雀庵の「常在戦場/7 習近平が恐れるピンポイント攻撃」
“シーチン”修一 2.0
【Anne G. of Red Gables/294(2021/5/4/火】1年半ほど前になるが、イラン革命防衛隊のソレイマニ司令官が米軍のピンポイント攻撃で殺された。ターゲットを監視し、正確に狙撃する・・・マシンと言われる伝説のスナイパー「ゴルゴ13」みたいだとビックリした。毎日新聞 2021/1/3から。
<イランの精鋭軍事組織「革命防衛隊」で対外活動を率いたソレイマニ司令官が米軍に暗殺されてから3日で1年となった。報復を誓うイランに対し、米側は爆撃機の派遣など軍事力を誇示して攻撃を抑止したい構えだ。
暗殺事件は2020年1月3日、イラクの首都バグダッドで発生した。ソレイマニ氏は数人の仲間と空港から車で移動中に米無人機の爆撃で殺害された。イランは8日に、米軍などが駐留するイラクの基地2カ所を十数発の弾道ミサイルで報復攻撃した。ただ、人的被害が無かったこともあり、武力の応酬はいったん沈静化していた。
しかし、11月下旬にイランの首都テヘラン郊外でイランの核兵器製造計画の中枢を担ってきたとされる核科学者が銃撃されて死亡する新たな事件が起きた。イランと敵対するイスラエルが暗殺した可能性が濃厚とみられ、米国を巻き込んで再び緊張が高まっている。
イランの最高指導者ハメネイ師は12月中旬の演説で、改めてソレイマニ氏暗殺に対する報復の実施を明言し、中東からの米軍追放を訴えた。バグダッドでは12月20日に米大使館を狙ったとみられる約20発のロケット弾攻撃があり、建物の一部が損壊した。イラン側は攻撃への関与を否定しているが、トランプ米大統領はツイッターで「米国人が一人でも殺害されればイランに責任を取らせる」と警告した。
トランプ氏はこれに先立つ11月中旬にイランの核関連施設攻撃の具体案提示を政権幹部に求めたと米メディアが報じており、今後のイランの出方次第では事態がエスカレートする恐れもある>
このピンポイント攻撃は、ルーマニアのチャウシェスク大統領処刑(1989年12月25日)公開映像以上に世界中の独裁者、特に習近平、プーチンを恐れさせただろう。プーチンは暗殺のプロだから「いかにもアメリカらしいが、ピンポイント爆撃はスマートじゃない、下策だ。静かにノビチョク、ダイオキシン、ポロニウム210あたりがお勧めだな」と批判する余裕は持っていたかもしれない。
一方、習近平はコロナウィルス蔓延を軽視して内外を機嫌よく漫遊していた頃で、国民も春節に浮かれていたのですっかり「我が世の春」、コロナ禍もソレイマニ暗殺も他国の他人事と看過していたようである。側近は習近平皇帝の機嫌を損ねたくないから報告は遅れがちだったのかもしれない。
コロナ禍を契機に世界中からバッシングされるようになった習近平は、建国100年の2049年世界制覇の野望を早め、2030年あたりにしたのではないか。その時に彼は1953年生まれだから77歳の喜寿だ。「あと10年でとにかくアジアだけでも制覇せねば」という焦りから国内引き締め(香港、ウイグル、チベット、モンゴルへの弾圧)、国外、周辺国への圧力(軍事恫喝)を強めているように見える。
焦る習近平が一番恐れているのは米国によるピンポイント攻撃だろう。コロナもあって人の往来や情報はほぼ制圧したから、国内は結束できただろう。しかし、ピンポイント攻撃からとにかく身を守らなければならない。国内視察を控えているのはコロナ対策よりもピンポイント攻撃を避けるためのように見えるが・・・
米国民主党に不信感観を募らせガックリしている日高義樹先生の「米中時代の終焉」から抜粋する。センセ、諦めたらそこで終わりや、投げたらあかんで!
