島のまにまに~インドネシアの小径~

海洋国インドネシアのあちこちでで出会う、美しい村、美しいもの。自然とつながる暮らし。

長距離バス 休憩時間は突然に

2012-05-10 | 旅の途上・交通・バス

インドネシアの長距離バスの休憩時間は突然やってくる。事前にスケジュールのお知らせもなく、案内放送というものもないからだ。放送設備がないという問題ではない。乗客にアナウンスするという発想自体がそもそもないのだ。

バスの休憩は気まぐれで、日本のようにほぼ2時間ごととかで定期的にあるわけではなく、3時間だったり、5、6時間だったり、ひどいときはもっと長かったり。初めて乗る人には予想がつかない。それも、最初からどこで停まると決まっているのか、それとも運転手の気分によって突発的に休憩になるのかもよく分からない。気分によってということはいくらなんでもないだろうと思うけど、そうとしか思わざるを得ないシチュエーションがありすぎる。


その話は後にするとして、乗客へのアナウンスのこと。
日本なら、「えー皆さま、大変お疲れさまでした。まもなく○○サービスエリアでございます。ここで20分間休憩をいたします。出発時間は10時23分、10時23分となっております。なお、トイレは向かって左にございます」と、ちゃんと言ってくれるから、誰にだって分かる。運転手がしゃべるのに加えてテープに録音された案内放送がある。さらにバスの出入口に時刻をでかでか書いたプレートを掲げてくれる。
それが1分刻みで示されるなんて、インドネシア人には信じられないに違いない。数字を書いたページをパラパラめくって、示す時刻を変えられるリング式プレート。見なさい、この日本人のこまやかさ!


フローレス島・バス休憩地点にある食堂(2012年)

けれど、インドネシアでは、おもむろにお店の前の空き地にバスが入って行って停まると、運転手は勝手に降りてどこかへ消えるだけ……。たまに食事のときは車掌が「マカンマカンマカンマカン!」と「ごはん」を意味する言葉をつぶやきながら通路をすばやく歩き去る。
しかし、それすらないときがある。そんな場合は、まず、運転手がバスを降りるのを確認して休憩だと判断し、ほかの乗客が食堂で何かを食べそうなら自分もそうし、そうでなければ自分もそうしない。誰も食べてないのに自分だけナシチャンプルーなんか食べるのは危険。もし食事だとしても、バスが何時に出発するか分からないから、ほかの乗客が食べ終わる頃自分も食べ終わるようにしないといけない。とにかくキョロキョロして空気を読むことが大事である。

ただ、その休憩がお昼の12時だったら食事だし、3時だったらお茶飲んでトイレ行くだけかな、と思えばいいでしょう……というような常識はインドネシアにはないから注意が必要だ。彼らの食事時間に常識はない。


スラウェシ島・バス休憩用のレストラン(2008年)

ちなみに、インドネシアでは、観光地以外では英語はほとんど通じない。ただ、バスの中にたいてい1人か2人はしゃべれる人が潜んでいる。その人が、自分の英語を試してみたいか、英語がしゃべれることを周りのインドネシア人にひけらかしたいか、純粋に人助けが好きだったり外人が好きか(ほとんどこのケース)、好きではないけど可愛そうに思ってくれれば、「ごはんだよ」と教えてくれる。英語がしゃべれる人は少ないが、その人が実際に英語を使ってくれる率は非常に高いので、30、40人の乗客のいるバスではたいてい何とかなる。

ただ、もしインドネシア語がしゃべれて、ほかの乗客に「この休憩何分あるんでしょう」と聞いたところで、多分誰も答えられないだろう。みんなが食べ終わりトイレに行き終わって、男たちがバスの前で虚ろな目をしてたばこを吸う。そのたばこを1人消し、2人消しした頃、突然ブルルルン!とバスのエンジンがかかる。「オイッ」みたいな掛け声がかかる。「お前ら、早く乗れ!」と聞こえる。決して「皆さま、出発の時刻でございます」って感じではない。そうして若干怒られた気がしながらバスに乗り込むのが常である。
これまでの経験によると、食事の場合でもたったの20分程度である。



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