gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

雀庵の「常在戦場/90 習近平の“中国の夢”は終わりそう」

2021-09-30 10:26:48 | 日記
雀庵の「常在戦場/90 習近平の“中国の夢”は終わりそう」
“シーチン”修一 2.0


【Anne G. of Red Gables/370(2021/9/30/木】江沢民の傭兵“江の洋平”の息子が総理になったら日本は「東海省倭族自治区」になるのだろうなあ、どこへ逃げたらいいのだろう、と心配していたが、とりあえずホッとした。


岸田は広島地盤の3世議員、サラブレッド。永霞会(永田町・霞が関開成会)は岸田が主催している。売国奴、加藤紘一の子分だったのは気になるが、安倍、麻生、甘利、岸、高市らがサポートすれば激動の数年は頑張れそう。総理大臣は政治家にとって最高の夢、64歳は働き盛り、君子豹変、歴史に名を遺す名宰相を目指して欲しいものだ。


さて、「60、70は働き盛り」の政界と違って、最前線でドンパチする取材記者・現場編集者の働き盛りは25~45歳辺りのようだ。現役バリバリ時代の“小生の夢”は「締め切りに間に合う」「仕事が十分ある」「資金に余裕がある」「毎晩飲みたい」「もてたい」「たまには休みたい」だった。「小さな夢」だけれど毎日必死だった。


経営者でもあったので土日祝日も出社するのは日常茶飯事。フリーランスと同様に「仕事がない」というのは最大の恐怖だから、忙しいのは結構なことで、まあ、振り返れば「いい夢を見させてもらった」という感じ。で、あなたの夢は?


全国自治宝くじ事務協議会「日本人の夢を大調査!全国47都道府県14,100人の“夢”をまとめた『日本ドリーム白書2018』を発表」 2018/4/4から。


<全国都道府県及び20指定都市では、全国の20代以上の男女14,100人を対象に夢に関する大規模調査を行い、今年の新社会人の夢、47都道府県や年代別の夢の傾向など、日本人がどんな「夢」を持っているのかを「日本ドリーム白書2018」としてまとめました。 


夢をもっているのは約半数(51.9%)。1位:健康な生活を送りたい、2位:好きな趣味に打ち込みたい、3位:一戸建てに住みたい>


何だ、これ? 「設問」が良くない。「健康で快適な家で面白おかしく暮らしたい」なんてみんなそう思っている。「不健康であばら家に住んで不愉快に暮らしたい」なんていう人がいたら、まず措置入院だ。宝くじで一攫千金、となれば夢がかのう、という話なのだろうが、米国での調査によると、大当たりすると「ろくなことにならない」というケースは珍しくないとか。もっと増やそうとして怪しい投資話に乗って破産するケースが多いそうだ。


「私には夢がある」で有名なキング牧師の子供たちは、牧師の遺していった身の回り品でさえ高値が付くので、遺産を巡ってドタバタやったらしい。想像もしなかった悪夢、キング牧師は泣いているだろう。


小生の心を鷲づかみにしている習近平の夢は「中国の夢」だ。


<2012年11月、習近平は中共中央委員会総書記に選出された半月後、中国国家博物館の「復興の道」展を視察した際に、こう発言した。


「誰しも理想や追い求めるもの、そして自らの夢がある。現在みなが『中国の夢』について語っている。私は中華民族の偉大な復興の実現が、近代以降の中華民族の最も偉大な夢だと思う。この夢には数世代の中国人の宿願が凝集され、中華民族と中国人民全体の利益が具体的に現れており、中華民族一人ひとりが共通して待ち望んでいる」>(WIKI)


「中国の夢」とは「中共の、中共による、中共のための世界制覇」と小生は解釈しているが、オリジナルは中共軍幹部の劉明福著「中国の夢」だそうだ。朝日新聞らしからぬ記者の峯村健司著「潜入中国」によると習近平は中共軍を手なずけるために経歴を積んできたという。要約すると――


<習近平は前任の胡錦涛と比べ、軍とのつながりが強い。2012年に総書記、中央軍事委員会主席を引き継ぐ以前の地方指導者の時から、軍隊に関する業務に参画していた。武装部党委第1書記、軍分区党委第1書記、高射砲予備役師団第1政治委員・・・


習の強みは、前任の胡錦涛や江沢民らが持っていなかった軍との関わりの深さだろう。(習と同じく)党高官を父に持つ元党幹部が背景を説く。「父の習仲勲・元副首相の『指導者になるためには軍の経歴が必要だ』(毛沢東)という教えに従ったのだ」


これほどまでに軍が重要なのは、軍は国家ではなく「党の軍」であり、一党支配を支える存在だからだ。毛やトウ小平ら最高実力者が中央軍事委員会主席のポストに座り、権力を掌握してきたのもそのためだ。習の政策も軍幹部の影響を受けている。


「中華民族の復興こそが、我々の最も偉大な夢だ」。習は「中国の夢」という言葉を繰り返し使っている。軍シンクタンク研究者はこう説明する。「彼の発言は強硬派の軍幹部の書籍の影響を受けている」>


「強硬派の軍幹部の書籍」とは劉明福著「中国の夢(チャイナドリーム)」。劉は1969年に人民解放軍に入隊したから、遅れて来た少年・習近平の憧れる文化大革命の紅衛兵世代、強烈な毛沢東チルドレンだったかも知れない。その後、作戦部隊に10年、戦区機関に20年、国防大学に17年間勤務し、現職は国防大学教授で、「全軍優秀共産党員」に選ばれている。「チャイナドリーム」は「アメリカンドリーム」を引用したタイトルで、「中国には中国の夢があるのだ!」と吠えているよう。


<胡錦涛政権の2010年に出版した「中国の夢」は、米国を「中国を抑圧する専横的な覇権国」などと批判した内容で、出版後すぐに発禁処分となった。海外での「中国脅威論」を刺激しないための措置と見られている。


ところが習近平が総書記に就いた2012年末、習近平は(軍強硬派の意見を受けたのだろう)「中国の夢」は再出版された。習はその直後に「中華民族の偉大なる復興には、富国強兵をしなければならない」と発言したが、それは「中国の夢」の一説と一致している>(同上)


劉明福は習近平という強烈なバックを得て「グローバルな視点から見る中国政府」「解放軍はなぜ勝てるのか」「軍魂論」「富国強軍」などを発表。まるでアジテーターだ。北京共同2021/1/15「中国軍は『世界最強軍隊』目指す 著名軍人、米軍超え明言」はこう報じている。


<中国の著名な軍人、劉明福国防大教授が新著で、中国軍が今世紀半ばまでの目標としている「世界一流の軍隊」とは、米軍をもしのぐ「世界最強」になることだと断言していることが15日までに分かった。