<米国軍事体制の基本は「トライアッド」と呼ばれる3つの兵器体系による破壊力である。第1が、戦略空軍の「ミニットマンミサイル」、1000基が中露北などを狙っている。1基で広島・長崎の原爆の1000倍の核ミサイル12発を装備している。
第2は、海軍の最新鋭ミサイル原子力潜水艦が搭載する「トライデント2D5」。14個の弾頭が個別の標的を攻撃できる。潜水艦「ミシガン」を取材した際、最新の潜望鏡から覗いた景色はどんなテレビより明るく明晰だった。
第3は、空軍の戦略爆撃機、B52、B1、B2で、最新鋭の巡航ミサイルや核ミサイルで敵の拠点を攻撃する。
私はミサイル原子力潜水艦に同乗して戦略パトロールに加わった経験があるが、原潜の指揮官を務めた経験のあるシュレジンジャー元国防長官が私にこう言った。
「我々のミサイル原子力潜水艦は、常時一隻以上が中国の近くをパトロールして、中国の指導者をミサイルの照準に置いている」
つまり米国は習近平の所在を24時間追跡して、常に核ミサイルで攻撃する体制を取り続けている。これは当然、習近平にも知らされており、彼の軍事行動を抑止する力となっている。
私がグアムから同乗した原潜「アラバマ」は真っすぐ北上し、東シナ海の一点から北京をミサイルの照準に置き、パトロールを続けた。
対中抑止力で難しいのは、中国の指導者が中国国民を全く考慮していないことである。米国が中国を標的にしても、習近平の行動を制約することは難しい。
(毛沢東曰く「だいたい我が国は人口が多過ぎる。6億が半分になっても、まだ3億もいる」。毛沢東の真似乞食である習近平(あるいは独裁者)が唯一恐れているのは自分が殺されることだ)
今、日本は膨大な費用をかけて軍事力を中露に対抗するほど強化することは現実的にはできない。我が国にとって有効な抑止力、必要な戦略を立てることは喫緊の課題である。米国に倣って、中国の指導者を24時間ミサイルの照準に置くというのも最小限必要なことではないか>
独裁指導者が一番大事にしているのは国民ではなく「自分自身」、殺されることを何よりも恐れているということだ。共同通信2021/4/20 「習主席、中国切り離しに反発 “新冷戦”を批判、米けん制」から。
<習近平主席は20日、海南省で開かれている「博鰲アジアフォーラム」年次総会の式典でオンライン演説し、対立する米国を念頭に「一国、あるいは数カ国が定めた原則を他に押しつけてはならない」と強調した。「人為的なデカップリング(切り離し)は経済の規律と市場の規則に反し、利益をもたらさない」と反発。中国が多国間主義や自由貿易の擁護者だとアピールし、米をけん制した。
習氏はその上で「われわれは、いかなる形式の『新冷戦』と、イデオロギーの対抗にも反対すべきだ」と述べた>
俺を敵視するな、孤立させるな、殺さないでくれ・・・ということか。ことほど左様にピンポイント攻撃は独裁者駆除には効くようだ。ソレイマニ司令官を狙い撃ちされたイランでは、閣僚がソレイマニを「国家を破壊しかねない撥ねっ返り分子」とか揶揄して大騒ぎになったとか。冷静な人もいるのだ。AFP時事2021/4/27「イランは『外交より軍事重視』外相発言暴露で波紋」から。
<核開発問題で欧米と緊張が続くイランで、穏健派のザリフ外相が「イランは外交より軍事分野での成功を重視している」と語った音声が流出した。音声は、3月に交わされたザリフ氏と経済学者のやりとりとされ、英国に拠点を置くペルシャ語テレビ局が25日に暴露した。
ザリフ氏は音声記録の中で、2020年1月に米軍に暗殺されたソレイマニ革命防衛隊司令官が、核合意の頓挫などを狙って外交への干渉を強めていたと批判。「革命防衛隊の作戦優先のため、外交は犠牲を強いられた」と述べた。外相でありながら「私には外交決定権は全くない」と吐露している。
また、ソレイマニ氏は政府に知らせないまま独断でイラン国営航空を使い、内戦下のシリアへ部隊や軍事機材を送っていたと指摘。ソレイマニ氏殺害への報復とするイラク駐留米軍基地へのミサイル攻撃では、自身への報告が後回しだったと不満を述べた。
イランでは6月、保守穏健派ロウハニ大統領の任期満了に伴う大統領選がある。優勢とされる反米保守強硬派と穏健派のせめぎ合いが激しくなっている>
