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平和を望むならば有事に備えよ

2025-04-07 19:45:38 | 戦争
平和を望むならば有事に備えよ
“シーチン”修一
【雀庵の「大戦序章」381/通算812 2025/令和7年4/7 月曜】 4/5の土曜日は久し振りの快晴で、小生もガタが来た腰を完全武装して二か領用水路沿いの染井吉野の桜の花見を満喫した。染井吉野はド派手で迫力は凄いが、その中に一本だけ昔ながらの緑樹を交ぜた自然の桜(ヤマザクラ)があり、小生は「ああ、いいなあ、自然の美しさ、自然の匂いがある」ととても気に入っている。

小生は清く正しく美しく、というガラではまったくないが、地味ではあっても「連帯を求めるも孤立を恐れず、小生もそうでありたい」・・・そんなことを思いながら元気そうに背を伸ばし腕を振って歩いていたら、上から下まで真っ白な服を着た女性からお辞儀された。え、何なんだ、この人は?と怪訝な顔をしていたら、マスクと帽子を取ってニヤッと笑う・・・なんとカミサンだった! それにしても上から下まで真っ白な服・・・そうだ、カミサンは看護婦をリタイアしたものの免許は持っており、今は主に小生をケアしているが、気分は今でも「白衣の天使」なのである。

奄美大島生まれのカミサンは高校を卒業すると看護婦を目指して東京に出て、半年間レクチャーやイロハの教育を受けたのちに「戴帽式」という、一定の課程を修了した看護婦の頭にナースキャップを載せる儀式を受けるのだ。看護婦としての職能意識を高めるために「われは心より医師を助け、わが手に託されたる人々の幸のために身を捧げん」という「ナイチンゲール誓詞」を唱える。今や小生は彼女の恰好の患者、というわけ。有難いことである。

昼食後にカミサンが「トランプの政治について述べよ」と言う。産経を読んでも普通の健全な人はよく分からないだろう。小生自身も「トランプのホンネ」が何なのか分からないから困惑することが多い。で、以下のレポートを書いてカミサンに渡した。

<トランプはロナルド・レーガン大統領を目指している。レーガンは役者出身、ソ連を自滅に追い込み没落させた。レーガンは中曾根康弘総理と仲が良かった。レーガンはテロに襲われて重傷を負った。

トランプは歴史に名を残したい。人気TV番組で有名になった。知名度抜群。トランプは安倍晋三総理と仲良しになった。トランプはテロに襲われて怪我をしたが、立ち上がって「Make America Grate Again」と叫んだ。?? このセリフを最初に唱えたのはレーガンである。

トランプはロシア、中共、北朝鮮などのゴロツキ独裁国家を没落させられるか。それをできたらレーガンと並ぶ偉大な大統領として名を残すことになる。その初心を貫けるかどうか、今のところは不明である>以上
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「フォーリン・アフェアーズ ジャパン ニューズレター4月6日」のメールが届いたのでチェックしていたら「5月号以降はデジタルマガジンなどに変更する」と言う。カネがかかるし置く場所にも苦労する「紙の時代」は終わったという判断のよう。ちょっと寂しいが・・・米国の容共左派的「私は正義病」の民主党のオピニオン誌みたいだったから、民主党が野党に転落した今は購読者も随分減ったのだろう。それでも一度アカ、一生アカだから4月号でも「支離滅裂な関税政策」などとトランプ共和党政権を叩いている。以下、引用すると――

<◎:対中デカップリング――衝撃を抑え、効果を最大化するには  平時に対中デカップリング(政治と経済の分離)を強行すれば、ワシントンがまさに回避したい紛争へ北京を向かわせる恐れがある。日本、韓国、オーストラリアを含むパートナー諸国は大きな代償を払うことになる。むしろワシントンは、危機に備えて、デカップリングを温存することで、対中抑止力を維持すべきだ>

<◎:米中衝突と世界経済戦争――その経済・貿易リスクを低下させるには  中国経済との全面的なデカップリングを直ちに試みるのは、世界経済戦争を誘発しかねない危険なギャンブルだ。むしろ、重要な製品や物資のサプライチェーンを中国から国内や友好国へリショアリング(移転)しつつも、それほど重要でないサプライチェーンは危機に直面しても(短期的には維持し)長期的に切り離していく措置をとるべきだ>

<◎:勢力圏の復活――停戦交渉は第2のヤルタなのか  パワーポリティクス(軍事力を中心とした権力を行使、または背景にして、国家の利益を追求しようとする政策)の復活をけん引する米中ロが、いずれも「わが国を再び偉大な国に」というストーリーを掲げる指導者に率いられているのは偶然ではないだろう。かつての偉大さを取り戻すには、中国にとっては、台湾だけでは十分ではなく、ロシアにとっても、ウクライナだけでは、プーチンのビジョンを満たすことはできない。アメリカもカナダ併合を視野に入れ始めている。現在の諸大国は、1945年のヤルタ会談で連合国首脳が世界地図を書き換えたように、新しい世界秩序を形作ろうとしている>
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そうだ、1945年の米国主導の世界秩序が賞味期限を迎え、トランプも日本など先進国も「新しい世界秩序を形作ろうとしている」のだ。産経2025/4/7は「敵は誰か、有事に備えよ!」と警告している。一部を転載すると――

<◎:「空自機 中国艦を仮想攻撃 日米演習の概要判明 台湾進攻阻止 日米共同演習は自衛隊と米軍が共に戦うことを想定した 『集団的自衛権』行使」
自衛隊と米軍が昨年2月に実施した日米共同指揮所演習(図上演習)「キーン・エッジ」で、台湾に侵攻する中国軍艦艇に対し、自衛隊機がミサイル攻撃を行う判断が下されたことなど演習の概要が6日、判明した。日米共同演習で本格的に台湾有事を想定したのは初めて。演習の結果は有事の際に自衛隊や米軍が行動する際の指針となる作戦計画に反映されているとみられる・・・>

<◎:「南西防衛へ体制強化 陸自主体の『海上輸送群』発足式」
南西諸島への防衛への輸送力強化を目的とした防衛相直轄の新組織「自衛隊海上輸送群」が6日、拠点を置く海上自衛隊呉基地で発足式を開いた。輸送軍は乗員の約9割を陸自、約1割を海自で構成。中国が海洋進出を強める中、組織の垣根を越え人員や車両、物資を運ぶ能力を高める狙いがある・・・>

以上の記事はたくましくて戦老 but 腰痛ヂヂイの小生も欣喜雀躍、もう少し長生きするか!と元気になったが、現実は甘くなかった。
<◎:「台湾有事『最前線』日本に難題 共同指揮所演習 米と一体化 9条の壁 陸・空自 連携ズレ 『戦争参加』 政治判断の心構えも 中国の実戦的演習 台湾を威圧」>

敵は中露北だけではないのだ。「備えあれば患いなし」ではなく、我らの内なる怠惰は「備えなければ平和が続く」とか「長い物には巻かれよ」という事大主義による妄想に汚染されているとしか言いようがない。未だに国会に共産党や新左翼の連中が議席を維持している国は、先進国では日本だけではないか? まったくアカにつける薬なし・・・憂国ヂヂイの悩みをいかにせん!? 
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産経2025/4/7 江崎道朗・麗澤大学特任教授の「正論 政府は台湾『有事』の対応説明を」から。
<◎:「日本は前線に立つ」   「中国共産党の威圧的な行動に日米は結束して立ち向かう」「西太平洋で有事に直面した場合、日本は前線に立つことになる」
3月30日、中谷元・防衛相との初会談後の記者会見でヘグセス米国防長官がこう述べた。どういう意味なのか。政府は国民に対して説明すべきだ。その際、
1)中国による台湾「有事」の危機が迫りつつあり、
2)その危機は日本の存立にとって無縁ではなく、
3)日本は米国などと共にその危機に対処すべく準備を進めてきており、
4)いざとなれば日本が主体的に対処しなければならない―ことを丁寧に説明すべきだ。

