風の向こうに  

前半・子供時代を思い出して、ファンタジィー童話を書いています。
後半・日本が危ないと知り、やれることがあればと・・・。

夢草子 伍の巻

2010-06-11 22:41:56 | 大人の童話其の弐

四小が生まれて一年がたちました。もうすっかり、この世界に慣れた四小は、

自分の所に通って来る子どもたちが、自分に気づくかどうか、試しに声をかけて

みていました。でも、子どもたちは誰も自分に気づいてくれません。四小は、

がっかりしてしまいました。

『あ~あ、生まれてから一年、ずーっと毎日、こうして子どもたちに声かけてるのに、

だーれも気づいてくれないの。つまんないの。だれか気づいてくれないかな。』

四小はそんなことを思いながら、それでも毎日あきらめずに、一所懸命

子どもたちに声をかけ続けていました。そんなある日、二小がやって来て、四小に

訊きました。

「四小、毎日、一所懸命何やってるの?」

「あ、姉さん、うん、あのね、子どもたちに声かけてるの。」

四小は、二小の方を向いて、ちょっとはにかみながら答えました。

「まあ、何で?」

二小は、意外だ、というような感じで、さらに四小に訊ねました。