
ブミアジのメインストリートは丘の稜線を通っていて、両側のゆるやかな斜面に住宅地が広がっている。通りを山に向かって右側の斜面はごく平均的な家が並ぶ普通の住宅地だが、左側の斜面はかなり高級住宅地のように見受ける。高級というよりは、これまでのインドネシア風でない、と言ったほうがいいだろうか。瀟洒でこじんまりした家は魅力的で、この家ほしい、と思ってしまう。町並みもとてもきれいだ。
この辺りの苗木栽培は結構いいお金になると住んでいる人が言っていた。そういうことで財を築いた人もいるのかもしれない。気候がよく快適なので、外から来たお金持ちが家を建てたということもあるのだろう。庭で苗木など育てていない家はきっとそうだ。
「お金持ちっぽい家」をはるかに超えた御殿のような邸宅も見られた。何十メートルも続く垣根に取り囲まれ、門からはるか遠いところに立派な家が建っていた。庭はよく手入れされて緑に覆われ、花が咲き乱れていた。家なのか公園なのかもよく分からないほどだ。
また、大通りに面したところで、家が園芸会社を兼ねているのではないかと思われる大邸宅もあった。そんなところでは広大な庭の片隅に苗木のポットが並び、雇われているらしき人々が世話をしていた。
坂を下りていくと谷になっている。苗木を栽培する家々の横にはきれいな水の流れがあった。バトゥの北には標高3千メートルを越える山がある。その山からの水が町を潤しているのだった。水を庭に引き入れて錦鯉を飼っている家があった。錦鯉を飼うなんてやっぱりお金持ち、と思ったら、あちこちの家の庭で、ずらりと並んだ盆栽の下にコンクリートの四角い池があって、そこで錦鯉を育てて売っているのだった。盆栽や花苗に加えて、この錦鯉が、とてもいい現金収入なのだそうだ。池の上で鉢物を育てれば温度が上がり過ぎないし湿り気も補給されるので、木によっては生育がよくなるだろう。
スラバヤやスマランに行くと、昼間暑くて動くのもいやになる。何もしたくない。それは日本の都市の夏でも同じ。日本では最近では冷房がなければ過ごせない。夏は外に出るのも危険なほどだ。けれどスラバヤから車で1時間半のマランまで来るとかなり涼しいし、バトゥからさらに上がったブミアジは本当に快適。気候がいいということは人を生産的にする。スラバヤはインドネシア第二の都市だからこれからますます都市化が進むのだろう。冷房ももっともっと増えて町はますます暑くなっていくのだろうか。
日本で何もかもが都市に集中しすぎた代償は大きい。昔のように、地方がもっといきいきしなくてはいけない。インドネシアにはまだなんとか、地方があると思う。




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