中国は21世紀に入って驚異的な経済発展を遂げ、2010年頃からインド太平洋地域で威圧的な動きを強めるようになった。南シナ海に軍事基地を設け、台湾「統一」を公言し、沖縄・南西諸島海域での軍事行動を繰り返し、いまや我が国の尖閣諸島を連日のように脅かしている。

中国の軍事的台頭に対して日本は幾つかの選択肢があった。第1は、このまま中国の威圧的な対外行動を容認し、中国の影響下に入ることを甘受する道だ。第2は、中国による「力による現状変更」を米国によって抑え込んでもらう道だ。だが、軍事大国となった中国を、もはや米国だけで抑え込むことは困難だ。

◎:中国の威圧的行動に対し   2012年12月に発足した第2次安倍晋三政権は第3の道を選択した。それは、自らの経済発展と防衛力整備、そして自由主義陣営の結集によって中国の威圧的な行動に立ち向かう道だ。
戦後半世紀以上にわたって我が国は安全保障を米国に依存してきた。しかし日本が主体的に動かなければ、貿易立国の基盤である「自由で開かれたインド太平洋」秩序を守れないばかりか、尖閣諸島なども失いかねない。

そこで第2次安倍政権はアベノミクスを掲げて経済成長を目指すとともに2013年、戦後初めて日本独自の国家安全保障戦略を策定し、自由主義陣営を結集するとともに「自分の国は自分で守る」国家体制の再構築に着手した。特定秘密保護法、平和安保法制などを次々と制定して「有事」に対応できる法整備を行い、日米同盟を強化するだけでなく、豪英仏加印などと軍事協力関係を構築してきた。

この国家戦略をさらに強化したのが岸田文雄政権だ2022年12月、反撃能力の保持を謳(うた)った新たな国家戦略を策定し、5年間で43兆円の防衛費を使って防衛力の抜本強化を始めた。具体的には宇宙・サイバー・電磁波などの新たな領域への対応、南西地域の防衛体制の強化、弾薬・燃料などの備蓄、沖縄・南西諸島からの避難計画の策定などだ。

力の信奉者である中国との戦争を回避するためには、こちらも力がないといけない。そう考えて我が国はこの十数年、中国との対話を続ける一方で、日米同盟の抑止力、対処力を向上させ、かつ豪英仏加印といった同志国を糾合してきた。それは何としても台湾「有事」の勃発を阻止し、「自由で開かれたインド太平洋」を守りたいと考えたからだ。

◎:軍事侵攻のリハーサル  だが中国の習近平政権は台湾に対する「武力統一」を断念するつもりはなく、台湾周辺で大規模な軍事演習を繰り返している。しかも大規模演習は、恫喝(どうかつ)目的の訓練ではなくなりつつある。
米インド太平洋軍のパパロ司令官は2月13日、ホノルル防衛フォーラムにおいて、中国の軍事演習が2022年の6個旅団から2024年夏には42個旅団に拡大し、150隻の艦艇と200の水陸両用戦闘車両が参加する大規模なものに変容したと報告、これらは「単なる演習ではなくリハーサルだ」と警告した。

こうした厳しい情勢判断のもと、米国は2024年12月23日、25会計年度国防権限法を成立させ、実に8950億ドル(約140兆円)もの国防予算を決定した。2015年は5604億ドルだった国防予算を10年で1.5倍近くに増やしたことになる。その狙いは「中国の抑止」だ。米国も必死なのだ。

だが、それでも台湾「有事」を回避できるとは限らない。しかも中国がロシアや北朝鮮と連携して台湾だけでなく、朝鮮半島や南シナ海でも同時に紛争を仕掛けてくるシナリオも想定され、現有の米軍兵力だけでは対応できない恐れがある。
そこでヘグセス米国防長官は今回、日本に対して日本本土だけでなく西太平洋(台湾や南シナ海など)の紛争にも米国と共に対処してほしいと言及したわけだ。

これを機に日本政府は、我が国が直面している危機の実情とこれまでの我が国の取り組みを国民に対して率直に説明し、防衛費の更なる増加と「有事」に向けた本格的な準備、台湾との公的な防衛協力関係の構築、そして自衛隊を軍隊と位置付ける憲法改正などが急務であることを訴えるべきだ。
平和を望むならば、有事に備えなければならない。(えざき みちお)>以上
「平和を望むならば有事に備えよ」、真に正論である。
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*読者諸兄の皆さま、御意見を! https://note.com/gifted_hawk281/ または ishiifam@minos.ocn.ne.jp までお願いいたします。小生の記事は以下でもお読みいただけます。
渡部亮次郎 「頂門の一針」<ryochan@polka.plala.or.jp>
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米国依存時代は終わった

2025-04-05 09:07:28 | 戦争
米国依存時代は終わった
“シーチン”修一
【雀庵の「大戦序章」380/通算811 2025/令和7年4/5 土曜】 春めいてきたが国際社会はまるで冬に向かっているよう、4/4の産経にはビックリした。「トランプは自由陣営をぶっ壊すつもりか、それが Make America Grate Again(MAGA)ならば我らは徹底抗戦で対応するぞ!」という一触即発の様相。こんな具合だ。

▶米相互関税 日本24%、中国34%、EU20% 車25%追加発動 自由貿易崩壊 迫る世界不況 
▶「トランプ相互関税」ついに布告 2日の演説から ◎今日は「解放の日」だ。米国の黄金時代が戻ってくる ◎友人である日本は米国産のコメに700%の関税をかけている ◎最悪なのは、韓国や日本のほか、多くの国々が課している非関税障壁かもしれない。こうした巨大な非関税障壁によって日本にある94%の自動車が日本製だ。◎トヨタは米国に100万台の外国製自動車を販売しているが、ゼネラル・モーターズはほぼ販売していない。◎このような恐るべき不均衡は米国の産業基盤を荒廃させ、国家安全保障を危機にさらしている。◎関税率をゼロにしたいなら、米国で製品を製造すればいいのだ

▶関税の行方 見通せぬ成算 米、提携国を中国並扱い
▶米国のグリーンランド併合は不可 デンマーク首相が表明、北極圏防衛の強化も強調
▶トランプ氏と習近平氏の板挟み パナマ運河めぐり96歳の〝香港の超人〟が最後の大勝負
▶「米国の関税終わらせるため戦う」カナダ首相、米からの輸入車に25%の報復関税を表明
▶ルッテNATO事務総長が8~9日に訪日 石破首相らと防衛産業基盤の強化などを協議

▶米相互関税で円は急騰、一時145円19銭 半年ぶりの円高水準に
▶欧州株も米相互関税で大幅に下落 アディダス、プーマともに11%超安
▶米相互関税でNY株が急落し1679ドル安 4年10カ月ぶりの下落幅、景気後退に懸念
▶日米韓外相会談、露朝の軍事協力に「深刻な懸念」 北の非核化で連携も確認
▶NY株、一時1600ドル安 トランプ関税で世界的貿易戦争、景気後退に懸念
▶トランプ関税、EUは「報復」 韓国と台湾は「困惑」 対抗手段は硬軟分かれる
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トランプの言動は本音なのか、それとも中露北などの敵を油断させるブラフなのか、小生には分からないが、MAGA(Make America Grate Again)はトランプが創った標語ではないそうだ。WIKIによると――<MAGAは1980年の大統領選挙においてロナルド・レーガンが使用したのが最初で、近年では、2016年の大統領選挙と2020年の大統領選挙、および2024年の大統領選挙においてドナルド・トランプが使用した。近年(主には2021年以降)は単なる選挙スローガンを越え、広くトランプを支持する勢力や人々を「MAGA」と呼ぶことがある>