習近平が2017年の第19回共産党大会で掲げた目標「世界一流の軍隊」とは「米軍並み」と見る向きが多かった。より野心的な目標であり、米軍などは警戒感を強めそうだ。


新著は昨年10月に発行された「新時代中国の強軍の夢」。劉氏は、スポーツ試合と異なり「戦場に2位の序列はなく、勝つか負けるかの結果だけだ」と強調した>


軍事研究家・元陸自陸将補の矢野義昭氏「中国の国防大教授が明かす台湾統一への戦略と日程表 中国共産党が夢想する世界制覇は実現するのか」(JBプレス2020/12/21)が同書を詳しく紹介している。


<個人の著書ではあるが、その立場上、習近平体制下の党と人民解放軍の意思や思想が色濃く反映された文書とみてよいであろう・・・21世紀に中華民族の偉大な復興という夢を実現する上での危険には以下の5つがあるとしている。


1:中国への侵略、2:政権の転覆、3:国家の分裂、4:安定的な改革と発展のための環境の破壊、5:中国の特色ある社会主義の発展進展の断絶


1、2、3は共産党独裁体制の強化と覇権拡大を直接目指す上での障害であるが、4、5は逆にそのような覇権主義的な行動や国内での独裁強化の動きにより、国際的な反発や警戒の結果、招くおそれもあり、1、2、3と矛盾している。南シナ海での動きなどを見れば、そのおそれがあることは十分に予測できるはずである。


しかし、この矛盾点について、その後の論述では明確な分析がなされないまま、主に1、2、3の脅威に対する「強軍夢」、言い換えれば、軍事力強化による対外的な覇権拡大主義だけが突出して論述されている。


防衛すべきものとしては、以下の4項目が挙げられている。
1:中国共産党の指導的地位と中国の社会主義制度、2:国家の主権、統一、領土の完全回復、3:中国の海外利益の不断の発展、4:世界の和平と発展


1については、中国共産党の歴史を振り返り、新時代に入った今日、「中国号」は中国夢実現成功に舵を切り、偉大なる目標への遠洋航海に乗り出した、中華民族の歴史上のみならず人類史上における一大物語であると自画自賛している>


自画自賛・・・小生は「我にも正義、彼にも正義、この世は正義と正義のぶつかり合い」と思っているが、主義者は「俺だけが正義だ!」という思い込みが激しく、独裁志向であり、些細な違いから敵対するから、やがて内乱になり自滅してしまう。中国史はその繰り返しではなかったか。


習近平の「文革2.0」は世界制覇の前に中共分裂・内乱をもたらしそうだ。平野 聡・東京大学大学院法学政治学研究科教授「習近平の大革命 毛沢東の文革とはここが違う」ウェッジ2021/9/22から。


<中共は今、AI・ITと実力を以て人々の思想を「中国化」し、さらなる「発展」へと団結させ動員する条件が揃った。言わば「真正の中国文化による大革命」である。


今後の中国では、経済が突然崩壊しない限り大きな混乱が起こるとは思えないが、社会的なインフラが統治者の側に偏重し、人々の自由な空間が厳しく制約された北朝鮮に似た雰囲気が強まる可能性が高い。


そして「外」との摩擦が増すごとに、「外」とつながるコンテンツや、社会の積極性を生み出さないコンテンツがますます干渉を受け、最後に残るのは「愛国主義イデオロギー」に忠実に沿ったコンテンツのみとなろう。


習近平以下「中国の智慧」に自信を抱く人々はそれで満足するかも知れないが、本当に中国の個々人がそのような現実に幸せを感じるかどうかは別の問題である>


鉄壁の経済・軍事の国際包囲網で中共を孤立させる・・・それが今のところは民主主義陣営がなし得る最上策だと小生は思っている。晩年の小生の「ささやかな夢」、きっと叶うだろう。
目安箱:ishiifam@minos.ocn.ne.jp
https://blog.goo.ne.jp/annegoftotopapa4646
まぐまぐID 0001690154「必殺クロスカウンター」



雀庵の「常在戦場/89 中共バブル経済崩壊、文革2.0へ」

2021-09-28 09:53:08 | 日記
雀庵の「常在戦場/89 中共バブル経済崩壊、文革2.0へ」
“シーチン”修一 2.0


【Anne G. of Red Gables/369(2021/9/28/火】26日は今季初めて水道水を「冷たい」と感じた。夕べは3か月ぶりに風呂に浸かって「湯船もいいものだなあ」と感じ入ったが、何やら冬子が秋子を追い出しそうである。


寒くなると「温暖化だ、大変だ!」と騒いで自然破壊の太陽光パネルなどで儲けようというオオカミ少年は静かになるが、気象庁によると関東甲信地方は12月あたりから平年より寒くなるようである。どうなるかは分からないが・・・中共経済はどうも冬というか厳冬になりそうだ。


中共名物の鬼城=ゴーストタウン。俯瞰映像を見ると「凄いなあ、立派な高層ビルが林立している! まるで新宿、赤坂、虎ノ門、新橋、銀座、東京みたい」なのだが、人気が全くない。


あちこち鬼城だらけなのに増え続けたのは「箱モノ行政でもとりあえず景気刺激になるからなのだろう」と小生は思っていたのだが、先日「もしかしたらバブル景気の時の金持ちが値上がりを期待してマンション転がしをしていたのと同じで、買い手がつくから投資物件として鬼城がどんどん造られたのではないか」と思い至った。実需と乖離したバブル景気であり、金融引き締めになれば速攻でバブル崩壊になるリスクがある。


日経2021/9/27「中国、不動産バブル懸念 民間債務かつての日本超す マンション価格、年収の57倍」から。


<中国恒大集団の過剰債務問題をきっかけに、中国の不動産バブルへの懸念が高まっている。格差是正を掲げる習近平指導部にとって不動産価格の高騰を容認しにくくなっているためだ。経済規模に対する民間債務比率などの指標はバブル期の日本を超えており、軟着陸は容易ではない。対応次第では、中国経済が低迷期に入る可能性がある。


中国で不動産は拡大する格差の象徴だ。如是金融研究院によると広東省深圳市ではマンション価格が平均年収の57倍、北京市も55倍に達する。バブルだった1990年の東京都でも18倍で、中国の大都市圏は庶民に手が届く水準ではない。


中国人民銀行(中央銀行)は2020年夏に、大手不動産会社が財務面で守るべき「3つのレッドライン」を設けた。自己資本に対する負債比率を一定水準以下に保つことなどを求め、借金を増やしにくくした。不動産へのマネー流入が細ることになる。


今年8月には習指導部が「共同富裕(共に豊かになる)」のため、格差是正を打ち出した。マンション価格の高騰の裏には富裕層の投機もあり、締め付けは避けられないとの見方が広がった。影響は不動産価格にも出始め、販売総額を総面積で割った単価は8月に前年同月比2.7%下落した。


