風の向こうに  

前半・子供時代を思い出して、ファンタジィー童話を書いています。
後半・日本が危ないと知り、やれることがあればと・・・。

夢草子 九の巻

2010-06-17 23:13:04 | 大人の童話其の弐

ある日、四小の所に訊ねてきた二小は、楽しそうにしている四小の様子を見て

四小に訊ねました。

「どうしたの。何かいいことでもあったの。そんなに楽しそうにして。」

「うん、あのね。」

と、四小は、自分に気づいてくれた子のことを二小に話しました。二小は四小の話を

聞くと驚いて、信じられない、という様子で言いました。

「まあ!そうなの。人としては稀有な子だわ。そんな子もいるのねえ。」

そして、感慨深げにほっと息をはきました。

「でしょ?わたし、あきらめずに、子どもたちに声かけ続けてきてよかったわ。」

四小はそう言うと、何か思うことがあるのか、あとは黙って遠くを見つめていました。

二小は、そんな四小の横顔を見ながら、

『その子とずっと心通わせられますように。』

と願わずにはいられませんでした。