「四・・・小・・・さん、わたし、変。四・・小・・さんの姿が、声が、見える、聞こえる。
わたし、もう子どもじゃないのに。大人なのに。ねえ、四小さん、わたし、変だよね。」
夢は、ともすれば、大声で泣いてしまいそうな自分を、必死で抑えながら四小に
聞きました。四小は涙ぐんだ眼のまま、四十三年前、始めて夢に語りかけた時と
同じように、優しく夢を見つめて言いました。
「いいえ、ちっとも。わたしは、あなたを見てうれしくて話しかけたの。気づいて
もらえるかどうかはわからない、それでもいい、そう思って。半分諦めてもいたわ。
でもあなたは、わたしの声に答えてくれた。そう、あの時と同じようにね。ありがとう、
気づいてくれて。うれしいわ、夢ちゃん。」
それを聞くと夢は、四小の体から放たれるまばゆいほどの光のなか、とうとう
泣き崩れてしまいました。
「わたし、ラジオであなたの名を聞いて、いてもたってもいられなくなって
会いたかったの。すぐにでも会いに来たかった。でも、いろいろあって今に
なっちゃった。会いたかったよ、四小さん。」
夢は、涙でぐしゃぐしゃになった顔を拭きもせず言いました。
「わたしもよ。でも、会うことはないなと思って、諦めていたの。それなのに、会えて
うれしい、本当にうれしい。今日は、ゆっくりしていけるの?」
「うん。」
「そう。じゃあ、ゆっくりお話しましょうか。いい?」
「うん。」
夢と四小はお互いに見つめあい、四小の放つ光のなか、長いことうれしそうに
微笑んでいました。