価格上昇が鈍ったことで、負債総額が30兆円を超える恒大の経営が苦しくなるとの懸念が強まり、9月には日米などの株式相場が急落した。


恒大は保有資産や事業の売却を急ぐ。突発的な倒産のような事態を避けたとしても、中国の不動産を巡る先行きの不透明感を払拭するハードルは高い。不動産に偏った成長が逆回転し、バブル経済が崩壊した1990年前後の日本を上回るサインがともっているためだ。


2008年のリーマンショックをはじめ、景気減速のたびに財政出動や、企業に積極的な投資を促して政府が掲げた高い成長目標を達成してきた。


国際決済銀行(BIS)によると、金融機関以外の民間債務は最近5年間、年1割超のペースで増え、直近で35兆ドル(約3850兆円)を超える。特に不動産は銀行の関連融資残高が5年で2.1倍に膨らんだ。


この結果、中国の民間債務残高の国内総生産(GDP)比は220%に達し、日本がバブル崩壊直後につけたピーク(218%)を上回る。融資残高全体に占める不動産向けの割合も今の中国が3割弱と、21~22%台だった日本のバブル期より高い。


日本のバブル期は不動産だけではなく株式にもお金が向かった。1989年末に日経平均株価が最高値を付けるまでの10年間で、上昇率は5.9倍に達した。一方、足元の中国の上海総合指数の水準は10年前比で1.5倍程度にとどまり、不動産への集中ぶりが透ける。


上昇が続くことが前提だった住宅価格が下がり始めれば、借金で購入した富裕層や在庫を抱える不動産会社による売却が急増しかねない。価格の下落は債務を抱える不動産会社の資金繰りをさらに悪化させ、住宅着工などが細ることになる。


中国の住宅の新規着工面積は1~8月に前年同期比で1.7%減少した。米ゴールドマン・サックスの試算では、2022年の住宅着工が前年比3割減少するなどの深刻シナリオになると、22年の実質国内総生産を4.1%押し下げる。


日本の場合、土地と住宅の時価合計は1990年の2685兆円から、2005年までにGDPの約2倍にあたる1000兆円以上が失われた。


日本政府は積み上がった金融機関の不良債権を時間をかけて処理する道を探ったが、不良債権の増加が収まらず貸し渋りや資金回収が広がった。経済の収縮を招いて「負の遺産」の処理に10年以上を要した。


中国共産党は7月末の中央政治局会議で21年後半の経済運営方針に「不動産価格の安定」を盛った。過度な値下がりに対し直接介入を辞さない姿勢だが、不動産市況の調整は金融機関の不良債権増を通じて中国経済が長く低迷する要因になりかねない>


イケイケドンドンと金銭亡者みたいに中共経済の拡大を煽りに煽ってきた日経が、「投資家の皆さん、上り詰めたら下り坂、中共バブルははじけて長期低迷になりそうです、気を付けて!」と警戒警報を鳴らしたわけだ。イエローカード、やがてレッドカード、中共進出企業はアジア各地か日本に工場を移転していくだろう。


バブル崩壊・・・小生の親戚は3軒が破産した。末永のオバサン一家(農業)は広大な土地を担保に賃貸住宅やマンションを建てたが借金返済が滞って夜逃げ。等々力のオバサン一家(材木商)は環八沿いの自宅・工場を潰して大きなビルを建て1Fでステーキハウスを営業していたが、これまた借金返済が滞って夜逃げ。多摩川べりの菅のオバサン一家(農業、水道工事業)は大きなマンション2棟を建て、長男坊は白いベンツで愛人宅(2人説あり)へ通っていたが、これまた借金返済が滞って、辛うじて新築の自宅は残ったものの、それ以外はすべて失った。


小生はバブルの始まる1984年のパッとしない時代に起業し、低金利の融資を受けてビルも建てたからバブル崩壊の影響は深刻ではなかったが、それでも高速道路を走りながら「このまま事故死したら一家心中と思われるだろうなあ」とつぶやいたらカミサンが寂しげに笑っていた。


ただ、バブル崩壊後でも米国が自国の輸出産業を促進するためにドル安=円高政策を継続していたので小生の巣食う海外旅行業界(円を海外にばらまく=日本にとっては輸入業)は元気だったので救われた。死んだり行方不明にならずに済んだのは能力や努力以前に「運が良かった」だけなのだ。


中国バブルが崩壊すれば世界経済にダメージを与えるが、投資しているのは皆“海千山千”の投資家や経営者である。最大の被害者は中共にいいように踊らされた中産階級になりそうだ。遠藤誉氏の「中国恒大・債務危機の着地点――背景には優良小学入学にさえ不動産証明要求などの社会問題」2021/9/22から。


<江沢民時代からリーマンショック直後あたりまでは、党幹部などを含む富裕層が投機的に不動産を購入する傾向が強く、不動産価格の高騰を煽ってきた。中間層が増えるにしたがってディベロッパーは「今買わないと来年にはもうこの値段では買えませんよ」と消費者心理を煽り、不動産購入層は中間層へとシフトしていった。


その最大の原因が、優良な公立小学校に入学するときさえ「不動産所持証明書」が要求される、という事実を知っている人は少ないだろう。


(適齢期の女性が希少価値のため)結婚してみようかという女性の側は、「結婚したければ『家あり、車あり、高学歴』という条件を揃えなさいよ!」と強気だ。「剰男」(供給過剰=余剰になった男)の両親あるいは「剰男」自身が、結婚のために、なけなしのお金を搔き集めてマンションを購入するという状況は、中国の庶民の間でよく見られる日常風景なのである>


とにかく投資であれ実需であれマンションやオフィス物件を買わざるを得ない仕組みになっている、それが中共経済のガソリンになっていたわけだ。そして今、手堅い投資物件という不動産神話が一挙に崩れかねない事態を迎えた。土砂崩れ一歩手前。


渋谷司・アジア太平洋交流学会会長の「中国不動産バブル崩壊の本質」Japan-Indepth 2021/9/25から。


<中国の大手不動産会社「中国恒大集団」のデフォルトの危機が叫ばれている。同社は約33兆円の負債を抱えているという。不動産バブルの本質は以下が主因ではないだろうか。


中央から地方へ派遣されるエリートは、地方での実績こそが出世の重要なメルクマールとなる。そこで、マンション建設、特に商業施設を伴ったマンション群を建設すれば、GDPは急増するだろう。


不動産バブルは、おそらく中国人の気質も関係しているのではないか。事実、中国人は“投資”を好む。もっと正確にいえば“投資”よりも“投機”を好む。一攫千金の夢を見る人が多い。


まず、自分が住むためのマンションを購入する。次に、余裕ができると、利殖用マンションを買う。中国の金持ちは普通、マンションを2部屋、3部屋持っている。マンションを人に貸す場合もあるが、一般的に売買目的が多い。これも不動産バブルを作り出す一因となっているのではないか。


