営の一角と見なされる。かつて合同演習もしただけに弱点がどこかつぶさに分かる。直ちに急所を突く攻撃を……。歴史はそうした実例に満ちている。
第2次世界大戦初期の1940年7月3日、イギリス海軍が同盟国(だった)フランスの艦隊に総攻撃を加えた。地中海に面した仏領アルジェリアのオラン近郊の湾に停泊していた船舶群だった。その2週間前、フランスはドイツに早々と降伏し、パリへの無血入城を許していた。
そのためイギリスは、爾後フランス艦隊はドイツ軍に組み込まれ、海洋国家イギリスの生命線たるシーレーンを断ち切られかねないと懸念し、先手を打って殲滅作戦に出たわけである。フランス海軍のダルラン司令官はこの間、艦隊を引き渡せという英側の要求を拒否しつつ、ドイツ軍の自由には決してさせないと説得を試みたが、英側は納得しなかった。
英軍の爆撃でフランスには1297人の死者が出ている。「戦わずに手を上げれば無事に済む」といった都合のよい話には、残念ながら多くの場合ならない。むしろ占領軍による暴虐と、かつての友軍による攻撃の両方に晒される最悪の状況となりかねない。
日米安保条約には、「いずれの締約国も、他方の締約国に対しこの条約を終了させる意思を通告することができ、その場合には、この条約は、そのような通告が行なわれた後1年で終了する」との規定がある(第10条)。
中国占領下に誕生した日本の傀儡政権は、直ちに日米安保の廃棄を宣言するだろうが、米軍は、1年間は在日基地に居座る権利を主張できる。
ここで改めて、なぜアメリカが日本とのみ、NATOのような相互性を持たない、片務的な日米安保条約を締結したのかを考えてみよう。
「日本軍国主義」を抑え込む意味でも、太平洋の対岸に南北に長く延びる(琉球諸島も含めれば台湾の近傍まで延びる)戦略拠点日本を敵対勢力の手に渡さないためにも、日本領内に米軍基地を維持することが死活的に重要と意識されたゆえである。
(中国の威圧に)日本が無抵抗のまま降伏し、中国に軍事基地、産業拠点として日本が利用される事態を黙って見ているほど、アメリカはお人好しではないだろう。
たとえば、米第7艦隊の旗艦である揚陸指揮艦ブルーリッジ、空母ロナルド・レーガンなどが母港とする横須賀基地を、米政府が無傷で中国に献上するはずがない。撤退を余儀なくされる事態に至れば、使用不可能な状態に破壊したうえで去るだろう。テロリストが侵入したため激しい銃撃戦になった、弾薬庫に火炎瓶が投げ込まれ大爆発を起こしたなど「原因」はいくらでも考え出せる。
ちなみに岸田首相は、ロンドン訪問中の5月5日の講演で、幼い頃に広島で聞いた被爆体験が「私を、平和を取り戻すための行動に駆り立てる」と述べ、「核兵器のない世界」を訴えるため、日本が議長国となる来年の先進7カ国首脳会議(G7サミット)を地元広島で開催したい意向を滲ませたという。筋違いと言うほかない。
日中露サミットを広島で開催し、習近平、プーチン両氏に核兵器先制不使用を誓わせるというならまだしも(あり得ないが)、核抑止力も含めて集団自衛体制の強化を論議すべき自由主義陣営のサミットで、議長が核廃絶(これまた予見し得る将来あり得ないし、捨てるにしても自由主義陣営は最後に捨てねばならない)を得々と語ればバカにされるだけだ。
むしろ防衛大学校があり、米太平洋軍の拠点でもあって日米安保体制を象徴する横須賀あたりを開催地としてはどうか。「お前は核の惨禍を知らないとは誰にも言わせない。まさに広島、長崎の再発を防ぐため独自核保有に乗り出す」と宣言する「蛮勇」が岸田氏にあるならともかく、広島はG7サミットにふさわしい地ではない>(以上)
小生は「良い予感は外れる、悪い予感は当たる」という格言をよく使うが、「日本が非核なら他国から核攻撃を受けない」という人は暗愚であり、多分、中露北の手先かシンパ、即ちリベラルを装う「アカ」か、お花畑的「ピンク」だろうと思っている。自由民主圏の国でもこの手の人士は気絶したくなるほどウジャウジャいる。
