その後も四小は、毎日毎日子どもたちに声をかけていました。でも、あいかわらず
誰も気づいてくれません。そうこうしているうちに、また一年が過ぎ、季節は
昭和四十年の春になっていました。四小は思いました。
『ああ、今年もたくさんの子が来てくれたのね。この中に、一人でもわたしに気づいて
くれる子がいるといいんだけど。今年もだめかしらね。』
入学式の日、四小は、なにげなく子どもたちを見ていましたが、ふっと声をかけて
みようと思い、新入生たちに語りかけてみました。すると、どうでしょう。一人の子が
四小の声に反応したのです。いいえ、正確にはその前、四小が語りかける時に
放つ光に、すでに反応していたのです。四小は、飛びあがらんばかりに驚きました。
無理もありません。だって、声をかける前からもう、精霊に反応する子なんて
いないといっていいくらいなのですから。