無論、中央政府は、個人の不動産売買を規制している。だが「上に政策あれば、下に対策あり」である。北京がいくら規制しても、中国人は巧妙にその規制を逃れるようにして不動産売買を行う。これが中国不動産バブルの実態ではないだろうか>


経済のプロはどう見ているのか。フォーブスジャパン9/27から。
<今後の最大の焦点は習近平政権が恒大集団を存続させるかどうかである。「当局は直接、救済に踏み切るのか口を閉ざしたままだが、一方で、大きすぎて潰せない( =Too big to fail)企業は中国に存在しない、と強調している」(ニューヨークタイムズ紙)。


「Too big to fail」に否定的なのは、救済が「上級国民優遇」との批判を招きかねないためだろう。「共同富裕」というスローガンの下での習政権による貧富の格差是正に向けた最近の取り組みとは矛盾する。


だが、破綻に追い込まれれば、中国の金融、不動産業界や経済全般に少なからず打撃を及ぼすのは避けられそうにない。開発プロジェクトなどに遅れが出るのは必至だ。信用収縮を生じさせる可能性も決して否定し切れない>


ブルーグバーム9/27も「ゴールドマン・サックス・グループの試算では、恒大の資産は約2兆元(約34兆2400億円)と、中国のGDPの2%に相当し、いかなる資産処分も市場の混乱につながる可能性がある。恒大に何が起きるかにかかわらず、中国の住宅価格は現在、大きな下振れリスクにさらされているとシティグループは指摘した」と報じた。


習近平が恒大集団を救えば「上級国民優遇だ」と中流未満の10億の民から批判される、恒大集団を見放せば中流以上の4億の民から「必死で手に入れた資産を暴落させるのか」と批判される。


中流未満の10億の民のほとんどは高卒以下で、改革開放の恩恵を未だに受けているとは言えない層、うち6億は国連基準にてらせば李克強の指摘するように「食うのがやっと」という貧困層だが、毛沢東と同様に習近平にとっても支持基盤である。


中共の戸籍は、農村戸籍(農業戸籍)と都市戸籍(非農業戸籍)に分けられており、農村戸籍が6割(8億4000万人)、都市戸籍が4割(5億6000万人)。毛沢東は貧農と都市部のルンペンプロレタリアート、いわゆる「欲求不満の窮民」を率いて「農村から都市を包囲せよ」を合言葉に大革命を成し遂げた。20世紀版の窮民革命「水滸伝」だ。


毛沢東原理主義の習近平はしばしば地方行脚するが、「敵は走資派の金持ちだ、党内外の腐敗分子を一掃せよ!」と号令すれば、積もり積もった鬱憤を晴らすように10億の窮民や不満分子は、自分たちを「汚くて臭い下層民」と蔑んできた4億の上級国民を喜々として叩くはずだ。


中共バブルをハードランディングさせれば都市部は弱体化し、ソフトランディングさせれば10年20年は低迷を免れない。いずれにしても国力は衰退する。習近平の唱える「中国の夢」はナチスやソ連流の世界制覇なのだろうが、国力が衰退するなかで世界中の先進国を敵に回していれば、金の切れ目が縁の切れ目、中共のタガがいずれはずれて国内は群雄割拠の戦国時代になるだろう。


清朝末期には白蓮教反乱(紅巾の乱)、太平天国の乱、義和団事件などがあったが、習近平が原始共産主義的な清貧の桃源郷を目指す21世紀版「窮民革命」を実行するなら、国家の体力があるうちでないと難しい。小生なら年明けの冬季五輪なんぞほっぽり出して今秋から「文革2.0」を発動して国境閉鎖、外資企業追放、大企業の国有化を本格化させ、ビシバシと政敵を排除していくが・・・


紅衛兵になり損ねた遅れてきた青年は、中途半端ではなく徹底的にやらないと歴史に名を刻めない。「習近平語録」を手に天安門から無慮数万の紅衛兵2.0に手を振り、「みんな、よく来てくれた」と挨拶する、それでないと毛沢東と並ぶことはできない。習近平同志、「文革2.0」へイザッ! 世界は自滅を待っている。
目安箱:ishiifam@minos.ocn.ne.jp
https://blog.goo.ne.jp/annegoftotopapa4646
まぐまぐID 0001690154「必殺クロスカウンター」


雀庵の「常在戦場/88 キリスト教 vs イスラム教/了」

2021-09-26 11:32:35 | 日記
雀庵の「常在戦場/88 キリスト教 vs イスラム教/了」
“シーチン”修一 2.0


【Anne G. of Red Gables/368(2021/9/26/日】朝日新聞記者/編集委員の峯村健司著「潜入中国――厳戒現場に迫った特派員の2000日」(朝日新書)を読み終えた。


小生は1980年頃の1年間、自宅で朝日を購読していたが、ソ連のつまらない記事が多いのでウンザリし読売に変えた。ところが、今度は巨人軍の記事が多いのでこれまたウンザリ、リタイア後の2003年あたりからは産経に変えてまあ納得している。


しかし、出版業界は「悪貨は良貨を駆逐する」世界で、教養・学問系の書籍、雑誌、新聞は余程のことがない限り絶滅危惧種になっていくしかなさそうだ。新聞はたとえ20万部でも指導階級に絶大な影響力を持つオピニオン紙であればいいと思うが・・・


朝日新聞、朝日ジャーナルなどに煽られ、洗脳されて刑務所行きになった小生にとって朝日、朝日信者は敵である。ここ20年ほどは「朝日の記者は中国人と朝鮮人とアカに染まった日本人、ニューヨークタイムズ系のアカモドキばかりだろう」と思っていたので、冒頭の「潜入中国」を読んで「それなりにまともな記者がいるんだ」と、ちょっと驚いた。唐突に池田教をヨイショしている部分があったので「峯村記者はナンミョーか」と疑ったが、新聞社の多くは時々そうしないと池田教信者から購読を切られるので、まあ、ミカジメ料とか挨拶みたいなものか。


峯村記者が「あとがき」でこう書いていたのにも驚いた。


<朝日新聞の中国報道について「親中的」だという批判は根強い。1960年代の文化革命期に、中国当局は「反中報道」と批判し、各国の特派員を次々と国外追放にした。朝日新聞は当時の社長が「歴史の目撃者になるべきだ」として、追放されるような記事を書かないよう北京特派員に指示。当局に都合の悪いことは書かず、北京に残り続けた。


おそらくこの時の社の対応が尾を引いているのだろう。私個人は、この判断は間違っていたと考える。特派員の仕事は、ただ目撃するだけではない。それをリアルに素早く、そしてわかりやすく読者に伝えることだ。本来伝えるべきことを報じなかったのならば、その場にいない方が良いとすら思える>


