東北アルパインスキー日誌 ブログ

東北南部の山での山スキー、山歩き、山釣りなどと共に、田舎暮らしなどの話を交えながら綴っています。

バルトロ氷河トレッキング  2019年 7月 No6 コンコルディア〜アスコーレ

2019年11月01日 | ヒマラヤ

7月26日
コンコルディア〜ゴレ
気温 3〜13℃
天候 曇りのち雨
コンコルディア発 6時17分
ゴレⅡ着 13時7分 (6時間50分)

朝起きてみると予報通りK2、ブロードピーク、ガッシャブルム4峰は上半分が雲で覆われ、バルトロカンリも山頂こそ見えるが周辺は雲で覆われ悪天候の兆しは顕著だった。
この天候ではゴンドゴロラ峠の急峻な雪壁は視界が効かずルートミスし易く、仮に峠に立てても下りでは視界が効かない中、気温が高めで落石が飛んで来ても逃げられまい。恐らくこれではレスキューもポーターも出動しないだろう。
ここ迄考えるとここでやっと踏ん切りが付き、むしろ14日間連続した好天に我々は感謝せねばなるまい。
ゴレⅡに向かって出発するとしばらくして小雨模様となり、雨具を着て降って行くと次第に雨足が強くなり、ゴレⅡに付いた頃には本格的な雨となる。しかし、夕方になると青空が顔を出し、正面には美しくかつ荘厳なマッシャブルムの北面が姿を表した。ガッシャブルム4峰の西壁には雪が付いて白くなっていた。

7月27日
ゴレⅡ〜ウルドゥカス
気温 3〜15℃
天候 曇りのち雨
ゴレⅡ発 6時30分
ウルドゥカス着 13時30分(7時間)

今日の朝も雲がたれ込めて山頂方面は雲に覆われ、何となく穂高連峰を見ている様で全く迫力が無い。我々は散々写真も取り後は降るだけだが、コンコルディア方面に今から向かうパーティーの皆様方はご愁傷様です。
昨日同様に昼過ぎから小雨がちらつき、テントサイトにつく頃には本格的な雨となり、夕方になると上がるというパターン。
お陰で砂塵と馬糞の舞う街道は地面が湿って空気が綺麗になり、適度な気温で歩く分には快適な環境で決して悪くはない。
衛星電話によると今後6日間は悪天候の予報の為、往来するトレッキングパーティーやポーターは少ない。
しかし、アーミーのロバによる燃料輸送の隊列だけはやたらと多い。話を聞いてみると、インド国境付近の冬季間キャンプに常駐する為の灯油や軽油を夏に輸送しているらしい。

7月28日
ウルドゥカス〜コボルテ
気温 5〜21℃
天候 雨から曇り
ウルドゥカス発 6時17分
コボルテ着 10時35分

今日は4時間行程で楽なはずだが、朝から小雨がチラついてモチベーションは下がるのみ。雨具上下で歩いていると今度は暑くなって脱ぐ。
途中には落石の危険地帯が2個所程有り、ノンストップで通過するのもちょっと辛い。
ウルドカスに着いてみると、今から下山する登山隊と、今からコンコルディアを目指すトレッキングループで賑わっていた。今日は早く着いたので体力回復の為、午後は殆ど寝て過ごした。

7月29日
コボルテ〜パイユ
気温 10〜32℃
天候 曇りのち晴れ
コボルテ発 6時30分
パイユ着 2時10分 7時間40分

昨日食欲不振と倦怠感で沈んでいた自分だが、ベイグさんに貰った3種類の薬を飲んだら一夜で回復。流石、経験と実績のなせる技と感心。
コボルテを出発するとやがて左岸トラバース地点を通過するが、ここはバルトロ街道で最も危険な落石多発地帯。約500m位の落石地帯をノンストップかつ早足で通過すると、途中2箇所で3〜5cm位の石が飛んで来て逃げるようにして走り去る。
先週は1頭のロバが当たってしまい、今シーズンは3頭が死んでいて、女性一人が亡くなっているらしい。
危険地帯を通過すると今度は色々な花が咲き誇り、この岩と砂だけの荒涼とした世界に一時の休息を与えてくれる。
コンコルディア方面は雪が降って降っている様で、ここから見るトラゴンド山群やカテドラル山群の山頂も雲に覆われて山頂は覗えず、辛うじてトランドタワーのピークだけ姿を現している。
ようやくパイユのキャンプサイトが見えてきたが、1時間位と思ったら2時間掛かってもたどり着かず、バルトロ氷河の大きさをいやでも実感させられる。
なお、温暖化で氷河は毎年後退していると思ったら、ガイドのベイグさんによると氷河の末端はパイユに向かって前進しているとは意外だった。どうやら高温で氷が緩んで崩壊が進み、その押出で氷河の末端が伸びている様だった。