トランプはレーガンを目指している? レーガンはテロリストに襲われ重傷を負い九死に一生で再起した英雄である。同年代でお互い保守派として知られた中曽根康弘総理との間では、中曽根を「ヤス」と呼び、レーガンを「ロン」と愛称で呼ぶ仲となり、この呼び方は当時「ロン・ヤス」とあだ名されてお互い交流を結んだ。悪の帝国、ソ連圏を、ロンの米国とヤスの日本など自由陣営が結束して自滅に追い込んだのだ。

トランプもテロリストに襲われ九死に一生を得ている・・・トランプと安倍晋三首相の信頼関係について、産経2024/11/14「阿比留瑠比の極言御免」にこう記している。<(安倍晋三元首相は)トランプ氏は「拉致問題ではハートがあった」といい、実際に北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記にも直接、拉致問題の解決を働きかけている。トランプ氏のこの側面にマスコミが着目しないことが不思議である>
日米のマスコミはリベラル≒アカが多いから、不都合なことは報じない。まったく情けないことである。

産経2025/4/4「湯浅博の世界読解 行き過ぎた米中戦狼外交の代償、地政学的に無関心な日本にも代償払う日が来る」から。
<侵略戦争に抵抗する小国の戦争指導者が、超大国の大統領から「援助への感謝が足りない」と追い返されて以来、この説教じみた会談が妙に引っかかる。過去にもどこかで、大国外交による小国いじめの光景に出合ったような気がするからだ。
ご承知のように、ウクライナのゼレンスキー大統領が米ホワイトハウスを訪問し、トランプ大統領から「恩知らずで、第三次世界大戦の危険を冒している」などと面前で罵倒された。

大国が小国をなじる過去のふるまいで、筆者の頭をよぎるのはただ一つ。中国の外交トップが、東南アジアの小国を居丈高に脅す醜い姿であった。
2010年7月、ハノイ開催の東南アジア諸国連合との会議「ASEAN地域フォーラム」でのこと。当時の楊潔篪(ようけつち)外相が、南シナ海での一方的行動を沿岸国から批判されると、「中国は大きな国だ。あなた方は小国だ。それが事実だ」と言い放ち、席を蹴って出て行った。

◎:▼呼び起こした対中抑止の結束   「小国がつべこべいうな」というのが中国のホンネなのだ。「力こそ正義」という古代の格言がそのままほとばしり出た。これが、その後発足した習近平政権に戦狼外交へかじを切らせる大きなきっかけではなかったか。
中国共産党総書記に就任した習近平氏の発言は、「世界を仕切るのは中国と米国」であって、途上国は運命共同体の下位メンバーにすぎないことを示唆している。習氏のいう運命共同体が、中華秩序における新疆(しんきょう)ウイグル、チベット、香港の運命を意味するなら誰も組みはしない。

米誌フォーリン・ポリシーのコラムニスト、ハワード・フレンチ氏によれば、これら中国側の発言は「自国の利益追求のためなら、既存の世界秩序とそのルールを破壊しても構わない」との考えをそのまま実証したものだという。しかし、この強硬路線は、やがて失敗に至る。中国外交の攻撃的なアプローチが、周辺国から北京に対する恐怖と不信感を引き起こし、かえって対中抑止への結束を促した。

当時の安倍晋三首相が旗振り役となって、日米豪印の4カ国からなる安全保障枠組み「Quad(クアッド)」が結束を強めた。さらに米英豪の3カ国同盟「AUKUS(オーカス)」が、原子力潜水艦のオーストラリア供与へと動き、日韓が相互不信の歴史を超えて和解を進める。それが(習近平の)行き過ぎた戦狼外交アプローチの代償であった。

◎:▼難題の米欧分断 自ら「解決」へ導く  第2期のトランプ政権発足は、中国にとって戦狼外交のマイナスから完全に足抜けする絶好の機会になった。自由と民主主義の旗手である米国が、第二次大戦以来、世界でももっとも修正主義的な国家として「米国版の戦狼外交」に乗り出したからだ。
トランプ氏はグリーンランドを獲得すると威嚇し、カナダが米国の51番目の州になるべきだと同盟国をあざけった。関税引き上げで経済戦争をちらつかせ、とりわけ同盟国に厳しい。

トランプ氏の欧州に対する抜きがたい軽蔑も、中国にもう一つのチャンスをもたらす。腕利きスパイでないと成功しない米欧分断の「ミッション・インポッシブル」を、米国の方から「可能なミッション」へと導いてくれたからだ。

戦後自由社会を率いる米国のパワーは、その包容力によって同盟国を束ねることから生み出された。しかし、中国が米欧同盟という軍事資産を離反させるまでもなく、米国自ら同盟を崩壊させようとしている。
トランプ氏は1990年代から、貿易と安全保障の両面で「いわゆる同盟国にだまされている」と欧州への不満を述べてきた。第2期政権発足後も同盟国不信は変わらず、逆にプーチン露大統領、習氏ら大国の独裁者への称賛を繰り返す。

ウクライナ支援に懐疑的なトランプ氏が、ロシアのウクライナ侵略を非難する国連決議を、当のロシア、北朝鮮と共に反対したのも同じ考え方からだろう。 この政策転換により、欧州は米国の支援なしにロシアとの戦争の可能性に直面することになった。2年前に、中国リスクを低減する「デリスキング」にかじを切ったように、最大の同盟国である米国に対しても、依存リスクの低減を迫られている。

◎:▼対等なのは大国に限るのか  この国連決議に対して中国は、抜かりなく「棄権」という第3の道を選んだ。中国外交チームはむしろ、トランプ政権の乱暴な外交を逆手に東アジアの国々に「米国は信用できるのか」と攻勢をかけている。
3月に中国で開催した「博鰲(ボアオ)アジアフォーラム」で、丁薛祥(ていせつしょう)筆頭副首相は、「進歩的なアジアの大家族を共に作り、多国間主義を守り抜く」と高らかにうたった。自由と法の支配に縁遠い中国が、米国のかつての看板政策を取り込み「自由貿易体制を守り、貿易と投資の保護主義に断固反対」と強調した。
王毅外相もトランプ外交を念頭に、「自ら大国の地位を崇拝するなら、世界は弱肉強食に逆戻りし、弱小国が真っ先に苦しむことになる」と語りかけている。

しかし、中国からの誘惑はもはや、アジアの指導者たちに響かないようだ。彼らは王氏の先輩格が15年ほど前、「中国は大国で、あなた方は小国だ」と脅したことを忘れてはいない。
中国は米国の破壊的な外交を最大限に利用しようとしながらも、やはり自らの「大国主義と政治的な打算」から逃れることができない。それはトランプ氏が、米国と対等に渡り合えるのは大国だけで、ウクライナは米国の寛大さのおかげで生きながらえている小国であるとの世界観と共通している。

しかし、大国の攻撃的な外交アプローチは、中国の周辺国がQuadやAUKUSで対抗したように、小国はトランプ政権に対してさえ結束してその対抗策を考える。いま、欧州は、英仏独を軸にウクライナ支援を強化し、米国に依存してきた地政学的なツケを払おうとしている。
トランプ政権は東アジアへのリバランスによって、日本などと結束して対中抑止力の強化を図っている。しかし時至らば、地政学的に無関心な日本もまた、その代償を払わなければならなくなる日がやって来るかもしれない。
19世紀の英国外相、パーマストン卿が下院で述べたように、「永遠の同盟国はなく、永遠の敵もいない。そして国益は永遠かつ永続的である」からだ>以上
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自由民主陣営は米国版の「トランプ流戦狼外交」に戸惑っているが、まずは各国が連携して軍事力を強化するのが喫緊の課題である。経済のみならず軍事面での米国依存という時代は終わったという認識を強めていくべきだ。
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*読者諸兄の皆さま、御意見を! https://note.com/gifted_hawk281/ または ishiifam@minos.ocn.ne.jp までお願いいたします。小生の記事は以下でもお読みいただけます。
渡部亮次郎 「頂門の一針」<ryochan@polka.plala.or.jp>
必殺クロスカウンター ttps://www.mag2.com/m/0001690154.html
https://blog.goo.ne.jp/annegoftotopapa4646
ishiifam//1951@outlook.jp