それに続いて「その後の朝日新聞の中国報道は生き返ったと思う」とも書いているが、中共は今でも「朝日は味方、人民日報の日本語版だ」と思っているだろう。実際に相変わらず朝日は「中共応援団」、2021/9/24「豪州の原潜導入、対中国を念頭に 『緊張かき立てるな』近隣国は懸念」から。


<米英豪による新たな安全保障協力枠組み「AUKUS(オーカス)」をめぐり、豪州に近いインドネシアやマレーシアから「軍備競争につながる」との懸念が出ている。米中対立が深刻化するなか、インド太平洋地域は軍事的な競り合いの舞台になりつつあり、周辺国に不安が広がっている>


相も変わらず朝日は中共に寄り添っている・・・そうしないとリベラル≒アカモドキや新旧左翼系マルクス・レーニン主義のアカの読者が満足しないのだろう。峯村記者と産経ワシントン支局の黒瀬悦成記者を交換したらどうか。


さて、ハッジ・アハマド・鈴木氏の「イスラームの常識がわかる小事典」を元にした架空インタビューから学んでいこう。今回で締めくくりたい。
・・・・・・・・・・・・・・・・
――イスラエルは1948年5月に独立宣言、それ以後はイスラエル=ユダヤ人とアラブ諸国=イスラームの対立が始まったのですが、ざっくりと経緯を追うと、


イスラエル独立宣言(1948)、第1次中東戦争(1948~49)で聖地エルサレムの西半分がイスラエル領に。第2次中東戦争(シナイ作戦、1956)、イスラエルはエジプトのスエズ運河国有化宣言に対応して、英・仏・イスラエル連合軍がスエズ運河に侵攻(英仏は早々と撤収)。


第3次中東戦争(6日間戦争、1967)、イスラエルはエジプトのシナイ半島、シリアのゴラン高原を占領下におき、エジプト統治下にあったガザ地区、ヨルダン統治下にあった東エルサレム・ヨルダン川西岸地区を主権下に。


第4次中東戦争(1973)、イスラエルの逆転勝利。国連はPLOを「準政府組織」として認定(1974)。イスラエル・エジプト平和条約締結(1979) 。イスラエルとPLO(パレスチナ解放機構、パレスチナ自治政府の母体)、パレスチナ人の暫定自治の原則宣言に調印(オスロ協定、1993)成立。


世界はオスロ協定に期待しましたが、1996年からイスラエルに対するアラブ・イスラム原理主義者(ハマス、イスラーム聖戦、ヒズボラなど)のテロが激化してしまった。今やイスラム原理主義勢力は天敵のキリスト教、ユダヤ教のみならず、ヒンドゥー教であれ仏教であれ無神論であれ自由主義であれ、自派以外はすべて敵、ジハード(聖戦)で敵を殺せばあの世で復活して幸福になるという、恐ろしく非寛容で危険な勢力になってしまった印象を受けます。


「20世紀後半以降の戦争の多くは中東に舞台が移って『中東は危ない』というイメージが定着してしまった。その要因はユダヤ人国家イスラエルの建国と言えるだろう。ユダヤ人が国家を喪失したのは2000年前、日本なら卑弥呼以前の話。それ以降世界に散ったユダヤ人が聖地エルサレムのあるシオンの土地を“約束の地”として新国家を樹立しようとシオニズム運動を起こした。だが、そこには2000年前からパレスチナ人が定住していた。


シオニズム運動のユダヤ人は当初は土地を購入するという小さな動きだったが、ナチス・ドイツによるユダヤ人弾圧とホロコースト(大虐殺)によりシオニズムが一気に現実化、パレスチナに『ユダヤ人国家』を建設していく。


土地を奪われ、追い出された難民は周辺地域に逃れ、失地回復を目指す。西側世界はナチスによる虐殺への同情からイスラエルに融和的だが、第4次中東戦争後にアラブ世界は(対抗策として)「石油戦略」を採択した。親イスラエル政策の国には原油輸出を禁止するというもので、それまで1バレル=2ドルだったのが一挙に10倍以上となり“オイルショック”が世界を震撼させた。


これを受けて西欧諸国はアラブに対する戦略を大きく転換していく。アメリカはイスラエルとエジプトとの和解を仲介し、エジプトは1979年にイスラエル国家を承認、イスラエルは1982年に占領していたシナイ半島をエジプトに返還した。


1993年のオスロ合意(協定)でヨルダン川西岸とガザ地区がパレスチナ自治地域となったが、その後の和平への動きは違った方向へ向かっている。イスラエルでは2001年2月にタカ派のシャロン首相が就任し、オスロ合意は反故にされ、血で血を洗う報復合戦が再び始まった。


さらに同年9月11日に米国で(イスラーム過激派による)『同時多発テロ』が勃発し、米国とイスラエルの利益は完全に一致した。パレスチナ問題の本質が植民地主義の延長線上にあり、民族運動であるというような酌量は一切切り捨てられた。米国の後ろ盾を得たイスラエルは俄然強気になり、有無を言わさぬ武力行使でパレスチナ自治区へ本格的に侵攻し、活動家を容赦なく殺害し、家屋を破壊していった。


パレスチナ住民に残された唯一の抵抗手段は『自爆殉教行為』だった。自らの生命をささげて自爆するという行動は、日本軍がかつてそうであったように、追い詰められたものがやむにやまれず選択する最後の手段なのである」


――先生、日本軍の特攻隊攻撃は敵の軍隊を叩くためであり、自爆や殉教ではないし、ましてや民間人を巻き添えにするような武士道にもとることはしなかったと思いますが・・・


さて、第4次中東戦争を機に1973年に第1次オイルショックが、1979年には 「イラン革命」を機に第2次オイルショックが始まり、産油国は莫大な利益を得るようになりました。産油国の多くはイスラーム国です。


「潤沢なオイルマネーを背景に各国はこぞって積極的な開発を進めるとともに『イスラーム復権』の動きが顕著になっていく。最も激しく躍動したのがイランで、1980年の『イラン革命』で国王を追放しシーア派イスラーム国家を樹立した。


欧米、特に米国はイランの米国大使館人質問題を巡って激しく反発し、一連の動きを『イスラーム原理主義』と名付け、イスラームをあたかも狂信的であるかのように喧伝した。イラン革命はイスラームを原点にして新たな世直しをしていこうという回帰運動なのだ。


奮闘努力するという意味の『ジハード』も誤解されて、本来は『人間の基本である生命、肉体、理性、財産、信仰などが脅かされた時、敢然と抵抗する」ことを言う。この定義が意訳されて『聖戦』となってしまった。イスラームは、あくまで平和を第一義とし、人間の尊厳が踏みにじられるような状況がない限り、武器を取って戦うのを禁じている。最初は我慢して耐え忍ぶこと、それでも侵害されて、どうしようもない時に、やむなく戦うというのが本筋なのだ。


