東北アルパインスキー日誌 ブログ

東北南部の山での山スキー、山歩き、山釣りなどと共に、田舎暮らしなどの話を交えながら綴っています。

飯豊連峰周辺 飯森山 山スキー 2013.03.17

2013年03月22日 | 山スキー
【概要】

 飯森山は大変興味ある山だったけれども中々タイミングが合わず、ようやく晴天の日がやって来るこの日に合わせて一人でやって来た。残念ながらパウダー時期はのがしてしまったが、尾根上からの飯豊連峰の展望を期待して、わざわざこの日を取っておいた。

 この山は山形県と福島県の県境界に位置する山だが、飯豊連峰から吾妻連峰まで連なる尾根上に有る立派な風格を持った山で、飯豊連峰とも吾妻連峰とも属性は感じられない、栂峰と共に一つの山域をなす立派な独立した山塊にも思える。吾妻連峰と比べても積雪量は豊富で鉢伏山に至る尾根は急峻で沢も深く、素晴らしいブナの疎林帯と森林限界から上部の飯森山に続く無木立の尾根も美しい。

 山スキーコースとしては大切な要素を凝縮したようなコースで、一度ならず何度も訪れたくなる印象を受ける山です。山スキーヤーにとっては古くから親しまれているコースでしょうが、ネット上には意外と記録は少ないようで、最近はパウダー狙いで山形のAさんを始めとした篤志家によって南面が開拓され、飯森沢左岸(対岸)の尾根上や沢筋にもトレースが刻まれているようです。

 また、山スキー以外にも大桧沢や飯森沢・三河沢にも沢登りの記録があり、首都圏の沢登り専門の会などには注目されているようです。

 南陽から大峠トンネルの福島県側の出口には狭いながらも駐車場が有り、誰もいない中準備を整えて7:45AMに出発する。今日は晴天だが日の当たらない尾根の急斜面はクラストとしており、いきなりの急斜面でスキーアイゼンのないファットスキーでは道路まで滑落しそうで気が抜けない。

 50m程高度を上げるとようやく朝日が差してきて、いくらか傾斜も緩くなって来て後は順調にジグを切って尾根筋を進む。最初の急斜面をクリアーするとその先には村山葉山を思わせるような見事なブナの疎林帯が広がり、古いスキーのトレースに導かれながら高度を上げる。

 1050m付近からは広いゆるやかな斜面が続き、柔らかくなった雪にシールを効かせて進むと急な尾根上の斜面が出てくる。急斜面には大きなブロックが被さって斜面は荒れており、ここを嫌って右に急な斜面をトラバースして尾根筋に立つ。降雪中又は直後だと雪崩への警戒が必要なポイントだ。

 鉢伏山に至る尾根は狭い雪稜となっており、右に張り出した雪庇を巻きながら進んでゆくと無木立となり、最後の雪庇の切れ目はスキーを外してツボ足6m程で尾根上に立つ。1462m地点からは右に雪庇が張り出し、所々口が大きく開いてすっかり春の雰囲気が感じられた。

 鉢伏山の東側斜面はトラバースが可能の様で、「桃源郷」とも呼ばれる美しいブナの疎林帯があるらしいが、その事には気が付かずに白い鉢伏山の山頂をめがけて進んでゆく。周りの景観はこのへんから素晴らしくなり、東方面には西吾妻山や西大填のピークが見え、その右には抜きん出たピラミダルな磐梯山が見えた。

 鉢伏山からの飯豊連峰の展望は素晴らしく、三国岳や飯豊本山から鉾立山や杁差岳の山並みが近くに見える。風が出てきたが厳冬期のような厳しさは無く、ジャッケトを着込んで更に先の飯森山山頂を目指して前進する。

 シールを付けたまま1472mの最低鞍部まで滑り降り、ゆるやかな雪の尾根を辿ってゆくと西の峰に立つ。ここから風が冷たく感じて強くなり、足元の斜面も一部硬いアイスバーンが出てきて気を引き締める。鉢伏山からは意外に距離があるように思えたが、余り高度差は無いので間もなく山頂に立つ。


山頂は意外と広くて東側に立つとようやく隣の栂峰が姿を現すが、僅か2キロ離れた栂峰はコメツガとアオモリトドマツの森に囲まれたドーム状の黒い山で、飯森山の様子とは大きく異なっている。飯豊連峰と吾妻連峰の大きな違いがそこに有り、アオモリトドマツの有無しがそこを別けているという話がある。つまり、その境界線が飯豊連峰と吾妻連峰と言う事になる。

 個人的な好みで言えば飯豊連峰の雰囲気を感じさせる飯森山が好きだが、かつて栂峰から見た飯森山もスケールと風格では栂峰を凌いでいると思えた。これほど立派な山塊が飯豊連峰や吾妻連峰の前衛峰とは思えず、立派な独立した山塊である資格を持つとも思える。出来れば、沢登りや釣りでも訪れたいエリアだ。

 快晴の今日は抜群の展望で、朝日連峰・月山・蔵王連峰・吾妻連峰・磐梯山などが望める。しかし、山頂では風が強くてパノラマ画像を納めてすぐ下降に取り掛かる。シールはそのままで下降してゆき、最低鞍部から鉢伏山を登り返してから山頂でランチタイムとする。せっかくの一貴重な時間なので、360度のパノラマをゆっくり堪能してから下降の準備を整える。

 尾根上にはうっすらと新雪が乗って板の走りもよく、左の雪庇を警戒しながらのんびりと下降を続け、鉢伏山から下は尾根上の急斜面となってショートターンで降りてゆく。フッソ樹脂の固形ワックスが合ったのか板はよく走り、どんどん下降して急斜面のトラバース地点を通過し、荒れた斜面をやり過ごすと後は快適はブナの疎林帯が続く。

 少し雪質の変化があるがブレーキになるような斜面もなく、春らしいザラメ質の雪を楽しんで降りてゆくとどんどん高度が下がってゆく。後半は久しぶりのスキーでふくら脛が疲れてしまい、最後は雑な滑りで流してしまうのは何時もの通りだ。

 このコースは鉢伏山から駐車場に戻るまではあっという間で、帰路にくたびれるアプローチがないのも嬉しい。いきなり国道からの取り付きというのも珍しく、パウダー時期でも入りやすそうでバリエーションコースも楽しめる。今後は天元台からの西吾妻山と共に、定番コースとしておいてもよさそうに思える。

 残念だったのは、150枚ほど撮り貯めた画像をフェイスブックのアルバムに取り込もうとした際、130枚ほどが消えてしましい、あまり気に入った画像があまり残っていない事。何が原因だったのか良く解りませんが、フェイスブックのアルバムを利用の方は注意したほうが良いでしょう。









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コメント (4)
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