この時期特にとかく悪者扱いされる杉の木だが、冬季期間に良く行われる枝打ち作業をやった。なぜ今頃かと言うと訳があって、切り口から雑菌や病害虫が進入しない冬場が適しているのだ。しかも積雪が多いと高い所までノコギリが届き、雪の締まったこの時期なら移動が楽で都合が良い。
普通に行われる枝打ちは地上2.5mくらいまで、長い柄の付いた枝打ち用のノコギリで切り落とすが、今回は樹齢45年くらいの林で樹高が高く梯子を使っての作業となる。この山林は民家に近く、農道に隣接しているので枝が張り出しており、見るからに手入れが行き届いていない雰囲気で見栄えがしない。杉は明るい方向に向けてどんどん枝を張る為、片側方向の空間に向けて太い枝に成長する。いわゆる「暴れ木」と言うやつで、木は大きく成長するが製材すると大きな節だらけで商品価値は低い。
木にしっかり固定した梯子から枝に乗り移り、高さ8m前後までの枝をノコギリで落としてゆく。枯枝に体重を掛けて折れるとえらいことになるので、慣れるまでは枝が信用できなくてちょっとビビリ気味。しかしクライミング用のウエストベルトにシュリンゲを結び、自己確保さえ出来れば何も不安はない。要領は上から下に順々に切り落とし、木にくぐしたシュリンゲを下にずらして行けがば良い。
終わってみると林はすっかり明るくなり、太陽もふんだんに差し込んで内部の木々の生長も良くなる。確かに山村の風景としては農家の裏山は座敷林となっており、枝打ちされて手入れの行き届いた風景は美しく、山主の山林に対する畏敬の念を感じさせる。作業を終えると気分もすっきりし、これからもどんどん成長してくれと願うばかりだ。