7月30日
パイユ〜ジョラ
気温 15〜30℃
天候 曇りのち晴れ
パイユ発 6時20分
ジョラ着 16時45分 (10時間25分)

本日の行程は最も長く、往路は気温38℃と熱射病寸前と思える日で12時間を要する日となったコースだ。
朝は曇りがちでやや風も吹いて歩きやすいが、晴れてくると気温が上昇して次第に負担が掛かってスピードが落ちる。
遠くには雲を被って天に突き刺す様なk2南面の山頂が望めるが、これがバルトロ巨峰群との最後の別れとなる。
実に雄大で両岸が岸壁帯となった谷の道は比較的平坦な緩い下り道だが、連日の疲れが頂点に達したのか後続の足取りは重く、30分毎の休憩を入れて前進するが苦しそうだ。
ジョラに着いてみると今からコンコルディアを目指すグループで混雑し、中国人やヨーロッパや日本のS社のグループの姿が見られた。

7月31日
ジョラ〜アスコーレ
気温 20〜40℃
天候 晴れ
ジョラ発 6時20分
アスコーレ着 15時10分

ジョラをスタートして20分位で吊橋を渡り、今度は対岸を逆方向に戻って右岸沿いの路を進む。かなりの迂回になるが、吊橋を掛けられる箇所はここしか無いので仕方がない。
早朝涼しい時に距離を稼ぐ作線だったが、次第にブレーキが掛かってペースが落ち、次第に気温は上昇して40℃に達する。
行けども中々届かない砂漠地帯の辛い歩きを続けるが、熱中症の恐れも出てきて心配になってガイドのベイグさんには先行してもらい、迎えのジープの手配を頼んで前進。
ようやく届いたアスコーレでは冷たいコーラを思わずがぶ飲みし、着いてからポーターへのチップを支払い記念撮影。中々気の良いメンバーで我々も助かった。

 コンコルディアのキッチンテントで。

 biarghedl pks 2峰 (6781m)の北面。

 クレバスの闇はかなり深そうだ

 パキスタン陸軍がバルトロ氷河の環境破壊を深刻化さえている張本人。

 コンコルディアからゴレⅡを目指して往路を引き返す。

 雨雲が近づいてガッシャブルム峰も雲の隠れる。

 広いモレーンを歩いているとこんなモニュメントも。

 ポーターは規定で一人25Kgとなっているが、力が有ればもっと稼げるのだろう。

 パキスタンに入ってから初めての雨の日。

 石や岩の5~10cm位下はブルーアイスの氷河。

 後ろはパキスタン陸軍の貨物中継所。

迷路のような箇所も有ってガイドに頼ることも多い。

 ポーター意外にポーターの食料・生活用具を運ぶポーターが必要。

 パキスタン陸軍燃料を輸送するロバの隊列。

 迷いやすいコースの目印。

 ガイドのベイグさん(左)とサブガイドのザヒさん(右)

 標高4200m地点。

 

 

 

 標高4000mを切るとようやく緑が・・。

 右のタワーがウリビアホータワー(6109m?)

 コルポツェ(3940m)まで下って来る。

 この先左の斜面は落石の集中するバルトロ街道で最も緊張する場所。

 やはり温暖化が進んでいるような気がする。

 うっかりしてこのブルーアイスでウイスキーを飲むのを忘れていた。

 この間の危険地帯は500m程速足で通過する。3~5cm程の石が飛んできて気が抜けない。

 

 

 

 バラの花の一種らしいがヤギはトゲも一緒に食べてしまう

 

 

 

 ようやく長かったモレーンに別れを告げて少しホットする

 バルトロ氷河の末端は温暖化のため後退していると思ったらむしろ伸びているらしい。(溶けて崩壊した氷河が押し出されているという)

 雨が作り出した自然の造形美。

 終点のアスコーレに至るつり橋の下は激流が走る。

 工事中のつり橋を渡る。

 パイユ~ジョラに至る断崖に刻まれた道。ここが崩壊すると丸1~2日を要する高巻きとなるらしい。

ロバも階段を登らされてさぞかし迷惑だろう。

 動画 ① パイユからの帰り

 動画 ② アスコーレの吊り橋 

 

No5 コンコルディア〜ブロードピークBC~k2BC〜コンコルディア ⇔ No7 アスコーレ〜スカルド~カリマバード


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 【関連サイト】 東北アルパインスキー日誌

 


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