そのためにジハードには規制が設けられており、自衛の域を越える攻撃は許されないし、先制攻撃をしたり、他に損害を与えたり、恐怖に陥れること、名誉を傷つけることも戒めている。戦闘においては、敵方の兵士だけを討ち、女性、子供、老人などの非戦闘員の殺害を固く禁じている」


――イラン革命以降の動きを先生の著書の小見出しから拾ってざっと紹介します。「サッダーム・フセインとイラン・イラク戦争」→「湾岸戦争とイラクの敗北」→「湾岸戦後処理の失敗とうごめくテロ組織」→「9.11同時多発テロ事件」→「アルカーイダとビン・ラーディン」→「アフガン攻撃 タリバーン政権の討伐」→「イラク戦争の真実 国連を無視したアメリカ」→「イラク戦争の謎 攻撃の大義は何だったのか」→「イスラームの反米感情」


その後には「パレスチナ自治政府の機能不全」「ガザ地区を支配するイスラーム原理主義ハマスとイスラエルの攻防」「イスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、スーダン、モロッコと国交正常化に合意」「アフガン米軍敗走しタリバーン政権復活もイスラム原理主義過激派が浸透狙う」という一進一退のような不安定な状況が続いています。


私が思うに、欧米流の「自由民主人権法治」を建前とした“政教分離の世俗主義”国家のリーダー層は、精々人口の40~50%が支持者で、安定的に過半数を得ているというのはあまりないでしょう。数年に一度の選挙のたびに無党派層などに“いい顔”しないといけない。実に厄介な制度ではあるが、今のところは「それ以上のシステムがないのだから」ということで先進国では定着しています。


一方でイスラーム一神教が多数派の国でも、政教分離をしている世俗主義国と、政教一致で国教と定めてイスラーム高位者による独裁的政治を良しとするイスラーム教国もある。


自由民主国とイスラーム教国のどちらがいいかはともかくとして、イスラーム教国が自由民主国に転換するには3代、90年ほどはかかる。宗教にアバウトな日本でさえ自由民主人権法治への転換は1868年の王政復古から始まり、米国による占領、洗脳?を経て1960年安保騒動(反米・親共)でようやく一区切りつきました。


親父がタネを蒔き、息子が育て、孫が刈り取る・・・これが難しい。3代目は生まれた時から乳母日傘で恵まれていますから、大体ガッツがない遊び人、というのが日本では昔から相場になっている。


1945年前後からイスラームは苦労を重ねながら独立していきますが、今は衣食足りて富国強兵の努力を忘れ、「好きなことだけに心を向ける」3代目のようなボンクラばかりのような気がします。潤沢なオイルマネーが3代目をダメにした。


宗教観は人それぞれでしょうが、「宗教は人間の幸福のためにある」と考える人もいれば、「人間は宗教の世界制覇のためにある」と考える人もいる。混沌とした世界にそれなりの秩序をもたらす解はあるのか・・・まったく悩ましいことです。


「慈悲深く慈愛あまねきアッラーの御名において・・・人間味に溢れた預言者ムハンマドの慈しみの精神に触れることは、崩壊に警鐘が鳴る現代社会への智慧になるだろう」


――ありがとうございました。深入りして自爆テロに遭わないように祈っています。(了)
・・・・・・・
ああ、長かったなあ、宗教というジャンルは科学・学問ではなく「初めに神ありき」を前提にしているから永遠に0+0+0を繰り返しているようで疲れる。神はビッグバン以前からの存在か、以後からの存在か、ビッグバン以前なら「無」であり、「無」の中に神は一人ぽっちでいたのか・・・宗教に「淫する」とろくなことにならないというのは日本人の智慧だろう。
目安箱:ishiifam@minos.ocn.ne.jp
https://blog.goo.ne.jp/annegoftotopapa4646
まぐまぐID 0001690154「必殺クロスカウンター」


雀庵の「常在戦場/87 キリスト教 vs イスラム教/続」

2021-09-23 12:59:00 | 日記
雀庵の「常在戦場/87 キリスト教 vs イスラム教/続」
“シーチン”修一 2.0


【Anne G. of Red Gables/367(2021/9/23/木】彼岸で墓参。カミサンは奄美へ飛び、「多分、島に帰るのはこれが最後になりそう。コロナ禍でよそ者は黴菌扱いだから、実家に籠っているしかないわ・・・」とちょっと寂し気。


止まない雨はない、疫病もそのうち特効薬が開発されるだろう、今は耐えるしかないと淡々と暮らす人は日本では多数派のようだが、世界を見渡せば「もうウンザリだ! 俺は俺の道を行く」という人も結構いるようだ。


人生いろいろ、それは歴史、思想、宗教、学問、身分、貧富、民族性などによるのだろうが、千年二千年とかの長い時間の中で培われてきたものだから、それを変えることは難しいし、無理を通せばろくなことにはならない。特に外交では距離をもって付き合うのがいいのだろうが、現実には対立、敵対、紛争、戦争だらけ。人類の性か。


前回に続き、ハッジ・アハマド・鈴木氏の「イスラームの常識がわかる小事典」を元にした架空インタビューから学んでいこう。
・・・・・・・・・・・・・・・・
――イスラーム国と言うとオスマントルコを思い出しますが、今は「オスマン帝国」と呼ぶようになりました。建国が1299年で、帝制が廃止された1922年まで、600年以上も続いた大帝国ですね。「世界史の窓」によると、


<14~20世紀初頭まで存在したイスラム教スンナ派の大帝国。小アジアからバルカン半島、地中海にも進出、君主であるスルタンが教主カリフの地位を兼ねる体制をとり、イスラーム教世界の盟主として16世紀に全盛期を迎え(対立する)ヨーロッパ=キリスト教世界に大きな脅威を与えた。


17世紀末から(逆に)ヨーロッパ諸国の侵攻を受け、またアラブ諸民族の自立などによって領土を縮小させ、次第に衰退。19世紀、近代化をめざす改革に失敗、第一次世界大戦でドイツと結んだが敗れ、1922年に滅亡した>


「オスマン帝国はトルコ系オスマン族の建てた国。1453年にビザンツ帝国(ローマ帝国末期の呼称、キリスト教系のギリシア正教)の首都コンスタンティノープルを制圧、イスタンブールと改名したのを皮切りに、イランから北アフリカ沿岸を含む広大な地に君臨した。


中でも1520年に即位したスレイマン1世は黄金時代を築き、ヨーロッパ制覇に乗り出してベオグラードを陥落させ、ウィーンまで到達している」


――イスラームは欧州のキリスト教に押されるばかりではなく、積極的に攻める、版図もしているわけですね。いつ頃から始まったのですか。


「711年のスペイン(イベリア半島)征服から始まった。ターリク隊長がジャバルという地に第一歩を記したから、その海峡をジャバルターリク『ジブラルタル』と呼ぶようになった。732年にはピレネー山脈を越えてフランスのボルドーに達している。