「陸軍中野学校の光と影」を読む

2025-04-03 17:07:01 | 戦争
「陸軍中野学校の光と影」を読む
“シーチン”修一
【雀庵の「大戦序章」379/通算810 2025/令和7年4/3 木曜】 3/31、多摩川の支流、二か領用水沿いの桜並木は満開、早朝から4月に小学生になる子供たちらが半ズボンにピカピカのランドセルを背負ってママさんや写真屋の記念撮影に応じていた。
1951/昭和26年生まれの小生の小学生時代はノンビリしていたものだが、競争社会が進んでいる今は学習塾などでの勉強や習い事があるから忙しい。子供に限らず中学、高校、大学、大学院、さらに職場での競争、ハイテクの日進月歩もあるから、ノンビリなんぞしていられないようだ。毎日が競争!どこでも戦争! 気の毒な感じがするが・・・

競争だから勝ったり負けたり、人生いろいろになる。「勝ち組、並、負け組から乞食までいるのが普通の国」と言ったのは山本夏彦翁だった。今の先進国は乞食を保護してカネを与えているから、乞食は反省しないどころか「当然の権利だ」と偉そうにしているよう。2009年頃に吉原遊郭のあった近くの「山谷」界隈に行ったら、朝っぱらから飲んだくれて道路で寝ている酔っ払いや、国の費用で頭蓋骨に穴をあけた手術をしたらしい頭の人がいて、なにやら魑魅魍魎、別世界の趣。夏彦翁もビックリだろう。

その一方で60歳、70歳あたりまで好きな仕事に就いて、リタイア後は退職金や年金などで悠々自適、面白おかしく暮らす人は、小生の先輩(月に手取り60万円以上)を含めて多いだろう。また、仕事は単純労働で面白くないし給与もパッとしないけれど好きな趣味を楽しみノンビリ暮らすとか、そういう多彩な生き方があっても良いだろう。

しかし、基本的に健康な身体髪膚の大人の人間、自立可能な一人前の国民は、「国家に頼る」のではなく「国家を支える」のが正当ではないのか、と小生は思うのである。小さな国の日本はそうやって強国、列強になっていったのだ。「大日本帝国」は一夜にしてならず、先人の努力のたまものである。
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このところスティーブン. C.マルカード著、秋塲涼太訳「陸軍中野学校の光と影 インテリジェンス・スクール全史」(初版2022/8/4、芙蓉書房出版、2970円/税込)を読み返している(2回目)。小生は編集者時代にときおり「書評」も書いていたから、ものすごいスピードで読むものの、書評を書き終えるとほとんど忘れてしまう。今振り返って思うに、ちっとも「読書が血肉になっていないよう」で情けない気分になることがある。しかし考えようによっては、リタイアした今は一気呵成に読む必要なんてないし、結果的に「何度読み返しても楽しめるのは結構なこと」かも知れない。

「陸軍中野学校の光と影」を訳した秋塲涼太氏・・・なんと2022年の日本語版上梓当時は36歳!という若さだった。著者のマルカード氏が英語版「The Shadow Warriors of Nakano: A History of The Imperial Japanese Army’s Elite Intelligence School」を上梓したのは2002年で、20年遅れての日本語版だが、秋塲氏の努力と芙蓉書房出版の熱意が実った作品と言える。

秋塲涼太氏のプロフィールは<あきばりょうた:1989年生まれ。本稿上梓の時は36歳。特殊作戦・低強度紛争(SO/LIC)個人研究家。米ミドルベリー国際大学院モントレー校大量破壊兵器不拡散・テロリズム研究修士課程修了。米国防総省ダニエル. K. イノウエアジア太平洋安全保障研究センターにて研修生として特殊作戦領域の研究等に従事。防衛省陸上自衛隊情報科勤務を経て、個人にて研究を継続中>

マルカード氏も凄い。元CIA情報分析官である。<1984年バージニア大学卒、1988年コロンビア大学国際公共政策大学院修士課程修了。在学中に日本語を習得。1991年に米中央情報局(CIA)に入局。東アジア情報の専門家に。2001年、CIAの学術雑誌でStudies in Intelligence Awardを受賞>
以下、「陸軍中野学校の光と影 インテリジェンス・スクール全史」の前書きから以下引用する。
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1945年9月2日、アジアにおける第2次世界大戦が終結を迎えた。日本の降伏は、ダグラス・マッカーサー元帥をはじめとする連合国代表団を前に、降伏文書への署名をするという形がとられた。巨大戦艦ミズーリ上で行われたこの調印式は、日本の完敗を印象付けるため、効果的に計算された数百機もの米軍機が轟音をあげて上空を通過する中で執り行われた。日本が目論んだアジア圏全域に対する日本帝国の拡大は、灰と化した。

日本の大敗は、連合国の中でもヨーロッパ諸国にとって、アジア圏における彼らの帝国を取り戻す契機でもあるように見られた。米国はこの大戦の前にフィリピンの独立を約束するも、米国の同盟諸国はアジアにおける再支配を目論んでいた。結局のところ、ヨーロッパの強国が四世紀以上にわたってアジアを支配してきたのだ。
1498年にポルトガル人海洋探検家のヴァスコ・ダ・ガマがインドに到着してから、ヨーロッパ人はアジア圏のほぼ全域を征服、または実効支配していった。唯一、日本だけが西洋諸国への服従から逃れることに成功し、自身の帝国として強国と肩を並べたのだ。大戦初期のヒトラーの勝利に望みをかけ、日本の指導者たちは、英国、オランダ、フランス、米国を、それぞれのアジア圏植民地から立ち退かせるために参戦した。

第1次世界大戦では、日本は戦勝国に付き、ドイツ帝国の支配していた太平洋諸島を英国と分配した。しかし、第2次世界大戦では、敗戦国側に付くこととなる。この選択は「罪を犯すよりも愚かである」というフランス人政治家(*)の言葉を借りるのであれば、日本は過ちに加担したのだ。(*:シャルル・ルイ=ナポレオン・ボナパルト、通称「ナポレオン3世」か)

敗北へと向かう最中ではあったが、大日本帝国はアジア圏におけるヨーロッパ支配の時代に終止符を打ったのだ。戦時下、日本軍は「アジア主義」という魔神の栓を開けてしまった。アジア人は西洋の植民地軍がアジア人の力によって一掃されるのを目の当たりにした。戦後のアジアで初めて指導者として台頭した民族主義者たちは、戦時中、日本と共闘する中でその力を体感した。彼らは、植民地の隷属に戻ることを拒むアジア主義に目覚めた民衆を統率した。戦争は、アジア全域において、民族主義という火種を、消し去ることのできない大火としてしまったのだ。

こうして戦後、英国、オランダ、フランスの各植民地再建は失敗に終わった。戦時中、インド大帝国を手中に収めていた英国は、1947年にインドの強い独立への要求を前に、亜大陸を諦めることとなった。1942年に日本に降伏したビルマは、1947年に英国から独立する道を選んだ。オランダはインドネシア軍等における再征服の失敗の後、1949年にインドネシアの独立を認めた。かつてのインドシナの帝国を取り戻すというフランスの野望は、1954年のディエンビエンフーの戦いでの敗北を機に消滅することとなった。

戦後、日本は先の大戦から復興し、再びアジアの大国としてその影響力を行使し始めた。1952年に日本へ主権が返還され、日本は貿易と援助を通じてアジアにおける影響力を行使し始めた。今日のアジアでは、日本はかつてのヨーロッパの支配者たちをはるかに凌駕する影響力を持つようになった。日本が戦時中に築き上げた帝国を失ってから長い年月がたった現在、アジア圏における日本の存在は、産業、商業、技術分野において非常に重要なものとなっている。政治的にも激しい争論となる軍事の分野でも特筆すべき点がある。それは日本が国連の平和維持活動への参加など、国際安全保障活動を通じて存在感を強めていることである。