トランプによるソレイマニ暗殺は、軍事優先で世界の顰蹙を買うイランではなく、安定した発展を望むイランの人々にとっては朗報だったわけだ。つまりピンポイント攻撃による独裁者排除は非常に効き目がある、とても効率的ということになる。
世界中の有力国が海から、地上から、空から、宇宙から習近平をピンポイントで監視する・・・習近平は地下から出られない・・・そのまま生き埋めにした方がいいのではないか、現代版「秦始皇帝陵」として観光スポットになるだろう。中共包囲網と習近平ピンポイント監視・・・いいコラボレーションだ。
目安箱:ishiifam@minos.ocn.ne.jp
https://blog.goo.ne.jp/annegoftotopapa4646
“シーチン”修一 2.0
【Anne G. of Red Gables/294(2021/5/4/火】1年半ほど前になるが、イラン革命防衛隊のソレイマニ司令官が米軍のピンポイント攻撃で殺された。ターゲットを監視し、正確に狙撃する・・・マシンと言われる伝説のスナイパー「ゴルゴ13」みたいだとビックリした。毎日新聞 2021/1/3から。
<イランの精鋭軍事組織「革命防衛隊」で対外活動を率いたソレイマニ司令官が米軍に暗殺されてから3日で1年となった。報復を誓うイランに対し、米側は爆撃機の派遣など軍事力を誇示して攻撃を抑止したい構えだ。
暗殺事件は2020年1月3日、イラクの首都バグダッドで発生した。ソレイマニ氏は数人の仲間と空港から車で移動中に米無人機の爆撃で殺害された。イランは8日に、米軍などが駐留するイラクの基地2カ所を十数発の弾道ミサイルで報復攻撃した。ただ、人的被害が無かったこともあり、武力の応酬はいったん沈静化していた。
しかし、11月下旬にイランの首都テヘラン郊外でイランの核兵器製造計画の中枢を担ってきたとされる核科学者が銃撃されて死亡する新たな事件が起きた。イランと敵対するイスラエルが暗殺した可能性が濃厚とみられ、米国を巻き込んで再び緊張が高まっている。
イランの最高指導者ハメネイ師は12月中旬の演説で、改めてソレイマニ氏暗殺に対する報復の実施を明言し、中東からの米軍追放を訴えた。バグダッドでは12月20日に米大使館を狙ったとみられる約20発のロケット弾攻撃があり、建物の一部が損壊した。イラン側は攻撃への関与を否定しているが、トランプ米大統領はツイッターで「米国人が一人でも殺害されればイランに責任を取らせる」と警告した。
トランプ氏はこれに先立つ11月中旬にイランの核関連施設攻撃の具体案提示を政権幹部に求めたと米メディアが報じており、今後のイランの出方次第では事態がエスカレートする恐れもある>
このピンポイント攻撃は、ルーマニアのチャウシェスク大統領処刑(1989年12月25日)公開映像以上に世界中の独裁者、特に習近平、プーチンを恐れさせただろう。プーチンは暗殺のプロだから「いかにもアメリカらしいが、ピンポイント爆撃はスマートじゃない、下策だ。静かにノビチョク、ダイオキシン、ポロニウム210あたりがお勧めだな」と批判する余裕は持っていたかもしれない。
一方、習近平はコロナウィルス蔓延を軽視して内外を機嫌よく漫遊していた頃で、国民も春節に浮かれていたのですっかり「我が世の春」、コロナ禍もソレイマニ暗殺も他国の他人事と看過していたようである。側近は習近平皇帝の機嫌を損ねたくないから報告は遅れがちだったのかもしれない。
コロナ禍を契機に世界中からバッシングされるようになった習近平は、建国100年の2049年世界制覇の野望を早め、2030年あたりにしたのではないか。その時に彼は1953年生まれだから77歳の喜寿だ。「あと10年でとにかくアジアだけでも制覇せねば」という焦りから国内引き締め(香港、ウイグル、チベット、モンゴルへの弾圧)、国外、周辺国への圧力(軍事恫喝)を強めているように見える。
焦る習近平が一番恐れているのは米国によるピンポイント攻撃だろう。コロナもあって人の往来や情報はほぼ制圧したから、国内は結束できただろう。しかし、ピンポイント攻撃からとにかく身を守らなければならない。国内視察を控えているのはコロナ対策よりもピンポイント攻撃を避けるためのように見えるが・・・
米国民主党に不信感観を募らせガックリしている日高義樹先生の「米中時代の終焉」から抜粋する。センセ、諦めたらそこで終わりや、投げたらあかんで!