スペインは『レコンキスタ(再征服、国土回復運動)』と呼ぶキリスト教徒の反撃で奪回されるまで、800年もイスラーム圏だった。


イベリア半島からムスリム(イスラーム信徒)が完全に姿を消したのは1492年のグラナダ陥落からで、勢いを増したキリスト教徒の進撃はその頃から始まる。これがスペインとポルトガルによる「大航海時代」へと続き、征服者たちは新大陸の先住民を徹底的に抹殺し、インカ帝国(ペルー)やアステカ帝国(メキシコ)を亡ぼした。


イスラーム勢と西欧との重要な対決は1571年の『レバンテの海戦』で、オスマン帝国海軍がスペインの無敵艦隊に破れてからイスラームの地中海覇権は終わりをつげ、以後、オスマン帝国は凋落の道を辿って1922年に滅亡した」


――“レコンキスタ”によるオスマン帝国の滅亡と、その後の「トルコ共和国」の誕生は、イスラームがキリスト教国に完全に屈服させられた印象を受けます。1924年にはカリフ制(宗教指導者による政治)を廃して政教分離を実現し、トルコ共和国憲法を制定、主権在民、一院制の議会制度、大統領制などを規定した。


これらの“世俗主義政策”によってイスラーム教による宗教的政治から脱し、トルコは表向きには西洋キリスト教国風の「近代国家」として自立したわけですが、基本的にキリスト教国からなるEU加盟交渉は停滞気味であり、また軍事同盟NATOからの脱退も噂されており、未だに揺れ動いている印象があります。


「近代は、ヨーロッパ勢による大規模な侵攻がアジア、アフリカ、アメリカ大陸へと展開された時代だった。その根底には西欧型文明を最善とするキリスト教至上主義があり、他の文明を否定する傾向が強かった。


中東においてはオスマン帝国の領土は植民地化により欧州諸国に侵食され、支配下に置かれていった。特に第一次世界大戦がその動きに拍車をかけ、例えば英国将校の“アラビアのローレンス”の任務に見られるように、オスマン帝国の領土を奪いアラブ諸民族に与えるという名目で、それらの地域を欧州列強の支配下に置くというものだった。


トルコ共和国は近代化のために“脱イスラム、入ヨーロッパ”で西欧との一体化を目指した。“過去清算”のためにアラビア文字をローマ字表記に変え、暦をビジュラ暦からグレゴリア暦に改め、法律制度にスイス法を導入した。これらは初代大統領の名をとって“ケマル主義”と呼ばれ、エリート層の基本的な考え方になっている。


しかしトルコ国民の大部分はムスリムであり、その西欧化が果たして正しい選択であったのか、100年を経た現在でもその評価は定まっていないようだ」


――トルコのエルドアン大統領は、トルコも一員であるNATO≒キリスト教国と反NATOのイスラーム教国やロシアの間の橋渡し役として存在感を高めているようです。


<現状でアフガニスタンのタリバンと交渉可能な国は、ムスリムが多数で外交上のつながりが深いパキスタン、カタール、トルコの3カ国に限定されている。トルコはパキスタン、カタールとの関係も良好であり、国際社会とタリバンの間の仲介を行なえる可能性のあるアクターとしてその存在感は増している>(Wedge 9/15)。


第2次大戦後に実に多くのイスラーム系植民地が独立しましたが、イスラーム教国の復興という面でトルコ、あるいはエルドアンはリーダーシップを取るのではないかと思いますが。


「第2次大戦後に多くの植民地が独立してイスラーム教国になった。例えばアルジェリアがフランスから独立を勝ち取ったのは1962年。アラブ首長国連邦、カタール、バーレーンなどの湾岸諸国が英国から独立したのは1971年。今日のイスラーム諸国のほとんどが新興の独立国だ。


つまり独立の歴史が浅い上に、異なった民族、宗教、慣習が絡み合い、そこにエネルギー資源の争奪戦も加わり、不安定な構造になっている。これに追い打ちをかけ、中東地域に衝撃を与えたのがユダヤ人によるイスラエルの建国だった」


――イスラエルは1948年5月に独立宣言、それ以後はイスラエル・ユダヤ教・ユダヤ人対パレスチナ・イスラーム諸国・アラブ人の対立が始まった。宗教観は人それぞれでしょうが、「宗教は人間の幸福のためにある」と考える人もいれば、「人間は宗教の世界制覇のためにある」と考える人もいる。混沌とした世界に秩序をもたらす解はあるのか・・・次回もよろしくお願いします。
目安箱:ishiifam@minos.ocn.ne.jp
https://blog.goo.ne.jp/annegoftotopapa4646
まぐまぐID 0001690154「必殺クロスカウンター」



雀庵の「常在戦場/86 キリスト教 vs イスラム教/下」

2021-09-21 08:11:12 | 日記
雀庵の「常在戦場/86 キリスト教 vs イスラム教/下」
“シーチン”修一 2.0


【Anne G. of Red Gables/366(2021/9/21/火】産経9/19から「真・治安論 第1部:司法と医療の狭間」シリーズが始まった(関西版では8/27から連載)。1回目のメインタイトルは「池田小事件を生んだ制度の穴」。


精神疾患の心神耗弱、心神喪失の人による犯罪はこのところ増えているような気がするが、小生の散歩コースでもカリタス学園の生徒らがテロに遭った(2019/5/28)。こうした重罪でも犯人は精神疾患を理由にほぼ「お咎めなし」。読んでいて「それはまずいだろう」と思うと同時に、「自分も再発しはしまいか」ととても怖くなった。


小生は65歳(2016年)の秋に発狂、「措置入院」で急性期閉鎖病棟に3か月間、強制的に“保護”され治療を受け、90日間ルールにより“追放的”退院となったのだが、完治しないビョーキだから未だに「今の自分は本来の自分だろうか」としょっちゅう思い、不安を感じることもある。


二十歳で刑務所を出てから(人のやらないことする宿命か?)暫くは自虐的になって酒をあおっていたが、編集者を目指し、それがかなってからは水を得た魚のように元気に仕事も遊びもしてきたから、酒もガソリンになっていた。それがリタイア後は無聊を慰めるための酒になり、やがてアル中になって脳みそが壊れて措置入院。Oh, my Gods!