ヒトラー・ナチスに占領されたフランスでは、小賢しいインテリ≒アカは積極的にナチスに媚びを売ったり、「フランスおよびアメリカ・イギリス帝国主義反対、ソ連のために戦おう」となったりした。
強者について美味い汁を吸う人を「コラボレーショニスト」、日本では「売国奴」と言うが、なんとナチス亡き後の戦後のフランスでは、今度は赤色帝国ソ連を礼賛し、堂々と共産主義者を自称した。当時、フランス共産党員は40万人で、自由圏では世界一の規模だったという。アカは流行ファッションだったのだ。
さすがに今の時代では「私は共産主義者」と自称する人は少なく、多くは「リベラル」を装うが、米国の映画界みたいに中身は容共左派、儲かればいいという卑しい銭ゲバが大変多いよう。
夏彦翁曰く「組合専従になるなかれ」。日本の労組専従の多くも隠れアカが多いようで、小生の古巣の旅行業界では、先の参院選挙でサービス連合(サービス・ツーリズム産業労働組合連合会)が選りによって辻󠄀元清美を支援しておりがっかりした。辻󠄀元は反日赤軍派のシンパではないのか。
日本が「日本を取り戻す」までにはまだまだ時間がかかるのだろうが、「スラムダンク」の安西先生の「諦めたらそこで終わり」の言葉を思い出して、どうにか自分を鼓舞している感じだ。ま、物書きは趣味でもあるけれど・・・
それにしても、永世元首を目指す習近平は、コロナ対策で失敗し人民の不興を買っているうえに、無理筋のロックダウンで経済もかなり停滞してきたよう。さらに夏場の雨季にはここ数年、洪水も多発、甚大な被害をもたらしているのに、治水については昨年も今年も何の手立ても講じていないし、習近平による被災地訪問も今年は報道されていない。
こうなると「習近平は求心力を高めるためにも戦争を欲している」と思わざるを得ない。今秋の共産党総書記選挙で勝つためには、戦争による熱狂で人民の支持を得、かつ明確な「戦勝」で党内外の不満を解消しなければならない。
マキアヴェッリ曰く「君主は困難と障碍に打ち勝つことで偉大になっていく。特に世襲ではない新君主は、統治を盤石にするために大なる名声を得なければならない。敵をつくり、敵をして攻撃させ、それに打ち勝つことで民や家臣の支持、敬意を高め、政権は一段と強化される。賢明な君主は、機会あるごとに、ことさらに敵をつくり、それを討ち亡ぼし、名声を高めるようにすべきだ」(君主論第20章「城砦その他、君主が常に頼みとするものについての利害」)。
毛沢東は「孫子兵法」「水滸伝」を愛読していたが、1930年頃には中国語訳の「君主論」も出版されていたから当然、目を通していたろう。何しろナポレオン、ビスマルク、マルクスも愛読していたのだから。中共の「Baidu百科」によるとマルクスは「マキアヴェッリは、政治の理論を道徳から解放し、権力を法律の基礎とし、政治学の基礎を道徳から権力へと移した」と絶賛しており、「権力=道徳」の習近平も多少は聞きかじっているかもしれない。
要は「勝てば官軍、正義」であり、習近平は己の地位を盤石にし、師と慕う毛沢東と並ぶ「神」になるために戦争を欲している、ということ。
戦狼・習近平は、まずは勝てそうな台湾侵略から始める。欧米は習近平の友邦ロシアのウクライナ侵略で手一杯で、今なら遠い東の台湾にまで十分な関与はできないから絶好のチャンスである。台湾侵略が上手くいけば次は日本、さらに豪州、インド、アジア・太平洋全域へと軍を進めて制覇する・・・それが習近平の「中国の夢」なのだ。
台湾を守ることは日本の安全保障の一丁目一番地である。日本版「台湾関係法」など法整備をし、台湾と密接に連携して中共の侵略を撃退しなければ、明日は日本が餌食になる。「悪い予感は当たる」のである。危機感をもって備えるべし。
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