開戦時の帝国陸軍内部には、西欧列強を東南アジア諸国から一掃するため、情報将校、コマンドー(勧善懲悪のヒーロー)として戦った軍人たちがいた。その多くは米英軍との戦いで戦死した。また戦後、ソビエトの捕虜となり命を落とした者もいた。一方で、生き残った者の中には、ソビエトとの冷戦の陰で米情報将校と共闘した者もいた。そして、日本を再建し、失われた領土取り戻し、日本の歴史を取り戻すために奔走した者もいた。

1931年、大日本帝国陸軍は宣戦布告のない戦争を中国に対して起こす一方で、ソ連に対する戦いへの備えをしていた。当時、情報任務に適した要員が不足しており、帝国陸軍は陸軍きっての秀才たちに、情報収集と隠密作戦の訓練を実施する機関の設立を命じた。翌年、198人の予備役で構成された選抜部隊が1年間の秘密訓練を開始した。時を同じくして、軍当局は首都郊外に隠密作戦を支援する研究機関を設立した。
この訓練期間はその頃には、東京都中野区の地にちなんで「中野学校」と称され、1945年の終戦を迎える夏に解体されるまでの間、帝国陸軍が誇る最高峰の情報専門家数十名によってよって2500人以上が訓練された。また、「中野学校の要員が必要とする秘密装備や特殊武器を開発するため、登戸研究所(*)と関連機関で数千人規模が動員された。(*:30年ほど前にはボロボロになっていたが建物は残っていた)

中野要員は、その才能を活かし、南米から南太平洋を股にかけて情報収集を行い、世界中で数えきれないほどの任務に従事していた。中には、インドや東南アジアでのヨーロッパの植民地支配を弱体化させるために隠密作戦を展開した者がいた。その一方で、ソ連の国境沿いで戦時下を過ごし、ソビエトの侵攻の兆候を監視していた者もいた。日本の傀儡(かいらい)帝国であった中国北東部の満州国では、共産ゲリラの討伐にあたる者もいた。他にもニューギニア、フィリピン、沖縄でコマンドーとして強襲に参加した要員らがいた。日本本土では、中野要員は国内反戦勢力への警戒警備を実施し、最終本土決戦へ備え、住民を遊撃戦補助要員として訓練した。

1945年8月、米国の原爆投下、ソビエト参戦を受け、日本が降伏を余儀なくされた後も、影の戦士たちの戦いは続いた。大戦末期、不運にも満州で赤軍に捕獲された中野要員は、ソビエト管轄の広大な収容所で捕虜として死を迎えた者もいる。1945年にソビエトの情報機関の捜査網にかかりながらも生き残った日本の情報将校達は、1956年になってようやく抑留から解放され日本へ帰国した。米国の情報機関は、進行する冷戦下において中野学校出身の退役軍人に目を向け、彼らの能力を利用しようとした。占領期間、さらには朝鮮戦争の間を通して、数多くの帝国陸軍の情報退役軍人らが米陸軍を支援した。

日本が主権を取り戻した後、戦後の自衛隊や警察の情報機能に対して才能を発揮した者がいた。戦時下の日本とパートナーを組んでいた国との関係を再構築するのに貢献した者もいた。例を挙げれば、1960年代のビルマで、中野学校の「OB」達は、戦前から日本の隠密作戦に参加していたビルマ指導者のネ・ウィンと日本との関係構築に貢献した。この他にも、失われた領土を取り戻す試みとして、米国からの沖縄奪還や、ロシアからの北方領土奪還への継続的な活動に従事していた。

中野学校の退役軍人達は、第2次世界大戦における日本の犯罪的侵略に対する連合国側の判決は、戦勝国の正義を貫くものだと主張している。日本の与党やマスコミの有力者とコネのある中野OB達は、第2次世界大戦の本質をめぐる議論を国民に投げかけていた。国内外のリベラル派の間では、依然として日本が侵略戦争という不法行為を行ったという判決に基づく見解が支持されている。しかし、この中野OB達が主張する見解が、日本国内の世論を大きく覆したのだった。

戦時中や戦後の活躍にも関わらず、こうした中野出身者の多くは影を潜めたままである。唯一世界で広く知られている人物が小野田寛郎(おのだひろお)少尉である。小野田は1974年にフィリピンのジャングルから生還し、世界の注目を集めた。日本では長年にわたって中野学校に関する数多くの記事や書籍が登場したが、それ以外の国では中野学校に関してほぼ公になることはなかった。これは、米国の戦略情報部(OSS)や英国の特殊作戦執行部(SOE)などに相当する日本の情報機関の活躍や史実が、世界のインテリジェンス史から完全に抜け落ちてしまっていることを意味する。インテリジェンスにとっての大きな痛手である。

この本を書いた目的の一つは、中野学校の歴史に光を当てることである。OSSやSOEに引けを取ることなく中野学校出身者たちは戦時下、そしてその後の日本に仕えた。彼らの歴史は語り継がれるに値するものだ。もう一つの目的は、米国やその他の国の読者に日本のインテリジェンス史についてより良い理解を持ってもらうことだ。日本が20世紀の大国の一つとしての地位を獲得したこと、またインテリジェンスにおける日本の非常に優れた能力の双方を考慮に入れると、日本のインテリジェンス史というものは、より注目すべきものである。この本がこうした理解を産むことに貢献できるとしたら、著者として非常に嬉しい。(以上)
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感動的な作品である。是非ご購読をお勧めする。
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*読者諸兄の皆さま、御意見を! https://note.com/gifted_hawk281/ または ishiifam@minos.ocn.ne.jp までお願いいたします。小生の記事は以下でもお読みいただけます。
渡部亮次郎 「頂門の一針」<ryochan@polka.plala.or.jp>
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中露の結束はキツネとタヌキの騙し合い

2025-03-29 20:46:22 | 戦争
中露の結束はキツネとタヌキの騙し合い
“シーチン”修一
【雀庵の「大戦序章」378/通算809 中露は結束を強めている 2025/令和7年3/29 土曜」
27~28日に埼玉県に暮らす長男坊の娘2人が春休みを利用して1年振りにやって来た。我が家の周辺に暮らす娘2人の子供2人もやって来たので大賑わい。カミサンは美味しいものをいっぱい作って歓迎したが、かなり疲れたよう。小生は4階の屋上展望台の西側のペンキ塗りでヘロヘロ。どうも70歳を過ぎると「気力はあっても体力は落ちるから無理をしない」がヨサゲのようだが・・・

散歩がてらに工事現場で働く70歳前後の職人を観察していると、「無駄な動きをしない、無理をしない、できるだけ機械を活用する」といった感じ。小生は直近の記憶力が劣化して○○を取りにキッチンに行ったりすると、その数秒間で「何を取りに行ったのか」を忘れてしまい往生している。ブログ「頂門の一針」の渡部亮次郎氏は確か70歳の時に必死でパソコンを学んでブログを始めたと記憶しているが、小生は74歳でかなりの激しい経年劣化だ。忘れないようにメモしても、メモをどこに置いたかを忘れてしまう・・・つける薬なし!