<米国軍事体制の基本は「トライアッド」と呼ばれる3つの兵器体系による破壊力である。第1が、戦略空軍の「ミニットマンミサイル」、1000基が中露北などを狙っている。1基で広島・長崎の原爆の1000倍の核ミサイル12発を装備している。
第2は、海軍の最新鋭ミサイル原子力潜水艦が搭載する「トライデント2D5」。14個の弾頭が個別の標的を攻撃できる。潜水艦「ミシガン」を取材した際、最新の潜望鏡から覗いた景色はどんなテレビより明るく明晰だった。
第3は、空軍の戦略爆撃機、B52、B1、B2で、最新鋭の巡航ミサイルや核ミサイルで敵の拠点を攻撃する。
私はミサイル原子力潜水艦に同乗して戦略パトロールに加わった経験があるが、原潜の指揮官を務めた経験のあるシュレジンジャー元国防長官が私にこう言った。
「我々のミサイル原子力潜水艦は、常時一隻以上が中国の近くをパトロールして、中国の指導者をミサイルの照準に置いている」
つまり米国は習近平の所在を24時間追跡して、常に核ミサイルで攻撃する体制を取り続けている。これは当然、習近平にも知らされており、彼の軍事行動を抑止する力となっている。
私がグアムから同乗した原潜「アラバマ」は真っすぐ北上し、東シナ海の一点から北京をミサイルの照準に置き、パトロールを続けた。
対中抑止力で難しいのは、中国の指導者が中国国民を全く考慮していないことである。米国が中国を標的にしても、習近平の行動を制約することは難しい。
(毛沢東曰く「だいたい我が国は人口が多過ぎる。6億が半分になっても、まだ3億もいる」。毛沢東の真似乞食である習近平(あるいは独裁者)が唯一恐れているのは自分が殺されることだ)
今、日本は膨大な費用をかけて軍事力を中露に対抗するほど強化することは現実的にはできない。我が国にとって有効な抑止力、必要な戦略を立てることは喫緊の課題である。米国に倣って、中国の指導者を24時間ミサイルの照準に置くというのも最小限必要なことではないか>
独裁指導者が一番大事にしているのは国民ではなく「自分自身」、殺されることを何よりも恐れているということだ。共同通信2021/4/20 「習主席、中国切り離しに反発 “新冷戦”を批判、米けん制」から。
<習近平主席は20日、海南省で開かれている「博鰲アジアフォーラム」年次総会の式典でオンライン演説し、対立する米国を念頭に「一国、あるいは数カ国が定めた原則を他に押しつけてはならない」と強調した。「人為的なデカップリング(切り離し)は経済の規律と市場の規則に反し、利益をもたらさない」と反発。中国が多国間主義や自由貿易の擁護者だとアピールし、米をけん制した。
習氏はその上で「われわれは、いかなる形式の『新冷戦』と、イデオロギーの対抗にも反対すべきだ」と述べた>
俺を敵視するな、孤立させるな、殺さないでくれ・・・ということか。ことほど左様にピンポイント攻撃は独裁者駆除には効くようだ。ソレイマニ司令官を狙い撃ちされたイランでは、閣僚がソレイマニを「国家を破壊しかねない撥ねっ返り分子」とか揶揄して大騒ぎになったとか。冷静な人もいるのだ。AFP時事2021/4/27「イランは『外交より軍事重視』外相発言暴露で波紋」から。
<核開発問題で欧米と緊張が続くイランで、穏健派のザリフ外相が「イランは外交より軍事分野での成功を重視している」と語った音声が流出した。音声は、3月に交わされたザリフ氏と経済学者のやりとりとされ、英国に拠点を置くペルシャ語テレビ局が25日に暴露した。
ザリフ氏は音声記録の中で、2020年1月に米軍に暗殺されたソレイマニ革命防衛隊司令官が、核合意の頓挫などを狙って外交への干渉を強めていたと批判。「革命防衛隊の作戦優先のため、外交は犠牲を強いられた」と述べた。外相でありながら「私には外交決定権は全くない」と吐露している。
また、ソレイマニ氏は政府に知らせないまま独断でイラン国営航空を使い、内戦下のシリアへ部隊や軍事機材を送っていたと指摘。ソレイマニ氏殺害への報復とするイラク駐留米軍基地へのミサイル攻撃では、自身への報告が後回しだったと不満を述べた。
イランでは6月、保守穏健派ロウハニ大統領の任期満了に伴う大統領選がある。優勢とされる反米保守強硬派と穏健派のせめぎ合いが激しくなっている>
トランプによるソレイマニ暗殺は、軍事優先で世界の顰蹙を買うイランではなく、安定した発展を望むイランの人々にとっては朗報だったわけだ。つまりピンポイント攻撃による独裁者排除は非常に効き目がある、とても効率的ということになる。
世界中の有力国が海から、地上から、空から、宇宙から習近平をピンポイントで監視する・・・習近平は地下から出られない・・・そのまま生き埋めにした方がいいのではないか、現代版「秦始皇帝陵」として観光スポットになるだろう。中共包囲網と習近平ピンポイント監視・・・いいコラボレーションだ。
目安箱:ishiifam@minos.ocn.ne.jp
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