風の向こうに  

前半・子供時代を思い出して、ファンタジィー童話を書いています。
後半・日本が危ないと知り、やれることがあればと・・・。

夢草子 七の巻

2010-06-15 00:06:14 | 大人の童話其の弐

その後も四小は、毎日毎日子どもたちに声をかけていました。でも、あいかわらず

誰も気づいてくれません。そうこうしているうちに、また一年が過ぎ、季節は

昭和四十年の春になっていました。四小は思いました。

『ああ、今年もたくさんの子が来てくれたのね。この中に、一人でもわたしに気づいて

くれる子がいるといいんだけど。今年もだめかしらね。』

入学式の日、四小は、なにげなく子どもたちを見ていましたが、ふっと声をかけて

みようと思い、新入生たちに語りかけてみました。すると、どうでしょう。一人の子が

四小の声に反応したのです。いいえ、正確にはその前、四小が語りかける時に

放つ光に、すでに反応していたのです。四小は、飛びあがらんばかりに驚きました。

無理もありません。だって、声をかける前からもう、精霊に反応する子なんて

いないといっていいくらいなのですから。

 

 



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