劣化はオツムだけではなく、耳は遠くなるし、目はかすむ、こうなれば葬式用の写真を準備すべしと髭を剃り、お気に入りの服を着て息子に写真を撮ってもらった。あっ、戒名はどうする? 我が一族の菩提寺、真言宗豊山(ぶざん)派の常照寺は源平合戦の戦国時代は多摩丘陵の向ケ丘城塞の役目を果たしたと言われている勇武の寺。戒名は「覚法正修信士霊位」、葬儀とお骨上げは地元の「くらしの友・津田山総合斎場」にしてもらおう。
遺産は・・・基本的にカミサン半分、残る半分は一子相続を基本にして欲しいが・・・世話になっている税理士さんに早めに相談しておこう。

やるべきことはどっさりあり、考えただけでグッタリする。しかし、「考える」と脳みそが活性化して饒舌になるというのは面白い。つまり無我夢中になって「問題や疑問を解いて行く」ことは経年劣化を抑制する効果があるということだ。渡部亮次郎氏が89歳でも連日ブログを発信しているのは、その効果を証明していると言える。小生も踏ん張るべし! 強(したたか)に生きるべし!
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産経2025/3/28「緯度経度」 遠藤良介・外信部長兼論説委員の「トランプ氏は安倍元首相の轍を踏まないで 停戦交渉で焦り禁物 中露の離間は容易でない」は共産主義独裁国家の強(したたか)さを指摘していた。以下、全文を転載する(形容詞は概ね削除)。
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<トランプ米大統領が進めているウクライナ侵略戦争の停戦交渉は非常に難しいものだ。「撃ち方やめ」の停戦まで行ったとしても、そこから先の本格交渉で難航が予想される。
ロシアのプーチン大統領はウクライナという独立国家の骨抜きと傀儡(かいらい)化を狙っており、ウクライナが譲れる一線をはるかに越えている。プーチンはまた、冷戦終結後の国際秩序を覆そうとしているため、ウクライナにとどまらず、広く欧州の安全保障についてもトランプに要求を突きつけてくるだろう。
トランプに望みたいのは、功を焦らず、公正で確かな和平を実現してほしいということだ。

筆者は2月、ウクライナで全面侵攻後6度目の現地取材をしたが、ウクライナ人は一般にイメージされているほどには疲れていない。多くの人が停戦を望んでいるが、それは決して無条件に即時停戦をということではない。停戦後の「独立の維持」や「安全の保証」は絶対条件であり、継戦能力という面でも交渉には時間的猶予がある。

対露外交で教訓となるのは、安倍晋三元首相が行った北方領土交渉だ。安倍氏が戦略眼を持った類いまれな首相だったことは論をまたないが、対露交渉だけは失敗した。プーチン氏と27回の首脳会談を行い、日本では北方領土返還への期待が高まったが、残念ながら成果はなかった。
安倍氏は長らく停滞していた領土交渉を動かしたいとの熱意から、「私とプーチン氏の間で平和条約を結ぶ」と繰り返し決意を語った。しかし、プーチンが呼応する発言をしたことはなく、安倍氏は交渉期限を区切ったことで足元を見られる形となった。
安倍氏は2016年、「新しいアプローチ」による平和条約交渉を唱え、8項目の経済協力プランを提示した。北方四島での共同経済活動も打ち出した。14年のクリミア併合で欧米が対露制裁を科していた中での提案だったが、交渉進展にはつながらなかった。

2018年の日露首脳会談では「日ソ共同宣言(1956年)に基づいて平和条約交渉を加速させる」と合意した。共同宣言には「平和条約の締結後に色丹、歯舞を引き渡す」との項目があり、安倍氏は2島返還にかじを切ったに等しかった。

しかし、プーチン氏はこうした譲歩に応えるどころか、日本は北方四島返還の原則を放棄したものとみて増長した。「ロシアに領土問題は存在しない」とゼロ回答をよこし、日米安全保障条約が交渉の障害だとも主張した。日本が譲歩するほど高飛車な態度に出たのである。

安倍氏とトランプ氏に共通するのは、より深刻な脅威だと考える中国に注力するため、ロシアとの問題を解決してわが方に引き寄せたいとの思考だ。米国がニクソン政権期、ソ連を孤立させる狙いで中国との国交正常化に動いたことの逆張りであり、「逆ニクソン戦略」と呼ぶ専門家もいる。
この戦略自体は否定すべきものでなく、あらゆる努力があっていい。ただ、ニクソン政権期には中ソのイデオロギー対立や国境紛争があったのに対し、今日の中露は「無限の友好」をうたう準軍事同盟の関係にある。米欧主導の国際秩序に挑むという共通目標が中露を固く結びつけている。
「逆ニクソン」はきわめて難度の高いものであり、ウクライナで拙速なディール(取引)をすれば、それこそが中国の台湾侵攻を誘引しかねないと肝に銘じるべきである。(以上)
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上記を読んでいたらロシア革命をリードしたレーニンを思い出した。彼は表の顔と裏の顔があり、相当な役者だったとか。WIKIにはこうある。
<歴史学者ロバート・サーヴィスによれば、レーニンは自分が宿命を負った人間 (man of destiny) であると考えており、自らの理想の正しさと革命指導者としての能力に少しの疑念も抱いていなかった。
サーヴィスによれば、若き日のレーニンは非常に感情的であり、皇帝の権威に対して強い憎悪を示すのと同時に、マルクス、エンゲルス、チェルヌイシェフスキーといった思想家達への「愛情」を培い、彼らのポートレイトを所有し、私的な会話の中で自らがマルクスとエンゲルスを「愛している」とも語っていた。
ドミトリー・ヴォルコゴーノフの見解では、レーニンはマルクス主義を「絶対的な真理」と捉えており、「宗教的な狂信者」のように振る舞っていた。バートランド・ラッセルもまた、レーニンが「マルクス主義の福音への確固たる、宗教的な信仰」を有しているとの印象を抱いた。それらの指摘にもかかわらず、レーニンは無神論者であり、また宗教の批判者であった。レーニンは無神論が社会主義の前提であると理解しており、したがって「キリスト教社会主義」は名辞矛盾であると考えていた。

複数の伝記作家によれば、レーニンは反論されることを許容できず、しばしば自分と異なる率直な意見をはねつけたほか、自らの見解にとって不都合な事実を無視し、妥協することを極度に嫌い、間違いを認めることは非常に稀だった>
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1917/大正6年のロシア革命は世界に大きな影響を与え、日本でもごく一部で「大正デモクラシー」につながったようであるが、日本を含む第一次世界大戦の連合国は1918~1922年までの間にロシア革命に対する干渉戦争「シベリア出兵」を始めた。日本は1918年8月11日のウラジオストク上陸以来、増兵を繰り返して協定兵力を大きく超える兵力7万2000人を派兵。ハバロフスクや東シベリア一帯を占領したが、日本の反ボリシェヴィキ政権樹立工作は酷寒とパルチザンの抵抗にあって不成功に終った。
当時から欧州勢は共産主義に甘いと言える。一度アカ、一生アカ・・・日本でも未だにアカの議員が跋扈している。情けない話だ。

産経2025/3/26「世界を解く-E・ルトワック『習近平氏「強国路線」の夢を阻む米露の力学 中露 「蜜月」の瓦解は不可避』から。(敬称はカット)
<トランプ米大統領の安全保障戦略の最優先課題が中国への対応であることは周知の事実だ。トランプは、そのためにウクライナ戦争を最良の条件で終結させてロシアと中国の戦略的連携の解消につなげ、今後一層激化するであろう米中の対立でロシアを中立的な立場に置くことを目指している。問題は、現在は中国と蜜月関係を築いているとされるロシアが米国の思惑通り中立に回るかどうかだ。

トランプは、米中対立を巡って、ロシアが米国の味方をするとは期待していない。また、ロシアが中国を積極的に支援することもないはずだ。なぜならばロシアは、中国が露極東地方に対する領土的野心を強めていることを強く警戒しているからだ。