今現在の、よたよた歩きの、無口の、精彩も強引さも存在感もない、静かで大人しい、老犬のような爺さん・・・これが俺なのかなあ、全然、自分らしくない、別の人格みたい、としょっちゅう変な気分になる。いわゆる「アイデンティティ」とか「自分色」が薄くて不安な気分になる。とても嫌な感じ。


<アイデンティティ:自己同一性などと訳される。自分は何者であるか、私がほかならぬこの私であるその核心とは何か、という自己定義がアイデンティティである。何かが変わるときでも、それへの対処は、普遍のものとして常に前提にされる統一性、連続性がその機軸、基盤となる。アイデンティティの問題(ブレ、変質、喪失)はとりわけ青年期に顕在化する>(コトバンクなど)


70歳の老年期になっても「自分探し」「ストレイシープ」って、やっぱりビョーキみたいな・・・小生がそういう“老人性青春彷徨的”な孤老から人生アドバイスを求められたら何と答えようか。


「アナタ、まるで青春時代、人生哲学だね。解はあると言えばあるが、千差万別だ。考えて考えて考え抜く・・・実に悩ましい。そのうち運良く解が見つかるかも知れないし、見つからないかも知れない。解があっても人それぞれで、絶対的な解はない。けれどね、考えることに意味があるわけよ。誰しもいずれお迎えが来るけれど、たとえ解が見つからなくても疲れ果てるほど考えた末なら未練なく従容として受け入れられると思うね・・・経験したことがないから分からないけどさ」


歴史を振り返ると、残念ながら「みんな悩んで大きくなった、成長した」ということはないようだ。技術、モノは発展、蓄積しても人間のマインド、喜怒哀楽は何百万年前と変わっていないだろう。これまでも、これからも「戦争→ 平和→ 不信→ 憎悪→ 戦争」のサイクルは続くはずだ。戦時にあっては敵、平時にあっては友、永遠の戦争も永遠の平和もない・・・まったくその通りだろう。山あり谷あり平地あり、悩ましいが退屈はしない、それが人類の宿命のようだ。ああ、天よ、我らを救いたまえ!


前回に続き、ハッジ・アハマド・鈴木氏の「イスラームの常識がわかる小事典」を元にした架空インタビューから学んでいこう。
・・・・・・・・・・・・・・・・
――モンゴル帝国の騎馬軍団は1229年にはアフガニスタンやイランに到達している。キリスト教とイスラーム教が争っている場合じゃないと思いますが・・・今ですと世界制覇を目指す中共は世界の自由民主国の共通の敵です、小異を捨てて大同につく、そういう場面になった。


「ところが歴史はなかなかそうはならない。火事場泥棒みたいに危機を利用して躍進しようという勢力はいるもので、1248年、フランス王ルイ9世がエジプト遠征を再開した(第7回十字軍)。何とモンゴルと同盟してアラブ世界を東西から挟み撃ちしようとモンゴル使節団に提案したが失敗。ルイ9世はモンゴル使節団にキリスト教への入信を進めたが理解されなかったようだ。


結局、単独でエジプトと開戦したが負けてしまい、ルイ9世は捕捉され、1250年に莫大な身代金を払うことで釈放された。


一方で、モンゴル大軍団は進むところ敵なし、歯向かう敵に仮借ない鉄槌を下しながらバグダード(イラン)へ迫る。バグダードはイスラム教の開祖ムハンマドの叔父系のアッバース朝が統治していたが、1258年、モンゴルの騎馬隊に完膚なきまでに蹂躙され、そして滅亡した」


――ルイ9世は非常に熱心なキリスト教信者でしたが、その分、イスラームへの憎悪は凄まじかったようですね。ルイ9世は1253年には反イスラムの同盟国を見つけるためモンゴルへ調査団を派遣した。当時、モンゴルの国民の半数以上はキリスト教徒(ネストリウス派、支那では景教とも)で、シルクロードを通じて伝播したのでしょう。仏教徒、ムスリム、道教、儒教の信者もいた。


モンゴルがキリスト教徒の国だと知って発奮したのか、ルイ9世は再び十字軍(第8回十字軍)を結成し1270年に進発、イスラーム圏のチュニジアを攻撃したが、飲用水が劣悪だったことや熱さにより病気がはびこり、ルイ9世も同地のチュニスでペストに罹患し、陣中で病没した。凄い執念ですね。


ルイ9世は死後にキリスト教会より聖人の称号を与えられ Saint-Louis(サン・ルイ、聖ルイ)と呼ばれるようになった。米国のセントルイス(ミズーリ州)の地名の由来ともなりました。キリスト教徒は今でも十字軍が好きなんですね、異教徒は許さない、というのが初期設定のようで・・・


さて、イランを陥落に追い込んだモンゴルの騎馬軍団はエジプトへ向かいますね。


「怒涛の進撃でイラク、シリアの主要都市を占拠し、それに対してエジプトはモンゴル使節を殺して決戦に備えた。ところが決戦の前夜、モンゴル軍の大将フラーグ(チンギス・ハーンの孫)は長兄が故国で死去した報に接し、軍をまとめて急遽、帰国の途についた。この怒涛の反転によりイスラーム世界は救われたのだ、アッラー・アクバル(アッラー は偉大なり)!


エジプト軍は地中海岸に残っていたモンゴル兵を殲滅するとともに、モンゴルと和したキリスト勢力を次々に叩き、1291年には十字軍が最後まで占拠していた港町アッカを奪還し、外国軍勢すべてを一掃した。


これをもって東西からのイスラーム世界への侵略は全て終了し、近代にいたるまで平和が保たれたのだ」


――基本的にペルシャ湾とティグリス・ユーフラテス川の西はイスラーム圏、東はモンゴル圏になったわけですね。1271年にはモンゴル帝国の後裔として「元」が支那本土とモンゴル高原を中心に建国され、何とイスラームを国教とした。


「1370年には(今でもウズベキスタンの英雄とされている)ティムールが中央アジア全域を制覇、インドからロシア平原までを支配し、イスラーム法とモンゴル法を採用した。16世紀初めにはティムール直系の子孫、バーブルがアフガニスタンからハイバル峠を越えてインド平原へ下り、ムガール帝国を起こした。


また、イスラームは支那大陸の聖域に「清真教」の名称で浸透していく。中央アジアからシルクロードを通り、ゴビ砂漠を越えて支那に至る街道沿いにイスラームの地域が伸びていった。かくして支那西域には5000万人以上の支那系ムスリムが現在も生活している」


――先生、このシリーズは3回でまとめようと思っていたのですが、昨日の産経に加地伸行先生が「キリスト教とイスラム教の抗争は我々東北アジアに住む者にとって根本的意味が分からない。まずはイスラム教に関する初歩的講義をマスコミが行っては如何か」と書いていました。実際、その通りです。で、あと2回ほど続けたいと思いますので、よろしくお願いします。
目安箱:ishiifam@minos.ocn.ne.jp
https://blog.goo.ne.jp/annegoftotopapa4646
まぐまぐID 0001690154「必殺クロスカウンター」