◎:▼ロシア地図に清朝時代の地名を「併記」  中国の政府機関は2023年、露極東地方の8カ所の地名に関し、地図上でロシア語の地名に加え、中国領だった清朝時代の中国名も併記することを義務付けた。露太平洋艦隊の本拠地であるウラジオストクは「海参崴」、極東地方最大の都市ハバロフスクは「伯力」と表記される。
これらの地域はかつて清朝の一部だった。だが、清朝が英仏連合軍と戦って敗れたアロー戦争(1856~60年)後、清朝が講和の仲介役を務めた帝政ロシアとの間で結んだ北京条約に基づきロシアに割譲された。
中国政府による中国名併記の措置に極東地方の人々は強い不安を募らせた。プーチン露大統領もまた、自ら認めることは決してないものの中国が極東地方の領有権を主張してくることを恐れている。

米中対立でロシアが中国に加勢し、結果的に中国の立場が強まれば、次は中国の野心の矛先がロシアに向かい、極東地方の返還を突き付けられかねない。中国は既に林業で極東地方への権益拡大を図っている。ロシアは必然的に米中対立から距離を置かざるを得ない。

中国からしてみれば、極東地方は過去の歴史で外国勢力から奪われた領土の中で最大といえる。中国は香港やマカオをはじめとする領土の回復を進めてきた。極東地方という歴史的な遺恨を抱える中露は歴史的な敵対関係にあり、現在のような友邦関係を維持することは不可能だ。
地図を見れば一目瞭然だが、ロシアは北から中国に覆いかぶさる位置にある。ロシアが米中対立を巡って中立を保てば、中国が北極圏のロシア領を経由して北方から米国を脅かすリスクも大幅に減る。

トランプがウクライナ和平と対露関係の安定化を目指すのは、インド太平洋地域での危機がますます差し迫っているとの認識があるためだ。中国の習近平が「中国は戦う国家であることを世界に示す」などという夢想を捨てない限り、習が仕掛ける形で戦争が起きる恐れは高まっていくだろう。
中国は米国との全面戦争に備えているわけではない。米国もまた、そうした事態を想定していない。中国が準備を進めているのは、宿願である台湾の統一に向けた武力侵攻と、台湾有事の際に米国が経済封鎖に踏み切ることを見越して食料自給率を上げることだ。

◎:▼台湾上陸想定、巨大なはしけ  実際、中国は台湾への上陸作戦を想定したとみられる巨大なはしけの建造を進めている。今年に入って公開された画像によると、はしけには舳先(へさき)から長さ120メートル以上の「橋」が付いており、搭載された戦車や軍用車両が海上から直接沿岸部の道路に上陸できる構造だ。
習がいわゆる「強国」路線を推し進めているのは、中国が古くは契丹や満州族、最近では欧州や日本など、征服王朝や列強に支配され続けた歴史を背景に、中国がいつまた外国勢力に侵略・支配されるか分からないとの強迫観念にとらわれているためだ。

一国、ひいては世界の命運が一人の男の妄念に左右されるのはばかげている。だが、文化大革命や下放政策で多くの中国人の人生を破滅に追いやった毛沢東、ナチス・ドイツのヒトラー、ソ連のスターリンなどの例をみても明らかな通り、歴史は一個人の強迫観念によって形作られてきたというのが人類の悲しい教訓なのだ。(聞き手 黒瀬悦成)
◇エドワード・ルトワック 米歴史学者。米国家安全保障会議(NSC)などでコンサルタントを務め、現在は政策研究機関「戦略国際問題研究所」(CSIS)上級顧問。安倍晋三元首相に戦略に関して提言していた。1942年生まれ。>以上

中露北は結束を強めているが、北朝鮮はロシアがでっちあげた傀儡国家、中共はロシアに擦り寄っているが、プーチンは習近平中共を「いつ反旗を翻すか分からない潜在的」と警戒しているに違いない。
フォーリンアフェアーズジャパンの4月号「反欧米枢軸と中国の立場――北京はロシア、北朝鮮をどうみているか」から。
<中国は、ロシア、北朝鮮、イランとある種の「枢軸」を形成しているという考えに激しく抵抗している。平壌の金正恩政権は、北京のいら立ちの大きな原因だし、中ロは協力しているとしても、その関係は同盟ではなく、「無制限」のパートナーシップからもかけ離れている。要するに、中国は、信頼できないメンバーで構成される反欧米枢軸を率いてアメリカと対立することが正しいのか、確信が持てずにいる。これは、ワシントンが、封じ込めの準備をしつつも、新たな外交努力を通じて中国の意図を試すチャンスを手にしていることを意味する。ワシントンは中国に、ウクライナでの戦争を終わらせるためにロシアを交渉テーブルに着かせる直接的な役割を与えるべきではないか>
いかにも米国民主党寄りのオメデタイ説だが、海千山千のプーチンが、ロシアに奪われた土地を奪還したい習近平の言うことを相手にするはずはない。中露の結束は一見すると美しいが、キツネとタヌキの騙し合いでしかないのだ。
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渡部亮次郎 「頂門の一針」<ryochan@polka.plala.or.jp>
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全体主義は左翼から生まれる

2025-03-27 15:07:14 | 戦争
全体主義は左翼から生まれる
“シーチン”修一
【雀庵の「大戦序章」377/通算808 どう生きる? 2025/令和7年3/27 木曜」 塩野七生先生の「サイレント・マイノリティ」(1985年、新潮文庫)から「全体主義について」の項を紹介する。長いのでキモをだけを整理し書き写しているが、それでも長くなってしまった。まあ勉強にはなるが・・・腰痛ヂヂイにはしんどかった。転んでもただでは起きぬ・・・そのうちパクリや痛みに効く良い方法を研究してみよう(セコイ!?)。以下、本文。
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◎:▼ 「全体主義」を辞書はこう解説している。《一つの政治上のドクトリンであると同時に、国家にあらゆることが吸収され、従属されることを第一義の目的とした体制を示す言葉でもある。全体主義政府は、国民に自由な政治上の活動を許さないだけでなく、経済から文化に至るあらゆる活動が独裁的な組織のもとに統合されることを何よりも目指す。全体主義とは自由主義とは反対の極に立ち、しばしば国家主義的であり、外国の強い勢力からの保護者として自ら認じ示す傾向を持つ》

我らが国日本が現在(1985年)全体主義の危険にさらされているとは私も思わない。だが(国民が)危険にさらされている(我が国は大丈夫なのか)と感じ始めた時はもう手遅れなのが全体主義の真の危険なところではないか。

全体主義的動向が台頭してくるのは「悪意」からであろうか? ノー、常に「善意」の所産である。「右翼」からであろうか? ノー、常に「左翼」と認ずる方向からである。旧世代の絶望から産まれるのだろうか? またも答えはノー。常に「新世代の希望」を発端にして生まれる。
有産階級がイニシアティーブをとる? ノー。無産階級とまではいかなくても、失うものをあまり持たない階級が常に温床になってきた。それは冷徹な計算から生まれるのか? ノー。常に情緒連綿たる心情が特色である。

全体主義は軍事的強制力がなければ実現しないのか? これは半分ノー。全体主義政体の無視できないいくつかの例を見ると、「人々の完全なコンセンサス(同意)」によって実現している。完全とまでいかないが、ほぼすべての人が多かれ少なかれ政府を支持している。
それは精神の腐敗によるのではないか? 答えはノー。彼らは概ね清潔、クリーンを好む潔白な人々で、彼らが主導力になって全体主義を進めてきたのだ。

私が全体主義や全体主義的動向を嫌うのは、確固とした信念があってのことではない。「人間性の自然に反する」と思うからである。何か一色で全部を塗りつぶすのは、種々様々なのが特色の人間性に対してムリ、不自然で、遅かれ早かれギクシャクしてくる。そのギクシャクを直そうとしてまた無理をするから制度としては非効率で、息が詰まりそうな、馬鹿げていて滑稽で、やりきれない気分にされる。

全体主義やファシズムは所持全般にわたってこのようなものであるが、悪人であっても能力のあるものに支配されるのならば我慢もするが、善人であってもアホに支配され、一色に塗りつぶされるというのは考えるだけでも肌に泡が立つ。
全体主義的な空気を頭脳の形成期間に吸ってしまった人は、一生自らの頭で自由に判断する能力を持てなくなってしまうことは問題だ。マキアヴェッリ曰く「自由なき政体下で生きてきた人は、たとえ自由を与えられてもそれを活用する術を知らない」と言っている。

(戦後のイタリアではファシズムが流行したが)ソ連の戦車がハンガリーに侵入して多くの西欧の良心的な共産党員や共産主義のシンパを失望させ離脱されていった。私は失望することの方がオカシイと感じた。人間的な共産主義(社会主義)なんてありえようはずがないのである。スターリンの方がよほど首尾一貫している。
バカなのはそういう社会が実現可能だと信じていた゛良心的なインテリ”たちである。私が(中露北のような)「真の共産主義者」なら、自称「良心的なインテリ」人間は社会に害毒を及ぼす人種と断じ、粛清でも何でもして消してしまったであろう。政治的センスのない「良心的な人々」が政治に口を出すことほど害なものはない。

ここ最近の某国の論壇動向を私は「論壇の私小説化」と見るが、間違っているであろうか。論理を駆使するはずなのに「私的」とか「私の」とかを頭につけた表題が多過ぎる。共通の論壇で戦うことを初めから拒絶しているようで、文壇ならいざしらず、「論壇人間」の取るべき態度とは思われない。
相対的な考え方を排して絶対的ななにものかを求める――気持ちはわからないでもないが、実に強靭な精神力を必要とするから、多くの人にそれを求めることほど非現実的なことはない。マジョリティはそれ一つですべてを律しきれるオールマイティでラクな考えを持つ方を好むのが゛自然”である。「論壇の私小説化」は進歩派の善意から言い出され、(共鳴した)若者が旗を持ち、少産階級が温床となり、クリーンで潔白で完全主義の人々が群れの先頭に立ち、しかもアジテーションを始めると、私は怖ろしいことになる危険を感じずにはいられない。それを強く強調すればするほど大衆の支持を得られ、やがて「サイレント・マジョリティ」と結びついた後は、全体主義は動向から完結への道を邁進するだけである。

コンセンサスをヒットラーもムッソリーニも大いに享受していた時期があった。しかし、文化は全体主義下では花開かないのである。それは他の分野でも同様で、文化史上の問題だけではないのだ。(以上)
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ここで終わりにしようと思っていたら、石平氏が「今ここにある日本の国難」を上梓(ビジネス社、2025年3月17日)、購入するつもりでチェックしたら「試し読みができる」というので以下転載する。

《トランプに手も足も出ない習近平にどこまで媚びるのか 中国と密約を交わした国賊「石破政権」は退場せよ! 山上信吾前駐豪大使との対談収録! 日本人よ、「媚中」石破売国政権に怒りの一撃を! 日本外交の根深い病巣を白日の下にさらす! 石平・著『今ここにある日本の国難』より「はじめに」を全文公開いたします。以下本文
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◎:▼はじめに:権力闘争できしむ習近平政権の瓦解 かねてより筆者は、2022年10月の党大会で中国の習近平主席とその側近グループが共産党最高指導部を独占することにより、習近平独裁体制が真に成立したと記してきた。ところがいまになって体制の中枢部において、習近平主席とナンバー2の李強首相との深刻な軋轢(あつれき)が生じている。

事の発端は2023年の10月、習主席が国家主席として初めて中国人民銀行(中央銀行)を訪問して現場指導を行なったことであった。その訪問に、李首相が随行も立ち会いもしていなかったことは大いに注目された。
本来、中央銀行はまさに首相の“直接所管(経済分野)”である。国家主席が首相の頭越しに人民銀行を訪問するのはまずは異例なこと。その訪問に首相が立ち会っていないのはなおさら異例なことであった。

どうやら習主席が金融危機の管理に対する李首相の仕事ぶりに不満を持ち、自ら現場指導に乗り出したのではないかとの観測が広がった。理由がどうであれ異例づくしの中央銀行訪問は、主席と側近の李首相との間に不協和音がすでに生じてきていたことを意味する。

その後、習主席が李首相抜きの重要会議を主宰することは度々あったが、昨年2024年5月にはとうとう習主席主宰の中央政治局会議が、れっきとした政治局常務委員である李首相”抜き”で開催されるという前代未聞の事態が生じた。

しかも当該政治局会議の討議テーマが「中部地方崛起(くっき)促進の政策措置」と「金融リスクを防止するための責任制度に関する規定」であった。それは本来、経済所管トップの李首相こそが出席しなければならない会議なのだ。

ここまで来たら、習主席による李首相排除はもはや明々白々の事実となっていたわけだが、対する李首相のほうも黙ってはいなかった。昨年7月あたりから“猛反撃”に出た。
2024年7月19日、その前日に閉幕した共産党三中総会の結果を受け、国務院、全人代常務委員会、政治協商会議、そして党の中央規律検査委員会という四つの最高機関はそれぞれ、「三中総会の精神を学習する」会議を開いた。

この四つの学習会のうち、全人代・政治協商会議・中央規律検査委員会の三つは一様に、「習近平総書記の指導的地位の確立と習近平思想の指導理念としての確立(二つの確立)」を訴え、指導者に対する擁護と忠誠を表明した。

唯一、李首相主宰の国務院会議は「二つの確立」に対する言及は皆無で、他の三機関との鮮明な“違い”を見せた。中国の政治文化のなかでは、それはまさに李首相による「習近平離反」の挙動として理解された。
そして昨年8月4日、李首相主宰の国務院会議は「消費・サービス業の発展促進に関する意見書」を公布。そのなかで「学習支援産業の発展促進」をサービス業促進の具体策として打ち出した。

しかしながら中国国内では2021年7月、他ならぬ習主席の意向を受けて事実上の「学習塾禁止令」が敷かれていた。したがって李首相主導の「学習支援産業の発展促進」は誰からみても、習近平政策からの180度の転換で、独裁者の習主席に対する事実上の〝造反”であるとみなされた。

こうして現在の政権の中枢部では、最高指導者の習主席と党内序列2位の李首相との軋轢が拡大、すでに顕在化しているわけである。中国共産党政権史上、政権のナンバー1とナンバー2との間の軋轢ないし権力闘争は付き物だ。ときには大きな政治動乱を生むこともあった。
例えば毛沢東時代、毛沢東はナンバー2の劉少奇とその一派を打倒するために「文化大革命」という名の“紅衛兵運動”を発動した。そして劉少奇に取って代わってナンバー2となった林彪元帥は、毛沢東に対するクーデターに失敗し、非業の死を遂げた。

すでに始まった習主席と李首相との対立は今後どういう結果を生むのだろうか。なお本書はユーチューブ「石平の週刊ニュース解説」をベースに、最新の現地情報や国際情勢の変化、ユーチューブ送信時には気付かなかった視点を加味し、大幅に加筆したものである。皆さんの参考になれば幸甚です。2025年2月 石平》以上
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中共中枢の内紛・・・゛建国の父”毛沢東と並ぶ”発展の父”を目指す習近平は、軍事力でアジア太平洋を共産主義化したい。一方で李強は経済発展(資本主義化?)を重視している。
私利私欲の中共軍は習近平に付くか、李強に付くか、「上に政策あれば下に対策あり」で今のところは様子見のようだ。カネは欲しい、命は惜しい・・・先行きの情勢は不透明で、しばらくはどっちつかずの゛平和”が続くのかも知れない。それにしても「良い鉄は釘にならない」と伝統的に軍人をバカにし、ベトナム軍のゲリラ戦に翻弄されて勝てなかった中共軍は、実戦経験の蓄積や実体験がほとんどないだろう。習近平のアジア太平洋制覇は夢のまた夢に終わるのではないか。
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渡部亮次郎 「頂門の一針」<ryochan@polka.plala.or.jp>
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